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南海トラフ巨大地震、この被害想定では「住民も街も守れない」
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投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 23 日 07:13:13: cT5Wxjlo3Xe3.
 


南海トラフ巨大地震、この被害想定では「住民も街も守れない」

防災意識のズレと、打てない対策に困惑のキーパーソン
2012年10月23日(火)  渡辺 実 、 原 如宏

 内閣府が発表した「南海トラフ巨大地震」の被害想定を受け、静岡県下田市を緊急取材した“チームぶら防”。前回、南海トラフ巨大地震の被害想定がどういった背景で作られたのかについて、鋭く切り込んだ防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏。そんな“防災の鬼”が次に注目したのが、地元の自治体や企業、さらに所管する静岡県が、今回の被害想定をどのようにとらえているのかだ。その取材で目にしたのは、この内容では対策の取りようがないという困惑するキーパーソンたちの姿だった…。
 最大でマグニチュード9。東日本大震災に匹敵する海溝型地震が、東海地方から西日本にかけて襲ったらどうなるのか――その答えが、内閣府の中央防災会議防災対策推進検討会議の下に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」が2012年8月29日に公表した、「南海トラフ巨大地震の被害想定(第2次報告書)」である。

今回発表された南海トラフ巨大地震の被害想定では、10メートルメッシュで津波の高さが公開されている。その前の今年3月に発表した第1次報告では50メートルメッシュでの想定値だったことから、過去の想定から数倍に跳ね上がった数値に全国の自治体から驚きと困惑の声が上がった
 報告書には今までとは比べものにならない、最大で34メートルの津波、死者数は最大32万3000人に上るなど、驚愕の数値が連ねられていた。確かにここまで最悪を積み重ねて考えておけば、「二度と“想定外”などという、関係者にとって屈辱的な言葉を使わなくて済むだろう…」と思えるほどの衝撃的な内容だ。
 そんな被害想定に対してうがった見方をするならば、研究者の「東日本大震災で失った権威や自信を取り戻したい。もう、惨めなさまを世間にさらしたくない」という悲壮感にも似た決意のようなものが込められているように思える。だからこそ渡辺氏は、過去1度も連動したことのないエリアを震源域とした、南海トラフ巨大地震の科学的根拠に疑問を呈したのだ。

チームぶら防が訪れた静岡県下田市。海抜2〜3メートルという市の中心部は、ほぼ全域が津波に襲われると予測された
防災における「諦め」は「死」を意味する
 そうした一方で、渡辺氏は下田取材の前から、今回公表された南海トラフ巨大地震の被害想定結果を「被災する地元住民たちや自治体が、どのように受け止めているのか、そこが最も重大な課題なんだ」とスタッフに語っていた。もしも住民たちに「そんな巨大地震が起こったら、もう助からないよ…」という諦めの意識が広まってしまうと、「防災・危機管理の面において最悪の事態だ」と渡辺氏は恐れるのだ。
 果たして、残念ながら防災の鬼の懸念は的中してしまう…。
 「今回、静岡県下田市までやって来て、被害想定発表後の街中を見て回った理由の1つは、地元の様子や市民の声を肌で感じたかったからだよ。正直なところ、市民の中からは懸念していた“諦め”という雰囲気が感じられる…」と渡辺氏。どうしたものかと、その視線は遠くを見つめるばかりだ。

「人間諦めが肝心というが、防災に関しては諦めることは死を意味する。さらに一人の諦めが地域にとって防災体制に大きな影を落とす。みなさん落ち込まないで、元気だそうよ」と渡辺氏
 渡辺氏の嘆きを聞いていたプロデューサーS。「もちろん避難するよう努力しますが、15メートルの津波が来るといわれたら、心のどこかで諦めてしまうだろうなあ…仕方ないよって。これって、渡辺さんが顔をしかめるほどダメな考えなんですか?」と素朴な疑問をぶつける。
 「当然だよ! 防災には“公助”の前提のもとに、“自助・共助”という考えが前提となっている。自分で自分の命を守り、さらに周りの人も助けるわけだ。そんな中でだれか一人が『もう、イイや!』と諦めてごらん。どうなると思う?」(渡辺氏)と逆に質問を返した。
 「う〜ん、私も一緒に諦める…ということはないですが、さすがに見捨てることはできないので、逃げるように必死で励まします」(Sプロデューサー)

