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東京湾で不気味な小規模地震が頻発中 巨大地震の前兆はこんなにある 首都直下巨大地震 これが最終版「危険地帯」マップ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34040
2013年04月01日(月)週刊現代 :現代ビジネス
火災や木造家屋倒壊の危険などこれまでいくつもの危険度マップが公開されてきたが、巨大地震を生き抜くためにはまだ情報が足りない。キーポイントは隠れた「活断層」「谷地」「河川」だった---。
■死者の8割が集中した場所
「日本だけではなく、いまや全地球規模で、地殻の活動が活発になっています。先日(日本時間10月28日)、カナダで発生したM7・7の巨大地震も東日本大震災と相通ずるものと考えていい。'04年のインドネシア・スマトラ島沖地震あたりから、ニュージーランド、日本、南米など環太平洋造山帯での地震活動は、非常に活発になっています」
立命館大学歴史都市防災研究センターの高橋学教授はこう指摘する。実際、私たちの住む日本でも不気味な地殻の動きが起きている。
たとえば、東京湾の最奥部だ。今年9月頃から、東京湾の中央部、羽田空港の東方約10~15km付近で、M1・0~2・0前後のごく小さな地震が頻発していた。そして、この動きは10月下旬まで1ヵ月近くにわたって継続したのだ。
これらの小規模地震の震源は、深さ約20~30km。これは今年3月、東京大学地震研究所が「従来の想定より10km浅い位置にある」として発表した、最新の東京湾北部地震の震源モデルが示した深さ約25km付近という震源と、ほぼ重なる(参考・首都直下地震防災・減災特別プロジェクト最終成果報告書)。
もし首都直下地震のひとつである、東京湾北部地震が起こればどうなるのか。今年4月に発表された東京都の被害想定によれば、死傷者は最大15万7252人、建物11万6224棟が全壊、20万1249棟が火災で焼失するとされる。
「『結局、地震の予知はできるのか、できないのか』。今秋の地震学会では、そんな議論になりましたが、いずれにしろ首都圏にも地震は確実に来ます。はっきりいつかは分からなくとも、それがさして遠い未来ではないということは多くの研究者が一致しているのです」
前出の高橋学教授は嘆息する。
「いずれにしても、私たちが巨大地震に備えておかなければならないことには、何の変わりもありません」
大変動期に生きる私たちは、たとえ専門家が予知に成功しようとしまいと、いつ巨大地震に襲われてもおかしくないのだ。
そこで本誌は、通勤・通学や買い物、レジャーなどで多くの人が訪れる、首都圏の中心部に絞って、地域ごとの危険度が分かる詳細なマップの作成を試みた。
まずは上のマップを見てほしい。これは従来、東京都などが公表してきた火災や建物倒壊などの危険度マップを重ね合わせた上に、独自の3つのポイントを追加した最終版と言うべきものだ。
ポイントのひとつは、「現在は埋め戻されたり、暗渠(埋設された水路)になった河川や堀、海」の位置。
なぜこうした「旧河道」に注目するのか。それは高橋教授が発表し、学界で注目された次のような研究成果があるからだ。
「阪神・淡路大震災で人が亡くなった場所を調べると8割以上が旧河道に集中していた。つまり、昔は川だったのに埋め戻されたり、川筋が変えられたりしている場所がとくに危険だと分かったのです」(同前)
河川と同様に、湖や沼、海を埋め立てて作られた土地も地盤は弱く、危険性は高い。だが実際、都市のどこがかつて川だったのか、どこが海だったのか。東京の街を見渡してみても、いまとなってはまず、分からないだろう。
■日比谷公園は死地
そこでまず、マップで東京の中心・皇居の東側に注目してほしい。ここはかつて「日比谷入江」と呼ばれた海だった。だが天下人・徳川家康が慶長11(1606)年にかけて行った江戸城と江戸の大土木工事、「第一次天下普請」によって埋め立てられ、すっかり陸地となってしまった。
一見して分かるように、日比谷公園や皇居前広場はすっぽりとここに収まる。高橋教授は「大地震のとき日比谷公園などでは周囲より揺れが大きくなり、群集が混乱すれば危険なうえ、液状化の恐れもないとは言えない」と警告している。皇居周辺にいるときに被災し、とっさの避難をするならば、江戸時代以前も高台だった北の丸公園だろう。
あるいは近くにいたならば、大手町1丁目の「平将門の首塚」周辺の高層ビルに逃げ込むのも手だ。同所は古代には湾に面した小高い土地で、江戸時代以前から社が鎮座していた。
一方、隣接する霞が関の官庁街を見てみると、庁舎は旧日比谷入江に入らない区画に建てられている。建設時から地盤の問題に気づいていたのだろうか。その割に、一般市民への注意喚起は特段、見当たらない。
日比谷入江を南に辿るとサラリーマンの憩いの場である新橋の歓楽街(ただし新橋駅はかつても陸地)や浜松町周辺も海だったことが分かる。卸売市場のある築地、日本の金融センター日本橋兜町も同様だ。
次に、海から離れた西側に目を転じてみよう。
新商業施設ヒカリエのオープンに沸く渋谷を見ると、その名の通り谷地に存在することが分かる。宮益坂、道玄坂など渋谷から周辺に抜ける道に「坂」が多いのもそのためだ。
