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http://japanese.ruvr.ru/2013_04_29/112078943/
「シリア政府軍が化学兵器を使用した」と騒がれた。根拠のない非難がシリア政府軍に向けられた。この一件は一体なんだったのか。西側諸国が、シリアをめぐる「情報戦争」に敗れ続けている、その一例証である。それに過ぎない。
シリア内戦のもう一方の当事者、いわゆる反政府「蜂起」軍の正体について、今や明らかなことがある。反政府武装勢力の中核を占めているのは「アルカイダ」系の過激派なのである。このことに目を覆うことはもはや出来ない。米国は一貫してシリア反政府武装勢力を支援してきた。しかしボストン・マラソン爆弾テロ事件を経験したいま、米国政府は微妙な立場に立たされている。テロリスト集団を中核とする「蜂起軍」に支援を続けてよいのかどうか。専門家エヴゲーニイ・エルモラエフ氏のコメントをご紹介しよう。
「国連人権委員会が最近発表したレポートでは、シリア紛争は激化しており、その背景にはイスラム過激派の影響力の増大があり、それを可能ならしめているのは外国からの資金援助の増大である、とされている。また同レポートによれば、局外の保守主義スポンサーが武装勢力を支持する度合いは、参加軍人の頭数、サラフィー主義(厳格派)信仰の敬虔さの度合いに比例していた。外国から武装勢力への資金援助は莫大な規模で行われている。種々のデータを総合すると、最も巨額の資金援助を受けているのは<ジハード・アン・ヌスラ>である。米国はかつて、この組織を<テロ組織>と名指した。しかし、誰にもよく知られた事実であるが、資金援助を実行している<保守主義スポンサー>は誰あろう、地域における米国の同盟国たちなのだ」(エヴゲーニイ・エルモラエフ氏)
こうした「平行(パラレル)」は、ボストン・マラソン爆破テロ以降の米国政府にとっては、願わしいことではなくなった。種々のデータを総合するに、例の「シリア政府が化学兵器を使用した」との騒動、いな情報作戦が開始された理由はそこにあるのだ。この情報作戦の主要な目的は、避けがたい難詰、「なぜ米国は、クチではイスラム原理主義を非難しながら、実践においては彼らを支援しているのか?」という疑いから目を反らせることにあった。そういうわけで、性急にも「化学兵器」というテーマがぶちあげられたのだ。しかし、長期的には、米国政府の利益にならないカードであった。なぜなら、アサド大統領が化学兵器を使用した事実が証明されることはあり得ないからである。なぜなら、アサドは馬鹿ではないからだ。他の誰であろうと、馬鹿でだけはない。しかし米国政府はシリア反政府武装勢力への支援によって自らを窮地に追い詰め、挙句、一時的にもせよ、不都合な事実から目をそらさせるための奇策に出ることを余儀なくされた。
近年、気前のよいスポンサー諸氏のお陰をこうむって、「アルカイダ」に代表されるテロ組織は、再び「黄金の季節」を迎えている。西側諸国は、一体自分たちが誰を、何を飼い肥らせているか分かっているのだろうか。まして、先例のないことでもないのに。ここで専門家アンドレイ・グロジン氏の意見をご紹介する。
「いまシリア反体制武装勢力を支持している欧州・近東諸国の目的とするところは何か。それは明らかに、シリアの現政権を打倒することだ。彼らは、<最もよく機能してくれる者>を探しているのだ。妥協を知らない反体制世俗勢力・武装勢力がなかなか成果を挙げないと見るや、イスラム過激派国際テロ組織に目が転じられた。であるから、原理主義者への資金援助はペルシャ湾の寺院を通じて非公式なルートでなされるのだ。西側は、いわば合法的に、人道支援として資金援助を実施している。だが、その資金がどこへ、誰へ届けられるのか、管理するものは誰もいない。先日英紙<デイリー・テレグラフ>が報じたところによれば、シリア反政府勢力に提供されている資金の60%までが<盗まれて>いる。西側諸国の投下資金の行き着く先など、誰にも分かったものではないのだ。イスラム過激派の手に落ちているかも知れぬし、誰かの<深い懐>に吸い込まれているかも知れない」(アンドレイ・グロジン氏)
