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地震の兆候とらえる最新技術とは
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/internetcom/20120806-OYT8T00801.htm
2012年8月6日 読売新聞
地震大国である日本。東日本大震災による未曾有の大災害は、日本にとって地震という自然の脅威が避けることができないものであるということを改めて思い知らされたことは言うまでもない。そして、最近の研究によって日本にはまだ多くの巨大地震のリスクが高いエリアがあることも判明し、「次の震災」は間違いなくやってくるということも多くの人が認識しているところだ。
このような「次の震災に備えるために、私たちが何をすべきか。食料の備蓄や避難経路の確認など小さなことから災害への備えをしている人は多いと思うが、もうひとつ大切なのは、「いつか、やってくる」という心構えだ。しかし、この心構えを一年中する生活ほど窮屈なものはない。実は、この「いつか、やってくる」を「いつ、やってくる」とテクノロジーの力で予測しようという「地震予知」の研究が発達しているのをご存知だろうか。
●予知研究の情報を多くの人に
科学的見地とデータ解析による地震予測データの提供を産学の連携により行なっているインフォメーションシステムズ株式会社が運営する「地震解析ラボ」の平井道夫氏は、「日本やアメリカでは、学会や行政が“地震予知学”という研究やその成果を認めておらず、あまり世の中に知られてはいない。しかし、大学などの研究室レベルにおける地震予知技術の研究はかなり進んでいる」と話す。
平井氏によると、「地震解析ラボ」は電気通信大学名誉教授の早川正士氏を所長として2010年に設立。電気通信大学、千葉大学、中部大学の地震予知研究グループが収集している観測データを解析することで地震発生の兆候を見つけ出し、それを地震予測情報として民間企業や団体などに提供しているという。「日本の地震予知研究から生まれた情報を、多くの人に活用して欲しい。地震による被害は避けられないが、心構えができることで“減災”することはできるのでは、という思いで立ち上げた」と平井氏は語る。
VLF観測システムの図式
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20120806-OYT9I00790.htm
GPS電波を用いた電離圏のモニタリング
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20120806-OYT9I00791.htm
それでは、どのように地震発生の兆候となる“変化”を見つけ出すのだろうか。平井氏の説明によると、その鍵となるのは日本中を飛び交っている“電波”の変化だという。「電磁気現象変動調査による予知」と呼ばれる方法で、電波時計などに使用されている「VLF」という電波の変化、地表に埋めたセンサーにより地面に生じたわずかな変化を捉える「ULF」という電波の変化、そして私たちの生活に馴染みのある「GPS」では大気中の電波密度の変化、これら3つの電波の変化を捉えて地震を予知している。
例えば「VLF」の観測では、地震が起きうる前では電磁波の作用などにより電離層の位置が下がる傾向にあり、電波の送受信にかかる時間の変化を捉えて異常を検知している。これらのデータから見えた電波の変化に加え、場合によってはアメリカ、ロシアなどからの観測データを活用して、「どこで、どのような電波の変化が発生しているか」を解析し、「いつ、どこで、どの程度の地震が発生する可能性があるか」を予知情報として公開しているのだ。
ちなみに、平井氏によるとこのような電波の変化による“兆候”から地震が実際に発生するまでは約1週間程度の期間があるという。過去の地震予測情報のアーカイブは、「地震解析ラボ」のウェブサイトでも公開している。
「地震解析ラボ」が発表している地震予測情報
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20120806-OYT9I00792.htm
平井氏は、「大気中には、電波に影響を与える様々なノイズが存在する。それらを取り除くことで正確な観測データを取り出し、予知情報の精度を上げるための努力を続けている」と語る。また、「地震解析ラボ」による地震予知情報は既に50以上の企業・団体が活用しており、企業はBCP(緊急事態が起きても対応できるための事業継続計画)やオフィスの安全対策、病院や介護施設などでは入院患者や入所者の安全対策などに役立てられているのだそうだ。「事前に“地震が起きるかもしれない期間”が判れば、その時に集中的に地震の備えができる。前もって発生を想定できることで心構えや必要な準備ができる点が評価されているようだ」と平井氏は語った。
