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行く当てもなく、ウォール街を早々と去る投資銀行家たち
2012年 10月 29日 15:28 JST
マット・ウォルフ氏(35)は投資銀行で5年働いて、もう十分だと思った。
マンハッタンのモルガン・スタンレー MS -0.35% でバイスプレジデントを務めていたウォルフ氏は、同僚との固い結束を楽しみながらも、限界に達していた。テークアウト(持ち帰り)の夜食を食べた回数は数知れず、妻との旅行を何度もキャンセルし、社交の場では批判的な目にさらされた。給料は高いことは高かったが、金融危機前に見込んでいたほどではなく、そうした犠牲に見合う水準ではなくなっていた。
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Kevin Hagen for the Wall Street Journal
自宅で旅行の荷物をまとめるウォルフ氏(ニューヨーク)
それで先月、退職した。次の職は決まっておらず、唯一計画しているのは向こう数カ月かけてニューヨークから南米までバイクでひとり海岸沿いを南下することだ。ホテルやキャンプ場を探して泊まりながら、新興国市場で仕事を探す。以前より起業家精神にあふれた職業を模索中のウォルフ氏は「自分がしていることに長期的に良い気分でいたい」と話す。
金融危機でステータスも給与も下がり、「方程式が変わった」と語る。
ウォール街の混乱で業界は悪いイメージを抱え、ボーナスや各種手当てが減ったことを受け、ウォルフ氏同様にキャリアを見直す中堅バンカーが出ている。
一流校に通い、給与の高い金融職に就くための競争の激しいインターンシップに参加し、目標だった業界でひと仕事終えたバンカーたちは、代替計画のプランBがないまま去っていく。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が中堅バンカー10人あまりにインタビューしたところでは、確かなのはもう銀行業界にはいたくないという点だけだ。
ウォルフ氏は「この業界の人は、最終目標は何なのかと疑問に思い始めている」と言う。
ウォール街での燃え尽きは新しい現象ではなく、現金をためた後に離職する早期退職者も珍しくない。だが、業界の求人担当者によれば、金融業界で10年近く働いた30代が、脱出計画なしに退職するのは珍しい。
投資銀行に特化したマンハッタンの就職支援会社マーキュリー・パートナーズのマネジングパートナー、ロス・バルティック氏は「今年よくある話だ」と述べた。労働者がプライベートエクイティやヘッジファンドに向かうなか中堅バンカーは自然減少するが、行く先の決まらない退職は新たな現象だという。
給与の低下も、もちろんバンカーがこの職業に伴うコストと利点を検討する大きな要因になっている。調査会社WallStreetComps.comの年次調査によると、2011年は、バイスプレジデント(5〜10年の経験者が就く役職)が1年目に受け取るボーナスの平均が20万3358ドル(約1600万円)と、13%減少した。
一方、ニューヨーク市会計監査局が今月発表したリポートによると、同市では証券業界労働者の11年の平均給与・ボーナスが36万2950ドルと、0.5%増えたものの、金融危機最悪期の直前だった07年の40万ドル強をなお大きく下回っている。
インタビューに応じたゴールドマン・サックス GS -0.23% 、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ(バンカメ)、モルガン・スタンレー、シティグループ C -2.17% 、JPモルガン・チェース JPM -1.22% 、UBS出身のバンカーは退職の理由として、過酷な勤務や運動不足、体重の増加、社会生活の欠如を挙げた。
7月にシティグループを離れたあるバンカーは「バンカーとしかつきあわなかった。なぜなら、バンカーは少なくとも私のライフスタイルを理解してくれたから」と述べた。
オーストラリアのシティグループでシニアアソシエートだったトッド・ローレンス氏(31)は、合併・買収(M&A)が専門。年俸30万ドル近かったこの職を昨年12月に辞めた。7年近く続けてみて、ペーパーワークやプレゼン資料校正より少し前進する仕事をするのに、あと3〜5年かかるとわかったためだ。
ローレンス氏はバンカーとしての生活について、「いいスーツを着て、いい車に乗るなど、うわべだけの生活だ」と述べた。
