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1707年に噴火した時は、今の東京が厚さ4センチほどの灰に覆われた〔AFPBB News〕
地元住民が心配する富士山の噴火
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35892
2012.08.15 Financial Times :JBpress
(2012年8月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
多くの日本人と同じように、トキワ・トモコさんは富士山に深い愛着を抱いている。美しい円錐火山は、最も名高い日本の象徴の1つだ。
しかし、保育園で働くトキワさんは、富士山のふもとで50年間暮らしてきたが、噴火の恐怖につきまとわれてきたと言う。「富士山の山麓で生まれ、育ちました。富士山は大好きですけど、ちょっと怖い存在でもあります」
心配しているのは彼女だけではない。昨年、東北地方沿岸部に大災害をもたらした地震と津波は、世界で最も地震活動の活発な列島に数えられる日本で自然災害が起きる可能性を嫌というほど思い知らせた。
以前から地震の発生が火山活動の活発化を引き起こしてきたため、東京の西100キロにある富士山の近隣住民の中には、2011年3月の大震災が噴火の引き金となるかもしれないと考えた人もいた。
■3.11の大震災で不安が増大
大震災の4日後、この地域がマグニチュード6.4の地震に襲われると、そうした憶測は増大した。
「大地震が富士山の活動に影響を及ぼすのではないかと多くの人が心配した」。富士山を裾野から観測している国土交通省の現地事務所の幹部、鈴木豊氏はこう話す。同氏によれば、富士山のライブ映像も載せている事務所のウェブサイトへのアクセス数は、大震災後の数日間に倍増したという。
富士山の噴火は、広範囲にわたる被害を及ぼす恐れがある。富士山が前回、1707年に噴火した際は、近隣地域が火山灰に埋もれ、現在の東京一帯が深さ4センチの灰に覆われた。政府の試算によると、同規模の噴火が今起きれば、経済損失は2兆5000億円に達する見通しだ。
さらに大規模な噴火が発生すれば、首都・東京の経済活動を長期間停止させ、中部や西日本との輸送網を寸断させて工業製品のサプライチェーンを麻痺させる可能性も無視できない。
航空網も混乱する恐れがある。2010年にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火した際は、火山灰雲の影響で1週間にわたり欧州の空域の75%以上が閉鎖され、10万以上の航空便と1000万人を超える乗客に影響を及ぼした。
良い知らせは、富士山界隈の地震活動が落ち着き、危険が差し迫っているとの懸念には根拠がないように思われることだ。昨年、富士山の中腹付近に現れた長さ20メートルの亀裂は、地震による通常の副次的影響と見なされている。
■GPSを使って変化を観測
日本は、富士山が厳密に観測され、地震学者がマグマの動きを知らせる震動を監視していることにも安心感を抱けるだろう。また、全地球測位システム(GSP)装置を備えた観測所のネットワークも、狂信的に体重に気をつけている人にさえ負けない正確さで富士山の胴回りを監視している。
富士山の両側に定めたポイント間の距離を計測することで、GSP観測器はマグマの上昇を示唆する隆起を感知できるはずだ。数十キロに及ぶ範囲でほんの数センチの変化が起きても分かるだろう。
GPS観測点からデータを収集している国土地理院のリサーチコーディネーター、今給黎(いまきいれ)哲郎氏は、観測システムは近年、2センチほどの「膨張」を記録し、富士山が今も活動していることを思い出させてくれたと言う。もっとも、それ以降は動きが止まったようだ。
富士山観測に使用されている多様な技術によって、どんな噴火であれ、少なくとも何らかの前兆を察知できるはずだ、と今給黎氏は言う。富士山を取り囲む3県は6月、避難計画を検討する委員会を設置した。
専門家によると、大規模な富士山噴火の前には、恐らく少なくとも数週間の前兆があるという。
■それでも油断は禁物
だが、日本大学地球システム科学科の鵜川元雄教授は、火山については科学的に不確かなことがまだたくさんあり、何も当たり前と思ってはならないと警告する。また、噴火がもたらす主な脅威が火山灰雲なのか溶岩なのか、あるいは、過熱したガスや岩の急速かつ危険な火砕性奔流なのかを知る手段もない。
「関係自治体は避難をいかに実行するかをしっかり検討する必要がある」と鵜川教授は提言する。「万全な対策を講じることは不可能だが、できることはやり、その後、毎年徐々に改善していかなければならない」
By Mure Dickie
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