★阿修羅♪ > 自然災害18 > 770.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
フランスでは取り入れられている免震構造が日本の原発には使われていない。東京都庁ビルも免震構造ではない。
http://www.asyura2.com/12/jisin18/msg/770.html
投稿者 taked4700 日時 2013 年 3 月 28 日 16:17:37: 9XFNe/BiX575U
 

フランスでは取り入れられている免震構造が日本の原発には使われていない。東京都庁ビルも免震構造ではない。

 福島第一原発事故で「免震重要棟」という言葉が使われた。放射線防護が整った建物と言うイメージだが、実際には免震装置が付いた建物と言う意味だ。では、原子炉自体に免震装置は付いているかというと答えはノーだ。原子炉建屋の免震構造は採用されていない。現在建設途中の大間原発でさえも原子炉建屋の免震構造の採用を全く検討していない。

 現状は、高度情報科学技術研究機構(以前の原子力データセンター)によると「最近の免震構造の施工例と有効性の確認事例の主なものを挙げる。原子力分野では、南アフリカ連邦のKoeberg軽水炉(1984年)やフランスのCruas軽水炉(1984年)の原子炉建屋に免震工法が適用された。国内では、軽水炉原子炉建屋に対する試設計や原子力発電所の電気計装盤への検討が行われた。更に、FBR原子炉建屋に対する設計や安全上重要な原子力機器を免震構造化した場合の有効性評価法の開発が行われた。原子力分野以外では、海外において、建屋、光学機械、コンピュータ施設及び文化財等への実用化例が、国内では、建屋及びコンピュータ施設等への実用化例がある。変電施設を対象とした機器免震の研究例もある」( http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=02-02-05-06 )ということで、フランスなどで免震構造を取り入れた原発もあるということだ。

 ここで、日本の超高層ビルの免震構造採用の状況を見てみよう。平成21年12月に行われた(財) 溶接接合工学振興会・特別講演会での講演「原子力発電所・超高層建築の耐震問題」 首都大学東京 名誉教授 西川孝夫 氏 によると現状は次のようになっている。

 「近代社会を支えてきた超高層建築は、1963 年にホテルニュータニができたのが最初で、1982〜1991 が最も建設数が多く、1992 年以降には免震設計のビルも登場している。日本に100m 以上の超高層建物が 400 棟程度、60m 以上の高層建築物は 2,000 棟以上あり、60m 以上の超高層建築物では動的設計を行い国土交通大臣の認定が必要である。年度別の高層建築物の高さ分類、用途別(ホテル・病院、住居系等)の変遷が BCL((財)日本建築センター)評定・性能評価件数として報告されており、近年、住宅系が増加している。BCL 設立以前(1965 年以前)の超高層建築物として、ホテルニューオータニ、霞ヶ関ビル、1970 年代の 200m 級高層建築物では新宿住友ビル(210m)、新宿三井ビル(225m)、サンシャイン 60(226m)、1990 年代の超高層建築物では東京都庁(240m)、横浜ランドマークタワー(296m)等の例が示された。建造方式が技術の変遷で替わり、RC 造(鉄筋コンクリート造)のザ・シーン城北、CFT(コンクリートを充填した鋼管)構造の川口エルザタワー、超高層免震第 1 号の仙台MTビル、積層ゴム、鉛ダンパー、鋼棒ダンパーを設備した六本木ヒルズレジデンス D 棟、中間層免震の汐留め住友ビル、低降伏点鋼ダンパーによる王子製紙本社ビル、低降伏点鋼ダンパーによる鴨川グランドタワー、低降伏点鋼と座屈補剛材、補剛ブレースの東京宝塚ビル、オイルダンパーの六本木森タワー、粘性体ダンパー(壁体)による PCP丸の内 1 丁目計画等各種の免震方式の開発が進められた」( http://www.jipa-japan.or.jp/h21.12.8nishikawa.pdf より一部引用 )

