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ネット上の個人情報 米機関収集 元CIA職員 捨て身の告発
【中日新聞・特報】 2013年6月12日
米情報機関の国家安全保障局(NSA)がインターネット上の個人情報を収集していたと明らかにしたのは、中央情報局(CIA)の元職員、エドワード・スノーデン氏(29)だった。身の安全、年収約2000万円の「快適な生活」を捨ててまでの暴露。その「決断」の背景などを探った。
(小坂井文彦、出田阿生)
民主主義への脅威訴え
年収2000万円
「米政府がやっていることは、民主主義への脅威だ」。冷静な口調。短髪、メガネ。英紙ガーディアンが公開したインタビュー映像。米政府によるネット情報収集を告発したスノーデン氏は、やや神経質そうに見える若者だった。
「時間の経過とともに間違ったことをしているという意識が高まり、告発を考えるようになった」。世界中に議論を巻き起こし、米政府の情報収集をやめさせたい。これがメディアへのリークの最大の動機だった。
米政府は同氏を刑事訴追する構えとされる。年収二十万ドル(約千九百三十万円)、ガールフレンドとハワイ・オアフ島で快適な生活を送っていたが、今や「逃れの身」。十一日、宿泊していた香港の豪華ホテルをチェックアウトし、その後の行方は分からない。
香港での生活はピリピりしていたようで、ホテルの室内でも隠しカメラを恐れ、パソコンに暗証番号を打ち込む際は赤いフードをすっぽりとかぶっていたという。
事の起こりは五月下旬。絡みの業務を行う
「ブーズ・アレン・ハミルトン社」のハワイ事務所に勤務していたが、持病治療のため二、三週間出社できないと伝え、そのまま、NSAで入手した機密資料を携えて香港へ。同居していたガールフレンドにも理由を伝えなかったという。
あえて、実名、素顔を公表したのは「自分は悪いことはしていないから」という信念からだ。「(告発によって)家族に害が加わる可能性をめることで、それを考えると夜も眠れない」というが、それ以上に心配なのは「自分の行動によっても世界が変わらないことだ」と訴える。
異色の経歴
ノースカロライナ州で生まれ、首都ワシントンに近いメリーランド州で育った。学業成績はふるわず、高校もドロップアウト。同州のコミュニティーカレッジでコンピューター技術を学んだが、ここも途中でやめている。米メディアによると、CIA、など高度な情報を扱っている人物としては「あり得ない学歴」という。
二00三年に米陸軍に入隊。特殊部隊を志願していたが、訓練中の事故で両足を骨折し、除隊。
0五年、最初の就職先はメリーランド大学内のNSA施設の警備員。0七年からCIAのジュネーブ支局に勤務し、コンピューター網の安全管理を担当した。
ジュネーブ時代、CIAのあくどい工作に幻滅、自分がCIAに所属したことを「悪の片棒をかついでいる気がした」と後悔している。
0九年にCIAを退職して、と契約する民間企業ヘ。日本の米軍基地内の施設で勤務した経験も。その後もと契約する民間会社を転々とした。社交的ではなかったようで、ハワイの隣人は「声を掛けると家の中に急いで入ってしまう」という。政府の権限を極限まで縮小するリパタリアン派の政治家、ロン・ポール氏に献金した事実もある。
プリズム作戦
識者「全国民の監視だ」
スノーデン氏が人生をかけてまで、世の中に明らかにしたかった政府の情報収集・作戦名「プリズム」とはどんな内容なのか。
同氏の証言やNSAの内部資料によると、プリズムはブッシュ前政権の二00七年、テロ防止の目的でスタートした。情報入手の対象企業は同年はマイクロソフト、0八年にヤフー、0九年にグーグルとフェイスブック、11年にユーチューブ、11年にスカイプと年々増加。NSAは昨年の時点で、九社のサーバーに「無制限にアクセス」できた。
プリズムにかかる年間予算は二千万ドル(約十九億三千万円)。メールやチャットの通信内容、友人にしか公開していない経歴など、どんな情報でも引き出せ、「各戸の玄関口に捜査員が立ち、全行動を監視されているのと同じ」との声が有識者から上がる。
オバマ大統領は七日、ロサンゼルスで記者団に「連邦議会に報告し、裁判所の許可も得ている。百パーセントのテロ防止と百パーセントのプライバシー保護は両立できない」と答えた。クラッパー国家情報長官は八日、「プリズムは秘密の情報収集のプログラムではない。米議会で十分に討議され、承認された」と声明を出し、合法な活動だと強調した。
政府「テロ防止に必要」
米マスコミの報道によると、NSAの入手する情報の十数%はプリズムにより、オパマ大統領への毎朝の説明でもプリズム情報が使われているという。情報で、未然にテロを防げたこともあったとされる。
米政府が合法と主張する根拠が、一九七八年制定の外国情報監視法(FISA)だ。慶応大の土屋大洋教授(国際政治学)によると、ニクソン元大統領が盗聴に関与したウォーターゲート事件を契機に、米国の情報機関が盗聴できる対象を外国人に限定し、米国民の盗聴をできないようにすることが主目的だったという。
0五年十二月、ブッシュ前政権が大規模な通信傍受をしていることが明らかになり、「令状が必要のはず」と批判が起きた。0八年に令状を不要とする法改正の動きが出て、オバマ氏は当初、反対を表明したが、初当選した選挙期間中に「テロ対策に必要」と姿勢を転向し、法は改正された。
サーバーへの無制限のアクセスも、対象企業に「国家安全保障レター」を提出するだけで法的に可能になった。企業は米政府への協力を口外しない守秘義務を課せられる。今回、ヤフーなど九社が米政府への協力を公的には否定していることに、土屋氏は「法律の縛りがあるからだろう」という。
「米政府による情報収集は公然の秘密だった。ボストン・マラソンの例でも分かるようにテロリストは既に米国内にいる。米国人への情報収集は法で禁じられているが、疑わしい人物は対象になっているだろう」と法の当初の目的は骨抜きになっているようだ。
米国政治に詳しい日本国際問題研究所客員研究員で、青山学院大の中山俊宏教授は「現在の批判は、ニクソン元大統領のような人物が出できたら、再びウォーターゲート事件が起きかねないという原則的なものだ。今後、批判が続くのか。米政府によるAP通信の通話記録の入手もほとんど問題にならなかった。テロ対策との兼ね合いを、米国民が今後どう判断するのかは分からない」と話した。
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米政府の個人情報収集を暴露したのは「元CIA職員」だった!
http://matome.naver.jp/odai/2137082306775638201
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