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クルーグマン「かたよった気象のサイコロ」 気候変動による大規模な被害は,もはや来るべき災害なんかじゃない
http://www.asyura2.com/12/jisin18/msg/454.html
投稿者 MR 日時 2012 年 7 月 30 日 12:14:47: cT5Wxjlo3Xe3.
 

クルーグマン「かたよった気象のサイコロ」
(NYT,2012年7月23日)
そう,天気にはばらつきがある.このばらつきのせいで,気候変動との戦いがいっそう難しくなっている.

2週間ほど前,北東部はきつい熱波におそわれていた.一方,ここで書いてるように,ニュージャージーは,7月も下旬だってことを考えると,昼間もけっこうすずしかった.天気ってこういうものだ.大きく変動する.

この当たり前の話が,実はぼくらを気候のカタストロフに向かわせるのかもしれない.2点ある.一方では,気温が日にちや年によってばらつきが起こることから,長期の上昇傾向をかんたんに見過ごしたり,あるいは無視したりごまかしたりできてしまう.他方では,平均気温のごく穏やかな上昇であっても,それによって極端な事象が起こる頻度がぐっと高くなる――たとえば,いまアメリカ中部をおそってるきびしい干魃みたいな事象が起こりやすくなる.

1つ目の論点について:世界の人たちがせいいっぱい心がけていようと,大半の人たちにとって,短期のばらつきを目の当たりにしながら〔長期の〕大きな構図から注意をそらさずにいるのは難しい.気温が高く,苗が枯れていっているときには,誰もがそれを話題にするし,地球温暖化と関連づける人もでてくる.でも,しばらく待ってだんだん気温が下がって雨が降ったりなんかすると,どうしてもみんなの関心は他のことに移っていく.

もちろん,さらに事態を悪くするのは,「せいいっぱいの心がけ」をもたないプレーヤーたちの果たす役割だ.気候変動否定論は大きな産業で,引き続き化石燃料を燃やすことに金銭的な利害をもってるエクソン,コウク・ブラザーズなどから惜しみない資金提供を受けている.そして,ばらつきがおこるのを利用するのはこの産業の主な手口の1つだ.この手法の適用範囲は,フォックス・ニュースでの繰り返し(「外は寒いですねえ! アル・ゴアは間違ってたんですねえ!」)から,数年前ほど今年はあつくないからっていうのを理由にひっきりなしになされる「いまおきているのは温暖化じゃなくて寒冷化だ」という主張まで,幅広い.

気候変動と普段の経験の関係は,どう考えるべきなんだろう? ほぼ四半世紀前のこと,NASAの科学者で気候変動を議題にのせるのに他の誰よりも尽力した ジェームズ・ハンセンは,これをかたよりのあるサイコロになぞらえたらいいと言った.ハンセンと彼の同僚たちは語りかけた――想像してみよう,歴史的な基準からみた暑夏・平均的な夏・冷夏の確率を,赤・白・青の面が2つずつあるサイコロで表わしたとしよう.21世紀序盤には,6面のうち4つを赤が占め,白と青は1面ずつになるようなものだと彼らは予測した.これだと,暑夏はずっと頻繁になるけれど,ときどき冷夏も起こりうる.

そして,これは証明された.ハンセン博士たちによる新しい論文で記されているように,歴史的基準でみた冷夏はいまでも起きてるけれどまれなことで,その一方でたしかに暑夏はおよそ2倍にまで頻繁になっている.そして,記録上いちばんあつい年10件のうち,9件は2000年以降に起きている.

これでおしまいじゃない:極端に高い気温は,かつてはごくまれにしか起きなかったのに,いまではごくありきたりなことになっている.極端に高い気温はサイコロ2つをふって6の目がそろうようなものだと考えると,これはかたよりのないサイコロだったら3パーセント未満でしか起こらないけれど,かたよりのあるサイコロだともっと頻繁に起こる.極端な事象の発生確率が上がってきてるのは,気候変動の事実 を見えにくくしているのと同じ天気がばらつくことの反映だ.この発生確率の上昇は,気候変動のコストはこのさき数十年後の遠い未来の話じゃない.その反対に,コストはすでにいまここにある.歴史的な平均からたった華氏約1度しか地球は温暖化していないっていうのに.この華氏1度って数字は,ぼくらがなんの対策もしなければしだいに実現する気温上昇の,ごく1部でしかない.