平井氏は、今後も地震予知技術の研究・開発は民間・大学を問わず拡大していくだろうとみている。しかし、「地震解析ラボ」にとっての競合が現れることを平井氏は歓迎しているという。「他社の参入で競争が生まれることで、多くの消費者に『地震の予知は可能だ』という認知が広がればと考えている。地震は避けられないし、被害はなくならない。しかし、その被害を小さくする“減災”は可能だ。多くの人が地震予知情報を活用できる環境が生まれ、そして“万が一”に備えることができる環境を生み出すために、引き続き研究開発を進めていきたい」と平井氏は今後の研究分野の発展に抱負を語った。
●地震予測情報を身近に活用
一方、この「地震解析ラボ」が解析・提供している情報を個人向けのサービスとして提供しているのが、株式会社ビットウェイが運営している「地震予測情報」だ。
このサービスはパソコン/スマートフォン向け、フィーチャーフォン向けに提供しているオンラインサービスで、予測期間の長さ、予測規模、情報提供の仕方の違いなどにより月額200円と月額500円の2つの料金体系でサービスを提供している。フィーチャーフォン向けには「マグニチュード6.0以上」という予測情報が発表されたときに自動的にメールでユーザーに通知するサービスも提供しているのだそうだ。
フィーチャーフォン向けのサービスは、auとソフトバンクモバイルで公式メニューに登録されており、auでは「EZトップメニュー」で「メニューリスト→住宅・暮らし→セキュリティ→地震予測情報」から、ソフトバンクモバイルでは、「Yahoo!ケータイ」で「メニューリスト→くらし・健康→くらし総合→地震予測情報」から利用することができる。
株式会社ビットウェイ ネットワークビジネス部の村上正幸氏は、サービスを開発した背景について、「東日本大震災以降、インターネット企業として今後何ができるかを考えた。その結果生み出されたのがこのサービス。一般的には“地震予知”と言うと迷信じみた話が多いが、サービスが活用しているのは学術的、科学的にデータを解析して得られた情報を元にしている。この予測情報をもっと身近に活用できる世界を実現することが目標だ」と語る。2012年の1月にサービスの提供を開始してから、会員数は当初計画を上回るスピードで増えているという。
株式会社ビットウェイ ネットワークビジネス部 部長の村上正幸氏
http://www.yomiuri.co.jp/zoom/20120806-OYT9I00795.htm
今後は、「マグニチュード6.0以上」のメールサービスのパソコン向け配信、予測情報を簡単に家族や友人に転送できる機能、防災関連情報やサービスの拡充など、サービスの充実を図っていきたいとしている。「『地震予測情報』によって慌てずに地震の備えや心構えができるように、それをサポートする機能や情報を強化していきたい」と村上氏は語る。そして、サービスから生まれた収益は「地震解析ラボ」の研究開発費用や寄付などをしていくという。
最後に村上氏は、「サービスを通じて『地震の予知は可能だ』ということを世の中に啓蒙していきたい。地震はいつか必ずやってくるが、四六時中身構えていることはできない。地震予測情報に基づいて、いざというときにしっかりとした心構えや準備をすることで、実際に地震が発生したときに慌ててしまったり、被害を最小限に抑えることができるはずだ。」と語った。
筆者が話を聞いて驚いたのが、「地震の予知」という迷信とも取れる分野の研究開発がここまで進化し、テクノロジーの力で科学的なデータを解析し、地震発生の兆候となる“変化”を捉えることに成功しているということだ。そして、その存在が世の中にほどんと知られていないということも驚かされた。データはあくまで「予知」なので、外れる(=地震が起きない)こともある。しかし、テレビなどの「緊急地震速報」が外れても怒りを覚えないのと同じように、地震予測情報は「外れても構わないが、当たったら(=地震が起きたら)大変だ」というアラートを提供してくれるものだ。このデータやサービスが今後更に進化し、世の中の防災対策のひとつとしてスタンダードになることを望みたい。
■地震予測情報
http://www.bitway.ne.jp/earthquakenet/ (パソコン用)
http://sp.earthquakenet.jp/ (スマートフォン用)
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