★阿修羅♪ > 国際7 > 719.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
欧州版ティーパーティーの台頭に要注意 要塞化する欧州と海の墓場 移民排斥の波〜北欧・福祉社会の光と影(31)
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/719.html
投稿者 SRI 日時 2013 年 10 月 23 日 00:41:39: rUXLhToetCnYE
 

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
欧州版ティーパーティーの台頭に要注意
2013年10月23日(Wed) Financial Times
(2013年10月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 米国の債務上限危機は、かなり目覚ましいことを成し遂げた。あの危機のおかげで、欧州連合(EU)は比較的しっかりと統治されているように見えることになったのだ。

 EUでも米国でも、統治のシステムは、物事を簡単には実行できないようにするチェック・アンド・バランスの仕組みに悩まされている。しかし現在の欧州には、米国にはない有利な点が1つある。EU本部に集まる最も重要な意思決定者たちが全員、システムを機能させることに真剣に取り組んでいるという点だ。ここには、妥協を裏切り行為と見なすティーパーティー(茶会)のようなタイプは1人もいない。

 一般には認められていないが、この幅広い中間派による合意は、ユーロ危機の際にEUの強みになっていた。当時は、欧州の指導者たちが繰り出す対策はいつも「規模が小さすぎるし、遅すぎる」という批判がすっかり慣例になっていたが、指導者たちが――たとえ最初はうまくできなくとも――また緊急会議を開いて問題解決に取り組んでくれるだろうということは、市場でも理解されていた。

 EU首脳会議に集う28カ国の首脳全員が協力することを誓っているという事実は、単一通貨ユーロを維持するうえで極めて重要なことだ。

反体制的な政党の躍進で政治的コンセンサスが崩れる恐れ

ユーロ一時104円90銭、ギリシャ債務危機で10年ぶり安値
ユーロは来年、大きな危険にさらされることになる〔AFPBB News〕

 しかし、そのユーロは来年、大きな危険にさらされる。ユーロを支えている政治的コンセンサスが崩れてしまう恐れがあるのだ。冴えない景気、緊縮疲れ、移民についての怒り、そして遠い存在に思われるEUへの敵意のために、欧州大陸全土で反体制的な国家主義政党が勢力を拡大しているからだ。

 これらの政治勢力はフランス、オランダ、英国、イタリアといったEUの大国で支持を伸ばしており、ギリシャ、ハンガリー、フィンランド、オーストリアといった比較的小さな国々でも台頭しつつある。

 EUでは多くの重要な決断で全会一致の承認が必要になるため、1つの小国が同調しないだけでも大変なトラブルになりかねない。

 ティーパーティーが米国で今回示してくれたように、急進的な反体制派勢力は、大統領や首相の座を射止めなくともシステムを止めることができる。伝統的なEU支持の中道勢力が欧州の大半の国で政権を担い続ける場合でも、ポピュリズムの政党が国内で勢力を大幅に伸ばしていれば、EUサミットで首脳たちが取れる行動の余地は多いに狭まる。

 例えば、オランダでは反EUの自由党が世論調査で第1位となる支持率を得ているため、自由党を恐れるオランダ首相は、南欧に対する新たな救済計画に同意することは以前にも増して難しくなるだろう。

 同様に、英国独立党に支持を奪われつつある英国の指導者も、EUでの協議ではこれまでより極端な立場を取らざるを得なくなるだろう。

来年の欧州議会選挙で反EU的な議会が誕生したら・・・

 来年実施される欧州議会選挙でも、欧州版ティーパーティーが躍進する可能性がありそうだ。同議会は昔から、欧州で連邦主義色が最も強い機関であり、EU本部への権限委譲を支持する圧力団体として活動している。

 だが、来年5月の選挙では欧州大陸のあちこちで、欧州懐疑主義の政党が得票数を大幅に伸ばしそうな雲行きだ。フランスで国民戦線が得票数のトップに立ったり、オランダで自由党が勝利を収めたり、英国独立党が英国選出議員における最大会派になったりすることも十分あり得る。

