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南海トラフ地震、死者最大32万人超想定
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5118669.html
東日本大震災からまもなく1年半。政府は太平洋沿岸の“南海トラフ”付近で発生する巨大地震と津波の被害想定を発表しました。最も被害が大きいとされるケースは冬の深夜、多くの人が自宅で就寝中の時間帯に巨大地震が発生した場合です。この場合の想定死者数はおよそ32万人。東日本大震災のおよそ17倍という途方もない数字です。
伊豆半島の先端、静岡県下田市。今回、政府が公表した南海トラフの巨大地震での想定では、最大31メートもの津波が襲うとされます。市街地には地震発生から十数分で第1波が到達、15分後からは平均で15メートルの大津波が押し寄せます。
「避難ビルの指定をもう一度、見直しながらそこを利用することと、必要があれば避難タワーも設置せざるを得ない」(下田市・楠山俊介市長)
東海沖から九州沖へと続くプレートの境界「南海トラフ」。震源の場所や規模を正しく想定できなかった東日本大震災の反省から、政府は「南海トラフ」で起きる巨大地震の震源域の規模をこれまでの2倍に見直しました。
巨大津波を引き起こす海底の破壊が起きるケースを東海沖から九州沖まで11に分け、海岸の地形などをもとに津波がどのように襲うのかを計算したのが今回の結果です。冬の深夜に巨大地震が起きた場合、最悪で32万3000人が死亡する可能性があるといいます。私たちはどう備えればよいのでしょうか。
三重県紀北町。狭い湾が複雑に入り組み、三陸と同じ「リアス式」の海岸です。今回、公表された巨大地震の被害想定では、隣接する尾鷲市とともに津波に繰り返し襲われるという結果が示されました。地震発生からおよそ20分後、市街地に押し寄せた津波はいったんは収まったかに見えましたが、その40分後に第1波をはるかに上回る大津波が再び町に襲いかかります。海が目の前に広がる紀北町役場。町では、避難所の海からの高さだけを記した避難マップを作っています。
「東北の方でも浸水域というか マップを信じてしまって、避難しなかったというのがありますので、それを教訓に海抜だけ載せて避難する住民の皆さんに考えていただく」(紀北町危機管理課・五味啓課長)
町には至る所に避難場所への経路を示す表示があります。しかし、避難所へは長い階段を上がるしかありません。
「年とってきたら逃げられん。30代40代なら階段上がれるけど」(紀北町住民)
「山側から津波が来る」。そんな驚きの計算結果が示されたのが高知市です。公表されたCG映像では、津波は高知の市街地をジワジワと浸水していきますが、およそ1時間半後、繰り返しやってくる津波が高台を乗り越え、川沿いに低地へと流れ込んでくるというのです。
「東(山側)の方から(津波が)入ってくると思ってなかったので、それが驚き」(高知市民)
さらに、大きな被害が想定される地域が今回、新たに加わりました。宮崎県です。震源域の想定をこれまでよりも九州側に広げた結果、宮崎県でも最も深刻なケースで4万2000人が死亡すると想定されました。市役所自体が浸水すると想定された日向市。市街地に津波の際に避難できるような建物はないといいます。
「(Q.避難タワーの建設などは?)一応、選択肢の中にはありますが、数千万、数億という単位でお金がかかるので、市単独ではなかなか限界がある」(日向市防災推進課・水野重信課長)
さらに、宮崎県は、津波で1メートル以上浸水する地域が、高知、三重、静岡県に次いで広いことが明らかになりました。過去の事例によると、津波で1メートル以上浸水する地域ではほとんどの人が死亡するといいます。
一方で検討会は、「迅速な避難によって死者は大幅に減らせる」との試算も発表しました。最大で32万3000人が死亡するとしたシナリオでも、全ての人が揺れの直後に避難すれば、死者は8万5000人に減るといいます。
「全域が同じ高さで瞬時に水没するわけではない。きめ細やかな避難計画を作っていただく、そして訓練していただくということに使ってほしい」(“検討会”のトップ 関西大・河田惠昭教授)
南海トラフの巨大地震では、高層ビルが長く大きく揺れる大規模な長周期地震動にも警戒が必要とされています。検討会は今後、長周期地震動のほかライフラインや交通機関などの被害想定を進める予定です。(29日18:07)
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