★阿修羅♪ > 経世済民78 > 824.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
2013年はドル、円、ユーロのばらまき合戦で金は最高値更新も (NEWS ポストセブン) 
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/824.html
投稿者 赤かぶ 日時 2013 年 1 月 02 日 07:15:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130102-00000001-pseven-bus_all
NEWS ポストセブン 1月2日(水)7時6分配信


 2011年に1オンス(約31.1グラム)=1923ドルの史上最高値をつけた金価格。一度下落したものの、2012年後半には再び上昇しつつある。2013年の金価格について金のスペシャリスト、豊島逸夫氏が解説する。

 * * *

 まず金市場に関する私の大局観から説明しておきたい。

 振り返れば、2011年はギリシャショックに米国債格下げが相次ぎ、先物主導で金価格(ニューヨーク先物、1トロイオンス当たり)が1923ドルまで急騰した「史上最高値更新の年」だった。2012年はその巻き戻しで、先物売りに現物買いが交錯するという典型的な「調整の年」といえる。そして、2013年は「再び新高値に挑戦する年」となり、2014年は「下げの年」になるのではないか、と見ている。

 その最大の理由は、やはり「ドル不安」にある。

 リーマン・ショックを契機に米国のマネタリーベース(通貨供給量)は激増し、ドルが市中にばらまかれる一方、金の生産量は10%程度しか増えていない。2012年9月には「QE3(量的緩和第3弾)が打ち出され、ますますドルの価値が希薄化するなか、代替通貨として金の価値が高まってきたわけだ。つまり、金価格が上昇したというより、ドルの価値が薄まったというのが正しい見方だろう。

 FRB(連邦準備制度理事会)のコメントを見ても、「通貨量のこの激増ぶりは明らかに異常だ。ただ、こうしなければならないほど経済状況が悪い。有事対応だ」などとあるように、米国はFRBの“お墨付き”でこれからもドルをばらまくに違いない。しかも、それを平時に戻るまで続ける以上、当面、金価格は上がるしかない状況に置かれているのだ。

 オバマ大統領の再選も「ドル安・金高」に拍車をかけるのは間違いない。早くも2013年1月には大型減税の失効や歳出の自動削減が重なる「財政の崖」が立ちはだかっており、それをどうにか回避しようとしても、財政の健全化は見込めない。それに伴って米国の債務危機の可能性が高まっていくのは必至の情勢だ。それがますますドルの信認の低下につながり、金価格を大きく後押しする材料となろう。

 希薄化するのはドルだけではない。日銀も追加緩和を繰り返し、これまでスペインやイタリア国債を買い支えながら市中にユーロを放出してこなかったECB(欧州中央銀行)も、いよいよなりふり構ってはいられなくなる公算が高い。欧州経済全体がマイナス成長に陥れば、ECBがFRBの後を追うような格好でユーロを垂れ流すことも十分に予想される。

 つまり、2013年は米日欧がこぞって本格的な量的緩和に乗り出すことで、ドル、円、ユーロという主要通貨の“ばらまき合戦”が起こり、金価格は高値圏にとどまるどころか、場合によっては史上最高値の更新もあり得るのではないか、と見ている。

※マネーポスト2013年新春号


 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
01. 2013年1月02日 08:07:50 : qon4Nnuetw

 そりゃ〜〜 そうだろうよ

 最近の 工業製品は 大部分が ロボットによって 作られている

 中国などの 安い賃金は ロボットの価格以下の賃金が支払われる

 ===

 真に 知的労働をしているのは 大量生産の工業製品のデザイン部門だけだ

 ===

 大量の失業者 < 安い賃金の労働者 < ロボット  という図式になる

 一番の 高給取りは ロボットなのである

 しかも ロボットは ロボットが 自分と同じ設計図でもって コピーされながら

 もうすでに 20年もまえから 自動的に生産されている

 ===

 大量の失業者(先進国ほど多い)は 21世紀の 一般的 根本的問題だ

 20世紀以前に作られた 資本主義(資本家 vs 労働者)の構造は

 << 資本家 + ロボット >> vs 失業者 となっている

 ===

 政治家は いまだその認識が甘く 事態の急変に対応できていない

 ===

 至極当然な帰結として 失業者(働かない人)を認めることしか

 解決策はない 失業者(働かない人)を 如何に 健全な消費者にするか?

