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(Japan, Russia move to heal 68-year territorial rift : DW English)
http://www.dw.de/japan-russia-move-to-heal-68-year-territorial-rift/a-16564078
紛争
日本とロシアは68年にわたる領土紛争の解決に動いている
新たな経済の結びつきをアジアに築くことを目指すロシアと、エネルギーの安定供給が必要な日本の両国政府は、北日本沖の小さな島々から成る列島の将来をめぐる協定の締結に向け、歩みを進めている。
森喜朗・日本元首相は、2月後半にモスクワに旅行してウラジミール・プーチン露大統領と会談する予定だ。両氏は共に柔道愛好者なこともあり、交友関係が長く、森氏は日本の現首相の特使として活動することになる。
科学・教育の分野や閣僚レベルの交流など、いくつかの問題が会談の議題となるだろう。しかし、双方最大の目標は、1945年の日本降伏直前にソ連軍が占領した、北海道沖の不毛な島々の厄介な問題だ。
日本は1875年に島々を支配し、その後、ロシアが1945年に島々を支配した。
第2次世界大戦末期に、ソ連が北日本沖合にあるこの小島の列島を奪ってから70年近くになるが、日露両国政府はこの紛争に一線を画す、平和条約をまだ結んでいない。
それ以来、この問題は両国の外交関係を引きずり回してきたが、この択捉島・国後島・色丹島・歯舞諸島はどちらの国にも近いというのが偽りのない印象だ。日本の地図ではここを北方領土と記すが、ロシアでは南クリルとして知られている。
「日本はロシアの隣人であり、私たちは容易ならざる時もある関係を、歴史的に長く続けてきたが、両国が良好な関係を築く時になった」と、エフゲニー・アファナシエフ在日ロシア大使は今週語った。
「人々の心」
アファナシエフ大使は、モスクワおよび全ルーシ総主教キリルが9月の訪日中に語ったコメントを繰り返し、「政治的関係は重要で、経済の結びつきも重要だが、最も重要なのは、人々の心の中に何があるか、私たちが互いをどう見るか、私たちが互いについての否定的な感情をどう変えていけるかだ。」
このような多くの否定的な感情が、この紛争の島々の周りで展開している−これは、中国・韓国との紛争とともに、日本が巻き込まれている3つの主要な2国間領土紛争の1つでしかないのだが−しかし、プーチン大統領自身は去年3月、この紛争は両者が受け入れ可能な形で決着できるかも知れないと期待感を表明し、これを念願している日本に新たな希望を与えた。
アファナシエフ大使もまた、この問題の最終的解決の機は熟したと信じている。
「この問題は第2次世界大戦の結果で、私たちは1945年からこの地にいるが、私たちはこの問題を解決したいと考えており、そのために日本と対話を続けている」と、大使は語った。「私たちの立場は異なるが、これは非常に重要な問題であり、私たちは対話の継続を決意している。」
舞台裏
問題を前に進めるために、舞台裏の作業は既に始まっていると、同大使は仄めかす。
島々には、20,000人近い人々が住んでいる
「私たちはこれを話し合い、また、日露関係におけるいかなる問題も解決を模索する用意がある」と、大使は語った。「これには平和条約も含まれる。私たちには長い歴史があり、また過去において、日露両国の一般国民が受け入れ可能な解決策を見つけるために、感情抜きの話し合いをすべきだと、私たちは日本の指導者と決めた。」
「これは容易なことでなく、話し合いを深める条件を創り出すのが難しいことはあり得る」と、大使は付け加えた。「両者は歴史的な現実を受け入れるべきであり、私たちは話し合いを通じて人々の心を変えていくべきだ。」
「この敏感な問題では、公開の場でこの問題を論じることに意味があると私には思えないので、私たちは外交的な作業をやっていきたい。」
「外交では、急いではいけない」と、大使は付け加えた。「私たちには時間が必要だ。しかし、双方にとって、これが私たちの目標だ。私たちには平和条約が必要だ。なぜなら、平和条約を結ぶことにより、私たちの間に存在する多くの問題が解決できるからだ。」
いずれにせよ、一握りの島々の運命よりも、日露親善の必要性が追求される。
ロシア政府は天然ガスをはじめ、シベリア産の化石燃料にかなり投資しているが、世界中でこの数年、新たなエネルギー源が洪水のように実用化の予定に上っており、ロシアは安定した新市場の確保が必要なことに気づくだろう。