「防災に強い町にするには、住民の意識も重要だ。最悪の状況でも、決して意気消沈してはならない」(渡辺氏)
 「そうだろう。でも、助けるのに手間取ってごらん。二人とも津波にさらわれてしまうよ。ただでさえ周りに高齢者の多い地域は、助け合いがより重要になる。だから諦めるなんて論外。諦めることは、避難の足手まといになることを率先して選ぶという意味になるからね。皆で一丸とならなければ、共助の精神が仇(あだ)となりかねない。しかし、現実にはこの課題が津波避難には大きくのしかかっている」と渡辺氏。防災・危機管理に取り組むときの精神論を熱く語る。
 さらに「これまでの防災対策が無に帰す可能性もある。諦める人が増えて、事前の対策が実行されなければ、防災なんてできないのだよ。だからこそ今回、下田に来て大きな不安を感じてしまった。ここ静岡県は、全国で最も防災意識の高い地域と言っていいだろう。それなのに、長年積み上げてきた防災教育が、途方もない被害想定によって台無しになりかねない。人というのは、恐怖に立ち向かうことなく、案外簡単に目を背けてしまうものだからね…」と渡辺氏は不安を隠さない。
 フーッとため息をつき、「この分だと、行政も困惑しているに違いない。防災担当者に話を聞いてみよう」といいながら下田市役所へ向かって歩き出した。

下田市役所へとやって来た渡辺氏。2階建て、2棟からなる下田市庁舎。新しい庁舎でも昭和54年に建てられたという。耐震性にもおいて、「この建物は厳しいぞ。早く対策しないと…」と防災の鬼のチェックが入った
国と県、2つの被害想定に困惑する地元自治体
 下田市役所を訪れたぶら防一行を迎えてくれたのは、下田市の防災担当監となる、市民課の峰岸勉課長だ。訪れた日も市議会があるという多忙なスケジュールの中、快く防災の鬼を招き入れてくれた。

「市役所の海抜は2.5メートル。大きな津波がくれば一発でアウトだ。災害対策の要になる強い役場を作った方がいいね」と渡辺氏
 渡辺氏は開口一番、「率直なところ、今回国から発表された南海トラフ巨大地震の被害想定に対して、どう思っているのですか?」と、ずばり防災担当者の本音に迫った。峰岸課長も「今日は本音で話しましょう」といい、「今回の被害想定は、ビックリするような数字だけを出し、『あとは自分たちで考えろ!』といわれているように思えます。正直、どう受け止めてよいのか、判断できませんでした」と困惑する心境を語り始めた。

下田市役所市民課の峰岸勉課長。「着任後に東日本大震災が起き、さらに今回は南海トラフ巨大地震の被害想定という課題が突きつけられました」と胸の内を明かす
 特に今年3月、南海トラフ巨大地震の第一次報告が発表されたときは、下田市民にも動揺が広がったという。「このとき伝えられたのは、最大25メートルという津波の高さだけでした。このため市民の多くが、下田市全域が25メートルの津波に襲われると受け止めてしまったのです」と峰岸課長。つまり、海抜が25メートル以上ないと助からないのではないか。自力ではどうしようもない…諦めという負の連鎖が起きたのだ。
 「本来、行政はこうした混乱を抑えなければいけない」という峰岸課長。しかし、混乱を収拾したくても「何も情報がなくて、抑えることができなかった」と当時の状況を振り返る。「市区町村は、想定される津波が起きたらどこに逃げればよいのか。そのための避難路はどうするのか。こういうことを住民から問われます。下田市としては、今回公表された被害想定に対して対策を考えるのが仕事ですが、『発生頻度は極めて低い』とか『正しく恐れてほしい』という言い方を国にされてしまうと、住民が納得するような説明をするのは非常に難しいのが現状です」(峰岸課長)。
 過去には、静岡県内で東海地震対策の指針となる「アクションプログラム」のとりまとめにも参画したという渡辺氏。しかしながら南海トラフ巨大地震の被害想定は、「過去25年余りにわたって積み重ねてきた東海地震の被害想定とギャップがありすぎる」と指摘する。

「防災対策の指針となる被害想定が、急に跳ね上がってしまった。これでは対策の取りようがないでしょう」(渡辺氏)
 さらに8月29日に公表された第2次報告書では、下田市に最大33メートルの津波が来るという想定結果が出された。「今回33メートルが予想された場所は、人家のない狼煙(のろし)崎付近です。下田湾沿いで最大15メートルとなっています。でも15メートルの津波は、これまで静岡県が想定していた東海地震で予想される津波の高さ、5.6メートルの約3倍です」と峰岸課長。
 新想定による新たな行政課題も出ている。本来なら高台へ避難できなかったときの逃げ場となる津波避難ビル。しかし、「うちのビルは15メートルより低いから…」という理由で、数棟のビルから指定解除の要請が市民からあったという。多少詳しい被害想定が出たものの、自治体として市民の生命を守るための抜本的な解決策は何ら見いだせていないのが実情のようだ。
 「今回訪れた下田市にかかわらず、巨大津波が襲うとされた自治体は、どこも津波対策に追われている。しかし、何から手を付けていけばいいのか分からない、という自治体も少なくないだろう。つまり、自治体がこの被害想定結果を受け入れるには、あまりにも唐突で認識や意識のギャップが大きすぎて、被害想定結果をリアルに受け入れられない」と渡辺氏は天を仰いだ。

