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大津波を忘れている!M8首都直下型地震「本当の被害予想」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32166
2012年03月31日(土)フライデー :現代ビジネス
衝撃レポート 頻発する地震、Xデーが迫る中、村井宗明・衆議院災害対策特別委員長が初めて明かした最悪シナリオ
元禄大地震(1703年)発生時の津波高を参考に、6mと2mで試算。都東部の浸水リスクが顕著だ。津波が荒川を遡上し、東京北部で堤防を破壊する危険もある
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その時は、突然やってきた。
ガタガタガタッ! と突き上げるような衝撃に襲われ、テレビや棚が大きな音を立てながら転倒。ガラス類は砕け散り、書類や本が床にブチまけられる。転げ落ちるようにデスクの下に逃げ込み、携帯電話を取り出すが、一向に電話はつながらない。ガタガタッ!
続けざまに来た余震でオフィスの壁掛け時計が落下し、文字盤が割れた。館内放送によれば、エレベータは復旧の見通しがたたないという。損傷が激しい非常階段を使って、脱出しろというのか・・・・・・。テレビを起こし、スイッチを入れると、爆音とともに燃えさかる羽田の石油コンビナートが映し出された。
と、画面が切り替わり、江東区や北区の荒川流域で多数の建物が倒壊しているとのリポートが。死者・行方不明者多数との声に続いて、速報が入る。
中野や野方(中野区)、高円寺(杉並区)の木造住宅密集地で大規模火災が発生しているという。上空を飛ぶ自衛隊機から送られてきたのは、火の海と化した住宅街の映像。道が狭く、消防活動も思うままにならないようだ・・・・・。
余震で軋むオフィス内に、東日本大震災以来、トラウマとなっている携帯電話の警報音が鳴り響く。余震、そして津波!?
首相が非常事態宣言をしたというが、相変わらず電話は通じない。家族は無事だろうか。原発は大丈夫なのか、自分はこれからどうすればいいのか―。
*
地震リスクが日増しに高まっている。
中でも世間の耳目を集めるのが、昨年3月11日に発生した東日本大震災の巨大余震、そして首都直下型地震だろう。
今年1月、読売新聞が東京大学地震研究所・平田直教授の「M7の(首都直下型)地震が4年以内に70%の確率で発生する」という試算を取り上げ、列島に激震が走ったのは記憶に新しい(後に東大地震研は最新データで再計算し、「4年以内50%以下」と修正)。
だが、東日本大震災直後より減ったとはいうものの、多い日で一日二十数回もの地震が発生するなど、年明けから地震の回数は増加の一途。余震や首都直下型地震への恐怖は高まるばかりだ。日本は再び巨大地震に襲われるのか---。
本誌は国会における災害対策の責任者、民主党の村井宗明・衆議院災害対策特別委員長(38)を直撃。その口から語られたのは、歯に衣着せぬ危機だった。
■最大震度7に上方修正
東大地震研究所で「海底地震津波観測装置」を視察する民主党・村井宗明代議士(右)と金沢敏彦・東京大学名誉教授
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「首都直下型地震は必ず来ます。明日来てもおかしくない。『4年以内』や『30年以内』という数字にさほど、意味はありません。'95年の阪神大震災をトリガーに、日本は地震活動期に入ったと見られるからです。三つの海洋プレートが入り組んでいる南関東は、世界で最も地震が多い地帯の一つ。それでも、関東大震災(1923年)クラスのM8規模の巨大地震は約200~300年間隔で発生しており、まだ猶予があると考えられていました。
ですが、この予測は甘すぎた。3月8日に東大地震研の平田教授が報告したように、首都直下型地震の震源が想定より10kmほど浅いことが判明したからです。活動期に入ったことで、首都直下型地震と相模トラフが連動して発生する巨大地震も想定に入ってきた。浅い震源での直下型、相模トラフとの連動―いずれも最大震度は7に至ります」
政府は首都直下型地震の震源地として、都心東部や立川市、羽田など18ヵ所を想定。それぞれで被害予想をシミュレーションしているが、中でも最悪なのが、東京湾北部が震源となるシナリオだ。
夕方6時、風速15mと仮定した際、建物倒壊によって約3100人(荒川沿いの全壊住宅が顕著だという)、火災によって約6200人など計1万1000人もの死者が見込まれている。重傷者を含む負傷者が21万人、自力脱出困難者が4万3000人も発生。建物やライフライン、交通施設の予想被害額は実に112兆円にものぼる。
これだけで十分に国家機能は麻痺するが、村井委員長は「この被害予想には重大なポイントが欠けている」という。
「津波です。関東大震災の時は、火災ばかりが注目を浴びていましたが、実は津波も起きていた。相模湾で6mを記録しているんです。地震によって相模トラフが動けば、津波が発生。角度によりますが、東京湾を遡上し、都心を直撃する可能性があるのです。東京は東北より地下鉄や地下街が発達しており、そこに浸水すると死者数は激増します。相模トラフが動く可能性は2%と低く見られていますが、最悪のシナリオから外すのはおかしい」
東日本大震災を見れば、津波の破壊力は一目瞭然。首都を津波が襲った場合の死者数・被害額は想像を絶する。
村井委員長が続ける。
「実はマスコミが報道している先ほどの被害予想は、10年前の'02年のデータをもとに算出されています。人口も建物も変わっていることを考慮すべきです。エレベータ被災(停電により震度7で25%、震度6強で20%のエレベータが止まる---村井委員長の試算。以下同)、石油コンビナート被災(京葉で4944件、京浜で3653件)、地下街被災(群集殺到)や液状化のリスクも抜け落ちている。被害予測をやり直す必要があるのです。最新の調査では被害想定のメッシュ(地図のマス目)をこれまでより16倍細かい250u単位にして、ピンポイントで火災や倒壊リスクをシミュレーションします。この最新の被害想定を来年春までに発表したい」