この谷は、武蔵野台地を渋谷川と宇田川が削りとってできたもの。長い年月の間に川筋は何度も変わっており、渋谷の低地帯全体が旧河道にあたると言ってよく、その地盤の強度には心もとない部分もある。実際、独立行政法人防災科学技術研究所の公表しているデータによると、地震の揺れに対する地盤の弱さを表す「地盤増幅率」が渋谷駅周辺では1・76だ。防科研によれば、1・6以上だと「弱い地盤」と判断されるので、ここが要注意地区であることは明らかだ。ちなみに、高台にあたるNHK放送局の周辺は1・45で格段に安全な場所に建っていることが分かる。
渋谷駅は一日に約280万人の乗降者数を誇り、これはフランス・パリの人口約220万人より多い。大地震の際、地盤の弱さのせいで揺れが増幅されれば、群集の混乱と被害の拡大は避けられない。
ちなみに、若者のファッションの発信地、原宿・竹下通りもかつては渋谷川の支流のひとつだった場所。娘が原宿に入り浸っているというお父さんにはぜひ知っておいてほしい。
渋谷と同じく、人口が密集する新宿はどうか。実は新宿区には古い木造住宅が密集する地区が多く、火災のリスクが非常に高い。大地震の際は消防もすべての地域にはやってこない。新宿駅周辺の歓楽街は、そうしたエリアに囲まれているため、むやみに脱出・帰宅しようとせず、比較的新しいビルなどに逃げ込もう。
ただしここでも、いまは忘れられた河川には注意が必要だ。地図中、甲州街道に沿って新宿南口から新宿御苑の北辺を流れるのは、人工河川である玉川上水でそれほど軟弱な地盤が広がっているわけではない。
一方、西武新宿駅付近から旧コマ劇場北辺を通って眠らない街・歌舞伎町を貫く川筋と、地下鉄新宿三丁目駅と新宿御苑前駅の中間にある太宗寺付近から流れる川筋が新宿文化センター付近で合流する蟹川には注意が必要だ。
さて、マップの新宿付近を見て、ギョッとした方も多いと思われるのが、大きな点線で描いた「活断層の疑いがあるライン」だ。
「新宿断層」と仮称されるこの断層は、東京大学地震研究所の佐藤比呂志教授らが「不確定だが」という条件付きで発表したモデルに基づくものだ。
佐藤教授らは、埼玉県内の荒川低地で地下の構造を調査中に、都心方向に延びる地層の盛り上がりを発見し、活断層の疑いが濃厚であると判断した。
現在のところ、この断層が通過する正確なラインは分かっていない。北は御茶ノ水や神田を通る線、南は目黒や三軒茶屋を通る線に囲まれた範囲内のどこかだろうと考えられている。
だが、どこを通るにしても、都心を縦断する巨大活断層が存在するならば、それが引き起こす地震が、東京全体に甚大な被害をもたらすことに変わりはない。
■危険度No.1は飯田橋
そして、東京を縦断する断層は他にも見つかっている。マップで飯田橋から四ツ谷にかけて走る長い断層。これはさらに北のJR田端駅近くから約7kmにわたって延びる活断層の存在を示唆する断層だ。調査を行った元日本活断層学会副会長の豊蔵勇氏に聞いた。
「私たちが発見したのは、第四紀断層といって、正確には活断層そのものではありません。活断層を火事にたとえれば、その煙のようなものです。活断層の活動に派生して生まれた断層なのです」
飯田橋の断層は約20万年前から最低6回、9万年前からだけでも2回動いており、「これからも動く可能性がある。だから今後きちんと調べないといけない」と豊蔵氏は言う。
「新宿断層は北西-南東方向の荒川低地帯に延びていますが、飯田橋のような向きの断層もある。
都心には隙間なく建物が建っていますが、私たちはその開発時の地盤調査データから精度のよいものを取捨選択して分析しました。でも、工事現場で地層のズレが見つかった、という報告はあまりないんです。たとえ見つけても、建物の下に断層があるなんて、誰も言いたくないですからね」
豊蔵氏らは飯田橋のほかにも、信濃町駅付近から防衛省の敷地下を抜ける断層や、九段から皇居に沿って半蔵門に至る断層も推定している。また、この九段断層の南延長線上の麻布十番でも新たに工事中に地層のズレが観察されたという。
「本来、こういう調査はボーリング調査データを持っている公的機関が、きちんと行うべきだと思いますね。
日本人が甘いのは、たとえば中国なら北京がやられても上海がある。米国もワシントンDCがダメでもニューヨークがある。政治と経済の中心は別なんです。ところが東京が被害を受ければ、政治も経済も一度にダメになってしまう。復興に時間がかかり、世界経済の発展や技術の進歩からも取り残される。日本人は事態の深刻さをまだよく理解していないような気がしますね」
最後に今回のマップ作成を通じて浮かんだ、とくに危険な地帯をお知らせしよう。飯田橋駅周辺だ。
先述の巨大活断層が通る可能性があるだけでなく、飯田橋の北側は江戸時代以前、白鳥池という大きな池があった低湿地だ。北からの旧平川、西からの紅葉川が合流する地点でもあり、外濠より神楽坂側の現在の道路は、紅葉川を埋め立てて作られたものだ。
この旧河道と活断層が重なる可能性がある地域に、首都高速5号池袋線の高架橋が通る。鉄道はJR、東京メトロ東西線、南北線、有楽町線、都営地下鉄大江戸線があり、1日あたり総計約28万人が乗降する交通の要衝となっている。
だが、たとえばJR飯田橋駅東口から避難することを考えると、誤って神楽坂方面に進めば火災の広がりやすい地域にぶつかる。広域避難所である後楽園方面に避難するには老朽化した高速道路の下を、また地盤のより安定した九段方面に逃げるにはJRの高架橋をくぐる必要があり、細心の注意が必要だ。
生き抜くために役に立つその土地の歴史。近づく巨大地震で、あなたや大切な人の生死を分けるのは、そのときまでに、どれだけ危険についての知識を集められるかにかかっている。
「週刊現代」2012年11月17日号より
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