下田公園から最大33メートルの津波が来ると想定された狼煙(のろし)崎方向を望む。写真中央やや右奥、突き出たように見えるのが狼煙崎。想像していたよりも近い。左下は下田海中水族館
“見切り”を付けなければ防災対策は作れない
 四半世紀にわたって延々東海地震対策に取り組んできた静岡県や市町の被害想定や防災対策の成り立ちを踏まえた上で、防災の鬼らしく渡辺氏は「どうです。いっそのこと、国が示した南海トラフ巨大地震の被害想定なんてものはいったん“棚上げ”して、これまで通り、確実に起きる東海地震の対策にまい進すると宣言してみては?」と提案する。

今の段階では対策の取りようのない国の被害想定。「住民に『棚上げして大丈夫』と言えればいいのですが、難しいですね」と峰岸課長。鬼の想定外の提案に理解を示しつつも、戸惑いを隠せない
 もちろん冗談ではない。あえて渡辺氏が「棚上げする」と言った裏には、「今のまま自治体が市民と一緒に迷走することだけは避けなければならない」という理由がある。「私が思うに、国はそれなりに考え抜いて、想定外だった3.11を踏まえて、今度は想定外が起こらない最悪の事態を想定した被害想定結果を世に出した。ところが、逆に行政や市民にとっては想定外の話となり、混乱を招いた。これはあってはならない論理矛盾を起こしてしまった」(渡辺氏)という。
 この鬼からの予期せぬ提案には、峰岸課長も思わず苦笑い。「渡辺さんがいうように、住民に対して『いったん棚上げして大丈夫』と言えればいいのですが、現実的には難しいですね…」と返すのが精一杯だ。でも、しっかりメモをしていた。
 そんな峰岸課長に渡辺氏は、「もちろん、全く何もしないのはダメだよ。言いたいのは、下田市の防災の目標を静岡県の3次想定、もしくは現在策定中の4次想定に置くべきだということ。国がいう33メートルや15メートルという数字は逆にリアリティがない。現実味を持って市民に注意を促せるのは、県が東海地震対策として想定した5.6メートル、あるいは近いうちに4次想定で出される想定津波の高さではないか」と迫る。

実行可能な意味のある防災対策を練り上げるには、「見切ることも大切」と説く渡辺氏。正しく見切れるかどうか、首長や自治体関係者の責任は重い
 「私が自治体で防災計画のお手伝いをするときは、真っ先に首長(市長)と会い、実行可能な防災対策目標を作るために、『見切ってください』(やれる範囲を決めること)と進言してきた。地に足が着いた目標がなければ、防災対策を作れない」と身を乗り出す渡辺氏。
 そんな鬼の迫力(?)につられてか、「被害想定を出すときに、出しっ放しではなく、国としてどういうサポートをするのか、明確にしてほしいと思います。ソフト面はともかく、ハード面に関しては、市で勝手にできるものではありません。防波堤や道路の整備、幼稚園や学校の移転などには、億単位のお金がかかります。市の財政でやれといわれても無理です。国の支援がなければ、何も対策は取れません」(峰岸課長)と訴える。これには防災の鬼も深くうなずいた。
 最後には峰岸課長も「確かに2つの被害想定が出ても、市民は数字の大きい方だけに目がいってしまいます。まずは確率の高いものを当面の目標とする。そして具体的にどんな対策をするのか、市として提案できるように考えていきたいですね」と納得したようだ。

下田市の地図を前に、今回の被害想定について説明する峰岸課長。渡辺氏も取材というより、「現実的な打開策を検討しましょうよ」と真剣に問いかける
 思いが通じた! という表情をした渡辺氏。「そう、その通り。市民と同じ目線で困っていてはダメだ。行政責任を果たしたことにはならないからね。国から何といわれようが、市の行政は市長が最高責任者。市の地域防災計画も国の承認を得る必要はない。県と調整して、市の防災会議で承認されればよいのだからね。市民が困惑してしまった今、市として明確な防災の哲学を持って取り組まないといけないのだよ」(渡辺氏)。
 実は、今年7月19日に国が出した「南海トラフ巨大地震対策について中間報告」には、極めて巨大な災害になることから対応すべき津波を2つのレベル(※)にわけて対処することを示している。しかし、8月に公表された最終報告で示された新想定では、この「レベル2」の津波による巨大被害想定結果にスポットがあたってしまった。「ここにも大きな問題があるんだ。メディアの取り上げ方についてもね。下田市や静岡県化の自治体や市民が迷走している根本原因として、国がこの対策方針をもっと丁寧に説明すべきだった」と渡辺氏は無念の表情を表した。
※南海トラフ巨大地震対策で考慮すべき2つのレベルの津波
【レベル1の津波】海岸管理者が設定する、発生頻度は比較的高く、津波高は低いものの大きな被害をもたらす津波
【レベル2の津波】発生頻度は極めて低いものの、発生すれば甚大な被害をもたらす最大クラスの津波
 「南海トラフ巨大地震の被害想定は、国から具体的な対策(施策)が出てこないと、県も市も身動きが取れない。現段階は、行政力と資金力でやれる対策を考えていくしかない。ここに目標値を置くということを、市民との間に約束する。そして行政と市民とが一体となってこの戦いに挑んでいくこと、それが今一番必要だろう」と渡辺氏。防災にかける熱い思いは尽きることはない。
 短時間だったが本音を語ってくれた峰岸課長への取材に、心なしか満足げな渡辺氏。「さあ、次はどこだ?」と、力強い足取りで下田市役所を出る防災の鬼の背中を見ながら、プロデューサーSがぼそっとつぶやいた。
 「講演、お疲れ様でした…」

