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或る星の、或る国の、或る物語です。
その国の山の中腹の、町を眼下にすっぽりと見下ろせる所に、立派な美しいお城が建っていました。客間や寝室を合わせると200室近くあり、1室1室、それはそれは贅を尽くした美術品や家具などで飾られていました。
城の主は、その国を治めている王様ですが、宮殿など立派な物にしておかなければ、他の国々からバカにされたり、戦争を仕掛けられてしまうと思い、国民にかなり無理をさせて税金や労役を課していました。
国民は、戦争は恐ろしいので、泣く泣く無理をしながらも、王様の言う通りにしたのですが、中にはどうしても税金が納められず、見せしめに拷問にかけられたり、牢屋に入れられたり、時には処刑されたのでした。
その王様には、一人息子の王子がおりました。まだ10才にはならない可愛らしい、元気な子供でしたが、どうした事か、原因不明の病気になり、どんな名医も、さじを投げて、首を振るばかりでした。
王様は国政もそっちのけで、お后と共に王子の枕元から離れず看病しましたが、症状は日一日と悪くなるばかりでした。
そんなある日、看病疲れでうとうととしていた時、夢を見ました。
夢の中で神様らしき人が出て来ました。そして王様に言いました。
~「お前の命と子供の命と、どちらが大切か?」
王「それは・・・子供のほうが・・・」
~「それでは、お前の命と交換に、子供を助けて上げよう。」
王「ちょ、ちょっとお待ち下さい。私が死にますと国が大変です。私は王ですから・・・」
~「そうか、では子供の命を貰おう。」
王「ま、待って下さい。子供だけはどうぞ助けて!
その代わり、どんな事でも致しますから。」
~「そうか、それなら、私の言う事をよく聴き、守るように。
お前は王であるが、国民に無理をさせ、国民は疲れ切っている。
この1月間、給料を払って、全ての召使いに休みを与えよ。
よいか、一人残らず全ての召使いや家来全部だぞ。」
王「それだけで、私の命も子供の命も助かるものなら、おやすいご用です。」
~「もし、一人でも召使いを城に残したら、即座に命を召す!」
王「必ず約束します。どうぞ、命を助けて下さい。」
~「1月後に子供は戻す。それまで預かるぞ。」
ふっと王様は目が醒め、横のベットを見ると王子の姿はありませんでした。お后は何も知らずに、隣で死んだように眠っていたのでした。
王様は大広間に家来や召使い達を集め、言いました。
王「今、神のお告げがあった。王子は神の世界で直して下さるそうだ。
その間、皆の者は城に近づかないようにしなければならない。
その間の生活のお金は授ける。もし、一人でも城に近づいたら、~はお怒りになり、 王子の命はない。」
家来「兵も、料理人も、庭師も、全てですか?」
王「誰一人残ってはならぬ。~はお見通しになる。」
家来「では、神々様が王様の身辺をお守り下さるのでしょう。」
王「そうじゃ、~はワシを守るであろう。私は王なのだから。お前達とは違うのだ。」
家来「さすが王様だ。神様まで家来のように召使われるんだから!」
家来や召使い達は納得して、お城の大きな金庫から、それぞれ1月分のお金を貰って、家に帰っていきました。そして王様の命令通り、決してお城に近づくことはしませんでした。
1月後、家来達は三三五五お城に集まってきました。そして驚きました。庭には草がぼうぼうに生え茂り、遠目にもお城は幽霊屋敷のようになっていたのです。
家来達は、急いで門を開きお城に入りました・・・・そこに見たものは・・・浮浪者のような痩せて汚い王様とお后の姿でした。近づくと臭い匂いまでしていました。
あまりのひどさに召使いは駆け寄って、とにかく世話をする事にしました。
まずお風呂、着替え、そして食事・・・・その間、ずーーっと二人は無言で、召使い達のなすがままになっていました。あまり衰弱していて、口もきけ無かったのです。
そこへ執事が顔色を変えて飛び込んできて皆に言いました。
執事「大変だ!大変だ!金庫が空っぽだ!王冠も宝石類も全部無いぞ!」
皆「それは大変だ! 一文無しだなんて、俺逹はこれからどうしたらいいんだ!」