ローレンス氏は現在、メキシコで銀を生産するベンチャー企業のために無料で働いている。このため、住宅ローンの返済を心配している。しかし、そのリスクを取り、「ただ収入をもたらすことでなく」、個人的充足感を追求するほうがいいと言う。
キャリア変更を目指す企業のプロたち向けオンラインコミュニティー「エスケープ・ザ・シティー」は今年、金融業界の現役や最近退職した労働者75人に調査を行った。賃上げで心変わりするかとの質問に、36%が「わたしの魂に値札はない」と答えた。
ゴールドマン・サックス、バンカメ、シティグループなどの金融機関数社に接触したが、中堅従業員が次の職を決めずに退社しているかどうかについてコメントを控えた。
モルガン・スタンレーの採用傾向に詳しいある人物は、自主退職率は全事業で金融危機以来の最低水準に低下したと語る。
カリフォルニア大学のクリスティーナ・マスラック氏は、燃え尽き症候群では公正と価値の感覚が役割を果たすことが多いと指摘。銀行業界脱出の傾向を1999年頃のITバブル崩壊時にたとえた。当時IT企業では、厳しい労働環境と士気欠如のため、人材が流出していた。
永久離脱ばかりではない。退職後1、2年で業界に舞い戻るバンカーは多い。
実を結んだギャンブルもある。14年にわたり株式デリバティブのトレーダーをしていたアンディ・フランケンバーガー氏(39)は09年、業界を去った。「人としてもっと成長したかった」ためだ。趣味のポーカーで10年にトーナメントに出場し始め、賞金250万ドル稼いだ。
だが、「人生は長い」と言うフランケンバーガー氏は、いつか銀行業界に戻ったり、自らヘッジファンドを立ち上げたりする可能性を排除しないと話した。
記者: Leslie Kwoh
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米国で存在感を増すアジア系移民
2012年 10月 29日 19:37 JST
今年3月、あるインタビュアーがオバマ大統領に対し、「最も著名なハーバード大出身者」の地位に関して、プロバスケットボールのスター、ジェレミー・リン選手に「抜かれた」ことを知っているかと、おどけて尋ねた。この質問は正確ではない。もし、何かで抜かれたとしたら、それはリン選手が、米国で長年疎外されてきたマイノリティ出身の最も模範的な人物として、一時的にオバマ大統領より有名になったということだ。
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The Image Works
米市民権の宣誓式(ニューヨーク州ポケプシー)
リン選手のバスケットコートでの活躍は、彼の出身である社会集団の特徴をまさに体現している。米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターが今夏発表した、アジア系米国人に関する大規模な調査の冒頭の言葉に異を唱える者はいまい。そこには、「アジア系米国人は米国で、最も高所得で、最も教育水準が高く、最も急速に増加している人種グループである。彼らは一般国民に比べ、自分の生活や経済状況、国家の方向性に満足しており、他の米国人よりも結婚、親の役割、勤勉さ、職業的成功に高い価値を見出している」と書かれていた。また、リン選手は今年春、アジア系が圧倒的多数を占めるニューヨーク市の有名校、スタイベサント・ハイスクールの卒業生に送った祝いのビデオメッセージでこう語っている。「君にはできないなんて、誰にも言わせるな」
リン選手は、アジア系米国人の成功に対する皮肉交じりの称賛を意識していたのかもしれない。かつて、ユダヤ人に脅威を感じたハーバード大学やイエール大学などのアイビーリーグのエリートたちは、ユダヤ人学生の入学者数を制限するため、密かに「ヌメルス・クラウズス」と呼ばれる定員枠を設けた。今日、これらの大学の一部はアジア系米国人の学生を差別していると非難されている。最近の調査によると、アジア系米国人の学生は標準試験で白人より高い点数を取らないと入学のチケットが得られないという。この国において全く異なる歴史を歩んできたとはいえ、今やアジア系米国人とユダヤ系米国人は、移民として驚異的な成功を収めたことによる栄誉と少なからぬ重荷とを共有しているように見える。
アジア系米国人は、意欲と意志で成功をつかむアメリカンドリームを最もよく体現している移民グループである。6年前、リアリティ番組『サバイバー』の第13シーズンで韓国系米国人の経営コンサルタント、クォン・ユル氏が優勝したことは、社会科学者の一つの夢の実現であったに違いない。番組の制作者はそのシーズンの出場者を民族・人種別に、白人、黒人、ヒスパニック、アジア系にグループ分けしていた。味気ない方法ではあるが、その大雑把な人種分離は、米国に移住してくる民族同士が水面下で延々と繰り広げてきた戦いを見事に浮き彫りにした。クォン氏の勝利は、抽象的な社会的傾向を鮮明に具現化した。アジア系は、新規移民の数においてヒスパニックを抜いただけでなく、アメリカンドリームを叶える競争でもトップに上り詰めた。