水深15〜42メートルほどあるという、下田港の湾口部に建設が進む「下田港防波堤」。完成すると東側(赤根島側)が500メートル、西側(須佐里崎側)が400メートルというハの字型の防波堤が出来上がる。「巨大津波を防波堤で完全に食い止めることはできないが、津波の力を減衰させる効果はある」と渡辺氏は指摘する
観光の立て直しにも水を差しかねない新想定
 「まだまだ話し足らない(えっ?)。次は地元企業のキーパーソンに話を聞こう」と声を弾ませる渡辺氏。チームぶら防は市内を移動して、下田商工会議所へとやって来た。伊豆半島のほぼ突端に位置する下田市の中心産業は“観光”だ。「南海トラフ巨大地震の被害想定が彼らの事業にどんな影響を与えるのか? 生の声を聞きたい」(渡辺氏)という。下田で商売をしている地元企業、そして企業をまとめる立場にある下田商工会議所は、新想定をどうとらえたのか? 防災の鬼が同会議所の田中豊会頭を直撃した。

下田の観光と震災対策の現状について語る、下田商工会議所の田中豊会頭
 まず聞きたかった「今回の新しい被害想定で、観光客の出足に影響は?」という渡辺氏の問いかけに対し、田中会頭は「まだそれほど時間がたっていないので、正直なところ未知数です。今後、影響がでるかもしれません」と答える。
 「下田の観光面に関しては、やっと東日本大震災時に急減した状況を脱して、お客様が戻りつつあります。何しろ、震災後の昨年4月と5月は、通常の9割ダウンという散々たる状況でしたから。その後、夏になっても7割減。1年間を通して見れば、2割減といったところです」(田中会頭)
 「9割減ですか!」と思わず驚きの声を上げた渡辺氏。続けて「でも、お客さんが戻ってきたというのは、この状況下では明るい兆しですね」とほほえみかける。

「ひやぁー、大打撃ですね」と、売り上げが9割減という話を聞いて驚く防災の鬼。東日本大震災の震源域からは遠く離れた下田市。しかし、その経済的な影響はすさまじいものがある
 「私たちも危機感を持ちまして、今夏は“サマーフェスタ”と銘打って、下田では初めて夏を売り物にした企画を実行しました。こうした効果もあってか、海水浴客を含め、下田を訪れた観光客数は、ほぼ一昨年のレベルまで回復しました。もっとも、年々観光客数が減少していますから、さらに努力をしなければいけません」と田中会頭は話す。
 ようやく東日本大震災の影響から立ち直りをみせ始めた下田の観光業。そんな矢先に発表されたのが、南海トラフ巨大地震の被害想定だった。渡辺氏も真剣な表情に変わり、「残念ながら、南海トラフ巨大地震の被害想定は、地道な努力に水を差す可能性がありますよね。津波対策など、話し合われていますか」と質問を続ける。
 「現段階では下田商工会議所として、話し合ってはいません。その前に住民がどこへ、どうやって避難するのか。これを決めることが先です。話し合う中で、避難経路が決まると思います。こうした対策が出来上がってから、下田商工会議所としての取り組みに移れると思います」と田中会頭は答える。その上で、「私は下田湾に併設する道の駅の運営会社も経営しています。そのため、独自に対策は考えています」といい、暫定的な対策について説明してくれた。

