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二極化したアメリカ人の党派意識は互いへの憎悪に   どちらの候補を選ぶべきか
http://www.asyura2.com/12/kokusai7/msg/163.html
投稿者 MR 日時 2012 年 11 月 05 日 22:52:19: cT5Wxjlo3Xe3.
 


【第2回】 2012年11月5日 
二極化したアメリカ人の党派意識は互いへの憎悪に

接戦の大統領選がもたらす今後4年間の政治的弊害
――スタンフォード大学政治学部教授
シャントー・アイイェンガー氏に聞く
かつてない激戦のまま、まもなく投開票を迎えるアメリカ大統領選挙。3回に渡るテレビ討論会では、当初劣勢にあったオバマ大統領が盛り返し、共和党のロムニー候補を退けた。しかし、スタンフォード大学政治学部のシャントー・アイイェンガー教授は、「(テレビ討論会の)ディベートは単に支持者の傾倒を強めるだけに過ぎない」と、国民の政治的な争点への無関心とアメリカにおける党派意識の強さを指摘する。党派意識が非常に強い中で、結果的に今回の大統領選が接戦のまま終わりを迎えれば、これからの4年間はどういった政治環境に置かれることになるのか。大統領選挙の投開票を目前にした今、アイイェンガー教授が“新大統領”就任後の政治環境を占う。(聞き手/ジャーナリスト 瀧口範子)

宗教観にも似た強いアメリカの党派意識
民主党員と共和党員の間には憎悪も

――3回に渡ったテレビでの大統領候補のディベートも終わり、選挙戦はいよいよ終盤に入っている。ディベートは両候補への支持を左右したと見ているか。


シャントー・アイイェンガー(Shanto Iyengar)
スタンフォード大学政治学部教授、フーバー研究所上級フェロー。専門は、民主主義社会におけるマスコミュニケーション、世論形成、政治心理学。全米科学財団、フォード財団、ピュー・チャリタブルトラストなど有数の非営利財団から援助を受け、選挙活動時における広告効果、特にネガティブ広告に関する調査、研究などを多く行ってきた。著書に『Media Politics: A Citizen's Guide(メディア政治:市民の手引き)』、『Is Anyone Responsible?(責任者はいるのか?)』などがある。アイオワ大学で博士号を所得
 1回目のディベートでは、オバマ大統領がロムニー候補の攻撃にまともな反論ができないという予期せぬことが起こり、その後の世論を動かした。だが、その後の2回のディベートではオバマ大統領も攻撃に出て、ロムニー候補を退けていた。ただ、結果的に言って、ディベートは単に支持者の傾倒をさらに強めるだけのものだ。この国で誰に投票するかを最終的に決めるのは、どちらの党に所属しているかだ。その上に立って、経済が回復に向かっているか、オバマ大統領は十分な働きをしたかといったことに対する「気分」で投票する。共和党員ならば99%がオバマ大統領は失策続きだったと主張し、民主党員ならばその正反対を唱える。

――ディベートの内容や選挙活動でそれぞれが主張している争点の違いは、それほど影響力を持たないということか。

 人々が雇用率の統計を分析して投票するといったことは、ほとんどない。今、アメリカの党派意識は非常に強まっており、ほとんど宗教にも似ている。しかも、二極化が起こり、民主党員と共和党員は互いに憎悪を抱いていると言ってもいいくらいだ。最近スタンフォード大学が党派意識に関する調査を行い、その中で民主党員や共和党員の親に「子どもが相手側の党員と結婚したらどう感じるか」と尋ねたところ、33%が「不満」と答えている。それほど対立しているということだ。

――憎悪を招いている原因は何か。

 ひとつは、相手の欠点を突くことが選挙活動の目的になっており、人々が選挙について得る情報の8割を占めると言われる広告が、攻撃的な内容に彩られていることだ。もうひとつは、特にケーブルテレビが極端なパルチザン(党派意識が強いもの)になっていることだろう。フォックステレビは共和党派、MSNBCは民主党派で、それぞれが視聴者の心の中にあるものをさらに増長させるように作用している。視聴者は、自分の都合に合ったものにしか目を向けないのだ。