人口動態調査上、アジア系米国人は、中国系、フィリピン系、インド系、ベトナム系、韓国系、日系と定義される。このうち中国系の人口が最も多く、日系が最も少ない。ピュー・リサーチの調査にはさまざまな統計がある。例えば、アジア系米国人のなかで世帯財産が最も多いのはインド系とフィリピン系だ。またアジア系米国人の大半はリベラル派に投票し、日系とフィリピン系は自分たちと異なるグループの人種と結婚する確率が最も高い。中国系は他のアジア系米国人に比べ、両親が自分と同年代だった頃よりも物質的に豊かになったと考える人が多い。
またアジア系米国人は2000〜2010年に人口が46%増え、他のどの人種よりも急速に増加している。アジア系人口は1980〜2010年に4倍になり、その圧倒的多数を中国系が占める。F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』に登場する人種差別主義者のトム・ブキャナンなら失神していたはずだ(と、ロシア系ユダヤ人の私の親戚は言っただろう)。小説のなかでブキャナンは、「黄禍論」をめぐる警戒感をあらわにし、こう語っている。「用心しなければ、白人は完全に埋没するだろう」
この架空の人物が抱く警戒心は今日のわれわれには異質かつ不快に映るかもしれない。しかし、アジア系米国人の驚異的な成功を鑑みれば、それほど多くの米国人が同様の感覚を持たずにいることは、喜ばしい半面、歴史的に奇妙なことでもある。米国というのはこれまで常に、よそ者の急速な同化と、彼らに対する猛烈な反感とが同居する場所であったのだから。
事実、19世紀後半に米国に大量に流入し、多くが未熟練労働者で農園や鉱山で働いたり、鉄道建設に携わったりしていたアジア系移民は、偏見による暴力を受け、時に死に至った。こうした敵意は、やがて法律のお墨付きを得る。まず中国人女性が、それからすべての中国人移民が、そして1924年にはすべてのアジア諸国からの移民が受け入れを禁じられた。真珠湾攻撃後の日系米国人の強制収容は米国の歴史上、特異なものであった。米国国内で、民族の連帯責任を理由に集団で強制収容された移民グループは他に例がない。しかし、移民国籍法がアジアからの移民に門戸を開いた1965年以降、彼らの米国社会への同化は、他の移民グループがしばしば直面する混乱を伴うことなく着実に進んでいった。
Getty Images
映画監督ウッディ・アレン
これに対し、成功と安定という面で最もアジア系米国人に近い状況にあるユダヤ系米国人はどんな道のりをたどってきたのだろうか。中欧・東欧からユダヤ人が米国に移住し始めたのもやはり19世紀後半だった。だが彼らはアジア系米国人が当時遭遇したような残忍な人種的憎悪の的にはならなかったため、より急速に生活を安定させることができた。一方で、アジア系米国人に比べて文化的に押しが強く、社会的野心も大きかったことから、米国でアジア系の受け入れが再開されたときには、アジア系よりも動きを厳しく制限されることになった。
1930年代、米国映画に登場するアジア系と言えばチャーリー・チャンしかいなかった頃、ユダヤ系はすでにハリウッドを作り上げていた。ニューヨークでは1931年の劇団「グループ・シアター」の創設で、ユダヤ系が演出技法と演技に革命を起こした。またユダヤ系は当初、米国政治における傍流の代表に長く君臨していたアイルランド系により公選職から締め出されていたものの、すでにウィルソン大統領の側近アドバイザーとして最高の政治的階級に上り詰めていた。そして1930年代には、フランクリン・D・ルーズベルト大統領お抱えの賢人集団、いわゆるブレーンの中核を形成する。第二次世界大戦が終わる頃には、ユダヤ系は米国社会のあらゆる分野で突出した存在感を示すようになっていた。
ホロコーストという前代未聞の残虐行為の影響で、アイビーリーグのユダヤ系定員枠は廃止されたものの、その後もユダヤ系に対する暗黙の排除や頑なな反ユダヤ主義的思考は根強く残った。社会的野心を抱くユダヤ系が憧れたのは、WASP(白人アングロサクソン系プロテスタント)だけに許された理想郷、例えば高尚なカントリークラブや排他的なプロフェッショナルクラブ、一流顧客のみを相手にする法律事務所、名門財団などである。だがユダヤ系を最も激しく拒絶したのは、まさにこれらの施設であった。1975年になってもまだ、ソール・ベローはインタビューで次のように不満を述べている。「数年前、(ユダヤ系作家のフィリップ・)ロスと(バーナード・)マラマッドと私のことを、文壇の(ユダヤ系の紳士服メーカー)ハート・シャフナー&マークスと呼ぶのが流行していた。多数派のプロテスタントは自分たちが支配力を失ったと思い、われわれの周りにゲットーの壁を築いた」
