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http://mainichi.jp/select/news/20121203k0000e030152000c.html
イラク:新生児の異常急増 04年以降
毎日新聞 2012年12月03日 11時12分(最終更新 12月03日 11時53分)
ファルージャの位置
拡大写真http://mainichi.jp/graph/2012/12/03/20121203k0000e030152000c/001.html 【ロンドン小倉孝保】イラク中部ファルージャで米軍による激しい軍事作戦が行われた04年以降、障害児の出生割合が急激に高まっている可能性があることがわかった。イラクや米国の研究者らが国際医療科学誌に論文を発表した。爆弾などに含まれた毒性金属が母体を通して新生児体内に蓄積された可能性を指摘している。
論文は「シュプリンガー」の9月16日号に米ミシガン大の環境毒素学者、サバビエアスファハニ氏やバスラ医科大のサバック講師ら6人が連名で発表した。イラクの戦争被害については南部バスラなどで劣化ウラン弾の影響が疑われる事例が報告されているが、ファルージャでの出生異常に関する科学的報告は初めてとみられる。
2010年にファルージャ総合病院に出産や産後治療に訪れた計56家族を対象に1991年から2010年までの20年間について、夫婦のほか双方の親や兄弟など親族も含めた出産状況を聞き取ってまとめた。
その結果、91年から20年間に生まれた新生児は計202人。91〜00年では新生児58人のうち障害があったのは1人(1.72%)、01〜03年では19人のうち2人(10.5%)だったのに対し、攻撃が激化した04〜06年では33人のうち10人(30.3%)、07年以降は92人のうち50人(54.3%)に障害があった。「04年以降」の障害児出生割合(48%)は「03年以前」(3.89%)の約12倍。主な障害は心臓疾患、神経系疾患などだった。
また、新生児と両親の毛髪を分析した結果、障害を持つ新生児は障害のない新生児に比べ鉛含有量が5倍、水銀含有量が6倍だった。ウラン含有量に差はなかった。親の毛髪の鉛、水銀の含有量にも大きな差はなかった。
障害児出生割合が高まった原因として、米軍が使用した爆弾などの毒性金属が水や食料から母体を通して新生児の体内に入った可能性を指摘している。爆弾や銃弾には、水銀や鉛などの毒性金属が含有されているという。
ただ、ファルージャ総合病院で過去の出生記録が発見できず聞き取りで出生状況をまとめたため、過去にさかのぼるほど記憶違いが大きくなる可能性や、障害を持つ新生児の出生をより強く記憶している可能性もある。
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サバビエアスファハニ氏は毎日新聞に「論文は、ファルージャの人々が毒性金属に汚染され、出生異常割合が驚異的に高まっているていることを示した。障害児出生は今後も増える可能性があり広範囲な環境調査を急ぐべきだ」と述べた。米国防総省広報担当者は「ファルージャなどで米軍の武器に含まれる金属と障害児出生増加を関連付ける公式報告はない。我々は戦闘地域での人々の健康には常に最大の関心を持っている」と話している。
【ことば】ファルージャ
バグダッド西約50キロのイスラム教スンニ派の多い町。イラク戦争でフセイン政権が崩壊した03年4月直後から反米運動が起こり、04年3月には米国の民間軍事会社の武装社員4人が惨殺される事件が発生。米軍が4月に市内への入り口を封鎖して激しい軍事攻撃を行い、同年11月にもテロリスト掃討を名目にした攻撃で戦闘が激化した。詳しい犠牲者数は不明だが、計約3000人の住民が殺害されたとの情報がある。
.国際7 阿修羅
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