02. 2013年1月15日 14:47:20
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コラム:新興国に向かう投資マネーの副作用と処方箋=加藤隆俊氏 2013年 01月 11日 17:56 JST為替フォーラム 焦点:「アベノミクス」による円安、韓国経済に恩恵も 今週の外為市場はドル90円試す、株式崩れれば調整も 上海外為市場=人民元が対ドルで反落、終値6.2192元 アングル:ミセス・ワタナベは依然逆張り、一部でクロス円に注目 加藤隆俊 国際金融情報センター理事長/元財務官(2013年1月11日) 2013年は、新興国経済にとって曇り空に薄日が差し込む1年となるだろう。国によって成長率はまちまちだとしても、昨年に比べれば総じて上向くとみている。最大の理由は、主要輸出先である先進国経済の緩やかな回復が見込めることだ。 この3年近く世界経済の足を引っ張ってきた欧州債務問題も、ユーロ圏分裂という最悪のシナリオが現実化する恐れは足もとの市場の材料となっていない。ギリシャ危機は相次ぐ支援策でひとまず沈静化し、12月の欧州連合(EU)首脳会議では懸案だった銀行破綻処理メカニズム構築の方針も示された。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、今年の後半にはユーロ圏経済に持ち直しの兆しが現れるだろうと述べている。 米国経済についても、雇用関連指標を中心に、足もとの数字は悪くない。当面の「財政の崖」回避に成功した後も、1月から2月にかけて債務上限引き上げや歳出削減策に関する政府と議会の交渉が本格化することから、財政要因が経済の足を引っ張る恐れは残る。給与税引き下げの失効など財政面からは景気に多少水を差すものの、米連邦準備理事会(FRB)による強い緩和姿勢は持続される見通しであり、金融政策面での景気テコ入れは期待できる。安倍内閣の下での日本を含めて、こうした先進国の拡張的な政策志向は、新興国経済にとって当面かなりの好材料となるだろう。 <新興国の悪性バブルを防ぐ道> しかし、足もとで薄日が差したとしても、それがさらに明るくなっていく保証はない。むしろ新興国経済の中長期の見通しについては、ダウンサイドも認識しておく必要がある。イラン問題など中東地域での地政学的リスクもさることながら、懸念されるのは先進国からの資金流入の加速である。 すでに述べたとおり先進国は目下かなり思い切った金融緩和を続けているが、この流れはしばらく変わりそうにない。投資の効率性を考えると、これらの資金の一部は成長率の高い新興国に今後さらに流れ込んでいくものと思われる。 むろん、資金流入自体は、新興国にとってプラスだ。しかし、インドや中国を除けば、経済規模で先進国に大きく劣る新興国では、流入する資金が市場の流れを大きく左右することになりがちである。流入する資金を為替の切り上げで受け止めようとすれば、製造業など輸出セクターの競争力にマイナスに働く一方で、為替の切り上げにブレーキをかければ、流動性が増えて、将来のインフレの種をまきかねない。 つまり、新興国の多くは経済運営の難しい舵取りを迫られるわけで、その過程において「予期せぬ副作用」が生じるのではないかと危惧している。それは深刻なインフレかもしれないし、あるいはインドネシアやベトナム、バングラデシュで起きているように、インフレに賃上げが追いつかず、労働者のストライキが増えることかもしれない。 では、こうした中長期のリスクをどう軽減すべきだろうか。むろん、新興国の経済発展段階ごとに取るべき対策は千差万別だが、一言でくくるならば、やはりそれぞれに必要な構造改革を急ぐことだろう。 たとえば、インドは国内産業保護に偏った政策からの転換が必要だ。昨年になって、外資開放に消極的とみられていた財務大臣が辞任したり、小売業の自由化が議会で支持を得たりなど、改革姿勢は分野によっては政策変更として結実しているが、その歩みは決して速いとは言えない。外資に対する規制や行政上のネックは依然、数多く存在する。財政赤字と経常赤字の「双子の赤字」問題もそのままだ。 一方、中国は輸出をあてにした投資主導から、消費主導の経済発展モデルへの移行を急ぐ必要がある。その意味で、中国の新指導部が12月の中央経済工作会議で改革の必要性を前面に押し出したのは歓迎すべきことだ。中国に限ったことではないが、成長率が高く、それでいて1人当たりの所得がまだ低い新興国は、為替レートが次第に切り上がっていくことは必然の流れとの認識を持って、改革を推し進めていく必要がある。 