http://www.asyura2.com/12/jisin18/msg/892.html
Tweet |
高層ビルが林立する米ニューヨークは地震が起きない都市として知られる
【警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識】大地震が“起きない”国での悲劇 放棄された石油採掘の町
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130517/dms1305170708001-n1.htm
2013.05.17 夕刊フジ
日本で国際的な地震学会が開かれたことがある。そのとき、夜中に震度3の地震があった。日本人なら「ああ、地震か」と思う程度だろう。
しかし、世界の地震学者は違った。肝をつぶして飛び起きた。「あれは何だ?」、という騒ぎになったのだ。
そう。地震学者でも地震を体験したことがない学者が世界には多い。
世界には日本のように地震が頻発する国と、地震がない国がある。例えばイタリアやギリシャを除くヨーロッパのほとんどの国も、カナダやオーストラリアやインドも地震がほとんどない。
これはプレート(地球の表面をおおっている固い岩の板)が衝突していたり、割れたりするところ以外では地震が起きないせいなのである。
だが、地震を知らない地震学者とは、まるで動物を見たことがない動物学者のようなものではないか。それで学者が務まるのだろうか。
でも、違うのだ。世界の地震学者の8割方以上は、地震から出る地震波の伝わり方を調べることによって、地球の内部を研究する学者なのである。日本では反対に、8割以上が地震そのものを研究している。
X線も電波も通らない地球の内部を自由に通りぬける地震波は、地球の内部の情報を運んできてくれる有能なリポーターなのである。実は私はその両方を研究してきた少数派の科学者なのだ。
ところで、1つの国の中で、地震が起きるところと地震が起きないところがはっきりと分かれている国がある。例えば、米国はカリフォルニア州など一部の州だけにしか地震は起きない。ニューヨークにもシカゴにも地震は起きないのである。ロシアも中央アジアや千島列島やカムチャツカのような辺境にしか地震が起きない。
地震が起きるところが辺境にしかなかったために悲劇が生まれてしまったことがある。
1995年にサハリン北部で直下型地震(M7・6)が起きた。そのとき中層アパート群が一瞬のうちに倒壊してがれきの山になり、人口の8割、2500人もの犠牲者を生んでしまった。
この町、ネフチェゴルスクは石油採掘のために作られた新しい町だったが、地震後、町は放棄された。いまは記念碑だけが立っている。
倒れたのはソ連時代の「標準型」のアパートだった。首都モスクワで設計されて、かつてのソ連全土で同じものが建てられていたものだ。地震がないモスクワなら、これでよかった。モスクワでビルを造っているのを見ると、柱を立ててその上に床を置き、また柱を立てて…と、まるで積み木のような建て方をしている。
そのような設計で造られたアパートは、北海道の隣のサハリンで、日本にはよく起きる直下型地震に遭遇したら、ひとたまりもなかったのである。
■島村英紀(しまむら・ひでき)武蔵野学院大学特任教授。1941年、東京都出身。東大理学部卒、東大大学院修了。理学博士。東大理学部助手を経て、北海道大教授、北大地震火山研究観測センター長、国立極地研究所所長などを歴任。『直下型地震 どう備えるか』(花伝社)など著書多数。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。