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日本沈没の科学 ― 防災に役立つ?地球科学の雑学
第6回/マグニチュードと断層面積
山岡耕春(やまおかこうしゅん)
名古屋大学
大学院環境学研究科 教授
「Q&A日本は沈む」では「マグニチュード15や20の地震はあるのでしょうか?」という趣旨の質問を取り上げました。震度は地面の揺れの強さを表す指標で、人間が決めたものです。震度の区分(震度階)は国によって異なったものを用いていますが、日本で用いられている震度の最大は7と決められています。それに対してマグニチュードは地震のエネルギーから数学的に換算した量ですから、その上限があるとすれば自然の側に法則があるはずです。マグニチュードにはいろいろな計算法がありますが、そのなかで最もイメージしやすいのは断層の面積と断層のすべりから換算したマグニチュードです。これはモーメントマグニチュードとも呼ばれています。
地震とは、よく知られているように岩盤が内部の断層面に沿ってすべる現象です。モーメントマグニチュードのもととなる地震モーメントは断層面の面積とすべった長さ(すべり量)の積で表せます。ほとんどの場合、すべり量は断層面のサイズ(長さや幅など)と比例しますので、事実上マグニチュードは断層面の大きさで決まると見なすことができます。通常、断層面は長方形で近似することが多く、最近主流となった横長のテレビ画面のような形をイメージします。テレビ画面のサイズを対角線の長さを用いて表すように、ここでも断層面の大きさを長方形の一辺の長さで表しましょう。
さて、断層面の大きさはマグニチュードが1増えると約3倍になります。そうするとすべりも3倍、面積は10倍になりますから、地震モーメントは約30倍になります。地震モーメントと地震のエネルギーは比例しますので、地震のエネルギーも約30倍になります。マグニチュード5の地震の断層は約3kmですから、マグニチュード6の地震では10km、マグニチュード7は30km、マグニチュード8は100kmと増えていきます。この調子で増やすと、マグニチュード10は1000km、マグニチュード12は10000kmと、理屈ではどんどん増やすことはできます。しかし地球の直径は約13000kmですから、もしマグニチュード12の地震が起きたら地球が真っ二つに割れてしまうことになります。
このように地震のマグニチュードには上限があることがわかりました。ただし、実際には断層面としてずれるのは地球の表面付近に限られますので、マグニチュード12の地震が発生することはありません。歴史上最大の地震は1960年に発生したチリ地震でマグニチュード9.5でした。2004年に発生したスマトラ沖の巨大地震はチリ地震に次ぐ規模の地震で、マグニチュード9.3程度と推定されています。
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