執事「王様、これは一体どうしたと言うのですか?」
少し落ち着いた王様は、涙を流しながら事の次第を話し始めました。
皆が城を去ってから15日ほどした頃、王も后も料理することは出来なかったので、果物や飲み物で飢えをしのいでいましたが、何も食べる物が無くなり、数日、ベットに横になったままの生活をしていました。
夜中、階下で大きな物音と話声がするので、そっと上から覗いてみると、15〜16人の城荒らしの泥棒達が金庫を開け、中のモノを運び出しているのでした。
王様は思わずビックリして、やっと掴まって立っていた手すりを放してしまい、尻餅をついてしまいました。その物音で、王様は彼らに見つかってしまい、首根っこを掴まれて盗賊達の前に引きずり出されました。
その中の一人が王様の頭の小さな冠を見つけ、獲ろうとしました。
王「無礼者!ワシは王じゃ。」・・と叫び泥棒の手を払いのけようとしましたが、力が無く声もかすれて、盗賊には聞こえませんでした。そしてその時、王様のお腹がグ〜〜グ〜〜と大きく鳴り、冠を獲ろうとした泥棒は、その音にビックリして言いました。
泥「やあやあ、この野郎、余程腹ぺこなんだ・・・ふん、おい親父、パンをやるから、そ の頭の飾りよこせ・・・ほらほらパンだぜ。」
泥棒は腰に下げていた袋からパンを出して王様の鼻先に持っていきました。
王様のお腹から又大きなグ〜〜〜グ〜〜〜と言う音が聞こえ、王様は泥棒の手にすがりつくようにパンに抱きつきました。
泥「おうおう、お前さん、どうやら偉い人のようだが・・・・そのざまは形無しだなあ」
王様はバカにされても、無言でパンにかじりついていました。その間に泥棒達は、てきぱきと金庫の中のモノを何一つ残さず、綺麗に持ち出して去っていきました。
王様は少し残ったパンを大切に抱えて、后の待つ寝室に戻りました。
お城荒らしの盗賊が、金庫の中のものをすっかり持ち去り、お城にはお金がすっかり無いことを知ると、家来達はザワザワと大騒ぎになりました。
そして外の広場に一杯集まっていた家来や兵士達、召使いの半分以上が、いつの間にか居なくなりました。
20〜30人の人間が王様を囲んで残り、お城の中の掃除をし、外の庭も少し手入れをしました。そしてあり合わせの材料と、主に庭の野草なども利用し、何とか食事を作る事が出来ました。
王様も后も同じ食卓を囲み、少しの料理を皆で同じに分け合って食べました。
誰も王様だけ特別扱いする事はしませんでした。その余裕も無かったのです。
王様と后は何もすることが出来ず何の役にも立ちませんでした。
家来や召使い達は部屋や庭を綺麗にし、食事も自分達の力だけで、整える事が出来たことを感じていました。
家来達も、王様を特別の存在と思い、無理難題にも従っていたのですが・・・どうやら、特別な人ではなく、同じようにお腹が空き、その上、何も出来ない人だったことが判りました。
今まで多くの人達が王様の言う事に従っていたのは、一体、どういう事だったのでしょう。
税金を取り立て、払わない人を拷問にかけ、時には見せしめのために処刑し・・・そうして人々を脅すことで、王様は人々を命令に従わせてきたのでした。
しかし、皆を脅し、税金を取り立て、拷問にかけ、首をはねたのは、王様ではなく、皆、仲間達が、仲間どうし、お金のために酷い目に合わせあったのでした。
王様は皆から税金として集めた金を、配分しただけでした。
人々はお金が無ければ生活できず、命と同じだと思い、お金欲しさに、王様の言う事をに従ったのでした。
鉱石を掘り出すのも鋳造してお金を創るのも、税金を取り立てる力も、拷問する力も、処刑する力も持っていたのは、仲間達でした。
硬貨には手足が無く、家を建てることも野菜を作ることも、衣服を縫うことも出来ませんでした。
1月前、家来達が居なくなってから、王様は有り余る程の金銀財宝を金庫に持っていたにもかかわらず、食事をすることも、盗賊を追い払うことも、金庫の中の財宝達にしてもらえず、飢えと不安恐怖にさらされていたのでした。
そして今、王様にはお金がありませんでした。
残った家来達は、この先、どの様にするべきか、考えました。
女の召使いの一人が言いました。
