http://www.asyura2.com/12/hihyo13/msg/441.html
Tweet |
取材現場から 消費増税に迫る 経済部 石川智規 (東京新聞)
(東京新聞)2012.10.14
■読者からの反響支え
「財務省の席、なくなるんじゃない?」
懇意のエコノミストから、冗談とも本気ともつかない心配をされた。六月末のことだ。
財務省担当記者として消費税増税や予算の行方を取材している。本紙は在京紙の中では珍しく増税に真っ向から反対の立場。僕もその最前線に立つ身として、増税の是非を辛口に書いてきた。
その象徴が六月二十九日朝刊の「増税で暮らし重症化」という記事だ。日本経済の現状を人の体にたとえ、不況やデフレ下の増税は、貧血の患者からさらに血を抜く行為に等しい。医師であれば完全な誤診といえるー。
反響は大きかった。読者から本社に、賛意の電話やメールをいただいた。僕自身も、五年前に取材でお世話になった百貨店業界の人から「よくぞ言ってくれた」とメールをもらった。担当を離れて久しい保険業界の人からも「誰も言えない本質を書いてくれて痛快です」と電話があった。
光があれば、影も濃い。以来、財務省の取材はさらに困難を極めた。
当局の幹部に取材を申し込んでも容易に会わせてもらえない。もちろん多忙を極める彼らの都合もあろう。だが、財務省記者クラブに座っていると、他社の記者がスーツの上着を羽織ってさっそうと廊下に出るのをよく見かける。幹部クラスとの雑談だろう。片やこの夏、僕は上着を一度も着なかった。クールビズや猛暑のせいだけではない。
厳しい取材環境ではあるが、おかげで消費税増税の本質に迫れたと思う。相手が嫌がる先にこそ、真実が宿る。
何が正しいかを模索した。旧知の中小企業経営者と酒を飲み、不況下での増税の副作用を痛感した。本を読み専門家らと議論した。財務省記者クラブに席を置きながら、取材は霞が関の外で。冒頭のエコノミストの指摘(「財務省の席、なくなるんじゃない?」)は、言い得て妙だ。
担当記者として正直、孤独ではある。だが怖くはない。あらゆる読者の反響が僕たち現場の記者を支え、記事を磨いてくれる。
※コメント
さすが、「マスコミ」でありながら、「マスゴミ」でない、東京新聞の記者魂に、感動しました。皆さん応援しましょう。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評13掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。