 さらに、欧州議会は先日、新しい権限を手に入れた。米連邦議会のように行政の活動をブロックする力はないものの、反EU的な議会は、EUの予算を却下したり、重要な人事を妨げたり、ユーロ相場の押し上げに必要な法律の承認を拒んだりすることができる。

 欧州の非主流派の政党は、統一の取れた会派を形成するにはほど遠い状況にある。

 右か左かという尺度で言えば、ハンガリーのヨッビクのようなプロト・ファシスト政党からギリシャの急進左翼連合(SYRIZA)のような極左政党まであり、保守か革新かという尺度で言えば、ポーランドの「法と正義」のような保守的なナショナリスト政党からイタリアの「5つ星運動」のような準無政府主義者の党まである。

 またフランスの国民戦線のように、極右政党から社会的に受け入れられる政党への脱皮を試みている反体制派勢力も中にはある。英国独立党やイタリアの右派の一部のように、減税や小さな政府などティーパーティーと同じ政策を掲げるところも少数ながらある。さらにはオランダの自由党など、伝統的な福祉国家の擁護者を自称するところもある。

米国のティーパーティーとの共通点

 だが、欧州のほぼすべての反体制派政党とティーパーティーに共通するのは、主流派の政治家のことを、遠く離れたグローバル化したエリートの使用人として描く反エリート主義のレトリックだ。

 欧州の反体制派政党の大半とティーパーティーを結び付けるもう1つの重要テーマは移民に対する反感だ。主流派の政治家が――いみじくも――移民を抑制する政治家の能力は人の移動の自由に関するEUの規則に制約されると言う時、彼らはただ、「世相に疎い」エリート層に対するポピュリスト的な怒りを煽るだけだ。

 西欧の比較的豊かな国々の世論調査は、合法にせよ違法にせよ、移住に対する有権者の懸念が高まっていることを示している。これは欧州のティーパーティー系の人々にとって、栄養豊富な飼い葉だ。経済に関する怒りと移民に関する怒りが融合しており、その怒りは簡単に、経済、移民の両分野で大きな権限を持つEU自体に向けられるようになる。

 ある英国政府高官が言うように、「英国独立党の夢は、欧州と移民、福祉という言葉を同じセンテンスに盛り込むこと」なのだ。

米国でもあわやパニック、これがEUなら大惨事

 具体的な争点の域を超えて、欧州の反体制派政党が本当に米国のティーパーティーと共有しているのは政治スタイルであり、システムが腐っていて、社会は大惨事に向かっており、それゆえ妥協は裏切りだとするレトリックだ。

 数世紀かけてドルに対する世界的な信頼を築き上げた米国でさえ、ティーパーティーの政治工作は危うく金融パニックを引き起こすところだった。ユーロへの信頼の再構築にいまだ苦労しているEUでは、欧州版ティーパーティーの台頭は大惨事を招く恐れがある。

By Gideon Rachman
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38993



JBpress>海外>欧州 [欧州]
要塞化する欧州と海の墓場
移民排斥の波〜北欧・福祉社会の光と影(31)
2013年10月23日(Wed) みゆき ポアチャ
 日曜日に街中心の広場に行くと、「NATO(北大西洋条約機構)はリビアへの空爆を止めよ」「EU(欧州連合)は難民法を改正せよ」という大きい横断幕を掲げたグループが、市民にビラやパンフレットを渡して中東とアフリカの状況を訴えたりなどの活動を行っていた。

 幕の近くに立っていた1人に「どこから来たのか」と聞くと、「もとはナイジェリア出身だが、リビアで仕事をしていた。リビアの状況が悪くなったので、欧州に来た」と言う。

 その場にスウェーデン語ができる人もいたので、随時通訳をしてもらいながら話すことができた。

ナイジェリアからリビア、ドイツ、スウェーデンへ流れて

 この男性は、今年の初めまでドイツ・ベルリン市内の収容施設にいたが、処遇があまりにもひどいので伝手を求めてスウェーデンに来たと言う。ナイジェリアから仕事を求めてリビアへ移り、10年ほど働いていたが、その後NATOが空爆を開始して戦争が始まったため、逃避を余儀なくされたと話した。