公共放送を観ているのは2%未満?
争点と無関係に投票する国民も多数か

――ニュース報道はどうか。双方の候補者の争点を捉えた正当な報道を行っていると考えるか。

 ニュース報道も、物議を醸し出すようなことしか捉えない。それぞれの争点をていねいに伝えるより、相手候補を激しく攻撃したといったことの方が新聞の一面記事になりやすい。選挙戦や世論調査など競争的な側面にだけ注目しているのだ。他国と比べて、アメリカには公共的な放送局が少ない。真面目な番組を観ているのは、人口全体の2%にも満たないだろう。全国的なニュースは、コマーシャルを除けば1日20分ほど放送されているに過ぎず、残りはすべてエンターテインメント的なソフトニュースだ。アメリカ国民が政治に関して貧弱な情報しか持ち合わせていないのはそのせいだ。他の先進国では、公共放送の視聴者は20%ほどいるのが普通だ。

――ただ、最近は両候補の発言の事実関係を審査する「ファクトチェック」が、テレビの報道番組で盛んに行われている。

 これは、もともとは、主要メディアの記者たちが、特に選挙広告にあるようなレトリックを批判的に見るべきだと申し合わせた1980年代末から行われていることだ。しかし今では、双方の候補者が口にした間違いやウソを数え上げることで、有権者をシニカルな気持ちにさせている。なぜなら、「どちらの候補者も口からでまかせを言っている」といった印象を与える結果になっているからだ。いずれにしても、人々は両候補者の立ち位置がわからない、あるいは関心がないという理由で、双方の政治的な争点とはほぼ無関係に投票日を迎えようとしている。

――いずれの党にも属さないインディペンデントは、これまでの選挙活動や報道からどんな影響を受けていると見るか。

 インディペンデントが唯一、それぞれの争点を見分けて投票の判断を行っていると思われる。だが、ひとつ注意が必要なのは、自称インディペンデントは有権者の33%ほどもいるだろうが、本当のインディペンデントは10%ほどしかいないということだ。やみくもに党を支持するのではなく、政治的な課題や争点を意識して投票するという市民的な高潔さに憧れてインディペンデントを名乗る人々は多くても、ほとんどは本物ではないということだ。

オバマ大統領再選の可能性が高いが
接戦ならば政治的停滞が続く4年間に

――ずばり、どちらの候補が勝つと見ているか。

 オバマ大統領だろう。激戦州で優位に立っているからだ。ただ、ロムニー候補が有権者による一般投票では勝つものの、オバマ大統領が選挙人団による票数で勝利を収め、最終的に大統領に選ばれるということも十分にあり得る。どちらの候補者が勝ったとしてもかなりの接戦で、投票結果が取りざたされる可能性もあるだろう。そうなると、2000年のブッシュ対ゴアの大統領選挙時のように、翌日まで開票作業が続き、それでもはっきりしないという事態を招くかもしれない。

――そうした中でオバマ大統領が勝利を収めた場合は、今後の4年間はどういった政治環境になるか。

 両党の二極化のため共和党の怒りは頂点に達し、選挙は無効だと訴えるだろう。4年の任期も、非常に困難なものになる。反対に大きな差をつけて勝った場合は、第一期とは違って、大統領に協力しなければならないというシグナルを共和党に送ることになる。その結果、下院でも超党的な協力関係が生まれて、法案の通過もスムーズになるだろう。

――ロムニー候補が勝つとどうなるか。

 上院は依然として民主党多数のままに留まるため、ねじれた状態は続く。しかも、ロムニー候補は国政に携わった経験がないため、民主党とうまくやる手腕も持ち合わせていないだろう。

――公約は守れるか。

 ロムニー候補の言う通りに減税をすると財政赤字が増大する。彼の主張のつじつまが合っていると見るエコノミストを、私は知らない。したがって、現実的に減税を行えば、アメリカ経済は壊滅的な状況に追い込まれるだろう。オバマ大統領の場合は、接戦の末に勝つと共和党多数の下院での抵抗が相変わらず続き、思い通りにはいかなくなる。オバマ大統領が唱えている社会福祉や教育、基礎研究への予算振り分けが限定されることになるだろう。
http://diamond.jp/articles/print/27342


JBpress>海外>The Economist [The Economist]
米大統領選:どちらの候補を選ぶべきか
2012年11月05日(Mon) The Economist
(英エコノミスト誌 2012年11月3日号)

米国にはバラク・オバマ氏よりも良い選択肢があるはずだ。残念なことに、ミット・ロムニー氏はその条件を満たさない。


間もなく次の大統領が決まる〔AFPBB News〕

 4年前の米大統領選で、本誌(英エコノミスト)はバラク・オバマ氏を熱烈に支持した。数多くの有権者も同じだった。そして11月6日、米国民は4年前よりもはるかに小さな期待を胸に、重い足どりで投票所へ向かうことになる。