「国は5分以内に行ける範囲に、避難場所を確保してほしいという。しかし、大勢のお客様を最後の一人まで避難させるのは、なかなか難しい」と田中会頭
 「被害想定では、道の駅の浸水域(地面の高さを基準に、水が浸かる高さを示す)が、11.29メートルとなっています。道の駅の建物は4階建てなのですが、4階フロアの床は10.4メートルの高さしかありません。県が発表した東海地震の被害想定(3次想定)では、津波の高さが5.6メートルでしたので避難場所になると考えていたのですが、南海トラフ巨大地震では不十分な高さになってしまいました。そこで裏手にあるホテルに協力いただき、お客様を避難させることを考えています」(田中会頭)。
 観光客を避難させるには、時間以外にも課題があると田中会頭。特に問題なのは、「お客様が、下田市内のどこで被災されるかが分からないこと」という。道の駅のような観光施設であれば、来訪者に対して適切な誘導はできる。しかし、市内を見物しながら歩いているときに地震が起こった場合、避難誘導もままならないのだ。
 「現状、市内を歩いているお客様は、どちらの方向へ逃げたらいいのか、目安になるものがありません。商工会議所として、海抜や避難路が分かる標識や標示を作ってほしいと、市に要望を出しています」と田中会頭。歩いていたり、車で移動する際に、自然とどこの海抜が高くて安全なのかが分かってもらえるような仕組みが必要だという。

市内を歩いていると、所々、海抜表示が示されている。ただし数が少なく、なかなか目にとまらない
 そんな田中会頭の話を聞いていた、ぶら防スタッフのライターH(原)。「今回の取材で市内を方々歩いてみましたが、所々に海抜表示が掲示されているようですが…」と質問をぶつけた。

「今のところは、地元の住民と一緒に避難するのが有効です」と田中会頭。楽しい観光のひとときを満喫しつつも、頭のどこかで万一の状況を想定しておくことも必要だろう
 「確かにあるにはあるのですが、目立たないのですよ。津波ということで青い色が使われています。東日本大震災後に静岡県が統一したマークに変更したのですが、それ以前は住民でさえ気づかないほどの状況でした」(田中会頭)と苦笑いするばかりだ。そして「今のところは、街の中で地震に遭われた場合、地元の住民と一緒に避難してもらうのが有効な手立てだと思います。住民に対しても、声をかけて避難を誘導するように協力を求める必要があります」(田中会頭)と悩ましい状況を語った。
 海抜表示のサインが町の至る所で目に入るというのは、景観上好ましいとは言えないだろう。かえって観光客の不安をあおるということにもなりかねない。「情緒ある町の風景を損なうことなく、観光客の安全を守るためには、何をすべきか。この課題は下田市に限らず、多くの自治体で頭の痛い問題となりそうだ」(渡辺氏)。
防災には地域発展を見据えた“ビジネスセンス”も必要
 渡辺氏に「さて、最後に防災・危機管理の裏側を紹介しよう」と言われてやってきたのは、下田市内にある静岡県賀茂危機管理局。「下田市役所と下田商工会議所では、地元をまとめる立場の人から、率直な声が聞けたからね。ここでは、普段は表だって語られない、突っ込んだ話をしたいのだよ。テーマをいうならば、国と県の間で繰り広げられてきた“防災ビジネス”だね。防災ビジネスとは、誤解を招く表現かもしれないけど、防災を糧にして地域を発展させるくらいのビジネスセンスや大胆な仕掛け、戦術・戦略が必要だという意味だよ」と言って防災の鬼が笑った。

チームぶら防が向かったのは、下田市の小高い場所にある静岡県賀茂危機管理局
 渡辺氏からは、何度となく「防災は政治だ」と聞かされてきた。地方自治体が防災・危機管理の対策をするには、莫大なお金が必要となる。その資金をどこから集めてくるのか。当然ながら国である。問題はどうやって予算を確保するかだ。この点において静岡県は、「東海大震災対策」という名の下に予算を集め、県民全員で全国には類のない防災対策を展開してきた。
 渡辺氏は「1976年、当時は東大地震研究所の助手だった石橋克彦氏が、地震学会等で東海地震の危険性(駿河湾地震説)を発表した。この話をスルガ銀行の講演会で話したことがきっかけとなり、『明日、地震が起きてのおかしくない』と危機感が盛り上った。さらに、当時の静岡県知事の山本敬三郎氏、そして焼津市出身の故・原田昇左右衆議院議員らの働きかけによって、『静岡県=防災』という道が切り開かれたんだよ」と静岡県の“防災ビジネス(戦術・戦略)”の発端を説明する。
 続けて、今度はやや冷ややかに「今回の南海トラフ巨大地震被害想定は驚愕の内容だが、見方を変えるとうまい“仕掛け話”に変わる。国がいうように、死者が最大で32万3000人にも及ぶような巨大地震なら、この先、死者を減らすための対策をしなければいけないからね。過去、東海地震対策として『大規模地震対策特別措置法』(大震法)が制定されたように、この被害想定を発表した国はその責任において、できるだけ早急に南海トラフ巨大地震対策の特別立法を作り、予算を付けて国を挙げて守っていくことが求められる。しかし、現状はどうだ? この被害想定が公表された後、肝心な国会が閉会して何にも議論していないではないか!」と怒りを語った。

