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放送作家という職業で今起こっていることは、なかなかに興味深い。
ぼくの妻はお笑いの卵をやっていて、友人に何人か放送作家の卵がいて、一緒にライブをやったり動画を放送したりしているのだけれど、しかしなかなかビジネスに結びつかなくて貧乏から脱せられていないらしい。
アニメの業界でも見た目の華やかさとは逆に内実はお金がないので大変だという記事があったけれど、それを読んだら放送作家業界も似たようなものだというのを思い出した。
アニメ制作会社を辞めました放送作家という職業で今起こっていることは、格差社会の進行だ。
番組の予算が少なくなって、放送作家に支払われるギャラも比例して少なくなっているのだけれど、そうなると放送作家全員が一律で低くなるというわけではなくて、雇われる人数が絞られることになる。
それまでは10人雇っていた放送作家を、いきなり7人回顧して3人にまで減らすとか、そういう規模で淘汰が行われている。
そこで淘汰されない(サバイバルする)放送作家というのは、すでに実績があり、なおかつ実力もあるという、バリバリの中心選手だけだ。つまり、上位の実力者層にのみ、仕事が集中するようになるのである。
すると、上位の実力者層はますます忙しくなるのだけれど、その層に入れなかった中堅層、あるいは下層が、軒並み仕事がなくなってしまう。つまり、これまで儲かっていた人はさらに儲かるようになるけれど、そこそこだったりそうでもなかった人は、一気に貧乏へと転落してしまうという構造になっているのだ。
最近、放送業界の人たちと話していて必ず話題に出るのは、どの番組の放送作家にも同じ名前が羅列されているということだ。特にゴールデンの番組となると、有名な10人くらいの放送作家の名前が必ず出てくる。
もはやゴールデンの番組はその10人しか作っていないのではないかという印象だ。
そういう格差社会の中で、一番割を食っているのは若手の放送作家である。彼らは実績も実力もないから、番組には雇ってもらえないのだけれど、どこにも雇われないと実績も仕事も伸びようがないから、いつまで経っても下層域から抜け出すことができないのである。
ちょっと前、失職した派遣社員が社宅を追い出されてしまうと、もう行き場がなくなるということが社会問題となっていたけれど、それと似ている。
失職し社宅を追い出されてネットカフェ暮らしの人がハローワークに行くと、必ず「住所はどこですか?」と聞かれて「不定です」と答えると、「住所を決めてからまた来てください」と言われてしまう。
ところが不動産屋に行くと「職業は何ですか?」と聞かれて、「無職です」と答えると「仕事を決めてから来てください」と言われてしまう。それでもう、二進も三進も行かなくなって、ネット難民から抜け出せなくなるというのだ。
今、若手の放送作家は、そんな状態に陥っている。もちろん、そういう困難な状況だからこそ、逆にやりがいやチャンスの芽があるのではと考える人もいるだろうけど、いずれにしろ相当な覚悟が必要なことはまちがいない。
2012年07月12日 http://blogos.com/article/42996/
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