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活断層大地震に備えるために
第9回/活断層の真上に建つ敦賀原発
鈴木康弘(すずきやすひろ)
名古屋大学災害対策室長
福井県の敦賀原発は活断層の上に建てられている…。かねてから議論のあったこの事実を、敦賀原発を運転している日本原子力発電株式会社は、2008年3月末に初めて認めました。正確には原子炉自体は断層の真上ではありませんが、敷地内を浦底断層が通っていて、排水路が断層を横断するため切断の危険性があり、原子炉と断層の距離は200mしかありません。「もし仮に浦底断層が動いて地震が起きても、その強い震動に対して原子炉は重大な損傷を生じない」と電力会社は説明しています。私は建造物の強度については専門外のため、その妥当性はわかりませんが、少なくともこれは、初めから活断層があることを前提に設計した結果ではありません。
1号炉が作られたのは古く、当時は活断層調査が十分には義務づけられていませんでした。1981年の2号炉や、2004年の3,4号炉増設審査の際には詳細な活断層調査が行われましたが、「活断層ではない」とされてきました。2004年の3,4号炉増設の審査の際には、電力会社が提出した調査結果に疑義が持たれ、再調査が命じられました。そのため、電力会社は大がかりなトレンチ調査(下の写真)を実施して、最終的に活断層であることを認めました。従来は、「数万年間動いていないため再活動の危険性はない」としてきたにもかかわらず、実際には数千年前にも活動していたことが明らかになりましたから、20年以上、誤った評価が行われてきたことになります。
敷地内に活断層が走るということは非常に深刻です。東洋大の渡辺教授らと現地見学を行ったところ、断層がずれた痕跡は極めて新鮮でした。北側が隆起すると同時に横方向にも大きくずれているため、トレンチ調査で確認できる上下方向のずれよりも実際には数倍のずれ量を持っていることもわかりました。
また、一般にこのような断層は小規模な分岐を伴うことも多く、現在確認されている「一本の断層」しか存在しないのかどうかにも疑問が残ります。原発建設前の1963年に撮影された航空写真を見ると、活断層の疑いがある地形が数か所あり、本来、原発建設前にこうしたものを対象にした徹底的な調査が必要です。建設当時にも相当な調査が行われていますが、「敷地内に活断層がある」という緊張感の中で、疑いのあるものを徹底的に追及したかどうか気がかりです。
それでも、「従来から活断層の存在はある程度織り込んで原発設計が行われたのかもしれない」と関係者は言います。原子炉は断層から遠ざけるように、西側の山を切り開いて平地を作り、そこに配置しています。原子炉の下も掘り下げ、複数見つかった小断層の性状を詳細に調べたそうです。
建設当時と現在では、情報公開に関する常識も大きく異なり、また活断層調査を今ほど十分には行わなかった時期に1号炉が建てられてしまったという背景もあり、一概に批判できる状況ではないかもしれません。しかし敦賀原発は未だ現役であり、敷地内を活断層が貫いているという極めて緊迫した条件下に置かれていることは事実です。そうした状況を知らずに建ててしまった例として、今後の取り扱いが注目されます。
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