いずれにせよ、西側メディアがシリア反体制武装勢力を「民主主義のために戦う心義しき戦士」に仕立て上げることは、山々そうしたいのは分かるが、不当なことと言わざるを得ない。
「反シリア」を旨とする西側のメディア戦略は、既に敗北したのである。しかし、情報戦争において一方当事者が敗北したことは、シリアで現実に起こっている戦争が停止することを意味しはしない。むしろ、戦場でも政治的なかけひきでも政府に対抗できないと見て取ったスポンサー諸氏は、最後の手段に訴えるかもしれない。すなわち、直接に戦力を投入する、という手に。
◆シリアに対する軍事介入にうまい手は存在しない
http://rockway.blog.shinobi.jp/
■3年目に入っているシリアの内戦
4月25日号の「シリア反政府勢力:ダマスカス郊外で500人死亡」の記事で示されたように、シリアのアサド政権に対する反乱を起こしている反政府勢力が、大規模な損失を出した最近の戦闘の結果、シリア軍が全土で優勢に立っているため、反政府勢力を利用した代理戦争でアサド政権を転覆させようとしてきた欧米・湾岸アラブ諸国・トルコ・イスラエルらは、直接的な軍事介入路線の選択を考え出している。
子分どもがろくな戦いをしないから、親分衆が手勢を率いて直接介入しよう、という話である。しかし、その親分衆の中でも筆頭にあるアメリカは慎重な姿勢を崩していないようである。
以下のロイターの記事にあるように、軍事介入に舵を切る前に多くの分析をする必要がある、というのだ。既にアメリカはこの中東ではアフガンとイラクで戦争を行ってきたが、特にイラクではありもしない大量破壊兵器(WMD)の存在を国連の場で喧伝し、それを口実にイラクへの侵入を開始したが、結局そのWMDは発見されなかったため、生き恥をさらしたことがあった。
シリアが化学兵器を使用した、とイスラエルがわめいたが、アメリカの慎重姿勢は変わらなかった。それにシリアにはロシアが付いている。欧米が軍事介入すれば、ロシアも同じく軍事介入する可能性があるから、代理戦争が代理戦争ですまなくなり、中東を舞台にした本格的戦争に発展しないとも限らない。アメリカが慎重になるのも当然なのだ。
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●シリアに対する軍事介入にうまい手は存在しない
http://www.reuters.com/article/2013/04/27/us-usa-syria-military-options-idUSBRE93Q0C620130427
【4月27日 Reuters】
オバマ大統領はシリアが化学兵器を使用することは、「ゲーム・チェンジャー」となると語ったが、大統領がすぐに軍事介入に舵をきるとは考えられず、また同盟諸国に一緒に介入することを要請するとも考えられない。
軍事介入の方法については、一回限りの艦船からのミサイル攻撃から、飛行禁止空域設定まで幅広く存在する。
政治的に最もまずいのが、数万人もの米軍をシリアの化学兵器を確保する為に派遣することだ。
オバマは制限された軍事介入、例えば反政府勢力に対する武器供給などに反対してきているが、シリア介入に対する圧力は、アサド大統領が化学兵器を使用したようだ、という発表以後、ますます強まっている。
アフガンとイラクでの戦闘後、国防総省はシリアに対するアメリカの介入には慎重である。大統領の軍事顧問である、マーチン・デンプシー将軍は先月、「それなりの結果」をもたらす軍事介入の可能性はありそうにない、と語った。
「軍事介入の決定に向かわせる政策を推進するという大きな決断に至る前に、多くの分析がなされるべきである」とある高官がロイターに語った。
間違った大量破壊兵器に関する情報を元に戦争をしたイラクでの経験があることを考慮すれば、この慎重さは理解できるものだ。国防総省は繰り返し、シリアの内戦にアメリカが軍事介入することに対するリスクと限界について警告を発してきている。・・・以下略
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