http://japanese.irib.ir/news/item/33728-

(転載開始)

2012/12/08(土曜) 22:22 ヨーロッパでの経済危機の拡大

タダイヨニー解説員

ヨーロッパで、経済危機が拡大しています。イタリアでは７日金曜、定年退職者らが同国のモンティ政権により経済政策に抗議するデモを実施しました。同時に、イギリスでも政府による緊縮財政政策が実施されて以来、国家経済の状況がさらに深刻化しているということです。

イタリアではここ数日、人々が経済危機と格闘している中、同国のモンティ政権は経済危機に加えて政治面でも危機に遭遇しています。ユーロニュースは、中道右派政党・自由国民党を結成したイタリアのベルルスコーニ前首相が、再び首相の座に返り咲く可能性があると報じていますが、このことは、イタリアの政治問題の悪化につながりうるものです。ベルルスコーニ前首相が率いる自由国民党寄りの議員らが、政府の法案に反対し、採決の最中に議会を途中退出することは、モンティ政権を転覆させる可能性があります。

イタリアの年金受給者は７日金曜、国内各地の市役所や州庁舎の前に集結し、モンティ政権の経済政策に抗議するデモを行いました。これらの人々はまた、イタリア政府の緊縮財政政策が、自分たちに大きな打撃を与えたと表明しています。イタリアは現在、深刻な金融危機に直面しており、２兆ユーロを超える債務を抱えています。

その他のヨーロッパの国々の経済状況も、決してイタリアより良い状態にはありません。

イギリスの左翼政党リスペクトの創設者であるギャロウェー下院議員は、「イギリスの経済状況は、政府の緊縮財政政策が実施されてから、さらに危機的なものとなった」と語りました。プレスTVの報道によりますと、ギャロウェー議員はさらに、「経費削減政策は、単にイギリスでの貧困を拡大させただけに終わり、貧民の数も日々増加している」と述べています。イギリス・ロンドンでは、数百名に上る教職員や労働者、大学生、そして反戦主義者が７日、経済・金融問題の悪化に抗議するデモを行いました。抗議者らは７日、イギリス首相府と財務大臣の自宅の前に集結して、政府の政策に抗議し、予算赤字の補填を目的とした増税や、貧困者への支援打ち切りではなく、アフガニスタンでの戦争や核兵器の購入をやめるべきだと表明しています。

また、スペインでも一部の階層の人々が、同国の政府の管轄化にあるホテルチェーン・パラドーレスの従業員とともに７日、従業員の解雇や賃金の削減に抗議し、ストライキを行いました。

スペイン政府は、財政問題を理由に、このホテルの従業員全体の１４％を解雇するとともに、賃金や福利厚生を大幅に削減しています。５日水曜にも、スペインの首都マドリードでは数千人に上る医師や看護士、病院の職員が街頭に繰り出し、緊縮財政政策の実施が保健衛生サービスに悪影響を与えていることに抗議し、デモを開催しました。

オーストリア中央銀行のノボトニー総裁と、ヨーロッパ中央銀行理事会のメンバーも７日、２０１３年のユーロ圏の経済状況について警告を発し、「ユーロ圏の経済は不況に陥っており、ユーロ加盟国の今年の経済成長率は、予想を下回った。来年の経済成長率も、当初の予測を下回るだろう」と語っています。

(転載終了)

●崩壊の危機に直面している欧州の経済ですが、多くの雇用を生み出している自動車産業が存続の危機にあると言わねばなりません。これを死守するために手段を選べないのが現状です。

三菱自動車がタイで生産する新型ミラージュですが、生産が軌道に乗り欧州への輸出が開始されます。イギリス市場で11,000ポンド(約145万円)の価格は、ライバルより安く、燃費に優れ維持費も安い。欧州が走りの本場だと日本の自動車雑誌はこれまで書いてきましたが、これは事実に反しています。価格が安く維持費も安く、そこそこ走ればいいとする層が多いのです。彼らにとって、三菱ミラージュは購入候補の一番に上がるだろうと、現地の自動車雑誌は書いています。

日本からではなくタイから欧州に輸出される。確実に欧州メーカーの小型車の強力なライバルになるでしょう。それも、東欧諸国で生産される欧州ブランドの車種より安い。1980年代、西ドイツの自動車雑誌に書かれていた内容。「自動車の生産がアジアに移り、西欧から消える。」と言う懸念が現実のものになろうとしている。

西欧諸国のガソリン価格は日本より高く、アメリカドルに換算して1リットルあたり2ドルを超えますから、燃費の問題は切実です。このミラージュも5速マニュアルが標準です。貧しくなる西欧諸国では、もはや走りが云々と言っていられない事情があります。西欧の自動車産業は今後ますます苦境に追いやられると思われますが、タイで生産される三菱ミラージュにも何らかの理由をつけて関税をかけるのではないでしょうか。