 「リビア北部のミスラータに住んでいて、主に建設現場で働いていた。賃金はかなりよく、私はそこで結婚して、よい生活をしていた。しかし2011年にフランスとアメリカが爆撃を開始してから、すべてが変わってしまった。私にとっても、私が知っていたすべての人にとっても、悲惨な経験だった」

 「NATOは爆弾で一般市民や子供たちを殺した。彼らの手は無実の市民の血で汚れている。私の友人や同僚も爆弾の犠牲になった。その後市内に反体制派が入ってきて、見つかった者は首を切り落とされた。私は自身で彼らの死を目撃した」

 「ミスラータが非常に危険になったため、私は妻とトリポリに逃げた。家と財産のほとんどを置いたままだった。が、その後反体制派がトリポリにも入ってきた。リビア兵士は、国を去ることが唯一の安全な道だろうと言って、私たちを港に送ってくれた」

 「私は、昨年6月初めにボートで出発し、8日間かかって地中海を渡った。ボートに乗る時に妻と離れ離れになってしまい、彼女がどこでどうしているのか、今も分からない。船に乗っていたのは600〜700人くらいだった。船上では食べ物も水もなかった。乗船する時に、すべての持ち物を置いていかなければならなかったからだ」

 「7日目にボートが転覆し、乗っていた何百人もが溺れた。私は運良く救助され、他の生存者とともにランペドゥーサに送られた。その後、生存者はイタリア本土のあちこちの収容所に移された。私はミラノの近くの大きなキャンプに送られ、そこに1年近く滞在した」

 「我々は何度も難民の地位の認定を求めたが、イタリア当局は無視したままだった。住居も悲惨な状態だった。今年初めにイタリア当局が、北アフリカの緊急事態は収束したと宣言し、イタリア全土の難民キャンプを解体した。真冬に、一夜にして約3万人の難民が通りに放り出されたのだ」

欲しいのは慈善ではなく仕事

 「私たちは野外で、何の保護もなしで寝なければならなかった。多くの人は他国に向けて出発しようとしたが、結局、多くがイタリアに送り返された。我々はイタリアの海岸に上陸したため、欧州の法律によるとイタリアに難民保護の責任があるからだ」

  「今年に入ってからドイツへ行ったが、そこでも状況は非常に悪く、公園で寝なければならなかった。ドイツでも我々は当局に無視され放置されたままだった。仕事はなく、労働許可も得られなかった。我々は慈善は欲しくない、社会のために建設的な何かをする機会が欲しい。私たちは、疲れていて空腹だ。我々が欲しいのは仕事だ」

 今年は、これまでのところ、中東とアフリカ地域から2万5000人がイタリアの海岸に上陸した。2012年全体の3倍以上だ*1。

*1=http://www.theindependentbd.com/index.php?option=com_content&view=article&id=188467:300-feared-dead-in-italy-migrant-boat-disaster&catid=187:online-edition&Itemid=223, http://english.ahram.org.eg/NewsContent/2/9/83148/World/International/Over--dead-in-migrant-boat-disaster-off-the-Italia.aspx

 故国を脱出し、難民となることを余儀なくされている人は、国連その他の関連機関の予測をはるかに超えて激増し続けている。国連は、シリア難民は2013年半ばまでに100万人になると予測していたが、今や160万人に達した。

 最近の発表によると、加えて500万人がシリア国内で避難生活をしている。アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は、「シリアは近代史において比類のない苦しみと変節を伴う不名誉な人道災害という点で、今世紀最大の悲劇となっている」と述べている*2。

 シリアからだけではなく、チュニジア、リビア、エジプトなどからも、戦争や迫害を逃れようとする多くの人が国境を越えることを強要されている。それでも、実際にヨーロッパへ脱出できるのは、それらの国の人口数百万人のうちのごく一部だ。