ただ、新興国の問題は、新興国だけでも解決できない。新興国にともすれば資金が向かってしまうのも、先進国における投資機会の少なさにも理由がある。シェールガスを中心とする米国のエネルギー革命は良い例だが、日本と欧州も拡張的な財政・金融政策に頼るばかりでなく、規制緩和などの構造政策を積極的に進めることを通じ新たな需要を産み出し、国内の投資機会を増やしていく必要がある。日米欧のそうした取り組みは、悪性のバブルから新興国を救うことにもつながるだろう。 *加藤隆俊氏は、元財務官(1995─97年)。米プリンストン大学客員教授などを経て、2004─09年国際通貨基金(IMF)副専務理事。10年から公益財団法人国際金融情報センター理事長。 関連ニュース 11月のユーロ圏PPI、前月比‐0.2%・前年比+2.1% 2013年1月7日 11月のユーロ圏PPI、前月比‐0.2%・前年比+2.1%=統計局 2013年1月7日 1─9月期のポルトガル財政赤字、GDP比5.6%に低下 2012年12月29日 焦点:先進国の民間投資はなお低迷、世界経済が新興国へシフト 2012年12月28日
UPDATE1: 東京外為市場・正午=ドル急落し一時88円台、経済再生相の発言が調整売りを誘発 2013年 01月 15日 12:47 JST 記事を印刷する | ブックマーク [-] 文字サイズ [+] ドル/円JPY= ユーロ/ドルEUR= ユーロ/円EURJPY= 正午現在 89.08/10 1.3377/81 119.17/21 午前9時現在 89.44/46 1.3375/79 119.63/67 NY午後5時 89.44/51 1.3381/85 119.70/74 -------------------------------------------------------------------------------- [東京 15日 ロイター] 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比 べてドル安の89円前半。昼近くに、過度な円安は国民生活にマイナスの影響もある、と の甘利経済再生相の発言が伝わったことをきっかけに急落。正午過ぎには高値から1円以 上下落し一時88.62円をつけた。 甘利明経済再生担当相は15日、過度な円安は輸入物価にはねかえり、国民生活にマイ ナスの影響もあると述べた。また、同相は為替水準は輸出と国民生活への悪影響を最小に する最大公約数に収まることを期待するとした。 市場で同相の発言は、投機筋にとってドルの利食い売りの「グッド・エクスキューズ」 (外銀)になったとされる一方、同発言はクロス円の急落も招いたことから、証拠金取引 などで「ケガをした人もいるもよう」(同)だという。 ユーロは高値119.98円から一気に118.58円まで約1.5円急落した。 ただ、ドル/円、クロス円とも下値ではバーゲンハンティング的な買いが出ているもよ う。
<アベノミクス>
東京市場が休場だった前日の外為市場で、ドルは一時89.67円まで上昇し2010 年6月以来の高値をつけた。短期筋を中心とする「アベノミクス」に対する根強い期待が 背景。円は対ユーロでも下落し、ユーロ/円は前日120.13円と2011年5月以来 の高値を付けた。 円売りのきっかけの一つは13日の安倍晋三首相の発言。首相は、政府と日銀の政策連 携について、文書自体をどう呼ぶかはいろんな議論があるが、大切なのは2%の物価目標 をしっかりと書くことだと語った。さらに目標達成の時期について「長期では長い。中期 で考えていかないと」と述べ、中期的に達成していく必要があるとの考えを示した。 投機筋の間では、2%のインフレは量的緩和など既存の措置の延長では達成できず、ド ラスティックな措置が必要との見方が広がっている。そこで、「為替を(円安方向に)操 作すれば、輸入物価が上昇して、手っ取り早く目標が達成できるとの考えがファンド勢の 間で広がっている」とニューヨーク在勤のバークレイズ・キャピタル為替ストラテジスト の逆井雄紀氏は言う。しかし、現実には「日本の場合、為替相場の国内物価へのパス・ス ルー効果はそう高くない」と同氏は指摘する。 いずれにせよ、投機筋の関心は次期日銀総裁が誰になり、その人物がどのような手法で 物価目標を達成するのか、という点に集中しているという。 日経新聞によると、11日の景気討論会で次期日銀総裁の候補者に入っているとされる 顔ぶれから、ドル/円水準への言及があった。