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今年3回目となる政党助成金の交付申請が締め切られ、民主党、国民新党、新党大地・真民主の3党は、今年度予算の執行に必要な赤字国債発行法案の成立の見通しが立たないことを理由に申請を見送った?との報道がありました。
特例公債法が成立しないと、国の予算執行に支障が出てしまう。地方交付税交付金の支払いも待ったをかけている状態では、とても政党助成金をのうのうと受け取るわけにはいかない、という感じでしょうか。
一見するともっともに見えそうな話ですが、ここで疑問点を整理してみましょう。
まず、なぜ予算が成立した段階で特例公債法が成立していないのでしょうか。
本来、特例公債法案は、予算と共に提出されるべきものです。予算には裏付けとなる財源が当然必要であり、財源として特例公債が 必要だということは、予算を組む段階ですでにわかっているものです。ですから、民主党が政権を担当するようになる前は、予算案と特例公債法案の提出は同時に行われていました。これが筋というものです。
それがそうなってはいないというのはいったいどういうわけでしょうか。予算は他の法律の案件と違い、衆議院と参議院で異なった議決を行い、話し合っても意見が一致しない場合には、衆議院の議決が国会の議決となるとの規定があります。要するに、衆議院で多数派を握っていさえすれば、参議院で少数派だとしても、押し通すことができるわけです。
ところが、特例公債法案は予算案と密接な関連はありますが、予算案そのものではないですから、通常の法律案と同様の扱いが適応されることになります。従って、予算案と同時に提出されれば、当然予算と結びつけて野党側からの厳しい追及が行われ、予算そのものも修正を余儀なくされることになります。
民主党は、予算案の厳しい追及を避けるために、本来の筋をねじ曲げて、特例公債法案を予算案と同時に提出しなかったのです。自民党などが特例公債法案を人質に取っているというのは、本末転倒の話です。
次に、特例公債法を通さないと、本当に当座の資金のやりくりに支障が出るのでしょうか。
平成24年度の予算総則を調べてみましたら、その第8条に、「「財政法」第7条第3項の規定による財務省証券及び一時借入金の最高額は、20,000,000,000 千円とする。」という規定がありました。つまり本年度は予算執行上の支障がある場合には20兆円まで短期国債の発行は認められているわけです。
特例公債法が成立していない状態で、地方交付税交付金の支払いが滞る事態になりながら、なぜ短期国債の発行を敢えて行わないのでしょうか。「野党が特例公債法案を通してくれないから、今後予算が執行できなくなって、国民生活にしわ寄せが行くことになるんだぞ。その責任は自民党など野党の側にあるんだぞ。」という、事実にそぐわないプロパガンダのためだということがわかります。
マスコミは「政局の駆け引きのために重要法案を「人質」にとるようなやり方」だと、野党側を非難しますが、「政局の駆け引きのために重要法案を「人質」にとるようなやり方」を採用しているのは、逆に民主党の側だということがわかります。
そして、今回見送った分の政党助成金の受け取りはないということなのかといえば、どうもそうではないようです。日本共産党の宮本たけし議員のページによれば、「わが党国対から民主党国対に対して、「申請見送りということは、ずっと受け取らないということか?」と問い合わせたところ、民主党は「今年12月20日までに公債特例法案が成立すれば申請する」と答えてきた」と書かれています。
ところで、本来3月末には成立していなければならない特例公債法案がこれまでずっと成立していなかったのに、これまで半年ほどの間は予算は問題なく執行できました。一見では実に不可思議な話ですが、どうしてそんな不可解なことが可能だったのでしょうか。
その理由は、予算の執行停止が多いことによります。例えば、昨年度の復興関連予算のうち4割が消化されずに残っていました。こうした結果、予算が「余る」という事態が生じていたのです。ではなぜ最優先とも思える復興関連予算まで余っていたのでしょうか。実は復興事業をまじめに進める力量さえなかったからです。
共産党の笠井亮議員は、予算委員会の質問で次のように発言しています。「除染の対象となる圏内の住宅が60万7千戸あるが、除染計画があるのがその内8万8千戸。実際にやった実績はわずか2千戸にとどまっている。除染が必要な農地は12万haだが、畑の除染計画はわずか2735haしかなく、実績はわずか2ha。どうして1年4ヶ月も過ぎてこれしか進まないのか。」
また新党きずなの斉藤やすのり議員も、予算委員会の質問で、地震に伴う仙台の宅地災害について、次のように発言しています。「5080箇所も出た宅地災害なんですが、… 簡単に申しますと、この工事が始まっている件数はゼロなんです。」原発事故から1年4ヶ月も経って、畑の除線が2haに留まっていたり、宅地災害の復旧がゼロというのは、笑えない現実ではないでしょうか。復興予算については、このところ不適切な支出が取り上げられていますが、復興事業自体がろくに進んでいないことは、さらに重大だと私は思います。
民主党は、もはや、やる気があるとかないとかというレベルですらありません。国政を進めていく力が民主党には全くないということを、これは如実に語っているとはいえないでしょうか。
こうした背景がありながら、政党助成金の交付申請を見送った、民主党の方が見識があるかのような印象操作を行っている、マスコミのあり方はおかしいと思わずにいられません。
2012/10/16
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