 それはロンドンに拠点を置く本誌も(少なくとも気持ちのうえでは)同じだ。無様なネガティブキャンペーンに耐えてきた世界最強国は、4年前よりもはるかに難しい決断を迫られている。

 その理由の大部分は、オバマ氏の情けない選挙戦にある。かつて希望と中道主義を体現していた人物は、共和党の最初の予備選も待たずにミット・ロムニー氏に攻撃を仕掛けるという過去最悪の選挙戦を行った。だが、選挙とは国を導く者を選ぶためのものだ。そして、その選択は2つの判定で決まってくる。

 第1に、オバマ氏は大統領として、特に経済や外交といった重要な側面で、どれくらい良い仕事をしてきたか? 第2に、意見をころころと変えるミット・ロムニー氏がそれよりも良い仕事ができると、米国は本当に信じることができるか? 

 この2点に基づいて考えると、辛うじてだが、オバマ氏が再選されるにふさわしいと言えるだろう。

「チェンジ」のはずが

 オバマ氏の大統領1期目は、良いところもあれば悪いところもあった。経済面では、オバマ氏に最も有利な論拠は、端的に言って、あらゆる状況がもっと悪くなるのを食い止めたということだ。

 オバマ氏の就任時、米国経済は負のスパイラルに陥っていて、銀行や自動車メーカーは大きな問題を抱え、失業者は月に80万人のペースで増加していた。オバマ氏はこれに、積極的な景気刺激策、ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの救済、合理的なストレステストによる銀行の資本増強で対応した(その結果、米国の銀行は現在、欧州の銀行よりもずっと良い状態にある)。

 おかげで恐慌は回避された。成長が停滞し、職が不足している今この時期に、そうしたメッセージを売り込むのは難しい。だが、オバマ氏の実績は、歴史からの多少の称賛は得られるはずだ。そして、本誌からの称賛も。

 総合的に見てオバマ氏に利する事実は、あと2つある。1つは、経済と同じく困難な状態で引き継いだ外交政策だ。

 オバマ氏はジョージ・ブッシュ前大統領の「対テロ戦争」の焦点を限定的にテロリストに向け直し、ウサマ・ビンラディンを殺害し、無人機による攻撃を強化し(気前が良すぎたかもしれない)、イラクとアフガニスタンから米軍を撤退させた(本誌の意見ではどちらも時期尚早だった)。

 中国との関係は当初は不安定だったが、米国の外交政策は必要とされていたアジアへの「ピボット(旋回)」を進めた。他方、イスラエル・パレスチナの紛争とロシアに対する「リセット」については、いずれも手を伸ばしすぎて結果を出せなかった。イランは依然として、核兵器保有への不穏な歩みを続けている。


アラブの春は米国にとっても予想外のことだったが・・・(写真は昨年2月のカイロ・タハリール広場でのデモ)〔AFPBB News〕

 以上の問題はどれも予想されてしかるべきものだった。アラブの春はそうではない。その点では、オバマ氏はエジプトとリビアで独裁者を追放した件を誇示することはできる。

 だが、オバマ氏はむしろそうした事態を追っていただけで、形を作ったわけではない。それが特に顕著に表れているのが、シリアで現在起きている大虐殺だ。

 冷戦の終結を処理した父親の方のジョージ・ブッシュ氏などと比べると、超然として突き放した見方をするオバマ氏は、外交の達人とは言えない。だが、息子の方のブッシュ氏と比べれば、まだ安心して事態を委ねられた。

 もう1つの条件付きの成果が、医療制度改革だ。大きな政府に賛成しない本誌から見ても、米国ほど豊かな国で4000万人を超える国民が医療保険に加入していないという事実は恥ずべきものだった。

商業をないがしろにする米国大統領

 「オバマケア」はそれを是正するはずだが、それ以外のシステムの欠陥――膨大で負担不可能な医療費――については、オバマ氏はほとんど対処してこなかった。

 左派の民主党議員に必要以上に決定を任せてしまった。途方もないドッド・フランク法によるウォール街改革と同じく、オバマケアもお役所仕事の混乱を生み出し、すべての対処を経済界に丸投げする羽目になった。