女「今の王様は赤子と同じです。このままにしておけば死んでしまいます。」
家来の男の一人が言いました。
男「だが、ワシ等にも生活があるし、何も出来ない人を養う力は無いのではないか?」
女「私もそれは考えましたが、皆で知恵を出し合えば、何とかなるのではないかとも思い ます。今はお金よりも私達の知恵の方が力になります。
私達には健康な手足がありますし、町に行って働いて金を貰い、その金で何かするよ りも、金で得られないで、それ以上のものを、直接つくったり、何でも考えて、力を 合わせれば、何でも出来るのではないでしょうか?」
男「それはそうだ。皆で考えてみよう。金は無くても、城の周りの庭は畑に出来るし、着 る物は城の中を探せば何かあるだろうし・・・町で金を作る時間を、ここで皆で働い た方が、豊かな生活が出来そうだ。」
男「だが、金をもらえないで仕事をするのは・・・割に合わない。
俺はもっと金になる仕事をしたい。」
女「そうね、私もそれは一番先に考えました。お金を貯める楽しみもなく、汗水垂らして も疲れるだけで・・・家に帰ろうかなと・・・・・・だけど可哀想な王様達を見てい ると・・・・酷いこともした人達ですが、私は見捨てることが出来ません。
少しの間だけ、手伝おうと思いました。」
男「ふん、少しの間だけならね・・・オイみんな、少しの間だけ、手伝おうか?」
皆、そうすることに決めました。
お城は町を遠くに見通せる小高い山の上にありましたが、周囲には広い庭や広場も噴水も有り、畑ではすぐに野菜などを創る事が出来ました。
人に必要な衣食住の全てが、皆が力を合わせれば、お金の仲介無しで、得る事が出来る事を知りました。
畑を耕す人、掃除する人、料理する人、家の手入れが出来る人、何でも器用に直せる人、
色々な人が居て、皆で食事するとき、1日の出来事の話や報告で毎日皆はとても賑やかで、楽しい時間が持てました。そして夜はぐっすりと眠れて、朝は爽やかに目覚めるのでした。
いつの間にか、少しの間だけ手伝うことを忘れ、3年も過ぎていました。
ある日、ふと思い出したように、男の一人が言いました。
男「明日、私は家に帰る。屋根が雨漏りで直さなければならないんだ。
直す金が無いから、町で働かなければならないよ。」
すると一人が言いました。
屋「わたしは屋根屋やだ。もし、家族の1週間分の食物があれば、金は無くても直せるよ」
女「町の私の畑では何でも出来ているから、屋根を直して上げて。
一寸、畑を手伝ってくれれば、お金は要らないわ。」
屋「材料のレンガは欲しいのだが。」
男「それならば、私の友達が作っている。レンガの土を掘り出すのを手伝えば、レンガは もらえるよ。土は只だからね。私も手伝おう。」
庭師の若い男が感嘆して言いました。
庭「人の力って凄いな! 何でも出来てしまうんだね。
考えると、材料は自然の中に、只で無尽蔵にあるのだものね。
お互いが、お互いの力を出し合って、助け合えば、何でも出来るんだね。
今は、市場もあるし、情報も豊富だし、運搬も便利に発達しているし・・・お金の手 続きの為だけ、多くの労力を使うなんて、ばかげている。」
家「役場は人々の生活に直接役立つ仕事・・・相談を受けて、すぐ実行して、生活全般を 支えて上げればいいんだね。それこそ、本当の福祉だと思うけどね。
今の役場は、人の創った法律を守るためだけに会議を重ねることに熱心で、ほとんど 何もしてくれていない。
法律で決められたお金を支給するための、手続きや決めごとでがんじがらめさ。」
女「実は私も家に帰らなければならないの。
父が病気で田植えが出来ないの。誰も牛を扱えないで耕して居ないから、田植えも 遅れている。どうしたらいいか困っているの。」
庭「な〜〜〜んだ、それなら早く言って呉れれば良かったのに。
俺の友達、朝飯前にしてくれるよ。お金は・・そうだな、お前がにっこりすれば、そ れだけでいいさ。はっはっはっはっ・・・冗談だよ。
お米が取れたら、少し分けてやってくれ。
苗も手配してくれるよ。金は持っていないけれど、お米の籾は一杯持っているから。」
女「有り難う!・・こんなに簡単に悩み事が解決するなんて!・・・皆で力を出し合え ば、お金が無くてもホントに何でも出来てしまうのね!