 その多くが地中海を通って欧州へ向かうが、国際移住機関(IOM)によると、その途中に溺死した人はこの20年間で2万5000人に上ると推定されている*3。

続発する海難事故

イタリア沖の難民船沈没、83人の遺体収容
イタリア・ランペドゥーザ島の空港の格納庫に並べられた、難民船沈没事故の犠牲者の遺体が入った棺。白い4つの棺には亡くなった子供たちの遺体が収められている〔AFPBB News〕

 10月3日、地中海ランペドゥーサ島沖の沈没事故で死亡した難民の救助と捜索は、すべての行方不明者を発見しないまま終了した。

 この船舶に乗っていたエリトリア人、ソマリア人とシリア人545人のうち、救助されたのはわずか155人。水から引き揚げられた遺体は359体だ。

 この事件は世界に大きく報道されたが、規模の違いはあれ、この前にも後にも同様の海難事故は続発している。

 10月11日には、エジプト・アレクサンドリア沖でも難破事故が起き、116人が救出されたが12人が溺死している。その翌12日には、イタリア・シチリア島付近で500人以上が海上警備船に救助された*4。

 11日には、マルタ領海内のランペドゥーサ島南方で別のボートが沈没したが、これはリビア旗を掲揚していた軍船が発砲したためだ。ボート上には200人以上のシリアとパレスチナからの男性、女性、子供が乗っていたが、このうち50人の死亡が確認されている。この中には、女性と10人の子供が含まれている。軍船は船上の数人を直接狙撃して殺害し、さらにボートのエンジンを破壊したという。

 これはチャネル4が生存者から聞き取って記事にしたものだが、他メディアは黙殺しているようだ*5。 

 リビアがなぜ、放っておいても沈みそうな満杯の粗末な難民船を攻撃したのかについて、これについてもどこにも書かれていないので筆者の憶測なのだが、アムネスティ・インターナショナルが昨年、イタリアと当時のリビア国民評議会が「欧州の防備を強化し、域内への移民の流入を抑制する」ための密約を締結したことを暴露している。

*2=http://www.unhcr.org/522484fc9.html

*3=http://www.nytimes.com/2013/10/07/world/europe/divers-recover-more-bodies-from-migrant-ship-wreckag.html?_r=0

*4=http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-24499890, http://america.aljazeera.com/articles/2013/10/12/two-boat-accidentskilldozensinmeditteranean.html

*5=http://www.channel4.com/news/lampedusa-survivors-say-libyans-shot-holes-in-their-boat

 この合意の内容について、アムネスティのニコラス・ベガー欧州事務局長は「EUが欧州の国境を増強することは、明らかに難民の命を救うことをないがしろにすることだ」と述べている。つまり密約の内容には、イタリアへ向かう難民の命を「ないがしろにする措置」が含まれているということだ*6。

 ランペドゥーサ島沖での事故の後、イタリアをはじめとする欧州各国の政治家らは公に「遺憾の意」を表明している。イタリアのエンリコ・レッタ首相に至っては、事故の翌日「昨日ランペドゥーサで命を失った数百人は、今日までにイタリアの市民である」と表明している*7。

要塞化するEU

地中海の難民船沈没、200人救助 死者31人に
10月12日、乗っていた難民船が沈没しマルタ軍に救助された少年を運ぶ警察官。マルタの首都バレッタの埠頭で〔AFPBB News〕

 だが、首相のこの言葉は、救出されて生き延びた155人には適用されない。

 生存者は今、「clandestine immigrants(秘密の移民)」としてランペドゥーサ島の粗末な小屋に押し込まれ、厳重な警戒態勢の下で生活していると思われる。恐らく元の国に送還されるのだろう。2002年に制定された法により、彼らは国外追放だけではなく、5000ユーロまでの罰金を科される可能性もある。