 この点で、オバマ氏に対する本誌の疑念が生じる。過去数十年の間、これほど商業をないがしろにする政権はなかった。過去の民主党政権、特にビル・クリントン政権は、増税を実施しても資本主義は理解していた。企業叩きは、オバマ氏の周囲にいる多くの人の習性のように見える。

 オバマ氏は、国務長官にヒラリー・クリントン氏、教育長官にアーン・ダンカン氏、財務長官にティム・ガイトナー氏など、穏当な人事もある程度行ったが、ホワイトハウス全体としては、あまりにもしばしば偏狭で左寄りになった。

 議会での共和党の妨害は、確かにオバマ氏の失敗の多くの便利な言い訳になってきた。しかし、オバマ氏にも負うべき責めはある。オバマ氏は残念ながら、意見を異にする相手との関係を改善することに時間をほとんど割いてこなかった。大統領が在任中に回った104回のゴルフラウンドのうち、共和党議員と回ったのはたった1回だ。

 何よりも、オバマ氏は次の大統領が直面する主要な国内問題に取り組む構えを見せていない。米国はこれ以上、小さな政府並みの税収で大きな政府並みの支出を続けることはできないのだ。

 オバマ氏は就任時に、財政改革に関して「厳しい決断を避ける米国の慢性的な習慣」を終わらせると約束した。だがその後、気候変動や移民に関する問題でも見せたように、あまりにも早く退却してしまった。情けないことに、オバマ氏は自ら創設した赤字問題に関する超党派のシンプソン・ボウルズ委員会の提案を無視した。

 さらに明白な問題として、オバマ氏は次の4年間で実行する説得力のあるプランを提示できていない。オバマ氏の選挙戦のほぼすべては、ロムニー氏に対する攻撃、とりわけその裕福さと実業界での成功に対する攻撃に費やされている。

混乱の元はロムニー氏が見せるいくつもの顔

 オバマ氏の失策は、実際的なアプローチを取る共和党候補に勝機を与えている。特に、収支を均衡させ、政府を徹底的に見直すことのできる候補なら、勝機は大きいはずだ。大統領選の最初の討論会で、ロムニー氏はほんの一瞬だけテレビ画面でそうした候補の顔を見せた。

 あの時のロムニー氏なら、本誌は支持しただろう。あるいは、超党派的なやり方で民主党寄りのマサチューセッツ州を率いていた(オバマケアの青写真の先駆けにまでなった)ロムニー氏なら。問題は、数多くのロムニー氏が存在し、その多くのロムニー氏が数多くの危険な約束をしているという点だ。

 外交政策を見てみよう。討論会では、ロムニー氏はほぼすべての外交問題で大統領と同様の立場を取った。だが、別の場所では、好戦的な態度を繰り返し示した。シリアやロシアなど、本誌がもっと強硬な立場を支持するケースもある。

 だが、ロムニー氏はあまりにも簡単にイランを空爆しそうに思えるし、あまりにも無批判にイスラエルを支持し、「パレスチナは和平を望んでいない」というひどく誤った信念を抱いているように見える。そうした好戦的な路線は、就任初日に始まる可能性がある。

 ロムニー氏は就任初日に中国を為替操作国に認定すると約束している。これは中国の新たな指導部に対する無意味な挑発で、事態は容易に悪化し、貿易戦争に陥る恐れがある。

 あるいは、赤字削減や政府の改革を見てみるといい。この分野では、ロムニー氏を支持できる点は多い。ロムニー氏は概ね、本誌と同じく現在よりも小さな政府が好ましいと信じ、官僚主義を改める意欲を見せている。副大統領候補のポール・ライアン氏は、大いに必要とされている社会保障制度改革を果敢に口にしている。

 しかしロムニー氏は、財政の引き締めを訴えるどころか、大規模な減税(その恩恵は富裕層に偏っている)を実施すると同時に、防衛費を劇的に増やそうとしている。それらを合わせると、10年間の赤字はさらに7兆ドル増加することになる。

 ロムニー氏は収支の帳尻を合わせるため、税制の抜け穴を塞ぎ(良いアイディアだが、どの抜け穴かを具体的に示そうとしない)、貧困層を助けている支援プログラムを容赦なく削減する(格差をさらに広げるまずいアイディアだ)つもりでいる。

 オバマ氏は、シンプソン・ボウルズ委員会と距離を置いているとはいえ、少なくとも長期的な解決策には必ず社会保障制度改革と増税の両方を盛り込まなければならないと明言している。