 すでに 答えは決まっている

 <ーシックインカム>で 働かない人の人権を守ることだろう


 じんけんを


02. 佐助 2013年1月02日 21:26:28 : YZ1JBFFO77mpI : TUhrPgEJIU
正月からなんてこと
現在メッキがバレテ,ドルは25%の金しか保有していないので、三年すると世界の通貨と信用は、再び不安定になります。従って世界恐慌とドル崩壊は,日本発バブルの破裂または香港ドル崩壊で加速します。それでも日本の安倍総理は通貨を公共事業にバラまくでしょう。だが政府日銀がキンを買上げて通貨をバラまくことがまずないので,仮に円が1ドル200円超えても景気は回復しません。国家がキンを買い上げする時が最高値になるでしょう。いずれ外資が必ず逃げるので短期バブルが破裂すると円が1ドル60円に再び向かう。これは世界での日本商品の優位性が円安では成り立たないのです。

しかもドルとユーロが一緒に、債券や通貨発行高を金とリンクさせれば、より長期間安定できるが既得権益擁護が障害となり、簡単に収束もできない。あることがキッカケにキンの争奪戦が始まります。

だが今回のバラマキによるバブルの破裂は致命傷になります、そして国家がキンの買い手になるので、一オンス3500 ドルになる。ピークでは一オンス8000 ドル行くはずです。

しかし現在進行形の第二次世界恐慌は、今回はドル25%・ユーロ25%・円が25%で、世界の75%の金とリンクすることで収束できる。最初からドルとユーロが一緒に、債券や通貨発行高を金とリンクさせれば、より長期間安定できるが既得権益擁護が障害となり、簡単に収束できないし沈静化させらけない。「発行する国債又は通貨発行高を保有する金とリンクさせる」とドルとユーロが約束すれば、為替の乱高下と、国債をデフォルトする危機は収束できる。しかも産業革命を10年前倒ししないと世界恐慌は収束しない。ということは既得権益擁護なので脱原発から自然エネルギーが進まないことが確実なので,キンは底なしに上下しながら上げていくことになる。

米国の政治と経済の指導者は、円が一ドル60 円台を越えるか、欧州連合の一国で債券がデフォルトされるか、新興国のバブルが弾けなければ、金とリンクすることを決意しないはずです。金を買上げて通貨をバラまくと、デフレ(物価の下降)を解消できるが。金本位制にはなかなかならない,そして技術革新が遅れると,古今未曽有のパニックは避けられないと云える。従ってキン相場はとんでもないことになる。


03. 2013年1月02日 21:34:07 : 165cMeGxYw

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]
2013年の幕開け:FT執筆陣が新年を大胆に予想
2013年01月01日(Tue) Financial Times
(2012年12月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


2013年は果たしてどんな年になるのか〔AFPBB News〕

 ネイト・シルバー氏を見ていると、予想はとても簡単な作業に思える。ニューヨーク・タイムズ紙の統計専門家で、バラク・オバマ氏の大統領選勝利を予言した同氏は、選挙やスポーツイベントの結果を予測する自身の手法は「それほど複雑なものではない」と述べている。

 だが、誰もがあれほど見事に予想できるわけではない。

 本紙(フィナンシャル・タイムズ)の専門家たちはそれでも怯まず、自らの評判をかけて、独自の予想を披露する。物事の確率を評価する便利なアルゴリズムなど持ち合わせていない。自身の知識と直観、または、少なくとも(科学担当エディターのクライブ・クックソンのように)図太さに頼らざるを得ないのが実情だ。

 クックソンは昨年、光速を上回る速度での移動も可能であることを科学者たちは確認することになるだろうと予想したが、残念ながらこれは外れてしまった。誰もが胸を躍らせた当初の実験結果は、ケーブルの接続不良に起因するものだった。