 そしてこの大事故後、直ちにEUが取った措置は、難民の流入を緩和し安全な措置を取ることなどではなく、流入を厳重に制限し、EUの障壁をさらに堅固に要塞化することだ。

 EU議会は10日、新しい「ヨーロッパの国境監視システム」を導入することを承認した*8。

 EUROSURという名のこの新システムは、12月に実動に入ることになっている。このシステムについて、EUのセシリア・マルムストロム委員(内務担当)は、「海難事故で命を落とす者の数を減らすことができるだろう」と言っている。

 だが、採択された規制の文言によると、EUROSURの目的は「EU加盟国当局及び機関に、その対外国境で、不法移民と越境犯罪を摘発・予防・対処し、状況の認識および反応能力を向上させるために必要なインフラとツールを提供し・・・」となっている。つまり「EUに入る『不法』移住者の数を減らす」ことが第一義の任務だ*9。

 具体的には欧州対外国境をドローン(無人偵察機)、人工衛星検索システムでパトロールし、沖合いでの検問と生体身元確認により「違法」入国者を監視・摘発する。EUROSURによって得られた情報はFrontex国境警備機関に転送され、同機関では難民船がヨーロッパに到達するずっと前に、強制的にアフリカに戻すかあるいは迎撃するための措置を調整する*10。

 EUによると、リビアのほか、チュニジア、アルジェリア、エジプトもEUROSURプログラムに参加しており、各国政府との間で監視用の無人偵察機や人工衛星の使用契約が締結されているようだ*11。

*6=http://www.amnestyusa.org/news/press-releases/europe-s-deadly-frontiers-european-parliament-must-stand-up-for-migrants

*7=http://euobserver.com/justice/121681 

*8=http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-13-863_en.htm

*9=http://www.europarl.europa.eu/meetdocs/2009_2014/documents/libe/dv/939/939922/939922en.pdf

*10=http://www.frontex.europa.eu/eurosur, http://www.euronews.com/2013/10/10/eu-parliament-approves-new-border-surveillance-system/

*11=http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-13-862_en.htm

 このシステムの開発や設置、維持には2020年までに3億4000万ユーロかかると推定されているが、10億ユーロという推定値もある。デンマークの人 類学者ハンス・ルーチ氏はニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、この高価な最新鋭ハイテクを駆使したプログラムについて「セキュリティの狂信者と国際的兵器産業界の夢」と書いている*12。

危険度を増す亡命ルート

 命懸けで欧州に到達しようとする人たちにとって、このシステムの稼働が直接意味することは、監視をすり抜けるためにより小さく、より耐航性が少ないボートを使用し、より危険な遠回りのルートを取る必要があるということだ。

 EU加盟国自体がアフガニスタン、シリア、アフリカでの戦争に加担し、この理由で人々が生活を破壊され家族をばらばらにされ、土地と家を捨てて逃げることを余儀なくされ、ほかに選択肢がなくヨーロッパへ逃亡しているわけだが、欧州の要塞化はこのリスクを急速に増大させることになる。そして何十億をつぎ込んでバリアを構築しようと、戦争を終結させない限り難民の流入は止まらないだろう。

 遭難事故後に欧州メディアが使い始めたフレーズは「地中海が難民の大量埋葬地になる」だ。

 筆者が見たところ、このフレーズを最初に使ったのはマルタのジョセフ・ムスカット首相で、同氏は「事態がこのまま続けば、我々は地中海域に墓地を建設することになる」と言った*13。

 EUの創設を定めたマーストリヒト条約が調印されて以降の21年間、欧州統一という壮大なプロジェクトは、今日あらゆる点で悪夢に変わりつつある。

*12=http://www.il.boell.org/downloads/Borderline.pdf, http://www.ed4bg.eu/files/files/EUROSUR.pdf, http://www.nytimes.com/2013/10/08/opinion/the-graveyard-at-europes-doorstep.html?_r=0&adxnnl=1&adxnnlx=1381946151-Fk3jlBVZDusnIqrogDQkfQ

