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米当局収集の最高機密情報、民間50万人に閲覧権限
CIA元職員問題、発覚1カ月 外部委託、危うさ浮き彫り
米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者が米当局による大量の個人情報収集をメディアで明らかにしてから6日で1カ月。この間、米国が欧州諸国などの通信を盗聴していた疑惑も浮上し、当局不信の輪は米内外に広がる。一連の問題は情報活動の多くを民間に委託した結果、最高機密に触れられる民間人が約50万人にまで膨らんだ体制の危うさを浮き彫りにした。米インターネット業界は利用者の信頼つなぎ留めという課題も負った。
スノーデン元職員が暴露した国家安全保障局(NSA)による情報収集活動は2001年の米同時テロ以降、急速に活発になった。だが、インターネットなどを通じた情報活動の高度化に対応できる専門職員の育成が間に合わず、そのほとんどを民間企業に外部委託せざるを得なかった。
情報収集の政府予算の詳細は明らかではないが、米メディアによると外部委託契約額は05年時点で420億ドル(約4兆2千億円)と1995年の2倍以上に拡大。情報収集予算全体の7割超を占めるとの報道もある。
身元確認に問題
外部委託の加速で情報収集の最前線には民間の請負業者が急増。12年10月時点で最も機密度の高い情報に触れる資格を持つ約140万人のうち請負業者は約48万人と34%に上る。
民間委託を急激に増やした結果、身元確認がおろそかになった可能性もある。軍や情報機関が民間業者の社員の身元確認を「USIS」という民間企業に外部委託していたからだ。連邦捜査当局は問題発覚後、同社の調査が不十分だったとして捜査を始めた。
こうした実態が明るみに出ると米議会では外部委託の縮小論が浮上。だが、政府の財政事情が厳しいなか、すべての専門家を政府内に抱えるのは非現実的との声もあり、コストと情報保全をどう両立させるかが課題だ。
ネット業界苦心
一方、NSAなどにサーバーへの直接のアクセスを認めていたと米紙が指摘した米ネット大手。グーグルやフェイスブックなどは即座に「サーバーへの直接のアクセスを認めていない」などとするコメントを発表した。
グーグルのラリー・ペイジ最高経営責任者(CEO)は直後に声明を通じて「(情報収集プログラムの)『PRISM(プリズム)』について聞いたこともなかった」と強調。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOも6月の株主総会で火消しに努めた。
各社が強く反発するのは当局に無制限に情報を提供していたとの印象を利用者に持たれかねないためだ。懸念を払拭しようと各社は米当局に対して、安全保障に関する情報提供要請の件数を開示させるよう求めた。
米当局は犯罪捜査への協力要請件数などと合算したデータの開示を認め、フェイスブックなどは6月半ば以降に相次いで開示。グーグルは「安全保障に関する件数のみを個別に示さないと意味がない」との立場で詳細な情報の開示許可を求めて裁判所に申し立てた。
問題発覚後、誰が何を調べたとの情報をサーバーに残さないことを売り物にする米ダックダックゴー(ペンシルベニア州)の検索サービスは利用件数が5割以上増加。利用者の間でプライバシーへの関心が高まっていることを示している。
(ワシントン=中山真、シリコンバレー=奥平和行)
プライバシー、技術進化で変質 アナンダ・ミトラ米教授の話
情報問題に詳しいアナンダ・ミトラ米ウェークフォレスト大教授の話 政府がフェイスブックなどで個人の意見や感情に関わる情報を収集、分析すれば、我々の行動だけでなく考え方も分析できる。懸念すべき事態だが、言論の自由がある国だからこそ可能というのは皮肉といえる。
米国民は同時テロ以降「あなたを守るため」と言われれば納得する傾向がある。今回の問題を受けて、技術の進化により数十年前のような形のプライバシーはもはや存在しないということを改めて認識すべきだ。
PRISM
NSAがテロ対策を目的に2007年から始めた極秘プログラム。グーグルなどインターネット関連企業の協力を受けて個人の電子メールやインターネット上の画像などの情報を令状なしで収集していた。
米政府が法的根拠としているのは外国情報監視法(FISA)修正法第702条。通信の内容を傍受するが、対象は米国外にいる外国人に限られる。ただ、同条項は「意図的に」米国民を対象にしてはならないとしており、規定があいまいだとの批判もある。
[日経新聞7月5日朝刊P.9]
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