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オバマの挑戦  田中良紹の「国会探検」 
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/297.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 1 月 24 日 00:36:01: igsppGRN/E9PQ
 

http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2013/01/post_333.html#more
2013年1月23日 田中良紹の「国会探検」


 オバマ大統領の2期目の就任演説に、アメリカの「伝統的価値観」に対する挑戦を感じた。議会との「ねじれ」でオバマ政権の2期目は厳しい政権運営が予想されるが、しかしオバマは共和党とは異なる「価値観」を打ち出す事で政権の総仕上げを考えているようだ。


 1期目のオバマ政権に立ちふさがったのは草の根保守の「ティーパーティ運動」だった。彼らは、リーマン・ショックで経営不振に陥った自動車産業や金融機関を救済し、国民皆保険制度を導入したオバマを「社会主義者」と非難し、財政赤字が将来世代の負担を増やすとして「小さな政府」を要求した。

 また「建国の父の思想に立ち戻るべきだ」と主張し、キリスト教の信仰に基く「伝統的価値観」を重視する中絶禁止や同性婚の反対を強く訴え、不法移民にも厳しい姿勢を見せた。この「ティーパーティ運動」が3年前の中間選挙で民主党を惨敗させ、オバマ政権は「ねじれ」に苦しむ事になった。

 昨年の大統領選挙でもオバマは獲得選挙人数では大勝したが、総得票数では僅差であった。共和党との接戦を制したのは移民、女性、同性愛者などの支持を獲得したためで、いわば「伝統的価値観」に対する「新しいアメリカ」を取り込む選挙戦術が功を奏したと言える。

 この選挙結果を意識したかのように、オバマは草の根保守が必ず言及する「建国の父の思想」から演説を始めた。そしてそれを「伝統的価値観」とは逆の方向に利用した。「アメリカの独立宣言はすべての人間に自由と平等の権利を与えている。それを現実にするために我々は終わりのない旅を続けている」と語り始めた。

 そして「建国の精神への忠誠は、新しい事に挑戦する事である」と言い、共和党の政策とは異なる考えを次々に打ち出したのである。いわく、「米国民は今日の世界の要求に単独では応えられない」と単独行動主義を否定し、「米国の繁栄は台頭する中間層の肩にかかっている」と格差社会を否定し、「高齢者や貧困層に対する社会保障制度の仕組みは我々を強くする」と福祉社会を肯定し、さらには産業界から反発される地球温暖化問題についても「将来世代を裏切らないために対応していく」と決意を示した。

 外交・安全保障問題では、「海外の危機に対処する能力を刷新していく」としながらも「絶え間なく戦争をする必要はない」、「他の国々との紛争を平和的に解決するよう試みる勇気を示そう」と戦争路線からの転換を表明した。

 そのうえでオバマは演説の最後に再び「終わりのない旅路」の課題に言及する。それは女性、人種、同性愛など様々な差別撤廃運動を継続し、銃規制社会を作る事への決意表明であった。それこそがアメリカ建国の理想を現実にしていく行動なのだとオバマは訴えた。

 18分と短いが、国論を二分する問題にあえて挑戦する演説で、共和党を支持するキリスト教保守派の「伝統的価値観」に真っ向から挑戦した。これに保守派がどう反応し、共和党が議会でどのような対応を見せるかはまだ不明だが、演説を聞くとアメリカの「価値観」を転換させる事が政権の仕上げだとオバマは考えているようだ。

 レーガン政権が種を播いたアメリカの保守主義はブッシュ政権時代に完成されたと言われる。ブッシュ政権は国連を軽視する単独行動主義でイラク戦争を強行したが、その時代に国民レベルでも「伝統的価値観」を信奉する「ティーパーティ運動」が生まれた。

 その草の根運動が中間選挙でオバマの民主党を惨敗させ、共和党支配の下院を誕生させた。ところが共和党が議会を握ると、草の根運動の批判が共和党の議会運営にも向かい始める。穏健派が極端な保守化に反発する事を共和党が怖れたからである。共和党は穏健派と草の根との融合を模索し、草の根では「真の保守とは何か」の論争が始まる。保守派の分裂が始まった。

