http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/678.html
Tweet |
オバマの戦争
http://blogs.yahoo.co.jp/hellotomhanks/64203690.html
★「田中良紹氏の視点ー(2013/10/05)」★ :本音言いまっせー!
アメリカ政治の与野党対立が世界の注目を集めている。
予算が成立しないために政府機関の閉鎖が始まり、17日までに
アメリカ国債の債務引き上げが議会で決まらないとアメリカは
財政破たんする。世界第一位の経済大国が財政破たんすれば
世界経済の混乱は未曽有のものとなる。
メディアには「アメリカ政治は一体何をやっているんだ」と批判する
声もあるが、フーテンはそうした見方を取らない。
これはアメリカ政治にとって避けて通れない最終決戦の局面だからである。
アメリカがこれからも外交・防衛面で世界を一国支配する単独行動主義、
経済面で利益追求を至上命題とする市場原理主義であり続けるのか、
それとも国際協調と国民福祉を重視する国に転換するのか、国家の原理を
巡る戦いがいま繰り広げられているのである。
オバマ大統領の二期目の就任演説を聞いて、フーテンは「オバマの挑戦」
と題するコラムを書いた。オバマが挑戦する相手はレーガン大統領が
種を播き、ブッシュ(息子)大統領が完成させたキリスト教右派の
「伝統的価値観」である。それは単独行動主義と福祉国家を否定する
市場原理主義に支えられているが、就任演説でオバマは単独行動主義を
否定し、格差社会を否定し、福祉国家を肯定した。
しかしオバマの考えるアメリカを実現する事はそう簡単ではない。
大統領選挙の結果は表面上はオバマの大勝だったが、
それはアメリカ大統領選挙が国民の直接投票ではなく、選挙人を選ぶ
間接投票の仕組みであるためで、国民の総投票数で見ると共和党の
ロムニー候補との差は僅かである。
オバマの勝因は移民、女性、同性愛者などマイノリティの支持を
取り付けた事と、共和党の穏健派と右派の分裂を誘った事による。
右派の中心である「ティーパーティ運動」が不法移民や同性愛者の排斥を
強く訴え、また共和党穏健派を「真の保守主義ではない」と批判した事で
オバマは少し有利になった。
しかしこれからのアメリカに移民や同性愛者が増える事は確実である。
共和党穏健派の悩みはそこにある。次の大統領選挙で政権を奪還する
戦略が立てられないのである。だからオバマは強気になれる。
民主党も政権を維持するためには共和党の分裂をさらに加速させたい
と考える。
一方の共和党は「ティーパーティ運動」のおかげで前の中間選挙で
下院の多数を獲得し「ねじれ」を作った。多数となった共和党下院議員は
来年の中間選挙を考えると「ティーパーティ運動」の主張を無視できない。
「ティーパーティ運動」はオバマの医療保険改革を絶対に認めない。
税金で支えられる国民皆保険制度など社会主義以外の何物でもないと
考えるからである。
だから医療保険制度を巡る対立は簡単に解けない。解けるとすれば国家が
財政破たんするという一大事が現実になった時である。
従って17日のギリギリまで与野党は国民の反応を見ながら水面下で
ありとあらゆる解決策をぶつけ合う。そして「まさか」と思わせる
ところまで行って初めて妥協ができる。それが政治というものである。
政治の混乱を見て「オバマ大統領の求心力が低下した」などと素人丸出し
の解説をするメディアもあるが、フーテンから見ると追い込まれている
のは共和党執行部である。「ティーパーティ運動」の納得も得ながら、
しかし最後はオバマ政権との妥協点を探らなければならないからだ。
オバマ大統領はシリア問題でも単独行動主義に打って出るかと思わせ、
誰もが戦争と世界経済の混乱を覚悟せざるを得なくなり、回避の方向を
期待するしかない心理状態にさせた上で、ケリー国務長官が
「化学兵器の国際管理」というキーワードを「うっかり洩らした」形に
して、それにロシアが飛びつくように仕向けた。
そして一気に国際協調の流れを作り出し、そこでイランとの対話も
実現させた。おそらく北朝鮮との対話も始まるとフーテンは見ている。
オバマを批判する勢力は「これでアメリカの指導力が落ち、中国が
ますます台頭し、世界は不安定になる」と言う。アメリカには世界の
警察官で居続けてもらわないと困るという訳だ。しかし冷戦終了後の
世界がなぜ不安定になったかと言えば、アメリカが一国で世界を
支配しようとしたからである。
アメリカにそれが出来る力があればあるいは安定したかもしれない。
しかしその力がない事はアフガンでもイラクでも証明された。
それどころかアメリカ経済にまで深刻な影を落とすことになった。
だからアメリカは日本などに軍事力の肩代わりを求め、アメリカの手足
として使おうとしているが、それで世界が安定する保証はない。
むしろオバマが考えるように単独行動主義を国際協調主義に、
市場原理主義をやめてかつての日本のような格差のない社会を作る方が
世界の安定につながるとフーテンは考える。そのためのオバマの戦いが
アメリカ議会を舞台に行われているのである。
17年前にも共和党が民主党のクリントン政権を政府閉鎖に追い込んだ
事がある。クリントン大統領はAPECへの出席を断念し、
閉鎖は3週間ほど続いた。その結果敗れたのは閉鎖に追い込んだ共和党
である。閉鎖を主導した共和党のギングリッチ下院議長は最も有力な
大藤候補と言われながら、その資格に疑問符が付けられた。
今度も同じことになるのではとフーテンは見ている。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。