中西部の大干魃は,まさにこの代表例だ.この干魃はすでにトウモロコシの価格を過去最高の水準にまで押し上げている.もしこれが続けば,地球規模での食糧危機を引き起こしかねない.なぜなら,アメリカ中部はいまでも世界最大の穀倉地帯だからね.そう,それに,この干魃は気候変動とつながりがある:こうした事象は昔から起きてはいたけれど,かつてと比べていまの方がずっと起きやすくなっている.

さて,この干魃はそのうち止まって最悪の事態はさけられるかもしれない.でも,こういう事象は他にももっとある.影響力のある気候問題ブロガーのジョゼフ・ロム [Joseph Romm] は,「黄塵地帯化」[Dust-Bowlification] という用語をつくりだした.かつては肥沃で多産な農業地域だった土地に長期間にわたり極端な干魃が続くことを指す.ロムがずっと言い続けてる主張によれば,食糧安全に破壊的な影響をもたらすこの現象は,このさき数十年にわたって起こり続けて気候変動による被害の先陣となる見込みが高い.海面上昇によるフロリダ水没といったことは,これの後にやってくる.

で,その先陣の登場となったわけ.

現在の干魃から,ついに真剣な気候対策につながるだろうか? 歴史をみると,心細いものがある.温暖化否定論者たちはきっと否定しつづけるだろう.なんといっても,この論点に関して自分たちがボロクソにけなしてきた科学が正しいと認めてしまうと,迫り来る災害に責任があることを認めることになってしまうからね.それに,世間の人たちにしても,次にサイコロが白か青になれば,きっとまた関心をなくしてしまうことだろう.

でも,今度こそちがうと願おう.気候変動による大規模な被害は,もはや来るべき災害なんかじゃない.いまここで起きてるんだもの.

(Paul Krugman, “Loading the Climate Dice,” New York Times, July 22, 2012)
http://econdays.net/?p=6870


フランスがG20農業市場情報グループを招集、穀物急騰を受け
2012年 07月 30日 11:34 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]

ドイツ経済技術相、ECBの国債買い入れに反対=報道
6月鉱工業生産は予想外のマイナス、水準は震災復旧以降で最低に
7月上旬の貿易収支は3688億円の赤字、LNGなど輸入が増加
日経平均は3日続伸、欧州政策期待と円高一服で買い先行

[パリ 28日 ロイター] フランス政府は28日、昨年の20カ国・地域(G20)農相会合で設立に合意した「農業市場情報システム」グループを招集したことを明らかにした。

米中西部の干ばつなどの影響で穀物や大豆の価格が急騰しているため。必要であれば、危機管理を協議する「迅速対応フォーラム」を開催するとしている。

G20は昨年の農相会合で、農業市場の透明性向上に向けて情報収集・分析を進める農業市場情報システムの立ち上げに合意。昨年G20議長国を務めたフランスが、同システムのグループと迅速対応フォーラムの議長に就任した。

フランスのルフォル農業・加工農産物相は「収穫と市場の動向を注視するため」同グループの招集を決めたと表明。米国とロシアの収穫状況が一段と悪化すれば、迅速対応フォーラムの会合を開催すると述べた。

穀物取引の契約不履行が増加、世界的な穀物価格急騰で 2012年7月20日
焦点:忍び寄る食糧危機の足音、穀物急騰で「我慢比べ」 2012年7月14日
世界的な食品価格高が再来か、熱波で米穀物相場が急騰 2012年7月10日
2012年の仏修正予算、72億ユーロの増税盛り込む 2012年7月4日
寄り付きの日経平均3日ぶり反落、欧州懸念強まり短期筋主導で売り 2012年5月23日

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE86T01C20120730


 

http://thinkprogress.org/climate/2011/10/26/353997/nature-dust-bowlification-food-insecurity/?mobile=nc
Nature Publishes My Piece on Dust-Bowlification and the Grave Threat It Poses to Food Security
By Joe Romm on Oct 26, 2011 at 4:50 pm
“Feeding some 9 billion people by mid-century in the face of a rapidly worsening climate may well be the greatest challenge the human race has ever faced.”