 昨年末の大統領選挙でのオバマの勝利は保守派の分裂に助けられたとも言える。その状況を突いて「伝統的価値観」に代わるアメリカの「価値観」をオバマは2期目の就任演説で提示したのではないか。そこには自らの政権の後、民主党政権を引き続き継続させる狙いがあるようにも見える。

 その狙いが成功すれば初の黒人大統領オバマのレガシーは完成するが、国内的には根強い反発が出てくることも予想され、「ねじれ」議会への対応や、混とんとする国際情勢への対応と共に、今後のアメリカ政治の展開は要注意である。


 

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コメント
 
01. 2013年2月03日 19:16:09 : mb0UXcp1ss
2013年 2月 02日 11:27 JST
退職時期を遅らせたいと考える米国人が急増=米調査会社 
 米国労働者の平均年齢が上昇しようとしている。

 45歳から60歳までの米国人の3分の2近くが退職時期を遅らせる計画を立てている。米調査会社コンファレンス・ボード(CB)が1日、報告書で明らかにした。これは2年前の調査の42%という数字から大幅に増えた形だ。

画像を拡大する

Daniella Zalcman for The Wall Street Journal
Matt Ste元ヘッジファンドのアナリスト、マット・スターンさん(51)は退職時期について再考している。これまでは62歳で引退できるものと考えていた。
 その主な要因として挙げられるのは、景気後退と回復が見られた過去数年間に生じた金銭的な損失や解雇、収入の頭打ちだという。2012年に1万5000人を対象にして実施されたこの調査の共同著者で、CBのマクロ経済調査担当ディレクター、ギャド・レバノン氏はこう分析した。

 ヘッジファンド会社の元アナリスト、マット・スターンさん(51)は昨年12月、会社清算を発表したこの会社から解雇される数日前、ファイナンシャル・プランナーと面会した。プランナーからはその時、62歳に退職できるかもしれないとアドバイスされた。しかし、突然職を失った今、資産が2008年のピーク時から10-20%目減りしたことも重なり、職探しをするなかで老後の生活を再設計しているという。

 旅行とか非営利活動団体(NPO)への参加といった「自分にとって関心のあることより、収入源を最優先しなければならないだろう」とスターンさんは今後の人生設計の修正を迫られている。

 過去数十年間のうちに労働人口の高齢化が徐々に進んできたが、その要因は平均寿命の上昇や健康向上から企業年金の改善まで幅広く指摘できる。

 しかし、レバノン氏は引退時期を遅らす考えを示した労働者が65%まで急増したことについて、株式市場の回復や住宅市場の改善、失業率の低下など、労働者の安心感を向上させる要因が見られるようになったことを考えると、予想外の結果だったと語った。

 中年を迎えた多くの米国人は景気後退期に貯蓄を縮小しており、当初の計画通り退職することはもはや実行不可能だと気が付いたのだという。

 さらに預貯金への低利子や、社会保障制度の将来に不安感が出てきたこと、退職後にも企業健康保険を受けられる可能性が低くなっていることなども影響している。

 労働者の退職時期が遅くなることから恩恵を受けそうな産業もある。例えば、年配の労働者が一斉に退職して熟練職の深刻な不足に直面する電力会社などの公益事業体などだ。

 しかし、企業にとって高齢の従業員は、給与と医療コストの両面で割高になることもある。

 そのうえ、経済成長が沈滞するなか、高齢の労働者が職場に居残ると、若い世代の従業員の昇進が阻まれる可能性もある。

 一方、長期的に見た場合、このような懸念は見当違いと見る向きもある。米ボストン・カレッジのケビン・カーヒル博士は「年配の従業員を職場に確保することはよい事だ」と指摘。高齢の労働者のほうが経済的に安定している上、雇用主にとっても労働人口が厚くなり、製品やサービスの生産能力が向上するからだという。

 レバノン氏は、最終的には多くの労働者が当初の予定通り退職すると見ている。というのも、調査回答者の意向というものが必ずしも現実の結果になるわけではなく、また、健康上の問題や失業、あるいは単なる計算違いといった理由で、予定通りに定年退職する人々も多いからだ。


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