 しかし、そんなことは、この際気にしない。真相を明らかしようというあの取り組みは、見ていて楽しいものだった。当のクックソンは今年、火星で生命体が発見されると予想している。

 だが、マーティン・ウルフの昨年の選択もこれに負けず劣らず危険なものだった。1年前には単一通貨ユーロは絶滅危惧種のリストに載っており、生き残るという強気の予想をする向きはほとんどいなかった。だがマーティン・ウルフは例外で、そうしたユーロ懐疑論者の行き過ぎた見方をたしなめた。

 シルバー氏よりも早い時期にオバマ勝利を予想したエドワード・ルースも称賛に値しよう。また、アリソン・スミスは英国企業の配当の当たり年になることを正確に予測したし、新聞業界の苦境に対するベン・フェントンの警告も的を射ていた。

 昨年の予想のすべてをここで振り返ることはできない。だが、当たるかどうかはともかく、本紙の専門家たちは今年も新年を占っている。

(Peggy Hollinger)

■英国は「三番底」の景気後退に苦しむのか?

 答えはノーだ。普通に言われているような三番底に陥ることはないだろう。ただ、これは最も重要な問題ではないかもしれない。景気後退は「2四半期連続のマイナス成長」と定義されることが多いが、この定義では英国経済をきちんと描写できない。

 英国経済は2008年から2009年にかけてひどい景気後退に陥り、一旦小さく盛り返し、2010年半ば以降は概ね横ばいで推移している。この横ばいの時期における下向きの局面を「底」と考えるのか、上向いた局面を「回復」と捉えるかといった議論は的外れだ。

 したがって、ロンドン・オリンピックの景気押し上げ効果が剥落する2012年第4四半期がマイナス成長になり、2013年第1四半期も小幅に落ち込めば、これを三番底と見なして大騒ぎする向きが出てくるだろう。

 だが、筆者はこれに与しない。2013年の真の課題は、自律的な経済成長を再開できるか否かだ。そして悲しいかな、その再開にはまだ疑問符が付く。

(Chris Giles)

■火星に生命が存在する有力な証拠が見つかる?

 2013年最大の、そして人々が最も待ち焦がれている科学の成果は、米航空宇宙局(NASA)の探査機「キュリオシティ」による火星の土壌と岩石の化学分析によってもたらされることになる。乗用車サイズのこの探査機は8月にこの惑星に降り立ち、組み込まれているいろいろなロボットを試し始めている。


米航空宇宙局(NASA)の探査機「キュリオシティ」〔AFPBB News〕

 1カ月前には、生命の存在を示す化学物質を既に検出したとの噂が流れて大騒ぎになった。

 キュリオシティは来年も埃っぽく赤い大地を何マイルも走行し、時折停止しては地表や地中のサンプルを採取して、内蔵の分析機でこれを吟味する。

 そして、生体内の反応でしか生じ得ない分子という明確な証拠を探すことになるだろう(そうした反応は過去のものかもしれないし、今日のものかもしれない。もし後者なら、なお一層心が躍ることになろう)。

 生きている虫でも見つかれば宇宙生物学者は驚きのあまりひっくり返るだろうが、大半の人はそうはならず、この惑星におけるこれまでの地質学的な変動を考えれば過去に生命が存在したことはあり得るし、微生物が今でも生きている可能性だってある、と語ることになるだろう。

 2013年末までには火星に生命が存在することを示す生化学的な確たる証拠が見つかる、と筆者は見ている。

(Clive Cookson)

■先進国の「4大」中央銀行のどこかが2013年に介入金利を引き上げるか?

 答えはノーだ。確かに、米国の連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日銀、イングランド銀行の4行による金融政策は極めて緩和的だ。短期の市場介入金利は低く、最も高いECBで0.75%にとどまっている。またこの4行は非伝統的な政策手段をいくつも実行に移しており、自らのバランスシートを大幅に拡大させている。

 しかし、今後1年のうちにどこかが利上げに踏み切ると考える理由はほとんどない。話は簡単だ。信用供与のエンジンが修理されて景気が回復するまでは、中央銀行は金融を引き締めないのだ。

 また引き締めに動く際には、これまでのバランスシート拡大の動きを巻き戻すところから始めることになるだろう。政策金利を引き上げるのはその後だ。

 論理的に考えれば、最も早く利上げに動きそうなのはFRBだ。最も早く回復するのは米国経済である公算が大きいからだ。ECBの方が先になる可能性もあるが、それは単に、ECBがインフレにヒステリックな対応をする体質だからだ。

(Martin Wolf)

■バラク・オバマ大統領はイランを爆撃するか?

