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◆1月8日
シリア情勢に変化が出始めているようだ。今年の3月でシリアの紛争は丸二年が経過するが、チュニジア、エジプト、そしてリビヤのようにシリアも政権交代が成されるという大方の見方があったが、アサド政権は今に至るも踏ん張り続けているばかりか、二期目を迎えたアメリカのオバマ政権がシリア紛争解決に向けて、新しい動きを開始する可能性が出て来た、というのだ。
トルコ・シリア国境にはパトリオット地対空ミサイルが展開されシリア空軍の動きに制限を加えようという動きがある一方、ロシアはシリア沖に上陸用艦艇に海兵隊を乗せて、欧米の軍事介入を阻止すべく睨みを利かせている。
シリアのアサド大統領は6日、ダマスカスで演説し、内戦終結を目的とする国民憲章の制定や、新憲法下での新政府樹立、自由選挙の実施などを含む包括的な和平提案を行った。これは以前から彼の政権が進めてきている内容であり、目新しいものではないが、そういうことを報道してこなかった世界のメディアが今回は取り上げた、ということである。要するに、「話し合い」で決めるべき、という提案であり、軍事力で政権転覆を狙う武装勢力を牽制する内容となっているのだ。
ここでフランスのジャーナリストのティアリー・メイサンは、オバマ大統領が中央軍司令官のデイビッド・ペトレイアスを辞任させ、シリア問題解決のため、ロシアと一緒になってジュネーブ協定を持ち出し、同時にシリアの反政府武装勢力の自由シリア軍を見捨てる決定を行ったと言っている。
しかも、オバマ政権は新国防長官にチャック・ヘーゲルをなんとしても指名しようとしているという。この人物については既に昨年の12月26日号の「アメリカの新国防長官に最適なチャック・ヘーゲル」で示したように、彼はアメリカが外国にむやみに介入することに反対の人物である。ペトレイアスとは真逆の政治姿勢を持っている、と言えるだろう。ペトレイアスはネオコンであり戦争屋である。
従ってこれらの動き全体から言えることは、シリア紛争は、アサド政権の転覆まで行かずに終息する可能性が高まった、ということだ。この件では、昨年の11月26日・27日・28日号の「ワシントンでのクーデタと反クーデタ」で示した内容と合致するものであり、オバマ大統領の二期目が始まることを契機にアメリカの外交姿勢が転換しつつあることを示している、と言えよう。
従ってメイサンが下記に示したように、アメリカの同盟国は自分たちもアメリカに見捨てられることは無いのか、と問いかけるべき時がやってきていると言えよう。特にイスラエルは自国の今後の身の振り方を真剣に考慮すべき時がやってきた、と判断すべきであろう。
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●ロシア艦隊が欧米牽制のためシリア沖に集結
http://www.presstv.com/detail/2013/01/06/282035/russian-ships-near-syria-to-deter-west/
【1月6日 Press TV】
ロシア軍艦は欧米による軍事介入を阻止するため地中海のシリア沖に集結している。
サンデー・タイムズ紙は、ロシア外交官の言葉として、ロシアが数百人の海兵隊員と軍用車両を載せた5隻の上陸用艦艇と戦闘用艦艇を最近、地中海東部へ派遣した、と報じた。
「シリアの情勢はイースター前にそのピークを迎えるだろうから、ロシアはいかなる事態の展開にも準備しておくべきである」とタイムズ紙は、匿名を条件の外交筋の発言を掲載した。
この外交官は、ロシア海軍がシリア沖に存在していることは、シリア政府軍と戦っている反政府勢力を支援するため、「欧米が陸上戦闘員をシリアに展開する」ことをを阻止するだろう、と語った。
ロシアはしかしながら、これらの艦船は、「海軍の統御、維持、相互作用の改善」のための演習のために派遣されている、と言っている。
先月、ロシアは自国の海軍基地のあるシリアのタルトス港へ海兵隊を乗船させた軍艦一隻を派遣した。
軍事筋の情報として、ロシアのメディアは12月30日、ノボチェルカサック上陸用艦艇が黒海のノボロシイスク港を出て1月の初旬にはタルトス港に到着することになっている、と報じた。
他の2隻、アゾフとニコライ・フィルチェンコフは、12月29日以降、シリアに向けて派遣されたと言われている。
12月中旬、ロシアの国防省は、バルチック海のバルチイスク港からシリア沖の地中海に向けてロシア艦隊が派遣された、と発表した。
この艦隊にはヤロスラブ・ムドライ・フリゲート艦、カリーニングラードとアレクサンダー・シャバリンの上陸用艦艇、その他の2隻の艦船が含まれている、という。
ロシアはシリアの主要な同盟国であり、シリアのタルトス港に海軍用の小規模な修理施設を持っている。
これは、アメリカが4日、トルコ・シリア国境に欧米のパトリオット地対空ミサイルを展開するのを監督するための軍と装備を展開し始めた時と時期が重なる。
シリア、ロシア、イランはこのミサイルの展開はNATOによる軍事行動を惹き起こしかねないものだ、と語っている。
●アメリカ政府はシリアの「自由軍」を見捨てる決定をした
http://www.sana-syria.com/eng/22/2013/01/03/460197.htm
【1月3日 SANA】
フランスのティアリー・メイサンは、アメリカ政府がジュネーブ協定に従ってロシアと共にシリアの危機の解決に向けた動きを開始するため、「自由軍」と自称しているシリアにおける武装テログループを見捨てる決定をしたと語った。
ボルテール・ネットワークに掲載された記事で、ワシントンの全米情報評議会は皮肉っぽく「世界的ジハードはまもなく消滅するだろう」と発表したことを述べつつメイサンは、アメリカ政府は「自由軍」と言われる存在について新しい姿勢で臨む決定を行ったと語った。
メイサンは、シリアの戦争は戦略的レベルに到達し、ヨーロッパのシリア指導部に対する途切れることのない挑発にも拘らず、武装勢力に向けた資金と兵器の流れとが枯渇し、多くの国際的支援が停止したことを語ることで、「自由軍」にとってその目標を達成する可能性は無い、と判断した。
彼は、アメリカ政府は上院で批准され次第、シリアに対する和平計画を提出することになるだろう、と語った。
メイサンは、オバマは大統領選キャンペーンの最中に彼の補佐官の何人かがジュネーブ協定実施を阻止した際、なんらの反応も見せなかったが、再選後には、シリアに対する戦争を企画したデイビッド・ペトレイアスを片付けるクリーンアップ工程を実施した、と語った。
メイサンは、アメリカの同盟国は、この新しいアメリカの動きが自国をも見捨てることにならないかを問うべきであろう、と語った。
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