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オバマ大統領が再選されたことで、イスラエル・イラン戦争の可能性はかなり遠のいたとの印象です。大統領は元々親イスラエルというわけではなかったのですが、アメリカの政治家であればまずイスラエルに友好的な姿勢を取らざるを得ないわけであり、大統領もそれに従ってきたのではないかと。
アメリカの大統領が親イスラエルになるのには色々と理由がありますが、その最大の理由は恐らくアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)にあるかと思います。豊富な資金と広範な人材を有するロビーの影響力は、大統領選をも左右する存在だと言われており、過去、AIPACのロビー活動で落選させられた政治家は少なくありません。(AIPACについてはウォルトとミヤシャイマーの大論争になった著作に詳しいです)。
よってオバマ大統領も選挙期間中はAIPAC詣でを怠らず、ユダヤロビーの反感を買わないようにしてきました。しかし今回の再選が決まったことで、大統領はもはやAIPACやイスラエルに気兼ねせず中東の外交政策を進めていくことができるようになります。
イラク戦争以降、アメリカはイスラエルに引きずられてきたとも言えなくはなく、中東和平を望むオバマ大統領はこの状況にピリオドを打ちたがっているのではないでしょうか。そう考えると今後、オバマ政権はイスラエル寄りからやや中立の立場の方に軸足を移していくのではないかとも考えられます。
一方、イスラエルから見れば、現在進行形で進んでいるイランの核開発を何とかして阻止したいわけです。イスラエルは過去、イラク、そしてシリアに対して電撃的な空爆を行い、両国の核開発施設を破壊しています。ただしイランはこのイスラエルによる空爆を警戒し、核開発施設をナタンツからフォルドに移したようです。フォルドの核開発施設は岩盤をくり貫いた地下にあり、通常の空対地ミサイルでは恐らくビクともしないでしょう。これを破壊するためには米軍が有する地中貫通弾、バンカーバスターが必要になってきます。
すなわちイスラエルにとって、外交・軍事面におけるアメリカからのサポートは、イラン攻撃のためには必要不可欠なのですが、前述しましたように、オバマはもうユダヤロビーの顔色を窺う必要性もなくなりましたので、イスラエルが独断でイランを叩くということはかなり難しくなったと思います。
そもそも前モサド長官メイル・ダガン氏も認めたように、イスラエルはイランの核兵器開発を遅らせることはできても、それを辞めさせることはできないわけであります。モサドはイランの核技術者や物理学者に対する暗殺や脅迫、またスタックスネットのようなウィルスを使って、できる限りの妨害工作を行っていますが、どれも決定打とはなっていません。先日、モサドの元高官から伺った話ですと、イスラエルは外交や軍事力によってイランの核開発を辞めさせることはできないので、モサドとしてはCIAやMI6と協力しつつ、イランを監視していくしかない、とのことでした。流石のモサドでも頭の痛い問題なのでしょう。
そうなるともはやイランが核開発に成功した後のことを考えておいた方が良いのかもしれません。『フォーリン・アフェアーズ』誌にはイスラエルとイランが核を持って核抑止を機能させれば中東は安定する、との論旨があったように覚えていますが、事はそれほど単純ではないでしょう。
いずれにしてもイスラエルとイランの戦争が遠のけば、アメリカとしては中東情勢にそれ程深入りしなくても良いわけでして(シリア問題が残っていますが…)、極東情勢に目を向ける余裕が出てくるのかもしれません。戦争が起こらなければ急激な原油価格の高騰も避けられますし、日本にとってそんなに悪いことではないと思うのですが。むしろこれを機会に、アメリカの極東へのコミットを強めるための方策を考えないといけません。」
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