06. 2013年8月28日 10:41:13
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黙蝉寺の鍬 (8月28日)◆スーパーヒーロー症候群 アメリカはシリア内戦に介入しても得るものは無い http://markethack.net/archives/51890033.html シリアのアサド政権が反政府グループの子供や女性に対して化学兵器を使用したとされる事件で、アメリカはアサド政権を非難する語気を強めています。 非戦闘員の女性や子供まで巻き添えにした虐殺の光景をYouTubeで見ると(なんてひどいことを!)と思ってしまいます。このような酷い行為は許されるべきではありません。 しかしそれと「だからアメリカがアサド政権を懲らしめる!」というのは、次元が違う問題だと思います。 アメリカは過去にこのようなシチュエーションで、性急な悪者探しと単純思考で他人の問題に首を突っ込み、手痛いしっぺ返しを受けて来た歴史があります。言わば「スーパーヒーロー症候群」です。これはアメリカ人特有の、悪い持病です。残念ながら世の中はスーパーマン映画のように善玉、悪玉がハッキリしていないし、いつもハッピーエンドとは限らないのです。 シリアのアサド・ファミリーは、イスラム教の中の、アラウィー派というセクトに属します。「アラウィー」は、「アリーを支持する一派」から来ています。アリーというのはイスラム教の開祖、ムハンマド(Mohammed)の「イチの子分」です。ムハンマドが西暦610年頃にサウジアラビアのメッカでアラーの神からの啓示を受けたとき、その神様のメッセンジャーとして自分が神の教えを説いて回る使命を感じました。でもムハンマド本人は読み書きも出来ず、自分が神様から受けたインスピレーションの考えをまとめ、文章化し、体系化することは、ひとりの力では出来なかったのです。 ムハンマドの盟友にアリーという少年が居り、子供の頃から同じ家に住んでいました。ムハンマドはアリーのことを実の兄弟以上の存在だと考えていて、とても頼りにしていました。アリーは聡明で、読み書きもちゃんと出来るし、ムハンマドの受けたインスピレーションの口述を書きとめ、書物にしたためる作業をしたのもアリーでした。 当時メッカは「360の神々を祭る、みんなの聖地」であり、雑多な宗教の、あらゆる巡礼の旅行者を当て込んで、すごくオープンな「お遍路さん向けビジネス」で栄えた町でした。 でもムハンマドは「アラーの神だけが、正真正銘の神様だ」という、いわゆる一神教の立場を取っていました。メッカの商人たちは「他のいろいろな神様を信ずる人々のメッカ詣での客足が減っては困る」という極めて商売人的な利害から、ムハンマドを排除しようと動きます。つまり刺客を送り込んだわけです。 危機一髪のところでアリーがムハンマドの「おとり」となり、ムハンマドの布団に身代わりに寝て、彼を逃がします。 このようにいろいろ功績があったので、ムハンマドは自分の後継者にアリーをたてる決意を固め、最愛の娘、ファティマをアリーに嫁がせ、着々と引き継ぎ準備をします。つまりムハンマドは血のつながりではなく、功績や実力主義でカリフ(ムハンマドの代理人)を決めるべきだという考えを持っていたのです。 しかしムハンマドが死んだ時、ムハンマドの親族はムハンマドの義父のアブ・バカールをムハンマド本人の遺志に反してカリフとしてしまいます。その理由は「それがしきたりだから」というものです。スンニ派の「スンニ」とは、「しきたりに従う者たち」という意味です。 これに対しシーア派とは「ムハンマドの遺志の正統な継承者」と主張する一派を指します。そしてムハンマドの遺志の正統な継承者とは、彼らの考えではアリーだったのです。 シリアの話に戻ると、アサド政権はアラウィー、つまり「アリーを支持する一派」だからシーア派のひとつのセクトだと考えることが出来ます。シーア派から成る国家であるイランがアサド政権に肩入れする理由はここにあります。 ただ人口の観点からはシリアの多数派はスンニ派であり、少数派のアラウィー派が、他の宗派の人々を支配するという、特殊な状況になっていました。このためアサド政権は徹底的な弾圧による、恐怖政治でこれまで国をひとつにまとめてきたのです。 このような恐怖による統治は、イラクのフセインやリビアのカダフィーなど、中東ではしばしば見られる現象です。 もともと雑多な宗教や宗派が割拠する国では、フセインやカダフィーなどの暴君を列強の介入で取り除いたからといって、その後に民主主義に基づいた平和で秩序ある社会が訪れるとは限りません。 実際、イラク戦争後のイラクも政情不安が続きましたし、リビアも混迷が続いています。 複雑な人種、宗教構成という点ではシリアのお隣のレバノンが思い出されますが、1980年代にレバノンが内戦状態に陥った際、平和維持のために派遣された米国の海兵隊のバラックにダイナマイトを満載したトラックが突っ込み、一瞬のうちに200人以上の海兵隊員が爆死したことをこんにち覚えている人は少ないと思います。 中東やアフリカで長く仕事をしている商社マンの間では「国境線が定規で書いたように直線になっている国は、気をつけろ!」という事が言われます。なぜならそれらの国は帝国主義の時代に列強が進出して、勝手に国境の線引きをした歴史を引き摺っているからです。その土地の伝統や人種を無視して、列強同士の利害からネーション・ビルディング(国家育成)に無理矢理付き合わされた人々には日本人のように「我々は○○国の国民だ」という一体感は、ありません。 現在のシリアという国も列強の権謀術数の副産物として出来た国という側面があります。だから宿命的に不安定なのです。 ロシア、中国、イランの各国はそれぞれの利害からアサド政権の肩を持っています。これに対してサウジアラビア、イスラエル、その他湾岸諸国は、それぞれの歴史や計算から反政府グループに肩入れしています。 シリアそのものには地下資源などの魅力ある資産はありませんが、この土地は地政学的には昔から重要な位置にありました。その意味で、第一次大戦のきっかけになったオーストリアのような、ユニークな位置にある国だと言えます。 ▼シリア戦争勃発の危機!:「明日は我が身」か?「握手して狙う」英外交の鉄則 http://quasimoto.exblog.jp/20989753/
パールハーバーと同じで物事の経緯や真偽など連中にはどうでもいいんだナ。フセインも大量殺戮兵器など存在しなかった。カダフィ大佐はリビアの救世主だった。田中角栄、小渕も毒殺ですナ(抜粋) ▼中東情勢、米国の同盟国の間に生じた深刻な亀裂 http://jbpress.ismedia.jp/ |