 つまり、1991年以前のものは免震構造を取っていないということになる。東京都庁ビルはどれも竣工が1990年だから免震構造はとっていない。

 この講演「原子力発電所・超高層建築の耐震問題」では原子力発電所について「新耐震指針では、鉛直地震動による動的設計が採用され、水平・鉛直の両方向で動的設計が行われ、動的設計が全面的に採用されることになった。平成 18 年以降、新指針では、大間原子力発電所が建設中である」と述べられていて、今現在日本に存在する原子炉は免震構造どころか、鉛直方向の揺れに対して耐震設計がされてきていないことを示唆している。実と言うと、日本のほとんどの建築物について、鉛直方向の揺れについては耐震設計が検討されていない。単に、水平方向の揺れに対しての耐震性能の半分の耐震性能が鉛直方向にもあるはずだと規定されているだけなのだ。

 日本の高層ビルのほとんどは地面を掘り下げて硬い岩盤、もっとも硬い岩盤と言っても砂岩とか泥岩の岩盤か、またはそういった岩盤ではなくて砂と小石のようなものが入り混じった砂礫層の固い部分まで地面を掘り下げて、その上に5mとか8m程度の厚さのコンクリートの板を基礎として造って、その上に建設されている。ところが、こういった構造の時は、地震衝撃波、つまり、従来言われている地震波のP波とかS波ではなくて、もっと高周波のほとんど揺れを伴わない衝撃波を広範囲から集めてビル本体へ入力することになる。

 問題は、免震構造を取っているビルでも、こういった地震衝撃波に対応ができるかどうかだ。積層ゴムによって地震衝撃波の吸収ができるのではと言う話もあるが、実験で確認されてはいない様子だ。

 更に、免震構造の問題点として、そもそも、長時間、つまり、5分とか10分間も続く大揺れに対して対応できるのかと言うことがある。

「原子力施設の耐震設計 建物・構築物への影響評価」( http://www.aesj.or.jp/information/0527-1550nishikawa.pdf) では次のような項目を挙げて耐震設計が機能しない可能性を示している。

以下部分引用:

極限挙動に関する検討項目
 積層ゴムの引張力・座屈の発生
 擁壁との衝突
 免震部材の特性劣化
鋼材ダンパー・鉛プラグ入り積層ゴム・高減衰積層ゴム・すべり支承
 免震層下部構造剛性が低い場合
<極限状態モードに影響を与える事象>
・免震層での浮上り
・擁壁との衝突
・免震部材のハードニング・座屈
・免震部材の復元力劣化・破断
・上部構造の降伏

以上部分引用終わり。

 上の指摘には地震衝撃波についての検討は含まれていない様子だ。しかし、地震衝撃波の効果は震源からかなり離れていても地震自体のマグニチュードが大きければかなり強く表れる。100キロ程度離れていてもマグニチュード7程度の地震であれば鉄筋コンクリートの建物が座屈する事例が数多く観察されている。困ったことに日本の土木工学学会とか地震学会は衝撃的な地震波の存在について、現在の地震計にその記録が取られていないから存在そのものがないとしてしまっている。しかし、既に何名かの専門家が現行の地震計の特性が高周波の地震波を捉えられないものになっていることを実験を持って示している。

 最も大きな問題は、原子炉建屋について、地震衝撃波の影響や直下型地震による鉛直方向の強い揺れがどんな影響を与えるか一切分かっていないことだ。実験をすることができないためであり、全ての対策は想定でしかない。この意味でも、少なくとも原発は至急廃炉にして乾式キャスクで使用済み核燃料を保管するべきだ。

*6月8日の記事「近づく戦争・テロ社会、これらの動きを止めるべきでは?」から一連番号を付しています<<1403>>TC:38687, BC:22433  

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. taked4700 2013年3月28日 17:43:50 : 9XFNe/BiX575U : 33AuHSV8gs
NHK放送センタービルも竣工年が1973年。

http://bb-building.net/tokyo/deta/578.html


02. 2013年3月28日 18:31:55 : NrnWIa4XYo
免震構造が無いよりは有る方が良いのですが、免震構造も制震システムに比べればアクションが後手になるので効果は劣ります。
更に制震システムであっても、これはある地震波を想定してシミュレーションをしてそれに対してコンピューターで計算し能動的アクションにより共振を防止するものです。
しかしその制震システムであってもその前提となる実際の地震波が想定となるものと異なる場合は想定外と言う事になる場合もあるのでやはりアクションが後手になり、共振が防止しきれない場合もあるようです。
結局、日本では巨大構造物は向いていないと思います。
学校だて住居だって、高台、内陸の安全な土地に平屋か低層階の小規模建物を分散配置させていれば、巨大地震でも津波でも大した事はないのです。

