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2013年01月21日 15時00分|週刊実話 2013年1月24日 特大号
朝日新聞などの大手マスコミは、自由民主党と公明党、すなわち「公共投資拡大路線」を訴えていた政党が勝利したことを受け、
「公共投資拡大路線は、人口減少社会にはかなりの重荷だ」
「老朽化したインフラの維持更新は仕方がないが、利用率の低いインフラはたたみ、社会のダウンサイジング(規模の縮小)をするべきだ」
「コンクリートから人へは、人口減少の成熟社会には必須だ」
といった印象操作を行い、なんとか全面的な公共投資拡大路線への転換を阻止すべく、捏造報道に精を出している。
最初に書いておきたいのだが、民主党政権で結実した「コンクリートから人へ」は、極めておぞましい思想である。
コンクリートとは、公共投資を意味する。そして、公共投資とは、現在の国民のためはもちろん「将来世代の国民の生命や安全を守り、所得を増やす」ことをも目的として実施されるのだ。
我々、現在に生きる日本国民が、この日本という国で比較的安全に、豊かに暮らすことができるのは、過去の国民がインフラ整備に投資をしてくれたおかげなのである。すなわち、公共投資とは「将来のため」にこそ行われるのだ(公共投資に限らず、投資とは全て「将来」のために実施される)。
それに対し、コンクリートから人への「人」は、ずばり社会保障である。公共投資を減らし、社会保障を増やすことこそが「コンクリートから人へ」なのだ。
公共投資が将来のために実施されるのに対し、社会保障は「現在の国民」を潤す。年金、生活保護、子ども手当など、全てそうだ。すなわち、コンクリートから人へとは「将来世代のことなどどうでもいい。今の自分にカネを寄越せ」という思想なのである。
選挙対策としては有効なのかも知れないが、このように説明され「おぞましい」と感じない日本人は少数派だろう。
もっとも、公共投資を減らし続けたのは、別に民主党政権に限った話ではない。橋本政権以降の自民党政権も、小渕政権、麻生政権という例外を除き、ことごとく公共投資縮小路線を歩んできた。結果的に、我が国は国民の安全が脅かされるような事態に至ってしまったのである。
朝日新聞などは「人口減少の成熟社会には公共投資は不要だ」と、盛んにミスリードを繰り返しているが、現実は異なる。
主要先進国の中で、公共投資の削減を続けているのは日本だけだ。アメリカやイギリス、ドイツなどは、日本よりも「成熟していない国々」なのだろうか。また、ドイツは日本よりも早いスピードで人口が減っている。
それでも、各国ともに公共投資を対'96年比で増やしている。なぜなのか。ドイツは他国よりも財政均衡を好む傾向があり、さすがに大々的に増えてはいないが、少なくとも対'96年比で見れば増加している。
意外だろうが、世界にはドイツ、ロシア、ハンガリーなど、日本よりも早いペースで人口が減っている国が20以上もある。人口が減少している国を含めても、公共投資が'96年比で半分に落ち込んでいるような国は我が国だけだ。
主要先進国は、日本並みに成熟しているにもかかわらず、あるいは一部の国は人口が減少に転じているにもかかわらず、なぜ公共投資を増やしているのだろうか。理由は複数ある。
(1)日本同様に、1960年代に建設したインフラストラクチャーのメンテナンス時期を迎えている
(2)公共投資でインフラを整備することで、国家の競争力を強化しようとしている
(3)リーマンショック後のデフレ化を防ぐため、各国政府が公共投資による需要創出を図った
当たり前だが「インフラのメンテナンス」「インフラ整備による競争力強化」「デフレ期の需要創出」の3つは、全て現在の日本にも当てはまる。日本は欧米主要国と同様に公共投資を増やさなければならない「理由」を抱えているにもかかわらず、現実には延々と削減を続けて来たわけだ。
設備投資をしない企業に、成長はない。同じように、公共投資を拡大しない国家は成長しない。
日本は「コンクリートから人へ」に代表されるイデオロギーに基づき公共投資を削減し、成長力を毀損し、GDPが成長せず(当たり前だ)、GDPを原資とする税収が減り、財政が悪化し、今度は「財政が悪化したから公共投資削減」という、あまりにも愚かしい悪循環を続けて来たのである。
さらに、現在の日本は首都直下型地震、南海トラフ巨大地震など、「次なる大震災の脅威」を抱えている。首都直下型地震にせよ、南海トラフ巨大地震にせよ、我が国の経済の中心地である「太平洋ベルト地帯」を直撃する。
来るべき大震災から日本国民を守る政策を推進することは、当然ながら日本政府に課せられた義務なのである。
しかも、日本国民の多くは有権者として、総選挙において国土強靭化、防災・減災を訴えていた自民党、公明党に票を投じた。民意が公共投資の拡大を求めているのである。
それでも、朝日新聞などは懸命に公共投資を否定しようとしてくる。前回も書いたが、現在の日本でイデオロギー的に公共投資を否定する連中は人殺しも同然であり、かつ「民意」に逆らうものなのだ。
三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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