一体、お金は何のためにあるのかしら?・・・
お金が創られてとても便利になったと、おばあちゃんが話してくれていたけど、今は ややこしい手続きや計算、お金 を貰わなければ何も創らないし、何もしない、お金 にならない事をしたら損するよう な気持ちになる・・・お金にならなければ何もし たくない・・・・・・でも、自然は只で人間に何でもくれるわね。
それなのに、人間はお金になる事なら、自然をメチャクチャに荒らしてしまう・・・・ 昔役に立ったお金の便利さが、今はがんじがらめに人を縛って、全部の人々を不幸に している・・・・そんなお金って、時代遅れと思わない?・・・
人が創ったモノに縛られていることも、ヘンじゃない?
悪魔の呪文にかかっているみたい・・・」
男「そうなんだ。金は何も出来ない・・・金が何でもしてくれると思い込んでいる事が 問題なんではないかね?・・・実際、ここの生活では、金が無くても立派に成り立って いるし、お金のシステムを維持するためのムダな手続きに一切労力を取られないし・ ・・皆、直接人の生活に必要な、生産だけに力を注げるし・・・・・・」
男「最近、前よりも皆元気で生き生きしてることに気が付いたんだよ。それに、少しだけ 手伝う約束が、いつの間にか3年経っている・・・」
男「そうそう、ワシも時々思ったんだが、今の生活、離れたくないと思ったよ。」
女「私も同じ、毎日とても幸せを感じる時が多いの。」
男「俺も同じだ、毎日満ち足りて居る。
第一、前は生活のために金を得ることばかり考えていたし、借りた金の返済日は地獄 の思いだったよ。」
男 「私の仕事は会計士だったけど、以前のやっていたお金の計算は、何のためにするのか なと考えもしなかった。
最近考えてみたら、それは王様のためだけに、つまり、王様が皆をお金で縛り、命令 を聞かせるために、お金の管理が必要であったんだと気が付いたんだ。」
執事「私の主な仕事は、金庫の管理だったし、それは立派な仕事だと誇りにも思って、生 涯のほとんど40年を捧げてきたよ。
今は金庫に金は無いし・・・・・・それでも皆んな前より生き生きと生活出来ている。
一体、私の人生は何だったんだ?」
男「私の仕事は税金の取り立てさ。
いつもイヤな仕事だなとは思っていたけど、国のために税金は必要だと思って、しっ かりと勤めてきたよ。
だけど、ここの生活で、税金より、皆の力、皆の思いやりがあれば、金はなくても立 派な社会創り、国作りが出来るんではないかと、思う事もあるんだ。」
男「そうそう、よく考えてみると、お金を管理する為に、どれ程の我々の力が使われて いるか、ぶっ魂消る事に気付いたよ。」
男「私の仕事は、今だから言えるけど、皆を取り締まる仕事だった。(皆ザワザワする) 牢屋にも多くの罪人をいれ、処刑することもあった・・・罪人のほとんど税金や、生 活苦の金のために罪人にされたのさ。金は罪人を生み出す機械のようだな。
罪人が出なければ、警察も牢屋も裁判も、人を裁く仕事なんて要らない。
その分、人を幸せにする仕事に力を出せるんだ。」
男「うん・・・俺も面白い事に気が付いたよ。
今、10人の人間が居て、それぞれ仕事をしているとすると、その内の8人は、お金 のシステムを維持する為に働いていて、2人だけが、10人の全員の衣食住・・つま り命や生活を守る仕事をしているんだ。
王達や貴族や政府は、金を創りだしたり、その金を管理(金で何でも取り仕切ること と言う法律を作り、)して、守らぬ人間達を、又法律を作って縛り付け、処刑したり する。
お金がなければ何も出来なくした法律のために、皆、金を儲ける事に必死に労働や、 頭脳を使う・・・その人々の労力や頭脳が、驚くことに、仲間を縛り付ける働きをし て、給料を貰っていることに俺は気が付いたんだ・・・
だからさ、俺は家に帰ったら、役人を辞めるよ。
本当に人間を幸せにする仕事をしたくなったんだ。」
執事「私もそうしようと思っているところだよ。
ここでの生活では、人の実にならないことは何もしない。
時々町に帰るんだが、帰るとすぐ、物売りがしつっこくまとわりつく。
彼は必死で私が要らないモノでも売りつけようとする。
必要なら、自分で市場に買いに行く。
なぜ、不要なモノを押しつけるんだろう?・・・」
男「生活のために、金が欲しいのだろうよ。」
執事「それは判ってるさ。
私の疑問は、なぜ要らないモノを、嫌がられても押売りするのかと言う事なんだ。
ソンなことをし続けて、彼は一生を終えるのだろうか?」
男「物が売れなかったら、物を作っている人達は困るじゃないか。」
執事「必要な分だけ作れば、いいじゃないですか。」
男「それでは少ししか働けないで、給料も少ししかもらえないで、生活出来ないじゃない か。
物はドンドン創って、ウソの宣伝しても無理にでも押し売りして、金にして、又、 原料を仕入れて、ドンドン作って、ドンドン押し売りして金にして・・・・・・」
執事「ちょっと待って!ちょっと待って下さいよ!