すでに見直しは着手されている。
「まず、首都直下型より発生確率が高い(中部・西日本南側に位置する)東南海・南海トラフにおける津波高と震度分布を3月から4月にかけて発表します。そして6月にその津波高にあわせた人的・物的被害の想定を公表。秋にはそれに伴う、経済的被害の想定を発表します。名古屋市を津波が直撃した場合は地下鉄・地下街が被害を受けるリスクが高い。国民には衝撃が走るかも知れませんが、厳密に精査して公表します。その後、南海トラフの手法(シミュレーションのノウハウ)を使って、首都直下型地震のシミュレーションにかかります」
■ほぼ全域に地震と津波
巨大地震は連動して発生する傾向がある。記録が残っている800年代と近年を比較したのがこの表だ。越中地震から東海・東南海地震まで24年。'95年の阪神大震災から今年で17年。「首都直下型地震」と「東海・東南海」の二つがまだ発生していない(村井宗明事務所作成)
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特筆すべきは、最新被害予想の見直しが東南海・南海トラフから始められていること。政府は「次に起こるのは東海・東南海地震」と見ているのだ。
次ページの二つの地図を見てほしい。
上は海洋プレートが沈み込んだり、擦れ合いが発生している海溝の分布。下は地層のズレを原因とする、いわゆる活断層の分布図である。共通点は、いずれも地震の原因となること。日本のほぼ全域がリスクを抱えていることが分かる。日本のどこにいても、地震と津波の危険からは逃れられないのである。
村井委員長にその他のリスクについても聞いてみた。まずは地震と連動して起こるのではないかと言われる、富士山の噴火について。
「被害額としては2.5兆円程度で済むと予測しています。噴火による火山灰で人的被害は出ないからです。あるとすれば間接的な被害。東京都心に飛んだ火山灰により、コンピュータが破損するリスクはありえます。金融や病院、信号機の制御など、コンピュータ化されたシステムの障害が予想されます」
地震研・平田教授の「4年以内」試算で話題となった短期予測、FM波などを用いた新しい予測についても聞いた。
「政府の地震調査研究推進本部は長期的な周期データをもとに分析しており、平田教授の短期予測は採用していません。しかし、平田教授が短期予測に使っているグーテンベルク・リヒターの法則は、あながち間違いではないと思います。小さな地震の発生頻度から、大きな地震の発生確率を算出する手法なんですが、これが主流じゃない、少数説だからといって否定するのはおかしい。
コペルニクスの話(地動説)は当時、主流の説ではありませんでしたが、正解だった。グーテンベルク・リヒターの法則も、一つの考え方として注視しています。FM電波を使う予測や、GPSを用いた予測法なども、公式採用はしていませんが、参考にしなくてはなりません。なぜなら、地震を研究する学問はまだ発展途上で、多数説と複数の少数説のどれが正しいのかは、まだ明らかになってないからです」
とはいえ、手をこまねいているわけではない。実は大津波の被害を軽減するため、確実に一助となるであろう新兵器≠ェすでに実戦配備されている。村井委員長が77億円もの国家予算をつけた「日本海溝海底地震津波観測網」。いわば、津波即時予測システムである。
海溝型地震は発生場所が明確で周期性があるため、比較的予想し易く研究も進んでいる
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「陸の上にだけ地震計があると、海で地震が起こっても、観測が遅れてしまい津波警報も遅れます。しかし、震源のすぐ近くの海底に、地震計と津波計を装備した海底ケーブル式地震計を設置することで、格段に精度とスピードは上がります。震源地によっては、10分程度早く津波警報が出せるようになるのです。'11年の補正予算で、房総沖と三陸沖北部へ予算計上しました。東日本大震災の震源域に隣接しているこの地域で今後、大きな地震が誘発される恐れがあるためです」
稼げる時間は震源地と設置場所の位置関係によって違うというが、10分あれば、かなりの人が逃げられるだろう。
「他にもやるべきことはあります。首都直下型地震でいえば、想定している18パターンのどれかには当てはまるのだから、誰をどこに避難させるか、どこに救助を出すか、あらかじめ準備できる。この視点で災害対策法を見直す必要があるでしょう。現行法では、地方自治体が地震に対処することになってますが、巨大地震の場合、市町村自体が機能しなくなる危険がある。
一方、活断層型(直下型)地震の予測は困難。阪神大震災の発生確率は0.02~8%だった
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ある程度、国が権限を持てるようにすべき。また、国が救援活動を指示できる指定公共機関にも穴があった。ガソリンスタンドが抜けていたんです。だから被災地になかなかガソリンが届けられなかった。東京が被災した際、千葉や埼玉といった近隣自治体に避難するという、住居借り上げも含めた広域避難システムも作らねばならない。
東日本大震災では『被災者台帳』を作ってなかった。これも反省せねばなりません。誰がどこに避難したのか分からなかったから、支援物資を必要な箇所に届けられなかった。被害シミュレーションと災害緊急法制の見直しが急務です」
日本に住む限り、地震のリスクからは逃れられない。まずはその現実を受け入れ、危機に備えるしかないのだ。
「フライデー」2012年4月6日号より
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