 答えはノーだ。チャーチルの比喩を借りるなら、バラク・オバマ米大統領は戦争騒ぎの前に長談義を試みるつもりだ。オバマ大統領は、イランと直接、2国間交渉に挑もうとするだろう。

 アヤトラ・ホメイニ師が同意する保証はないが、制裁強化は強力な動機を与えている。イランは今、金融制裁と原油禁輸措置の結果、ひどい経済的な痛みを感じており、イランの現体制は新たな「グリーン」革命を恐れている。


ベンヤミン・ネタニヤフ首相(左)とバラク・オバマ大統領〔AFPBB News〕

 一方、米国は今、イランの核の野望のみならず、米国の安全保障といった問題もカバーする大がかりな交渉の用意があるように見える。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は米国にイランの核施設に対する早期の攻撃を要請し、オバマ大統領を反対方向に引っ張ろうとするだろう。

 しかし、ネタニヤフ首相が米大統領選でミット・ロムニー氏を支持する旨を表明し、ヨルダン川西岸でイスラエル入植地を拡大する計画を打ち出した後では、ホワイトハウスは話を聞く気にならないだろう。2013年は米国とイスラエルの関係が大々的に崩壊する年になるかもしれない。

(Philip Stephens)

■2013年初めの選挙の後、モンティ氏はまだ政権にとどまっているか?

 多くの人はそうであることを望んでいる。だが、その大半は、市場と悩めるユーロ圏首脳が選挙結果を不安げに待つイタリア国外の人々だ。選挙は2月に実施される見込みで、シルビオ・ベルルスコーニ氏が、元共産主義者と組んだ中道左派の民主党を倒そうと必死になり、再びポピュリスト的なふざけた態度に出ている。

 実務家のマリオ・モンティ首相は、中立性(ベルルスコーニ派の新聞の言葉を使えば「処女性」)を捨て、自身の遺産を守るために選挙戦に参画する。選挙戦は間違いなく、醜い争いになるだろう。イタリアの政治は、1990年代初頭の戦後秩序の崩壊以降、これほど不安定だったことはない。

 モンティ氏の中道派連合は、景気後退と増税にうんざりし、政界エリートの腐敗に怒っている、不満を募らせた有権者と向き合うことになる。全面的な勝利を収めるほどには人気がないため、モンティ氏は国家元首である大統領(重職ではあるが、政策立案には関与しない)になるか、民主党との連立政権で財務相に就くかという選択を迫られるかもしれない。筆者は後者に賭ける。

(Guy Dinmore)

■米国は2013年に、危機以前の3%という国内総生産(GDP)トレンド成長率に戻るだろうか?

 ノー。成長率は2%を超えない。米国財政の未来を巡ってワシントンで続く論争や、米国の輸出品に対する脆弱な需要、比較的ゆっくりした米国住宅市場の回復ペースは、景気回復がまた期待外れに終わる1年をもたらすだろう。期待外れの回復はこれで4年連続となる。

 欧州と比べると、米国は今後も明るい場所であり続ける。自国の期待に照らすと、米国はアンダーパフォームするだろう。

(Edward Luce)

■イングランド・プレミアリーグの4大クラブは監督を交代させるか?

