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仏オランド氏 苦境 大統領就任半年、支持率20ポイント低下 政権幹部失言や一転増税、国民の不満強まる
フランスのオランド大統領は15日で就任から半年を迎える。出身母体である左派の社会党は5月に17年ぶりに政権を奪回したが、ここにきて政権幹部の失言が相次いだほか、公約のほころびも見え始め、オランド大統領の支持率は急低下している。欧州債務危機対策や雇用改善に引き続き取り組む構えだが、一向に好転しない景気への国民の不満は強まっている。
「米国が優先する政策は、フランスと共通だ」。米大統領選から一夜明けた7日、オランド氏はオバマ大統領に祝福の電話をかけ、こう伝えた。具体的な優先政策を記者団に問われ、経済成長や気候変動、中東情勢と説明。新たな課題に取り組む姿勢を示した。
オランド氏は右派のサルコジ前大統領を破り、社会党は17年ぶりに政権に返り咲いた。「成長重視」を掲げ、就任後は欧州連合(EU)の成長戦略のまとめ役になるなど一定の存在感を発揮した。だが、足元では政権への風当たりが強い。
仏調査会社TNSソフルによると、大統領の11月の支持率は36%で就任後から20ポイント近く低下。サルコジ氏の就任半年後は53%を保っており、低下幅が際立つ。
理由は2つある。1つはエロー首相ら政権幹部の失言だ。首相は10月24日、法律を審査する憲法評議会の判断を正式発表前にラジオ番組で公表。行政権の中枢にある首相が司法権を侵しかねない失態に「三権分立を唱えたモンテスキューを生んだ国なのに」(現地紙)と批判が殺到した。
同月30日には週35時間労働制を変える可能性を問われ「タブーではない」と発言。社会党の聖域といえる分野で党内や支持者は猛反発。閣僚からは大麻合法化で発言が飛び出すなど野党側は「政権の体をなしていない」と攻勢を強める。
もう1つは大統領選での公約にほころびが見えたことだ。9月下旬、政府は増税と歳出削減を合わせて前年から300億ユーロ(約3兆円)を削減する2013年予算案を決定。緊縮予算は同年に財政赤字を国内総生産(GDP)比で3%にする計画のためだが、公共支出の大幅な削減も含み、「景気にはマイナス」(仏系証券)。労組幹部は「増税・緊縮財政路線になったのか」と憤る。
さらに左派の不満を増幅させたのが、今月6日に発表された付加価値税(消費税に相当)引き上げを含む競争力強化策だ。オランド氏は大企業や富裕層から低所得者に富を移す「所得再分配」を重視。7月にサルコジ前大統領が決めた付加価値増税を撤回した経緯があり、突然の方針転換に社会党議員からも「有権者にどう説明すればいいのか」とため息が漏れる。
「自治体や企業などすべての関係者は雇用確保に動いてほしい」。8日、パリ郊外でオランド大統領は訴えた。失業率は10%超。今後4年半の任期は険しい道になりそうだ。
(パリ=竹内康雄)
[日経新聞11月10日朝刊P.7]
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