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人はなぜささいなことで切れるのか 暗黙のおきての重要性
2012年 10月 19日 15:01 JST
リチャード・ラーマーさん(51)が、ある朝ニューヨーク・マンハッタンへの通勤電車で席に着くと、聞き慣れた音が耳に入ってきた。通路を挟んで反対側にいた男性がスマートフォン(高機能携帯電話)をタップする音だった。カチ、カチ、カチ、カチ、カチ、カチ――。その音は45分続いた。
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Getty Images
他の乗客もあきれた表情をしたり、深いため息をついたり、男性をにらみつけたりしていた。コネチカット州リッジフィールド在住のビジネス本作家のラーマーさんは、何とか本に集中しようとした。だが、そのうっとうしい音から逃れることはできず、とうとう文句を言おうと決心した。「すみません、クリック音を消してもらえませんか」。ラーマーさんは言った。
男性の反応はというと、「まるで、わたしが彼を蹴飛ばしたか、熱いコーヒーをかけたかのようだった」と、ラーマーさんは当時を振り返って話す。男性は勢いよく立ち上がり、「どういうことだ。もっとそっとタイプしろとでも言うのか」と怒鳴った。男性は数分間暴言を吐き、しまいにはこう言った。「一体何さまだ。人に指図する権利があるのか」。
「そうだ、その通りだ」。男性の暴言を静かに聞いていたラーマーさんはこう答え、「クリック音を消してください」と言った。周囲の乗客から拍手がわき起こり、怒っていた男性は席に座り、顔を真っ赤にして電話の電源を切った。
大の大人がなぜささいに思えることでかんしゃくを起こすのか。確かに礼儀の衰退は目を覆うばかりだし、感じの悪い人もいる。だが、現代はただでさえ誰にとってもストレスの多い時代だ。カスタマーサービス担当者にしろ、配偶者にしろ、突発的に相手を怒鳴り散らしても何の解決にもならないことを、われわれはそろそろ学んでもいいころではないのか。
米デューク大学の研究チームが、発表予定の論文で、ささいなことで人が崩壊する理由を調査した。その結果、暗黙のものではあるが、基本的なルールを侵されたと感じたときに、人は反応することが明らかになった。昔から子供がよく言う「そんなの不公平だよ」というセリフと同じだ。
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Gary Musgrave
研究者によると、そうした暗黙の行動規範は「社会的交換ルール」と呼ばれる。「失礼な態度や思慮に欠ける行動は取ってはいけないと人は考えている。つまり、礼儀正しく、公正かつ誠実で思いやりのある行動を取るべきだと。列に割り込んではいけない。安全運転しなければいけない。自分が汚したら自分で掃除しなければいけない」
「相手がそうしたルールを破れば、当事者双方にとって互いに有益な、良好な関係性は築けない」。論文の筆頭著者であるデューク大学のマーク・リアリー教授(心理学・神経科学)はこう説明し、「また、相手がうそをつかない、非倫理的なことをしない、一般的な快適な暮らしを脅かさないと互いに信頼できなければ、有益な社会は築けない」と話す。
人が取るに足りないことに過剰反応を示す理由をリアリー氏が研究しようと思うようになったのは、ある事件を目撃したことがきっかけだった。リアリー氏があるファストフード店にいたとき、ビジネススーツを着た男性がカウンターにつかつかと歩み寄っていくのが目に入った。男性はハンバーガーをカウンターに放り投げ、「なぜ俺のサンドイッチにピクルスが入っているんだ」と怒鳴った。さらに男性は大声で女性店員に、そんなこともできないなんて「頭が悪すぎる」と言い、首にしてもらうと脅した。女性店員は泣きそうな顔をしていた。別の店員が新しいハンバーガーを渡すと、男性は去っていった。
この騒動を目にしたリアリー氏は、相手が暗黙の社会的ルールを破ったとき、そのことを世間に知らしめずにいられないほど侵害されたと深く感じるのだとすれば、暗黙の社会ルールには極めて重要な何かがあるに違いないと考えた。「問題はピクルスではない」とリアリー氏は述べ、「相手がルールに従わないがために信頼が損なわれること、あるいは自分に害や不都合が及ぶ可能性があることが問題なのだ」と説明する。
専門家は切れやすい人に対して、まずは行動を自覚し、次に「科学者的思考」を持って怒りを引き起こすきっかけとなる「トリガー」を特定し、反応の仕方を変えるよう努力するようアドバイスしている。例えば、のろのろ運転によく腹を立てる人は、家を少し早めに出て時間に余裕を持たせるようにしてみる。あるいは、怒りの感情をコントロールする方法を試してみるのも手だ。息を吸って10数える。楽しいことを考える。かんしゃくを起こしても仕方ない、かんしゃくを起こせば後で嫌な気分になる、と自分に言い聞かせる、などだ。
臨床心理学者でニューヨークのウェイル・コーネル医科大学の教授を務めるスティーブン・ジョセフソン氏は「不快な出来事は日常生活にはつきものだ。すべての刺激にいちいち反応する必要はない」と話す。
記者: Elizabeth Bernstein
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浮気に男女差なし?
ペギー・ドレクスラー博士
2012年 10月 21日 9:38 JST
アルフレッド・キンゼー博士は60年ほど前に、米国では、男性の半数と女性の4分の1が結婚後に浮気をしたことがあるとの研究結果を発表し、社会に衝撃を与えた。
調査に採用された標本抽出法に選択バイアスがあったため、今ではこの数字を信用する人はいない。しかし、博士が示した結果は「男性が浮気をする可能性は女性よりはるかに高い」という長年の認識に沿ったものだった。
Millennium Images
Researchers believe that the incidence of unfaithfulness among wives may be approaching that of husbands.