 ロムニー氏はいまだに夢の国にいて、歳出削減ですべてを解決できると考えている。10の歳出削減に対して1の増税を実施することさえも拒否した。企業を支援することは大切だが、マクロ経済の是正の方がはるかに重要だ。

 ロムニー氏の支持者の中でも比較的分別のある者たちは、こうした財政政策を、必要に迫られた詭弁だとごまかす。共和党の予備選で狂信的な有権者を説得するためにこね上げたものだというわけだ。分別ある支持者たちの主張によれば、偉大なる日和見主義者たるロムニー氏は、ひと言も本気で言っているわけではないらしい。

彼を信じたまえ

 もちろん、現在の状況では、正気の人間なら防衛費を国内総生産(GDP)の3%未満(見通し)から4%にまで本当に引き上げたりしないことは、ロムニー氏も分かっているだろう。もちろん、ロムニー大統領なら、たとえ税率を引き下げたとしても、全体的な税収は増えるよう話をまとめるだろう。

 だが、ロムニー氏の経済政策(ロムニノミクス)が理論よりも実践で数字を整える能力を発揮することを認めたとしても、ロムニー氏が路線を完全に引っくり返すと想像するのは非常に難しい。

 選挙に勝った政治家は、選挙戦で約束した多くのことを実行する傾向がある。柔軟なことで知られるフランスの新大統領フランソワ・オランド氏は、十分に現実的な人物なので、公約していた75%の最高税率を実際に導入することはないだろうと思われていたが、今のところその計画を勢いよく押し進めている。

 我々はフランスの左派に騙されたわけではない。米国の右派がフランスの左派よりも柔軟だと考える根拠はない。ロムニー氏はオランド氏と同じように、今後も党に支えられていく。そして党に迎合してきた長い実績がある。

 実際、共和党の過激主義者は、ロムニー氏の最大のハンディキャップだ。民主党にも、御しがたい過激主義者はいる。教職員組合がその一例だ。

 だが、共和党はいまや、中世の宗教裁判で異端者を弾圧したトルケマーダのような者の集まりになり、同党の議員たちは、決して増税せず、米連邦準備理事会(FRB)の議長を解任し、社会政策に関していっそう南部的なアプローチを取るという誓約に署名せざるを得なくなっている。

 ロムニー大統領のもとでは、新しい保守派の最高裁判事が、中絶の権利を保証したロー対ウェイド裁判の判決を覆し、再び州に中絶規制権を与えようとするだろう。移民(オバマ政権下ではほとんど恩恵を得られなかった)と同性愛者(こちらは恩恵があった)の権利も危うくなるだろう。

 本誌が望むのは、ロナルド・レーガン氏のような寛大な保守主義だ。レーガン政権下では、「小さな政府」とは、国が国民に余計な世話を焼かないと同時に、国民の性的嗜好にも介入しないことを意味していた。ロムニー氏には、そうした寛大な保守主義をよみがえらせようという意欲は見られない。

正体の分かっている悪魔

 どちらが大統領になったとしても、本誌の悲観的な見方が間違いだったと証明されることを、本誌は心から望んでいる。

 ひとたびホワイトハウスに入れば、知性の人であるロムニー氏が現実になり、超党派的な解決策をまとめあげて米国政府を改革し、副大統領が共和党内の強硬派の手綱を握るかもしれない。

 また、再選されたオバマ大統領が、過去の失敗から学び、ホワイトハウスを掃除し、風変わりなビジネスマンの言うことに耳を傾け、1期だけで去った場合よりもよいものを残すかもしれない。

 どちらの候補にも、もっとうまくやる素質はある。だが残念なことに、どちらも選挙戦では、それを自分の進むべき道筋として示していないのだ。

 その結果、今回の選挙では、米国民は幻滅の中で選択をすることになる。本誌の読者、特に米国で事業を経営している人の多くは、あと4年オバマ政権が続く以上に悪いことなどないという結論に達しているかもしれない。失礼ながら本誌は同意しない。

 ロムニー氏にはビジネスライクな狙いがあるとはいえ、その経済計画は、同氏が言っていることのほとんどを国民が信じない場合にしか機能しないものだ。それはCEO(最高経営責任者)として説得力のあるやり方ではない。

 一方オバマ氏は、数々の欠点があるとはいえ、米国経済を破滅の縁から引き戻し、そこそこの外交政策を実行してきた。したがって、本誌は既に正体が分かっている悪魔の側に付き、その再選を支持するつもりだ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36470

 

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