物は生活に必要な分だけ在ればいいんですよね?・・・なのにどうして不要なのにド ンドン作って、金にしなければならないのでしょうか?」
男「作らなければ金にならないからさ。金が無ければ生活出来ないじゃないか?」
執事「でも、私達はここで3年間、お金が無くても生活できましたよね?」
男「?・・・そう言えば、全然お金は要らなかったな?
原料は大自然がただで提供してくれたし、押し売りしたり、金の計算をしたり、何も 誤魔化す必要も無く、取り締まったり取り締まられることもなく、毎日、出来ること をお互いが知恵を出し合って・・・この知恵も、弁護士等にお金で相談することもな く、ただで皆の頭に浮かんできたし・・・・・・」
執事「そうなんです。大自然は衣食住の全ての原材料をただで提供し続けてくれています。 お金は、石貨時代、持ち歩きが大変なのと、必要な物との交換が、情報が行き届かな かった時代なので、つまり情報が無い時代に、互換性を便利に出来るように考え出さ れたシステムなんですよね?
今の時代、市場に行けば何でもあるし、逆にお金のシステムを維持するために、飛んでもなくムダなロスをしているように思えるんです。」
男「飛んでもないムダなロスって、どういうことですか?」
執事「まず、お金(金貨・銀貨・銅貨)を作る為に、鉱山での重労働や鋳造作業、それらを 厳重に管理するための監視の政府機関、取締機関、裁判機関、政府機関を維持するた めの税金の設定(立法)とその配分機関、事務処理機関、税金取り立て機関、等の公的 機関。民間にあっては、大量生産、大量消費させるための必要な設備や宣伝。
他国の資源を確保又は強奪するための武器の生産。戦争による大規模な破壊によって、 焦土を立て直す為に、ムダな人間の労力や資材が巨大に消費される。
国と言う名の下に戦争による多数の家族、同胞の命も、紙くずのようにロスされる。 金によって、有形無形に人は酷いストレスを感じ、人の持つ無限の可能性は芽吹く ことなく失われていく。
金が無いために、学校に行けない子供が大勢居る。
ざっと考えても、以上の機関は人間の幸せに全く関係のない仕事であり、人間社会 の良き物を80%ロスするばかりでなく、不幸を生み出している。
もし、これらのロスを見直した場合、人間が、人間を幸せにするための義務的な仕事 は、毎日1時間程すればよいのではないかと思う。」
男「えっ!・・・義務的に働くのは1時間で良いなんて!・・・夢のようだ・・・・」
執事「人を不幸にする仕事を辞めて、衣食住に本当に必要な仕事だけをすれば、そうなる んだがね・・・」
男「う〜〜〜ん、だけど、役人達は、自分達の仕事が不幸を作りだしているなんて、夢に も考えないだろうし、偉い仕事だと思っているよ。
警察だって取り締まらなかったら、無法地帯になると考えているし、人間社会に絶対 に必要だと思っているから、決して辞めないだろうね。」
執事「そこなんだ、何故人が犯罪を犯すか・・・衣食が足りれば、犯罪はほとんど起こらな いだろうし、お金の管理は一切必要無い。
つまり、単純に言えば、政府機関は金の配分が仕事だから、無用の機関となる・・・ が、金の力で世の中を支配している人達にとっては、80%ものロスに人々が気付い てしまうのは脅威で、あらゆる手を使って、洗脳したり隠したりするだろう・・・・・ しかし、時代は少しずつ動いていく・・・どんなに阻止しようとしても、崩れるときは 来ると思うがね・・・」
男「町に行ったら、皆に話してみようかな?」
執事「いや、それはしない方がよい。ここでの生活まで、壊されるかも知れないから。
ホンの身近な者にだけなら、話してみても良いか知れない。お金の功罪をね・・・・・」
男「私には息子が3人居る。この子供達には今の話伝えたい。
80%ものロスを、孫の世にまでさせたくないから・・・オーバーな宣伝や売り込み、 金を分配するための国会議員、金がらみの裁判、刑務所、警察、最大は金儲けの駆け 引きの国盗りや恐喝戦争、国の名の下に行われる大量殺人、人を殺すための武器、軍 艦、戦車創りに湯水のように税金を使い、・・・数え上げたら切りがない。