下田市をはじめ、周辺地域の防災を取り仕切る静岡県賀茂危機管理局の垣内俊一局長
 「さぁ、静岡県が何を考えているのか、聞こうじゃないの」と意気込む防災の鬼の前に現れたのは、静岡県賀茂危機管理局の垣内俊一局長。「いやぁ、お久しぶりです」とあいさつされると、鬼の表情が一転。「あれぇ、以前は広報を担当されていたよね。今、こんな防災の最前線にいるの? いやはや大変だね…」と局長室は和やかなムードに包まれた。
 緊張が緩んだところで、渡辺氏は「じゃあ、ずばり聞くよ。大震法を活用して東海地震対策を進めてきた静岡県だけど、今回の南海トラフ巨大地震の被害想定を受け、静岡県としてはどんな“防災ビジネス”を仕掛けようとしているのかな?」と口火を切った。



開口一番、「さて、静岡県は今回の被害想定で、どんな“防災ビジネス”をやるつもりなの?」と取材を始めた渡辺氏
 垣内氏は「ええっ、防災ビジネスですか…」と言葉を詰まらせながらも笑顔を見せ、「ビジネスというか戦略というか、川勝平太知事は『内陸フロンティア』という構想を持っています。津波が来ない内陸側に新しい街を作るという考えです。今年4月に新東名高速道路が開通しました。また、沼津ICから下田市の敷根公園付近まで、全長約60キロメートルの『伊豆縦貫自動車道』が計画されています。そこで現状、農地や林業用にしか活用できない土地の規制を解除して家を建てたり、工場を建てられる特区を作ろう、という考えです」と答える。
静岡県内陸の新たな街づくり「内陸フロンティア」とは?
 静岡の内陸側での新しい町作り――突拍子もない夢物語と思われる方もいるだろうが、この話に至るきっかけがあったと垣内氏はいう。それは、2009年8月11日に起きた静岡沖地震である。このとき、御前崎市、牧之原市、焼津市、伊豆市は最大震度6弱という強い揺れに見舞われた。幸いなことに、東海地震対策が進んでいる静岡県内の住宅は、半壊が5棟(一部損壊は7907棟)で、全壊した住宅はゼロだった。
 その一方で、弱さを露呈したのが東名高速である。吉田IC〜相良牧之原IC 牧之原SA付近(牧之原市静谷字源間山)の上り車線が約40メートルにわたって崩れ、4日間(8月15日24時に復旧)も通行止めとなった。


 静岡県知事が提唱する「内陸フロンティア」の概念図。新東名沿いに特区を作り、住民や街を移転させるという、壮大な計画だ。垣内氏は「正直なところ、全戸移転は難しいでしょう。そこで巨大津波対策として海岸線沿いは観光施設だけ残し、住居だけでも内陸側へ持っていけないか。そんな長期的な安心・安全な街作りのビジョンを模索しています」と語る
 「この出来事が知事に危機感を植え付けたようです。もし大きな地震が来たら、東名高速は使えなくなる可能性が高い。それこそ南海トラフ巨大地震は、県外から支援を受けなければ手が間に合いません。計画では西からの支援を受けることになっていますが、当然、南海トラフ巨大地震だとまず支援は期待できないでしょう。すると、東側からの支援に期待するしかない。この観点からも、御殿場でつながった新東名高速道路は大きな役割を果たすのではないでしょうか」(垣内氏)
 「内陸フロンティア」という、大きな絵を見せられた防災の鬼。「これこそ、究極の防災対策」と絶賛しつつも、「あとはどれくらい具体的な話として落とし込めるのか…」と感想をもらした。そして「実際のところ、もう国への働きかけを始めているんじゃないの〜?」(渡辺氏)と、優しい口調で垣内局長の本音に迫ろうと試みる。

壮大な計画の「内陸フロテンィア構想」だが、「国への働きかけはまだ」だと垣内局長は明かす
 垣内局長、「まだですね」とあっさり。「南海トラフ巨大地震を前提とした法律がありませんから、動きの取りようがありません。もっとも法律ができたとしても、実現できるかは未知数です。海沿いの街は、東名高速と新幹線が通り、とても便利です。首都直下地震の切迫性があっても、東京から離れたくないという理由と同じで、便利な場所から人を動かすのは困難です。向こう数年で足がかりを作れるかどうか、といったところではないでしょうか」(垣内氏)。
 「なるほどね。県としても、現状は国の対応待ちということだ。国の動きというと、2011年12月に施行した『津波防災地域づくりに関する法律』くらいかな。これは地震が来る前に、津波に襲われると想定された地域では、容積率を緩和して高いビルを建てたり、都道府県が集団移転促進事業の計画を作ってもかまわないという法律。この法律を使って対策を考えるというのも、一つの手かもしれない」いう渡辺氏。「ただし、困ったことに予算が明確になっていないのだよね」と付け加えた。

