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2013年 1月 09日 14:00 JST 「少子化」 米カリフォルニア州の新たな問題 記事 smaller Larger facebook twitter mixi google plus hatena 印刷 By MIRIAM JORDAN 移民など転入者の減少と出生率の低下により、米カリフォルニア州の子どもの数が減っている。ちょうどベビーブーマー(米国では1946年から1964年生まれを指す)が定年を迎え始めている時期であり、米国で最も人口の多いカリフォルニア州にとっても、少子化は経済と人口動態の面で難題だ。 南カリフォルニア大学(USC)とルシル・パッカード財団が8日発表したリポートは、「何十年もの人口急増と経済成長を経験したカリフォルニア州だが、今や非常に異なった将来に直面している」と指摘する。「カリフォルニア州の減少する資源:子どもたち」と題する同リポートは2010年の国勢調査とアメリカン・コミュニティー調査のデータを分析したもので、この少子化傾向は同州の「歴史的移行」だと結論付けた。 画像を拡大する Dan Krauss for The Wall Street Journal 戦後ベビーブームが去って6年後の1970年当時は、18歳未満の子どもがカリフォルニア州の人口の3分の1以上を占めていた。しかし、この比率は2030年までにわずか5分の1に低下するとUSCの人口動態学者でリポートの主執筆者であるドゥエル・マイヤーズ氏は予測する。同氏はインタビューで、「われわれは州全体で人口の置き換えに問題を抱えている」と述べた。 カリフォルニア州の人口動態の変化は、ニューヨーク、マサチューセッツ、イリノイ、それにミシガンといった米北東部と中西部の多くの州の状況と類似している。これらの州では2000年から10年まで、子どもの比率がもっと急激に低下している。しかし、カリフォルニア州はこれらの州と異なり、他の州からの転入者や外国からの移民に依存して経済を活性化してきた。それだけに人口動態の変化は同州に新たな現実を突きつけている。 19世紀半ばのゴールドラッシュ以降ずっと、カリフォルニア州の人口は同州外で生まれた人が大半を占めていた。このパターンに変化が見え始めたのは1990年代だった。当時、生活費の安さや急速な経済成長にひかれて人々が他の西部州や南部州に転出していった。その後同州は住宅バブルの崩壊と08年の金融危機の影響を他の大半の州よりも深刻に受けた。この結果、2010年までに、25〜34歳の成人の半数以上が同州生まれになった。 同リポートによると、それと同時に10年の同州の出生率は女性1人当たり1.94人にまで落ち込み、人口置換水準(人口を一定に保つ出生率の水準)である2.1人を下回った。中央情報局(CIA)によると、2012年の同州の出生率は全米平均の2.06人より低かった。 子どもが減る一方で、高齢者の数は急増している。独立系の調査機関Center for Continuing Study of the California Economyの責任者であるスティーブン・レビー氏は、全国的にみて「(ベビーブーマーの)大量退職の時期が差し迫っており、向こう20年にわたって年間ざっと200万人が定年を迎える」と話す。 カリフォルニア州では1970年当時、現役世代100人に対して高齢者が21人だった。同リポートによると、2030年までにこの比率は100人に対して36人にまで上がるとみられている。同リポートは、この退職の波が「高齢者向けの施設や制度を大きく圧迫する」と予測している。 今日の子どもたちはいずれ働くようになり、こういった高齢者向けの制度を資金的に支えたり、ベビーブーマーの退職によって空いたポストを埋めていく。シリコンバレーのハイテク拠点しかり、ロサンゼルスのエンターテインメント業界しかり、セントラルバレーの農業地帯しかりだ。 前出のレビー氏は「出生率が上昇しない限り、われわれは転入者を増やさなければならない。どちらも実現しなければ、カリフォルニア州は成長鈍化に直面するだろう」と警告する。同リポートは「移民ないし転入者は大幅に減っているため、外から助けが来る可能性はかなり低い」と述べ、楽観できないとの見方を示している。 レビー氏は、労働力のニーズを満たし、経済の縮小を防ぐには、同州の教育システムへの投資が不可欠と指摘する。転入者が減っている中で、経済を維持するのに必要なスキルと人材を同州内部で育てる必要があるからだ。 同リポートによると、出生率は全ての人種で減った。2010年は、白人、アジア系、アフリカ系が人口置換水準を下回った。 これに対し、同州の18歳未満人口の51%を占めているヒスパニック系の出生率は、人口置換水準をわずかに上回った。しかし、同リポートによれば、ヒスパニック系の出生率自体、どの人種グループよりも急激に低下しており、2020年には人口置換水準にまで低下するとみられている。 |