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大特集 切迫する「大地震」に備えよ 「震度6」とどう違うのか 東京直下を「震度7」に変更した理由
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/31940
2012年03月05日(月)週刊現代 :現代ビジネス
事態は想像より遥かに深刻なのか。「震度7」。それは考えうる最大級の揺れ≠指し示す。阪神・淡路大震災で一瞬のうちにビルや橋脚を倒壊させた激震・・・・・・。今度は首都が灰燼に帰すのかもしれない。
■もはや祈るしかない
「東京で震度7相当の地震が発生する可能性がある」
平野博文文科相がこのほど公表した、政府の首都直下型地震・調査プロジェクトチームの調査結果が大きな波紋を呼んでいる。
これまで政府が想定してきた「東京湾北部地震」(首都直下型地震のひとつ)では、最大震度は6強とされていたが、これが「7」になるというのだ。
「震度7の揺れとは、気象庁が定める10段階の震度等級の上限です。これは『もっとも強い揺れ』を表すだけでなく、『それ以上は上限がない、天井知らずの強い揺れ』になる可能性があることを意味します」(元北海道大学地震火山研究観測センター長で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏)
震度6強から震度7へ。想定震度が、ここへきて変わった理由は何なのか。今回、平野文科相が公表したのは、東京大学地震研究所を中心としたチームによる研究成果だ。首都圏に設置した約300ヵ所の地震計のデータを詳しく分析した結果、首都直下型地震の震源と想定される場所が、従来より「浅い」ところにある可能性が出てきたという。
一般的に、地震は震源が浅くなるほど揺れが強くなる。以前は地下30~40km以深でM7級の地震が起きると予想されていたが、実際には、これより浅い場所が震源になる可能性が出てきたというのだ。プロジェクトチームは、今回の研究成果を3月上旬にも正式発表する見込みだ。
「震源が浅くなるということは、揺れが強くなるだけでなく、揺れる地域がより拡大することを意味します。『東京湾北部地震』では、地震の直撃を受ける場所が、都内の山手線内より東の地域~千葉県北部とされてきました。しかし、震源が浅くなることで、東京西部を含む広範な地域が危険に晒される可能性が出てきたということです」(まちづくり計画研究所所長で防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏)
震度6強と震度7では何が違うのか。気象庁の等級では、「震度6強」で、「はわないと動くこともできない、飛ばされることがある」「固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる」「耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる」「大きな地割れが生じたり、大規模な地すべりや山体の崩壊が発生することがある」などとなっている。
この時点ですでに、一般市民が想像できる地震被害の限界に近い印象だ。ではいったい、「震度7」ではどうなるのか? だが意外なことに、こちらは「耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものがさらに多くなる」などと、なぜか震度6強より解説が曖昧になっている。
それには、理由がある。もともと気象庁は、過去に「震度6」までの地震しか想定をしていなかった。ところが、'95年の「阪神・淡路大震災」で、それまでの基準に収まらない激烈な揺れが観測され、死者6000人超という大きな被害が出た。これを受け、初めて最大級の「震度7」が設定されたのである。
つまり「震度7以上」になると、実際にはまだ例が少なすぎ、「何が起きるか分からない」に等しい。震度7でいったい何が起きるのか、どうすれば生き残れるのか。はっきりと答えを示すことができる者は、まだ誰もいないのである。
「近代都市が巨大な直下型地震の直撃を受けたケースは、阪神・淡路大震災における神戸市しかありません。『阪神』以降、東京でも高速道路や鉄道などの耐震補強が実施されましたが、果たして効果があるのか? これは祈るしかない。正直、地震の専門家ですら、何が起きるか分からないと思います」(東海大学海洋研究所・地震予知研究センター長の長尾年恭教授)
想像もつかない地震が起きる・・・・・・だから「危ない」と警告はできても、対策については責任が持てない。政府や公的機関のホンネは、そんなところだろう。
■警告はした、後は知らない
本誌が文科省に取材をすると、案の定、要領を得ないやり取りとなった。
「震度7という言葉が一人歩きしていますが、これは誤解です。『直下型地震の震源が想定より浅くなる』というだけで、正式に震度7と見直したわけではありません。一部の報道機関が、『いままで震度6だったから、それより激しい揺れなら震度7だろう』と推測で書いているだけです」(文科省研究開発局地震・防災研究課・防災科学技術推進室)
同推進室によれば、今後、研究者らの正式発表を待ち、その後の対策見直しについては、関係の各省庁の管轄なので、そちらに任せるほかないという。
「危険が高まった」という情報を出しておいて、「対策はそれぞれで」というのでは、言いっぱなし=Bあまりに無責任だ。
「震度7以上の揺れを想定し、それに備えるとなると、これまでの防災・耐震計画のすべてを根本的に見直す必要が出てきます。予算もどれほどかかるか分からない。したがって、『危ない』という警告だけは発しておいて、その後どうするかは各々の判断でよろしく、というのが政府・公官庁のスタンスでしょう」(科学ジャーナリストの一人)
後で言い訳ができるよう、最初に抜け道だけは作っておく。これは、昨年の大震災で明らかになった、政府・官僚の常套手段だ。だが、「震度7が来る」こと自体は、避けがたい現実に他ならない。
「今回指摘されたのは、数ある首都圏直下型地震のパターンのうちの一つに過ぎません。想定されている震源以外にも、心配なものはあります。政府の言う地震ではない、別の種類の地震でも、震度7の揺れが発生する可能性があるのです」(前出・島村氏)
公≠信用しすぎたら命取り。これは3・11の教訓でもある。われわれはこれから、自分たちの命は自分で守る覚悟が必要だ。
「週刊現代」2012年3月10日号より
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