The journal Nature asked me to write a Comment piece after they read one of my posts on prolonged drought and “Dust-Bowlification.” The article is here (subs. req’d).
This is my first piece ever in the journal itself. I did have an online piece, “Nature publishes my climate analysis and solution.” This is not a peer-reviewed article but rather a “Comment” piece.
I sent it to five of the world’s leading authorities on climate change and drought and the hydrological cycle: Kevin Trenberth, Aiguo Dai, Michael Mann, Peter Gleick and Jonathan Overpeck. I endeavored to incorporate their comments, but unfortunately Nature has a 10-reference limit for their Comment pieces so I wasn’t able to include as many references as they suggested or as I would have liked. I will probably do a later piece with more references. If you want links to most of the articles I refer to, go here.
I was particularly delighted that Overpeck liked the term “Dust-Bowlification.” He really was an inspiration for me to begin studying this topic many years ago when I saw a 2005 presentation of his, “Warm climate abrupt change–paleo-perspectives,” that concluded “climate change seldom occurs gradually” (see The “global-change-type drought” and the future of extreme weather).
I am equally delighted Nature has basically endorsed this term through its multiple appearances in this article and felt that the overall issue warranted more attention.
I do not believe that most Americans ― and that includes most policymakers and the media ― understand the convergence of the recent scientific literature on the extreme threat posed directly to this country of Dust-Bowlification.
During the last Dust Bowl era, hundreds of thousands of American families fled the impacted regions. Now, those same type of arid conditions could stretch all the way from Kansas to California within the next forty years. America’s financial future and the health and safety of our people are at serious risk if greenhouse gas pollution is not brought under control. The food security of all of humanity is at risk. Denial is simply not an option, the time for action is now.
Here are some key excerpts:  

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コメント
 
01. 2012年7月31日 11:06:00 : cqRnZH2CUM

>極端に高い気温は,かつてはごくまれにしか起きなかったのに,いまではごくありきたりなことになっている.極端に高い気温はサイコロ2つをふって6の目がそろうようなもの


>フォックス・ニュースでの繰り返し(「外は寒いですねえ! アル・ゴアは間違ってたんですねえ!」)から,数年前ほど今年はあつくないからっていうのを理由にひっきりなしになされる「いまおきているのは温暖化じゃなくて寒冷化だ」という主張まで,幅広い

Foxはいろいろな意味で屑だな

陰謀論的な意味では研究も必ず利害の影響を受け

燃料ビジネスが反温暖化キャンペーン 

原発ビジネスが温暖化キャンペーンで

米国や中国は前者が、日本は後者が強かった

どっちも、既得権維持が背景にあるという意味では似たようなものだが

予算の縛りがない場合でも、研究者には一貫性バイアスが働くので、完全に中立というのはなかなか難しい


02. 2012年7月31日 12:57:52 : aHt84Zdkqw
日本は気象予報を免許制にして実質、マスコミが支配してますよね
そしてそのマスコミの資金を独占しているのが電通ー怖いですねー

03. 太陽が犯人 2012年8月05日 03:00:36 : yrQPgDwD22Dkc : eCxWdNxWUs
アメリカは、太平洋の変動と大西洋の変動のダブルの影響を受けるために、それらが相加された場合には極端な気候変動となる。それは、はるか昔からのことだろう。
誰かに責任をなすりつけたい人がいるのだ。
人には責任を追及できるが天に責任をとらせることはできないから。

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