03. taked4700 2013年3月29日 11:29:35 : 9XFNe/BiX575U : xlVhMisNzo
http://blog.livedoor.jp/mineot/archives/51981423.html
2013年03月11日17:00
カテゴリ
米国の免震事情
1年ほど前に投稿された記事であるが、”What's Happened to Seismic Isolation of Buildings in the U.S.?”という記事を見つけた。日本やイタリアでは免震建物がたくさん建設されているのに、なぜアメリカではできないのか?について考察している。アメリカは1990年代前半には積極的に新しい免震構造を採用しようという動きがみられたものの、その後は失速してしまったかのようだ、という。その要因には単に技術的な問題だけでなく、経済的(Economic Barriers)、文化的(Cultural Barriers)、法的(Regulatory Barriers)な障壁があるという。

経済的障壁
アメリカではいくつかの事例を除いて、日本と同じように初期投資(イニシャル・コスト)が重要視され、ライフサイクル・コストやリスクマネージメントは考えられていない。免震構造にした場合、構造体の5%から15%ほどコストは高くなるものの(建物の全体の建設コストに対する比率ではないことに注意)、地震が発生したときの建物の被害や機能性維持などを考えれば経済的に優位である。もし保険業者が耐火建築などを促進したのと同じような保険の優遇策を提供するならば、免震技術のような高度な地震対策の使用を促進するだろう。

文化的障壁
アメリカでは、地震活動が活発な地域は、カリフォルニア、ネバダ、オレゴン、ワシントン州およびアラスカのような地域に限られていて、一般の市民は耐震問題が全国的な課題であることを認識していない。一方、日本、ニュージーランド、イタリアなどの国では地震は全国規模で脅威と感じている。したがって、市民の地震に対する意識も高く、免震のような技術を適用しやすい。アメリカでは発生頻度が非常に低い地震に対して時間や費用を費やすことに興味は示さない。建物を建設するときに耐震性能を少し向上させることを提案したら、「なぜ、そんなことをしないといけないのか? 設計基準(Code)は耐震構造を求めていないぞ」という回答。耐震基準は最低の安全基準であり、耐震性能を高めるには追加の設計・施工のコストが必要であることを説明したら、「設計基準のとおりにいこう(Let's just go with the code.)」というのが典型的な回答。(日本でも同じ状況ではないだろうか)

法的障壁
アメリカでは1991年にUBCコードができ、法的な整備も進められてきた。しかし、免震構造が実用化されて30年の実績を積んでも、複雑な応答解析と複数のピアレビューが必要で、全てのプロジェクトごとに免震部材の実大実験が求められる。これらはコストアップの要因となり、プロジェクトの遅れをもたらしている。日本では2000年に建築基準法の下に新しい基準が設けられた。これは免震建物の設計を応答スペクトルに基づいて行うことができるように簡略化したもので、ほぼ1/3の免震建物の設計で使われている(この数は多すぎる!)。アメリカでは設計基準が複雑で使用するのを難しくしている。

日本では建物免震が3000棟くらい、戸建て住宅免震は5000棟くらいある。非常に多くの免震建物がつくられてきているが、それでも通常の耐震建物の数に比べたら微々たるものでしかない(アメリカに比べれば格段に多いかもしれないが)。もっと免震建物が増えることで地震の被害を抑制できるようになることを期待したいが、免震建物の設計では地震動の影響を受けやすいため細心の注意も必要である。健全な免震建物が増えるように努力していかなければならない、と思っている。

東日本大震災からはやくも2年が経過した。
免震建物は地震に対しては効果を発揮した。しかし、津波に対しては・・・。
まだまだやることは残っている。

******************
何か論旨が明確ではないと感じますが、どうやら、アメリカの原発は免震構造を取っていないということらしいですね。免震は基本的に横揺れ対策でしかないので、アメリカのように固い地盤が多いところでは縦揺れ、衝撃波被害が主なものであるはずで、そのために免震構造を採用しないのかもしれません。


04. 2013年3月31日 06:11:20 : txKoq6KBVw
聞けば聞くほど、日本の原発は砂糖菓子のようにモロいことがよくわかるわ

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 自然災害18掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

アマゾンカンパ 楽天カンパ      ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 自然災害18掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