日本では、原子力エネルギーの問題がまだ未決着なので、申し分ない顧客となるだろう。
特別な活力
「アジア太平洋地域には特別な活力がある」と、大使は語った。「20年前、ロシアは太平洋国家でなく、この地域の経済がよく見えなかった。しかし現在、貿易は伸びている。」
「対中貿易額は年間約800億ドル相当であり、これが間もなく1000億ドルに成長する」と、大使は語った。「私たちは特にエネルギー分野で、この地域で急速に成長しつつある。」
エフゲニー・アファナシエフ在日ロシア大使は、問題解決の機は熟したと信じている
「私たちは何年も、欧州に延びるパイプラインを保有しているが、現在では、アジアに注目を移しつつある」と、大使は付け加えた。「私たちの歴史で初めて、シベリアからアジアに供給するパイプラインが完成した。中国に延びる路線もあるが、大部分は日本や他のアジア諸国に延びる。」
主要な障害は、この領土紛争のようだ。
「私たちが問題を抱えているのは確かだが、私たちのアプローチはかなり明瞭だ。私たちは、関係の発展につれて、こうした問題が解決するようにしたいと考えている。」
「私たちは、ある種の解決策を見いだす必要がある。そして、それはロシアと日本の双方に受け入れ可能なものでなければならない」と、大使は語る。「そしてそれは、両国政府だけでなく、両国の国会や国民にとっても受け入れ可能であるべきだ。そこにはコンセンサスがあるべきだ。」
発表 2012年1月31日
執筆 Julian Ryall / Tokyo
編集 Sarah Berning
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(投稿者より)
ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。誤訳があるかも知れません。ご容赦下さい。
元々は、オホーツク海をモスクワの湖にするための占領でした。ソ連は潜水艦にミサイルを積んで、どこからでもワシントンを狙うことができました。一方、そのソ連と日本が手打ちをしないよう、4島1括返還という、ロシアが呑めないような条件を日本が常に出すよう、米国が日本を脅し続けていました。尤も、これはここでは常識の部類で、今更私が言うことでもありません。
そこには水産・林産・鉱産資源がありますが、ロシア国内のどこかからはあまりに遠く、かといって、日本人の賃金では採算がとれないはずです。北海道の石炭産業が衰退したのは、資源が枯渇したからでなく、コストが石油に引き合わなくなったからでした。島々は、北海道のさらに先です。復帰したところで、過疎地が東に延びるだけ、という結果になるかも知れません。
「父祖の築いた日本固有の領土」という概念には、私としては違和感があります。そこは元々アイヌの土地でした。アイヌが国家を形成しなかったのを良いことに、日本がアイヌから土地を掠め取ったのでした。だから、そこが「日本以外のどこの国家にも属さなかった」というのは間違いありませんが、日本がやったことは、"manifest destiny"(明白な運命)という、何がどのように明白なのかよく分からないような標語の下に、米国がアパラチアの西側でやりたい放題を尽くしたことと、さほど変わりはありません。尤も、近代とはそのような時代だったと言ってしまえばそれまでで、今更、何をどうすることもできません。
それでも、中国・韓国とできない話がロシアとはできるというのは、日本とロシアは近代という時を経て、乗り越えてきたものがある、ということだと思います。話し合いで島が帰ってくるのなら、それはそれで良いことです。大使が「コンセンサス」"consensus"と仰っているのは、たぶん、「島を返す、返さない」に留まらない、もっと幅が広く奥が深い、互いが互いを理解する土台のようなものを築き上げたい、ということにも思えます。
ともあれ、日露関係は進めるべきです。メドベージェフ氏は欧州の一員としてのロシアを追求していましたが、プーチン氏は個人としても日本に友好的ですので、いまがチャンスなのも確かです。
尤も、話はそれほど簡単ではなく、「関係改善は賛成。でも、島を返すなどとんでもない」という主張がロシアに根強くあるのも事実です。今後の進展を見たいと思います。
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