*13=http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-24499890 
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38976
 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年10月25日 03:50:33 : niiL5nr8dQ
 
JBpress>日本再生>国民の健康を考える [国民の健康を考える]
スウェーデンのエーデル革命
医療制度:北欧モデルの光と影(2)
2013年10月25日(Fri) 乗竹 亮治
黒川清・日本医療政策機構代表理事監修

1. スウェーデンの高齢化対策

 前回は、スウェーデンの医療提供体制について、概観した。今回は、その中でも、特に日本にも示唆があると思われる高齢化対策、そして医療ITの活用について見ていきたい。

 スウェーデンでは、2005年時点で人口に占める65歳以上の高齢者の割合が17.3%に上り、80歳以上の割合はEU加盟国で最も大きくなっている。

 今後も高齢化が進むと予測され、高齢者が可能な限り自宅での生活を続けていける社会を目指し、様々な改革・取り組みを進めている。

 まず、その提供体制だが、スウェーデンでは、高齢者介護に関する責任は、国(社会保健省)が担っており、高齢者および障がい者の介護サービスを含む福祉サービスは、コミューン(Kommun; Municipalities)によって供給されている。

 コミューンとは、全国に290ある基礎自治体であり、日本の市町村に相当するが、より強い自治権を持つ。詳しくは前回を参照されたい。

2. エーデル改革以前

 スウェーデンでは、1970年代までは、高齢者の増加や介護施設等の順番待ち問題に対応すべく、施設の建設を多く進めてきた。その後、在宅ケアを重視する気運が高まり、1970年代から1980年代にかけて在宅介護サービスや在宅医療が拡大した。

 この施設でのケアと在宅でのケアとの線引きと役割分担を明確にすべく、1982年に施行された社会サービス法(The Social Service Act)が定められた。

 これにより、施設入居等の社会的介護はコミューンが担い、その一方で、在宅医療や初期の医療介護はランスティングが担うという分担になった。

 ところが、その線引きや両者の役割分担は次第に不明瞭となっていき、病院での治療を終えた高齢者のケアが、ランスティングからコミューンへとスムーズに移行せず、高齢者が治療後も病院のベッドを占有し続ける社会的入院が多く発生し、社会問題化した。

 日本でもよく話題に上る事例である。そこで行われた改革が、この分野ではよく話題に上る「スウェーデンのエーデル改革」である。 

3. エーデル改革の中身

 中身を見てみよう。それまで、高齢者の介護施設には、サービスハウス、老人ホーム、グループホーム、ナーシングホームなどがあり、高齢者は介護度に応じて入居する施設を替えなければならなかった。

 エーデル改革では、まず、ランスティングに属していたナーシングホームをコミューンに移管したうえで、サービスハウス、老人ホーム、グループホーム、ナーシングホームを、社会サービス法上で「特別介護住宅(特別な住居)」としてひとつにまとめ、これらをすべてコミューンの管轄とした。

 こうして、国政上の形態別の区別をなくし、これらの概念を「施設」から「住居」へと転換することにより、入居者が施設を替わらずに同じ場所に住み続けられるようになった。それでも高齢者が社会的入院をする場合は、一定の自己負担が生じることとなった。

 また、コミューンは高齢者および障がい者に対する社会的介護・医療の責任を全面的に負うこととなり、費用体系が一元化されるとともに、独自にサービス内容・自己負担額・施設計画を作成・決定することができるようになった。

 また、ランスティングでの治療を終えた患者に対する財政的な責任も持つこととなった。

4. エーデル改革の意味合い

 さて、エーデル改革を一言で表せば「役割分担の明確化・集中化」という改革だっただろう。そう言ってしまうと随分と簡単なようだが、ビジネスにおいても医療制度改革においても、そうしたことは案外に難しいと感じる方も多いのではないだろうか。

 エーデル改革の評価としては、以下が挙げられるだろう。

 すなわち、コミューンが行う24時間の在宅介護サービスなどにより、介護を必要とする高齢者も自宅で生活しやすくなったこと、社会的入院患者が減少したこと、そして特別な住居の収容数が増加し、水準も改善されたことなどだ。

