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大地震前後、温泉に変化 湯温上昇し水位低下
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005384745.shtml
2012/09/17 07:26 神戸新聞
東日本大震災の地震直後、和歌山県の白浜温泉で泉源の水位が急激に下がっていたことが、日本温泉科学会会長の西村進・京都大学名誉教授(物理地質学)らの調査で分かった。阪神・淡路大震災の際も、城崎温泉(兵庫県豊岡市)で湯温が急上昇し、いずれも前兆とされる地震での変動も観測されている。温泉など地下水が地盤の動きを素早く伝えることが裏付けられたといい、南海地震の発生を予測する取り組みにも期待が寄せられている。
地下水は、地震で地盤が押され、水路などが圧縮されると水位が上昇する。温泉の場合は湧出の勢いが増すため、温度も上がりやすい。逆に地震で地盤が引っ張られた場合は、水位が下がる傾向にある。
白浜温泉では、昨年3月9日に起きた東日本大震災本震前の揺れで、十数分後に水位が低下。すぐに回復したが、2日後の本震から十数分後、再び水位が急激に下がり、そのまま4日以上、低い状態が続いたという。
西村氏は「地盤が引っ張られた影響だが、遠く離れた地でも反応が早く、地下水観測の有用性が実証された」と強調する。
西村氏によると、城崎温泉でも阪神・淡路が起きる2カ月前の1994年11月初めごろから、本震前の群発地震により源泉の一部で湯温が急上昇。70〜80度台で上下を激しく繰り返し、本震では80度まで一気に上昇している。
独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は、こうした地下水の変化から南海地震の前兆を捉えようと、全国51カ所に観測所を設置。兵庫県内でも南あわじ市や姫路市など6カ所で観測を実施している。
狙いは、海溝から地下に潜り込むプレートの一部が巨大地震前にはがれ、ゆっくりと滑っていく「前兆滑り」。東日本大震災では観測されなかったが、南海地震で起きれば四国や紀伊半島で地盤が引っ張られるため、水位が低下するという。
小泉尚嗣主幹研究員は「東日本大震災では地震を予知できず、研究者への批判が集中したが、成果への期待も大きい。年度内にも観測所を2カ所増やし、態勢を強化していきたい」と話している。(安藤文暁)
【地震による温泉の変化】
東日本大震災の地震では、山形、秋田県の温泉で湯量が激減。福島県では余震後に突然、住宅街に温泉が噴出し地盤が陥没する被害も出た。過去には、1596年の慶長伏見大地震で、有馬温泉(神戸市)の湯が入浴できないほど高温になったり、1984年の山崎断層地震で塩田温泉(姫路市)の塩素イオン濃度が急激に低下したりしている。
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