その後、さまざまな研究者がこの見方に疑問を投げかけてきた。妻が浮気をする確率は夫に追いつきつつあるかもしれない、とこうした研究者は考えている。配偶者や子どもとして離婚を経験した多くの米国人なら、こうした裏切りが長期的にどのような悪影響をもたらすか、よくわかるだろう。
このテーマに関して最も信頼のおける研究の1つが、米国立科学財団(NSF)が実施する一般社会調査(GSS)だ。質問内容は1972年から変わらない。2010年の調査では、結婚後、浮気をしたことがある男性の割合は19%となり、1991年の21%から低下した。一方、浮気をしたことのある女性の割合は1991年の11%から2010年には14%にまで上昇した。
インディアナ大学、キンゼー研究所、グエルフ大学が2011年に実施した研究では、浮気の経験のある男性の割合は23%、女性の割合は19%となり、男女差がはるかに小さかった。こうした数字は、浮気に男女差がなくなってきていることを示しているが、少し注意が必要だ。
研究者の悩みの種は、こうした調査では、配偶者にうそをついているだろう人たちから本当のことを聞かなければならないことだ。それは調査対象の抽出に慎重な研究者にとっても同じこと。実際に浮気をしている人は調査結果よりも多い、と研究者はみている。
また、米国では、男女のいずれにとっても、浮気がまん延しているわけでも、避けられないことでもないということは強調しておいたほうがいいだろう。調査を行うと必ず、回答者の圧倒的過半数が一夫一婦制を尊重しており、浮気は有害だと考えているという結果が出る。女性の14%が浮気をしているというGSSの調査結果を信じるなら、86%は浮気をしていないということにも目を向けるべきだ。
調査を正確に行うことは難しく、専門家の意見が一致することはあり得ないが、浮気をする女性の割合は実際、男性に迫っているようだ。心理学者としての仕事の上でも、自分が所属する社会集団の中でも、浮気するだけでなく、積極的に浮気の機会を求める女性を多く見かけるようになった。
その理由は、自分の魅力を確認したい、精神的なつながりや評価を求めたい、エゴを満たしたいなど、聞き覚えのあるものばかりだ。労苦も伴う長い婚姻生活という現実から解き放たれ、新しい関係にわくわくすることは言うまでもない。
研究者は女性を浮気に導くその他の要因も指摘している。その1つに、浮気が日常にあふれていることが挙げられる。1週間のテレビドラマの筋書きをざっと見てみると、夫婦間の性交渉よりも夫婦間以外の性交渉のほうが多く扱われているようだ。(60年代の広告業界を舞台にした人気ドラマ「マッドメン」では、夫婦間の性交渉だけにとどまる登場人物はほとんどいない)。テレビで女性が進んで浮気をしたり、男心を惑わせたりする様子が描かれるようになり、以前に比べて浮気が受け入れられている感覚があるのかもしれない。
そして、機会というのも1つの要素だ。女性が出張したり深夜まで働いたり、男性と交流したりするようになり、新世代の働く女性にとっては、浮気をする機会が増えている。また、浮気をしたいという衝動も高まっている。
オランダのティルブルフ大学が2011年に実施し、専門誌「サイコロジカル・サイエンス」で発表された研究によると、浮気は経済力や社会的権力と相関関係にあるという。経済力や社会的権力が増大すると、男女ともに自信がわき、影響力を持つようになる。これまで男性が慣れ親しんできたやり方で、今や女性も権力を行使することができるようになった。
社会が変化していることも影響しているのかもしれない。生物人類学者のヘレン・フィッシャー氏が今年、恋愛や結婚のための紹介サイト、「マッチ・ドット・コム」を対象に実施した研究によると、女性は男女関係について昔ながらの考え方にとらわれなくなってきていることがわかった。面白いことに、男性は女性とは反対方向に進んでいるようだ。この調査では、既婚女性の77%が個人的な空間が必要だと回答したが、男性は58%だった。また、女性の35%は友人と定期的に夜、外出したいと答えたが、男性は23%にとどまった。
ソーシャル・ネットワークも浮気の要因になる。少なくともパートナーになりそうな人が増えることにはなる。昔から、女性の浮気は気の合う友人と肉体関係を持つことから始まることが多かった。最近は、友人関係がネット上で広がることが容易になった。ソーシャル・ネットワークは単に浮気を促進しているだけで、浮気をする人はいつでも方法を見つけられると言うかもしれない。しかし、今でも高校卒業パーティーのダンスの相手を忘れられないのであれば、その相手を見つけ出せる可能性は高い。
近年の浮気事情において、男性より女性がより積極的になったと言ってよいだろうか?おそらくそうだろう。しかし、米国社会では、何十年にもわたって男女平等が説かれ、法律が作られ、ほめたたえられてきた。それゆえ、婚姻関係における過ちについても男女平等であることが期待されているのかもしれない。
(執筆者のドレクスラー博士はワイル・コーネル医科大学の心理療法部門に所属する心理学の准教授であり、作家でもある。近著には「Our Fathers, Ourselves: Daughters, Fathers and the Changing American Family(私たちの父、私たち自身:娘、父、そして変化する米国の家族)」がある)
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