みんなイヤだと思っても、生活があるから、武器を創る仕事でもやめられないと言う。
生活のためには仕方ないと思っていたけど・・・ソンなことを続けていたら、大変な ことになるような気もしているんだ。」
男「皆、同じ事を考えるもんだな。
だけどどうしたらよいのか、やっぱり生活できなくなったら大変だからな〜〜〜」
皆、そこで暫くし〜〜〜んとしてしまいました。
一番年の若い、庭師がつぶやきました。
庭「お金が無くては生活できないと思い込ませて、お金を集めるシステムを作った。
システムを維持管理するのは俺逹、お金が無くては生活できないと思い込まされた 俺逹は、お金がもらえるので維持管理に一生懸命勤めた。
とにかく人の力を、お互いの殺しのために使いたくないな。
皆が幸せになれる事に使いたいな。」
皆は頷き合いましたが、すぐにでも即効性のある名案は浮かびませんでした。
お城での生活はその後も、お金というもの過信しない人々によって、王様もお后も特別権力を振るうことなく、皆と同じに生活し、王子の帰りを心待ちにしたまま帰らぬ人となり、人々もいつの間にか居なくなり、お城は再び幽霊屋敷のようになりました。
それから百年程経ちました。
町はすっかり様変わりし、硬貨は紙幣に成り、兌換券システム(紙幣を本位貨幣と交換する)も廃止されました。
紙幣はドンドン作られ、自然の資源は制限無く印刷される紙の貨幣によって取引されました。
地球の資源は有限でしたので、紙の印刷速度と資源の成長は勝負になりませんでした。
清らかであった水も汚濁され、ダムによって生態系も壊されました。
岩は山から転げ落ちながらくだけ、やがて砂に成って海に流れ込み、波による国土の浸食を防ぐ役目をしていましたが、・・・・ダムによって自然の営みは破壊され、国土の浸食を防ぐために、日本中の美しい砂浜は、ほとんどテトラポット山積みの姿に変わりました。
核兵器もドンドン作られ、互いにそれらの所有量を競い、自国の外交手段として、・・・つまり脅迫手段として、外交を有利に押し進めたのでした。
当時、地球を何十回も消滅させるだけの核兵器を、地球人は創りだしていたのです。
核の恐ろしさも、無力化・防御する事も判らないまま・・・そして平和利用を口実に、原子力発電を設備しました。
創り出される電気は過剰に成り、24時間営業の店を奨励しました。
当初、何も知らない人々は、クリーンエネルギーと言う説明を鵜呑みにしていましたが、それは地上最悪の、人類を滅ぼす猛毒のエネルギーである事が、その後の原発事故により、明らかになりました。
人の世に事故はつきものです。巨大津波により原子力発電所が破壊され、人々は姿無き放射線により、心身共に脅威にさらされました。
国民は原子炉の廃絶を叫びましたが、時の政府は「原発を稼働させないと電力不足に成り、節電のため工場生産が出来ない。景気はこれ以上悪く出来ない。」との理由で、原発の再稼働を決定しました。国民の健康や命よりも、景気を優先させたのでした。
人々はやっと目が醒めました。そして立ち上がりました。
自分達の命は自分達で守らなければ、子供や孫にまで、飛んでもない世の中を残すことになる!・・・そして・・・多くさんの紆余曲折を経て、貨幣制度は廃止されました。
何故なら、お金を儲けるために、要らない物まで大量に生産し、過剰な宣伝をして売りつけ、お金を回さなければ景気が悪くなり、生活できないと思う・・・それは飛んでもない間違いだと気付いたからです。
ムダに資源を使い果たすことこそ、自分達の首を絞めることなのだと、やっと気付いたからでした。 お金が廻っても、自然が無くなれば、人々は死に絶えるだけでした。
人々の生活は、すっかり様変わりしました。
コンビニは無人スタンドに変わっていました。
日々必要な日用品や野菜や果物などが置かれています。必要な人が必要なだけ持っていきます。誰も余分には持ち帰りません。
全ての業界からは競争は無くなり、全てのメーカーは2~3社に統合され、コスト削減よりも、『自然と人々にとって、より良いもの、最高の品質を!』・・・がスローガンになりました。
役場は、真に人々の下僕と成り、手足となって、生活全般を支える相談所となりました。