 さらに言えば、「施設ケアから在宅ケアへ」という政策をさらに強固にするものだったとも言えるだろう。

5. スウェーデンにおける医療IT

 高齢化対策に続き、日本にも示唆があると思われるのがスウェーデンでの医療ITの活用だ。スウェーデンでは現在、医療情報の電子化に精力的に取り組んでいる。

 新しいIT技術を駆使して効率的な医療情報の管理・交換を行うことにより、医療サービス全体の質を向上させることが狙いである。2006年には、国家戦略として「the National Strategy for eHealth」が採択された。

 この戦略は2010年に改定され、名を「the National eHealth Strategy for accessible and secure information in health and social care(以下、National eHealth)」と改めた。

 National eHealth では対象を個人(患者)、医療従事者、政策決定者の3つのグループに分け、それぞれの医療に対するニーズを満たすことを目標としている。それぞれ見てみよう。

6. 患者参画と医療IT

 まず注目すべきは、個人ないしは患者参画からの視点だ。

 患者が過去に行われた自身への治療・サービスおよび医療全般に関する信頼性のある情報を容易に入手し、また適切な情報サービスを通じて医療参加・自己決定を行えること(患者の権利強化)が謳われている。

 「自分の治療情報、自分の疾病情報は、まずもって自分のものである」という意識が見て取れる。当たり前のことのようだが、日本では、もっと注目されてよいだろう。

 次に、医療従事者の視点だ。複数の立場の異なる医療従事者が、患者に関するあらゆる医療情報を迅速、安全、かつ容易に共有し、日々の業務や治療の決定に役立てることが謳われている。

 そして3つ目が政策決定者の視点だ。これは、政策決定者が、医療サービスの質と安全性をモニタリングし、適切な情報に基づいた組織運営を行うことを目指している。

 特に、2010年における改定では、患者の権利強化と治療選択の自由に対する注目が高まったことを受けて、患者個人のニーズを最優先とし、患者が自身の治療に主体的に参加できることを重視するとしている。

 この国家戦略の中でも、中核を担うのが、「the National Patient Summary(NPÖ)」と呼ばれる、患者の電子記録システムである。

 国から認定を受けた医療従事者は、患者の同意を得た場合に限りこのシステムにアクセスし、患者の医療情報を得ることができる。

 この取り組みは、全国レベルで展開される前に、まずはパイロットとして、2008年にオレブロ県(ランスティング)とそこに含まれる全コミューンで始まった。

 そして、同年に制定された The New Patient Data Act は、様々な分野の医療従事者が、患者の情報を相互に入手できるとしながらも、個人情報を保護するため、医療提供者であるコミューンと患者の両者の監視の下、認定を受けた医療従事者のみが患者のデータにアクセスすることができると定めた。

 現在では、全国で展開されている。

7. データは誰のものか

 医療ITの議論をする際、日本でも必ず話題になるのはプライバシーの問題だ。

 しかし実際のところ、銀行のATMやクレジットカードを考えてみてほしい。預金残高から出金記録まですべて電子化され、全国で(さらには世界中で)アクセスが可能になっている。

 そしてそのデータについては、「自分のものだ」という意識が行きわたっているのではないだろうか。もちろん、システムも異なれば、分野も全く異なる話ではあるし、医療ITと言っても多様な定義が存在している。

 ここで1つスウェーデンの事例から注目したいのは、国民一人ひとりが、自分の疾病情報や治療履歴を「自分自身のもの」として認識し、そのうえで積極的に医療における意思決定に参画していくツールとして、医療ITが議論されていることだ。

 国家戦略とは、「お上」が勝手に決めるのではなく、国民一人ひとりの意識の上に成り立つものだろう。
 

[12削除理由]:無関係な長文多数


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト

 次へ  前へ

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際7掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

▲上へ      ★阿修羅♪ > 国際7掲示板
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