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海底断層、データベースに
文科省、巨大地震対策を充実 長周期震動は被害予想図
文部科学省は2017年度までに日本列島周辺にある海底断層のデータベースを作成する。将来の地震発生確率や規模を割り出すのに活用し、地震予測の精度を高める。関東沖や西日本で巨大地震が発生した際の長周期地震動による被害予想地域を地図にしたハザードマップも13年度末までに作る。東日本大震災を教訓に地震・津波対策でこれまで手薄だった研究分野を強化する。
海底断層は従来、産業技術総合研究所や海上保安庁、海洋研究開発機構や海底資源開発各社が別々に調査してきた。船から音波を発して海底下の地形を調べる手法が主流だが、断層の認定基準や地形データの縮尺が統一されていなかった。
文科省は各研究機関や企業の協力を得てデータを集め、専門家らの意見を反映させて断層の認定基準や縮尺を一本化する。これをもとに沿岸部から千島海溝や日本海溝、西日本沖の「南海トラフ」や関東沖の「相模トラフ」までの海底下にある断層のデータベースを作る。13年度からの5年間で完成させる計画で、初年度の必要経費として約6億円を13年度概算要求に盛り込んだ。
また、13年度末までに、南海トラフや相模トラフの巨大地震による長周期地震動のハザードマップをまとめる。日本列島を縦横250メートルずつの格子で区切り、長周期地震動のうち周期が3.5〜20秒の揺れの速度や継続時間を詳細に地図上に表記する。
文科省はこれまで、南海地震や東南海地震、宮城県沖地震による長周期地震動のハザードマップを公表してきた。だが、マグニチュード(M)9.0を記録した東日本大震災の後は各地の地震想定が上ぶれする傾向にあるため、南海トラフや相模トラフで起きるM8〜9級の巨大地震についても長周期地震動の想定を作り、防災に役立てる。
海底断層
地層や岩盤に力が加わって割れ、割れた面に沿ってずれ動き、食い違いが生じたものが断層で、海底や海底下の土中にある場合を海底断層と呼ぶ。複数のプレート(岩板)が互いに押し引きすることで生じる。13万〜12万年前以降に動いたものが海底活断層で、地震や津波を比較的起こしやすい。
長周期地震動
周期が数秒から十数秒のゆっくりした揺れ。ガタガタとした普通の揺れに比べて振幅が大きく、長く揺れ続ける。
震源から遠く離れていても減衰しにくく、数百キロ離れた場所でも高層ビルなどは大きく揺れることもある。震源の大きさを表すマグニチュードが大きくなるほど起こりやすい。
海底断層 境界型との連動懸念
東日本大震災では陸側と海側のプレート(岩板)の境界面が大きくずれた。同じようなプレート境界型地震が南海トラフや相模トラフで起きる危険性があるが、同時に震源に近い海底断層がずれれると、地震や津波が巨大化する。東京大学や海洋研究開発機構は1月、南海トラフで東西約200キロメートルに達する巨大な海底活断層を発見。プレート境界型地震との連動が懸念される。
1995年の阪神大震災は神戸市直下の活断層で起きた。その後、文部科学省は陸上の活断層の調査を優先して進め、海底活断層への対応は後手に回っていた。今後は海底断層のデータベースを作った後、地質調査などで過去にずれた形跡のある活断層かどうかを調べ、地震の確率や規模の想定を進めるつもりだ。
長周期地震動は周期が短い通常の地震動に比べ住宅や低層ビルへの被害が少なく、対策が手薄だった。だが東日本大震災では大阪府の咲洲庁舎(大阪市)が大きく揺れて内装材が損傷するなど、震源から遠く離れた高層ビルにも被害が出た。
南海トラフや相模トラフの巨大地震でも、離れた場所に立つビルやガスタンクに長周期地震動の被害が出る可能性がある。長周期地震動に特化したハザードマップを作って公表すれば防災対策の完成度を高められる。
[日経新聞10月23日朝刊P.]
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