様々な工房や、リサイクルを楽しむ人達が集う場所も、至る所に生まれました。
人々を重労働から解放するためのロボット工学は更に盛んに成り、危険な作業からも解放されました。それらの研究に当てる労力も知力も、時間も、材料も、無制限にありました。
お百姓の仕事も、昔のように重労働ではなく、多くの人々は芸術的な野菜作りや花作りを楽しみました。何しろ、お金のシステム維持に80%もロスされていた人々の頭脳や労力が帰ってきたのですから、全てにゆったりと豊かな生活が出来るようになったのです。
大量生産大量消費しないで済むようになり、自然も豊かさを取り戻しました。
川や海の水も、清らかさを取り戻しつつありました。
病院も、一人の患者に10~20人の各専門分野の医師が、患者をゆったりと囲んで問診し、最高の医療を提供できる方法を協議しました。お金の時代には考えられなかった、高価だったクスリも、必要な人には当たり前に提供されました。
交通量も激減し、排気ガスで空気までがかすむことも無くなりました。
大量消費させるための宣伝も不要なので、町も看板など無くなり、綺麗になりました。
ダイレクトメールのパンフやTVのコマーシャルも無くなり、真に人々に必要な内容のある放映機関となりました。
全ての情報はネットによって得られ、生活をより良くするための相談事は、役場が全てドンナ事でも片づけてくれました。
今や、人々に真に必要なもの・・・
大まかに衣食住を満たすもの。
人々の物心両面の真の幸せを研究する機関。
争いのない、そして自然との共存共栄を基本にした教育は、ほとんど必要不可欠な 社会の土台として、人々の心に定着したのでした。
人々の心のあり方一つで、世界も変わっていきます。
人々の心こそが、全てを動かすエネルギー・・・動力であることを、この時代になって、人々は理解しました。
紙で出来た紙幣に力がある訳ではなく、一握りの権力者に力がある訳でも無かった・・・皆の心が、創りだした世界だったのです。
人々のファッションも様変わりしました。人目を引いたり、威張ったりする必要もありませんでしたので、着ていて快い素材、デザイン、周囲を楽しませる色彩が主流となりました。
今まで大量に自然を破壊して創り続けた全ての日用品や家具、調度品・・・家までも至る所、空き家が溢れていました。別荘もステータスではなくなりましたので、不要品になったのです。
人々はそれら全てを、素晴らしいものにリサイクルする事に、楽しんで没頭しました。
それらは次々と心のこもった一品物に生まれ変わり、無人スタンドに陳列しておくと、すぐに貰われていきました。
家の欲しい人も、家をリフォームすることが大好きな集団によって、みるみる願いは叶えられ、無人で傷むだけの家は、命の灯りが灯るようになりました。
(現在、日本では780万個の空き家があり、有効な活用方法模索中とのことです。)
大地も、真に土を愛し、植物を愛する人々の手によって、雑草だらけで放置されていた畑は蘇り、採れた野菜達は、無人スタンドから、多くの人々の食卓で、人々の命の糧となる為に、大切に持ち帰られたのでした。
がんじがらめに、こんがらがったお金の世界、この世界を解きほぐしていく糸口があります。
例えば、ここに絹糸の原料になる蚕のマユがあります。
マユからは1000メートルの長さの糸が採れますが、最初の糸口を見つけて引き出していけば、途中で切れることなく、1000メートル全て糸つむぎ機に巻き取られます。
そして、裸になった蚕の死んだサナギが出て来ます。
がんじがらめに縛られたお金の世界ですが、この糸口が判れば、あっけないくらい簡単に、お金は、何の力もない裸の王様ぶりを露呈することでしょう。
その糸口は、皆様の身近に、見つかるはずです・・・クイズです。
見つけて下さい・・・この収穫は、金では得られない、美しく、楽しく、喜びの世界です。
追伸
1・・・今、人々の社会を構成している職業を、仕分けしてみて下さい。
2・・・貴方の仕事は、どの分野に仕分けられますか?
3・・・これから貴方がやりたいと思う仕事は何ですか?
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