日本経済研究センター理事長の岩田一政氏 は、ファンダメンタルズからみて「円はまだ15%程度高い」とし、アジア開発銀行総裁 の黒田東彦氏は「円はまだ過大評価されている。円安になって当然だ」と述べた。 ユーロは1.33ドル後半で底堅い。欧州中央銀行のドラギECB総裁が10日に、ユ ーロ圏経済の先行きに関してより楽観的な見方を示したことが、引き続きユーロの支援材 料となっている。 ドラギ総裁は前月、利下げについて「幅広い議論」があったとしてい たが、10日には一転して主要政策金利であるリファイナンス金利の据え置き決定が全会 一致だったことを明らかにした。またユーロ圏にはすでに一部で安定化の兆しが出ている とし、年内に経済が回復するとの見方を示した。ただ、経済見通しに対するリスクは依然 下向きとも述べた。 (ロイターニュース 森佳子) アングル:ミセス・ワタナベは依然逆張り、一部でクロス円に注目 2013年 01月 11日 19:30 JST [東京 11日 ロイター] 急ピッチの円安のなか「ミセス・ワタナベ」が活発な動きを見せている。FX(外為証拠金取引)を手掛ける個人投資家は、円安傾向が鮮明化するなか、元日直後の2日からドル売り/円買いに動いた。 一方、短期志向の個人トレーダーは値幅のより大きいクロス円に熱視線を送っている。 今年、個人投資家は正月三が日から始動した。外為どっとコム総研の神田卓也調査部長は、外為どっとコムでは2日、3日にかなりの出来高があり、非常に驚いたと話す。FX会社の中には、2日に過去最高の出来高を記録したところもあるという。例年、正月三が日は個人投資家の動きは鈍いが、今年は様相が異なった。 昨年末にかけては「アベノミクス」への期待からドル/円が上昇に次ぐ上昇を演じ、12月31日には2010年8月以来となる86円後半に達した。さらに、年をまたいで1月1日には米国で「財政の崖」が回避され、ドル/円の先高期待は一段と高まった。しかし、FXを手掛ける個人投資家たちは勇んでドル買い/円売りに動いたのではない。外為どっとコム総研の神田氏は「想定していた以上にドル高/円安に進んだことで、目立ったのは利益確定のドル売り/円買いだった」と話す。 神田氏によると、外為どっとコムでは、頻繁に取引を繰り返す顧客は少なめで、比較的「おとなしめ」の顧客が多く、トレンドフォローよりも逆張りに動く傾向が強い。実際、外為どっとコムのドル買い/円売りのポジション残高では、「直近のピークを付けた昨年9月末から12月末までで4割以上減少した」という。ドル/円は9月、77.13円まで下落するなど円高水準にあったが、12月にかけて上昇を続けた。トレンドとは逆を行く個人投資家の動きが鮮明に見て取れる。 一方、短期スタンスでFXを手掛ける個人投資家の視点は異なる。都内在住でFX歴が3年半になる20代男性は、ドル/円ではなくクロス円に注目している。「ドル/円は値幅が狭く、短期少額で手掛けるには使いにくい」と話す。 この男性は、昨年11月のユーロ/ドルの下げ局面でユーロ/ドルを売ったものの、その後、ユーロ/ドルが上昇に転じたことで売りポジションが塩漬け状態になってしまい、現状は動けないという。しかし、動けるようになれば、クロス円に移行したいと考えている。中でも、「南アランド/円、ニュージーランドドル/円、カナダドル/円を買ってみたい」と述べている。 こうした個人投資家の相場観は、アナリストたちの予想とそれほど変わらない。バークレイズによる最新の為替予想に基づけば、対円で1年後にもっとも上昇する見込みなのは、32通貨の中で南アランド。カナダドルは2位となっている。ドル/円は15番目にとどまる(4日時点のスポットレート対比)。 三井住友銀行の岡川聡シニアグローバルマーケッツアナリストも、ドル/円よりもクロス円の方が上値が大きいとみる一人だ。ドル/円は米金利の上昇が伴わないために上昇余地が限られそうだが、クロス円には、イタリアやスペインの対独スプレッドの明確な縮小に象徴される信用不安の後退で上昇圧力が掛かりやすいとの見方を示している。 (ロイターニュース 和田崇彦 編集:伊賀大記) 関連ニュース 焦点:アジア富裕個人投資家の社債離れに懸念、一部銘柄の値崩れで 2012年12月19日 〔外為マーケットアイ〕ユーロ118.10円付近、個人投資家は119円で売りスタンス 2013年1月11日 東京外為市場・午後3時=ドル81円後半、一部の海外短期筋は弱気転換 2012年11月28日 ドル81円後半、一部の海外短期筋は弱気転換 2012年11月28日 |