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クローズアップ2012:首都直下地震、見直し 想定、より現実的に
http://mainichi.jp/opinion/news/20120419ddm003040086000c.html
毎日新聞 2012年04月20日 東京朝刊
東日本大震災により発生確率が高まったとされる首都直下地震。東京都防災会議が18日まとめた4パターンの被害想定は、死者が06年の前回想定(最大6400人)の1・5倍となる最大9700人に上るなど、衝撃的な数字が並んだ。都は住宅の耐震化や火災に強い街づくりを急ぐ方針だが、被害を想定より少しでも減らすには個人の備えや自覚も重要になってくる。【清水健二、佐々木洋】
◇自助・共助、備えの材料
「実際に起こりうる最大の被害像」。都防災会議は今回の想定をそう位置付ける。内閣府の検討会が「最悪の事態を組み合わせた」として3月末に発表した南海トラフの巨大地震の予測よりも、現実に即したと言える。例えば、前回の予測では地震発生時の風速を関東大震災が起きた時の「毎秒約15メートル」としたが、今回は東京の冬の最大風速の平均が4・7メートルであることを踏まえ「8メートル」にした。
被害予測も建物の延焼率や全壊率推計の精度を上げ、東日本大震災を基に人工造成地の建物被害も新たに考慮した。液状化も予測手法を変え、被害面積は約2割広がった。さらに国の中央防災会議が今後100年以内の発生を想定していなかった海溝型の地震も、初めて検討対象とした。「想定外をなくす」という姿勢が強くにじむ。
ただ首都圏の地下構造は複雑で、今回とは違う地点が震源になる可能性は十分ある。長周期地震動による高層ビルの揺れや避難生活中の震災関連死など、推計していない被害も少なくない。都の防災行政のトップ、醍醐勇司危機管理監は「住民一人一人が何をすべきかを考える材料にしてほしい」と訴える。
今回の想定によると、建物の倒壊などで道路が寸断され、幹線道(緊急輸送道路)は3割が渋滞する。都幹部は「火災が起きても、すぐには消防車は来ないと思った方がいい」と警告しており、地域ぐるみの「自助・共助」が不可欠。帰宅困難者はその場にとどまり、救護に当たる姿勢も求められる。
◇不燃と耐震、条例化着々
首都直下地震の被害軽減に向け、都が力を入れているのが木造住宅密集(木密)地域を中心とした不燃化、耐震化の推進だ。
山手線外周部には木密地域が広範囲に分布し、総面積は約1万6000ヘクタールに及ぶ。東京湾北部地震が起きた場合、このエリアを中心に19万棟の建物が焼失、4100人の死者が出ると想定されるが「木密地域では居住者の高齢化や権利関係の複雑さから、整備が進みにくい」(都防災都市づくり課)。
都は23区と連携し、95年から延焼を遮る道路の整備や住宅などの不燃化を促進。この結果、市街地の燃えにくさを示す「不燃領域率」は96年で49%だったが、06年は56%に上昇した。25年度には70%の達成を目指す。
今年度は、延焼の危険性が特に高い地域を各区の提案に基づき指定する「不燃化特区制度」も新設した。不燃化助成の拡充や都税の減免などの支援を検討中で、来年度から本格実施する。
住宅の耐震化率は、10年度の81%を15年度までに90%に引き上げる目標を掲げる。災害時に緊急車両が通行する道路の寸断を防ぐため、沿道の建築物の耐震診断を義務化する条例も今月施行され、15年度までに沿道耐震化率100%を目指す。
帰宅困難者対策では、従業員の3日分の飲食料を備蓄する努力義務を企業に課した全国初の条例を3月に制定した。来年4月の施行に向け、秋に実施計画をまとめる。企業の取り組みがどこまで進むかは不透明だが、都防災管理課は「震災を機に、企業の防災意識はかつてなく高まっている。条例を実効性のあるものにしたい」としている。
◇隣接3県も再検討
都に隣接する神奈川、千葉、埼玉の各県も大地震の被害想定を公表している。しかし、いずれも東日本大震災前にまとめた内容で、専門家を交えて見直しを進めている段階だ。
神奈川県は09年、関東大震災級の相模湾を震源とする南関東地震が発生すれば、県内で最大8460人の死者が出るとした被害想定を公表。国の中央防災会議が今年度中にまとめる想定を踏まえ、見直しに着手する。昨年度、津波浸水予測図を見直し、従来より大きな被害が出る恐れが指摘されたため、津波の被害想定から見直す方針だ。
千葉県は08年、東京湾北部を震源とする首都直下地震が発生した場合は最大で死者1391人が出るなどとした想定を公表。11年6月に専門家委員会を設置して防災対策の見直しを進めるが、文部科学省が今年3月に発表した「震度7」地域が大幅に拡大する震度予測のデータがまだ同省から提供されていないという。県防災計画課の担当者は「データがそろわなければ被害想定や対策が進まない。国は早く情報提供してほしい」と話す。
埼玉県も07年、5パターンの地震について被害想定をまとめた。死者数が最大となるのは東京湾北部地震の冬の午後6時の想定で716人。今年度から来年度にかけて新たな地震被害想定調査を実施し、来年度内に結果をまとめる。【北川仁士、田中裕之、木村健二】
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