Getty Images
科学者アルバート・アインシュタイン
ただ、1975年と言えば、ベローがノーベル賞を受賞する1年前だ。彼はこのときすでにピューリッツァー賞を1度、全米図書賞を2度受賞していた。迫害の幻想にいくぶん酔っていたベローの言葉とは裏腹に、ユダヤ系文化人を取り囲んでいたゲットーの壁は何十年も前に倒壊していた。反ユダヤ主義に対する認識はしばしば現実を通り越していた。それはホロコースト以降、ユダヤ人に対して敵意を表す行為は、単なる社会的無礼ではなく、明らかな道徳的犯罪と見なされるようになったからだ。しかし、そこには別の要素も作用していた。名声と社会的権力を得たユダヤ系が、拒絶と排除に対する不満を不相応なほど声高に訴えることがあったのである。
米国社会でユダヤ系が成功する一方で、反ユダヤ主義が根強く残った背景には、多くがキリスト教徒であるアジア系とは異なり、宗教的異端としてのユダヤ系の立場があった。さらにもう一つ理由がある。多くのユダヤ系が米国の社会・政治的反対運動の先頭に立っていたことだ。例えば、アナキストのエマ・ゴールドマンやイッピー(ベトナム戦争時代の反体制的市民)のアビー・ホフマンなどがいる。さらに、米国の大敵、ソ連の共産主義体制を築いた者の多くもユダヤ人であった。新参のユダヤ勢力に押され、WASPエリート層の勢いが削がれるなか、「共産主義者」と「ユダヤ人」はしばしば同義語と見なされた。ハリウッドとモラルの低下、ユダヤ系とハリウッドという連想は、社会にくすぶっていた反ユダヤ主義的感情をいっそう強いものにした。同時にそれは、米国のエンターテインメントに浸透するユダヤ系の感傷と感性を一般国民が受け入れたことの証でもあった。
アジア系米国人はユダヤ系とは逆の道を歩んだ。激しい人種差別とそれに続く移民受け入れの禁止により、アジア系は1世紀近くの間、米国社会での台頭を妨げられた。そしてその後、独特の機敏さでのし上がった。ユダヤ系移民は19世紀にも、ヒットラーから逃れてきた1930年代にも、ソ連から亡命してきた1980年代にも、大部分は無一文でやってきた。今日、アジア系移民は、他のいかなる移民グループよりも高い学歴と多くの財産を伴って米国に到着する。
アジア系米国人は、政治やエンターテインメントといった活動的な世界を避ける傾向がある。これらは、感情を明け透けにする、もしくは感情を簡単にごまかすという、通常ならマイナスと見なされる行為が自然に行われる世界である。感情をあらわにすることを良しとしないアジア文化が、こうした世界を避けたがる要因の一つになっているのだろう。もちろん、文化人や政治家として活躍しているアジア系米国人は大勢いる。しかし、西洋人からはその表情が読み取りにくい顔つきや、深く染みついた慎み深さゆえに、アジア系米国人はどちらかと言えば、脚光を浴びることが少なく、そのため米国人の偏見や嫌悪の的にならずにすんできたとも言える。公共的役割を担うという面では、アジア系米国人は、政治討論で演壇に立ったり、銀幕に出演したりするよりも、弁護士として無料奉仕活動をしたり、医師として公営のクリニックで奉仕したりする場合が多い。
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芸人マーガレット・チョー
しかし、アジア系米国人の驚異的な成功の裏には、あとどのくらいの間、怒りや恐怖心やねたみを引き付けずにいられるかという、暗い疑問がつきまとう。現在の経済的圧力や、アジア系米国人の最大の出身国である中国などの国々との政治的摩擦を考えればなおさらだ。もし中国がいずれ明確な敵対者になったら、中国系米国人の抱く不安は、在米ユダヤ人ロビーの忠誠心が疑われるたびにユダヤ系米国人が抱く不安より、ずっと深刻なものになるだろう。
エイミー・チュア氏が2011年に出版した育児に関する回顧録、『タイガー・マザー』は、あえて挑発的に書かれたこともあり激しい批判を浴びたが、それに火をつけたのはおそらく、特に「完璧な」子どもを育てるという面において、アジア系米国人が抜きんでていることに対する嫌悪感だろう。告白すると、実は私も同書を声高に批判していた人間の1人だ。私はユダヤ系米国人作家として、かつてユダヤ系がWASPエリート層を脅かしたように、別の移民グループのメンバーがユダヤ系の文化的支配を脅かしていることに怒りを覚えたのだろうか。おそらくそうであろう。