お互い顔見知りだという垣内局長と渡辺氏。それだけに内輪の話が多く、付いていけない話題が盛りだくさん。渡辺氏自身は、久しぶりに会った友人と語り合ったかのごとく、取材後はとてもスッキリした表情だったが…
被災地と見なして、地震が起こる前に対策を実行せよ
 東日本大震災の後、岩手県宮古市田老地区で、住民側に立った支援活動を、被災後約1年にわたって続けてきた渡辺氏。この活動の中で、“みなし被災地”という新しい概念・言葉を提言した。田老地区では巨大津波が、海面から高さ10メートルという世界最大級の防波堤を乗り越え、街を破壊し尽くした。過去を振り返ると、明治、昭和そして平成と、3度の巨大津波に襲われているこの街。「4度はない!」というキャッチフレーズを作り、住民と一緒に全戸の高台移転を目指したが、防波堤よりも高い“国の壁”が立ちはだかり、全戸移転は頓挫し一部高台移転になってしまった。
 「津波で被害に遭った住宅は国からの支援がある。しかし山側に、3.11の巨大津波で幸いにも残った住宅は支援の対象にならない」(渡辺氏)。今回はたまたま助かっただけの住宅は防災集団移転の対象外となり、あくまでも国が支援するのは被災住宅のみ、と国はいうのだ。そこで渡辺氏は、「今回は無事だったとしても、次の巨大津波では被害に遭うかもしれない。被災した住宅と同じと見なして、支援すべきだ」と訴え、活動を続けた。結果的に実りはしなかったものの、この見なし被災地という概念は、南海トラフ巨大地震の被害想定を受けて、浸水被害が予測される沿岸市街地では大きく議論されるべきテーマだろう。

「この地域は高齢化が進んでいますから、もしも地震が起きたら最後、街を復興できないのではという懸念を強く持っています」(垣内氏)
 垣内氏も「これは個人的な意見ですけれど…」とした上で、「南海トラフ巨大地震で被害を受ける地域は、国内の製品出荷額でみると5割を担っています。対策をせずに巨大地震が起きたら、とんでもない経済損失になります。内陸フロンティアもそうですが、高台移転など、地震が起きる前に被害を最小限にする努力をした方が、結果的に安上がりになると思います」と指摘する。さらにもう一つの問題として、住民の高齢化を挙げる。
 「全く同感だね。でも今は、豪腕を振るえる政治家が誰1人としていない。全体的に小ぶりな政治家ばかりで、とても国と戦えそうにない。実践的な防災ビジネスを展開するには、これが大きな障害かもしれないね。大阪の橋下徹市長が代表を務める『日本維新の会』に期待している人もいるだろうけど、公表された『維新八策』には、防災の“防”字も入っていない。今回の被害想定をみても、大阪だって激甚な被害が出るのにだよ。一つくらい入れてほしかったよ」(渡辺氏)と、最後は冗談半分に指摘するのだった。
 「私も昔は国の仕事もお手伝いしてきたけれど、防災・危機管理ジャーナリストと名乗り始めてからは、形骸化した形だけの国の仕事は断っている。だからこそ、『大丈夫か?』といいたかったのだよ。国には数字(口)だけ出すのではなく、実行力を伴った国策を早く打ち出してほしい。まずはそこからだ」といって、本音が随所に飛び出した下田市のキーパーソン3人との取材を締めくくった。
(構成・文=原 如宏)

