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ロ朝、極東で経済関係を強化 中国依存度引き下げ狙う[日経新聞]
2013/6/29 6:00
ロシアと北朝鮮が極東での経済協力の動きを活発化させている。ロシアは旧ソ連時代からの巨額の対北債務を減免して投資環境を整備。北朝鮮も対ロ投資額を急増させており、2012年には1千万ドル(約9億9千万円)を超えた。背景には中国への経済依存度を下げたい双方の思惑があるようだ。
中国と北朝鮮の外交当局間による初の「中朝戦略対話」が北京で開かれた6月19日、もう一つの代表団が平壌からロシアに向かった。北朝鮮の経済官庁幹部らで構成する極東・ウラジオストクへの初の商工会訪問団だった。
タス通信によると、代表団は地元企業の経営者らと会談。これに合わせ北朝鮮外務省はロシア沿海地方の大豆とトウモロコシの加工業に100万ドルを投資する計画を発表。北朝鮮の山間部でスキーリゾートを建設中であると明らかにしたうえで、ロシア側と極東の観光振興に向けた共同事業を検討するとも表明した。
ロ朝両国は02年の首脳会談で協力強化を柱とした共同宣言を公表。ただ、北朝鮮の対ロ投資は国内経済の停滞もあり00年代は長くゼロに近い水準に低迷した。ロシア国家統計局の資料によると、近年で最も少なかった06年の年間投資額はわずか370ドルだった。
転機になったのは11年8月の金正日総書記の訪ロ。極東最大の水力発電所など各地を視察した後、東シベリアの都市ウランウデ近郊の軍事基地でメドベージェフ大統領(当時)と会談。包括的な経済関係の強化で合意した。
金総書記はその約4カ月後に死去したが、最高指導者として後を継いだ3男の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記がこれを継承。翌12年の対ロ投資額は前年の約4倍の約1220万ドルに拡大した。
国家間の投資・貿易額としてはいまだ低水準だが、極端に資本に乏しい北朝鮮にとっては「指導部の判断が必要な規模」(ロ朝外交筋)。今後も投資案件を増やす方針で、インタファクス通信によると北朝鮮のナホトカ総領事は1月、地元自治体の議員に「両国の経済関係は大きな発展の可能性がある」と述べた。
北朝鮮がロシアとの経済関係の強化に乗り出した背景には、国連の経済制裁下で中国への依存が深まっていることへの危機感があるとみられる。韓国貿易促進機構の資料によると北朝鮮の対外貿易総額に占める中国の割合は年々上昇しており、12年には9割に上った。
実際、韓国政府が入手した金正日総書記の「遺訓」とされる文書では「中国は今後、最も警戒すべき国となる可能性がある」と明記。ロシア極東の安保問題専門家である海洋国立大のセルゲイ・スミルノフ国際海事センター長は「北朝鮮は何より中国による属国化を恐れている」と指摘する。
ロシア側もシベリア以東で存在感を強める中国への警戒感を共有する。ロシア・極東地域の人口は約630万人だが、中国・東北3省は1億以上の人口を有する。中国の資本や労働力への依存度は高まっており、メドベージェフ首相は昨年8月「隣国住民の過剰な拡張が続いている」と危機感をあらわにした。
ロシアは12年9月には長年の懸案となっていたソ連時代からの110億ドルにのぼる北朝鮮への債務の9割の減免を決定。残る1割も両国のエネルギー関連などの共同事業の資金に充てることで合意した。
天然ガスの輸出先多角化に向け、北朝鮮経由でロシアと韓国を結ぶパイプラインの実現も働き掛けており、11年の首脳会談でも検討を進めることで一致。日本海に面する北朝鮮の経済特区、羅先の羅津港の第3埠頭(ふとう)の使用権も獲得し、老朽化した設備の改修を進めている。
中長期的にはロシア極東の経済発展の余地は大きい。世界的に著名な投資家であるジム・ロジャーズ氏も昨年10月、ドイツメディアとのインタビューで今後の有望な投資先としてロシアと北朝鮮を挙げた。経済活動が活発になることで北朝鮮が開放政策に向かうと期待する向きもある。
ただ、北朝鮮は核・ミサイル開発問題で国際的な孤立を深めており、韓国へのパイプライン構想もロシアの期待通りには進んでいないのが実情。これまでの北朝鮮の対ロ投資の成果も十分に明らかになっておらず、対中依存の低下につながるかは不透明な要素も残っている。
(モスクワ=田中孝幸)
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXNMSGU27010_28062013000000&n_cid=DSTPCS007
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