米国社会のさまざまな領域でアジア系とユダヤ系が成功を目指し、水面下で競争を繰り広げている様子を見ていると、今後アジア系が文化面で影響力を発揮し始めたら、世の中の慣習や嗜好がどうなるのかが気になってくる。ユダヤ系独特の冗舌さや知的性向、鋭い皮肉や露骨な競争心は、アジア系特有の思慮深さや社会への恭順、そして音楽や科学、数学など、さほど言葉を必要としない分野における才能に取って代わられるのだろうか。物事は、かつてWASPが覇権を握っていた頃のように静かになるのだろうか。
アジア文化の陽気な一面が発揮されれば、そうはなるまい。例えば、ワイルドな韓国系米国人コメディアンのマーガレット・チョーは、ワイルドなユダヤ系米国人コメディアンのサラ・シルバーマンと同じコメディー界に属している。ジェレミー・リン選手自身も、2012年のスタイベサント・ハイスクールへのビデオで、アジア系米国人の友人と共におどけたラップソングを披露している。また、人気テレビドラマ『グリー』に主演し、今年6月に同校の卒業生に直接講演を行った、中国系米国人俳優のテリー・レオン(32)も同様だ。
レオンは20分間の講演のなかで、ジョークを言い、大声で叫び、軽妙な皮肉を言い、からかったり、挑発的な言葉を発したりした。ある場面では、安定を求める両親に中流志向を捨てさせ、彼らの抱くアメリカンドリームの概念を根本から覆したと、得意気に語っていた。あえて言うなら、彼はまるである種のユダヤ人のように聞こえた。言い換えれば、彼はどこか別の国から米国にやってきて、やがては米国に昔から伝わる無遠慮さとバイタリティーを改めて体現するに至る、すべての移民と同じように聞こえたのである。
―筆者のシーゲル氏には4冊の著書がある。近著は電子書籍の『Harvard is Burning』
記者: Lee Siegel
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ロムニー氏とオバマ氏、支持率拮抗=オハイオ州最新世論調査
Washington Wire−米国政治をワシントン支局が分析
2012年 10月 29日 11:12 JST
登録したうえで投票する可能性が高い「ライクリーボーターズ」を対象にした米オハイオ州の最新の世論調査で、民主党現職のオバマ大統領と共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事の支持率が拮抗(きっこう)し、この1カ月でオバマ大統領がリードを詰め寄られていることが明らかになった。
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AFP/Getty Images
期日前投票をする有権者(15日、米オハイオ州)
オハイオ州の8大新聞社による連合組織「オハイオ・ニュースペーパー・オーガニゼーション」の世論調査によると、同州での各候補者の支持率はいずれも49%となっている。調査はシンシナティ大学政策研究所が行ったもので、許容誤差は±3.1ポイント。
政策研究所のエリック・ラデマッハー氏は地方紙アクロン・ビーコン・ジャーナルに対し「無党派層のオバマ氏とロムニー氏の支持率は現在、最初の世論調査のときにも増して拮抗している」と語った。
別のオハイオ州の地方紙シンシナティ・エンクワイヤラーは、両候補について「有権者を敬遠させている点でも互角」だとし、それぞれ29%の有権者がオバマ氏またはロムニー氏が当選したら嫌だと回答していると指摘。
オバマ大統領は2008年はオハイオ州で18人の選挙人を獲得しており、1カ月前の同世論調査では51対46でロムニー氏をリードしていた。オバマ大統領は最新の調査で女性の支持率は2桁を維持しているが、男性の支持をロムニー氏に奪われている。
オハイオ州の有権者の約5人に1人が、期日前投票を行ったとしており、その結果では63%対36%でオバマ大統領が上回っている(ただし、この質問の許容誤差は±7.5ポイント)。世論調査は1015人のライクリーボーターズを対象に、最後の候補者討論会が行われた22日を挟んで18日〜23日の期間に行われた。オハイオ州の有権者を対象にしたその他の一部世論調査でも結果は伯仲しているが、州全体を対象とした大半の世論調査でオバマ大統領が依然優位に立っている。
記者: Sudeep Reddy
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