次はどこへ? 我らが防災の鬼、渡辺氏の下田・ぶらり防災はもうちょっとだけ続く…
“ぶら防”に参加した学生による
防災ラジオ番組も放送開始!
 この連載に登場している国際ボランティア団体「IVUSA」に参加する岩村友香里さん(日本大学4年生)、生田目有美さん(法政大学3年生)、石井将さん(国士舘大学3年生)ら、現役の大学生。現在、彼らは防災番組「大学生が防災ラジオを始めました」を制作している。この番組内の連動企画として、「渡辺実のぶらり防災・危機管理」も放送される。
 放送は10月から全国25局あまりのコミュニティFM局で、順次拡大していく予定。お近くの地域に該当するコミュニティFM局のある方は、こちらのラジオ番組もお楽しみに。なお、一部のコミュニティFMはPCやスマートフォンでも聴けます。
・FMびゅー(北海道室蘭市) (土)17:30〜18:00
・ラジオふらの(北海道富良野市) (水)16:00〜16:30
・ラジオカロスサッポロ(北海道札幌市) (日)12:30〜13:00
・AIRてっし (北海道名寄市) (木)11:30〜12:00
  再放送(土)13:00〜13:30
・e-niwa(いーにわ)FM77.8(北海道恵庭市) (月)18:00〜18:30
  再放送(土)16:00〜16:30
・FMねむろ(北海道根室市) (日)15:30〜16:00
・FM AZUR(青森県むつ市) (月)10:00〜10:30
・エフエムゆーとぴあ(秋田県湯沢市) (火)14:00〜14:30
※サイマル放送あり
・おおふなとさいがいエフエム(岩手県大船渡市) (月)14:00〜14:30
・ラジオ石巻(宮城県石巻市) (火)9:00〜9:30
※サイマル放送あり
・BAY-WAVE(宮城県塩竃市) (土)14:30〜15:00
※サイマル放送あり
・南相馬ひばりエフエム(福島県南相馬市) (金)13:00〜13:30
※サイマル放送あり
・SEA WAVE FMいわき(福島県いわき市) (日)10:30〜11:00
※サイマル放送あり
・KITAKATA CITY FM(福島県喜多方市) (日)15:30〜16:00
※サイマル放送あり
・RADIO AGATT(新潟県新発田市) (木)13:00〜13:30
・FM OZE(群馬県沼田市) (月)14:30〜15:00
・いせさきFM(群馬県伊勢崎市) (日)18:30〜19:00
・かつしかFM (東京都葛飾区) (火)9:30〜10:00
※サイマル放送あり
・伊豆伊東なぎさステーション (静岡県伊東市) (木)14:30〜15:00
  再放送(土)16:00〜16:30
・Hits FM (岐阜県高山市) (日)21:00〜21:30
・FMジャングル (兵庫県豊岡市) (月)13:30〜14:00
※サイマル放送あり
・FMマザーシップ (和歌山県有田郡湯浅町) (金)21:00〜21:30
※サイマル放送あり
・FMいずも (島根県出雲市) (木)19:30〜20:00
・エフエム萩(FM NANAKO)(山口県萩市) (水)10:00〜10:30
・FMからつ (佐賀県唐津市) (金)15:30〜16:00
【サイマル放送での聴取方法】
・PCでお聴きになる場合は以下のURLにアクセスしてください。
 → Simul Radio サイマルラジオ
・スマホの場合は以下のアプリをご利用ください。
 「コミュニティFM for iPhone(i-コミュラジ)」
 「サイマルラジオ for Android」

渡辺 実(わたなべ・みのる)
防災・危機監理ジャーナリスト。株式会社まちづくり計画研究所所長、NPO法人日本災害情報サポートネットワーク理事長。日本災害情報学会理事。国内外の被災地へ即座に入り、都市・地域防災へのアドバイスやマスメディアの災害報道への協力をはじめ、さまざまな角度から防災・減災に取り組む。全国の講演・研修活動を通じて各自治体や企業、市民の防災への取り組み方や課題も伝え続けている。著書『都市住民のための防災読本』『大地震にそなえる 自分と大切な人を守る方法』『高層難民』他多数、防災アプリ『彼女を守る51の方法』も監修。
原 如宏(はら ゆきひろ)
ゲーム雑誌、インターネット雑誌、パソコン雑誌の編集者を経て、2005年7月からフリーライターとして活動。パソコン、インターネットの話題から、車、経済、食べ物まで、ジャンルにこだわらず手がける。主な連載は、日経トレンディネット「クラウド調査隊」、Yomiuri Onlineの「トラブル解決Q&A」やフロム・ナウ「ライターHの“デジモノ放談”」など。Twitterの公式アカウント(@raitanohara)にて、最新のクラウドサービスや機器のテスト状況、記事の後日談などをつぶやいている。



渡辺実のぶらり防災・危機管理
正しく恐れる”をモットーに、防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏が街に繰り出し、身近なエリアに潜む危険をあぶり出しながら、誤解されている防災の知識や対策などについて指摘する。まずは東京・丸の内からスタート。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20121022/238417/?ST=print
 

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コメント
 
01. 2012年10月23日 08:03:56 : XQBYkUSTiM
国の防災対策は、想定外で壊れる公共投資建造物とその根拠となる当たらない研究です。

税金を使いながら決して責任を取らない楽な仕事です。

巨大地震、巨大津波、富士山噴火、竜巻等々、台風ですら毎年のように人が亡くなるのに人は自然には勝てません。


02. 2012年10月23日 17:22:48 : k3uFuPtct6
静岡に住んでいたことあったけど仲良くなった地元住民から海の近くには家を建てるな、あそこに家を建てるのは東京からやってきたやつだけだと教わった。

03. 2012年10月27日 18:42:01 : lsBPqpLmSA
「災害にあう時節には、災害にあうがよく候、
 死ぬ時節には、死ぬがよろしく候、
 是災難をのがるる妙法にて候」   −良寛ー

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