 2013年は世界の視聴者を魅了するサッカーリーグにとって激変の年となる。チェルシーは夏にラファエル・ベニテス監督を解雇する可能性が高い。何しろ彼は短期契約で起用されており、ファンはその場しのぎの監督として何とか我慢している状況だ。恐らくチャンピオンズリーグでの無残な敗北で、マンチェスター・シティの粋な監督、ロベルト・マンチーニ氏も終わりだろう。

 プレミアリーグで最も長く監督を務めてきたアーセン・ベンゲル、アレクス・ファーガソン両氏の将来はもっと不透明だ。

 アーセナルのベンゲル監督は7年間メジャータイトルを何も獲得できておらず、どんな名門クラブでも今ごろ命運が尽きていたはずだが、利益を稼ぐ才覚はクラブの経営陣を感心させている。アーセナルがチャンピオンズリーグで勝ち進んだ場合に限り、ベンゲル監督は生き残れるだろう。

 大晦日に71歳になるファーガソン監督は、かなりの大物が後継者に決まるまで続投しているように見える。偶然にも、夏にはジョゼ・モウリーニョの体が空く。勇敢だが愚かではないマネーの動きは、4大クラブでは8月の新シーズンの初めに監督が交代していることを物語っている。

(Janan Ganesh)

■9月のドイツ総選挙の後、何が変わるのか?

 今回初めて、ドイツで「黒・緑」連立政権が誕生する可能性がある。すなわち、アンゲラ・メルケル首相が率いる中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)と、1960年代の抗議運動までルーツをたどれる環境主義の緑の党との連立である。

 長年にわたる相互不信のため、このような連立交渉は両党にとって難しい。ドイツ社会民主党(SPD)がメルケル首相のCDUとの大連立に反対している関係で、黒と緑の組み合わせの可能性が最も高くなっているわけだ。

 その結果は欧州統合を支持する連立政権となるが、ドイツでは過去何十年もなかったほど保守色の濃い政権となるだろう。

(Quentin Peel)

■ギリシャ経済は2013年に縮小が止まるか?

 答えはイエスだ。国際通貨基金(IMF)は当初、ギリシャは2011年に成長軌道に戻ると予想し、その後、成長に回帰する時期を2012年、2013年とした後、今では2015年と予想している。2013年がこれまでと違うかもしれない理由は3つある。

 まず、最新の緊縮策により、ギリシャはプライマリーバランス(利払い前の基礎的財政収支)の均衡に限りなく近づくうえ、数回にわたる債務再編でギリシャ政府の債務返済は事実上、数年間保留された。

 次に、ギリシャでは銀行が危機の原因ではなかったことを思い出すといい。だが、どんな銀行システムも、助けなしで恐慌と債務再編を乗り切ることはできない。

 ギリシャ政府と「トロイカ」との長期対立によりその助けが保留されていたため、民間部門の信用収縮が危機に追い討ちをかけた。今やっと、銀行システムの自己資本を増強するための資金がギリシャに向かっている。

 そして3番目に、ギリシャの民間部門の一部は、公的部門より健全な状態にある。競争力はかなり回復してきた。ひとたび構造改革が実施されれば、ひどい非効率によって押しとどめられてきたほかの可能性も解き放たれるはずだ。

(Martin Sandbu)

■英国は原子力発電所の新設計画を進めるか?

 ノー。政府は英国の将来の電力需要を満たすうえで、原子力を好ましい技術の1つに指定したかもしれないが、二の足を踏む理由はいくつもある。原発の電力はコストが高く、多額の建設費がかかるためにガスで生産した電力よりも3割ほど割高になる。2011年の福島の原発事故以降、規制が強化されたせいで、割高な価格は今後も続くだろう。


英国は新規の原発建設計画を見送る公算が大きい〔AFPBB News〕

 原発を支持する根拠はかねて薄弱で、主に二酸化炭素の排出量削減とエネルギー安全保障という2つの義務に基づいていた。

 だが、英国経済の弱さと、エネルギー効率を重視する流れは、非化石燃料による発電にそれほど多額の投資を行わずとも、炭素排出量を削減できることを意味している。

 シェールガスの潜在力は、英国が必要とする輸入が減る見込みがあることを意味している。原発を何基か建設する合理性はほとんどなく、高いコストを相殺するスケールメリットは見込めない。多額の補助金を必要とする産業にしては、原子力は政治的支持を決定的に欠くのだ。

 連立政権はエネルギー政策に関して意見が割れているかもしれないが、自由民主党は再生可能エネルギーを支持し、保守党はガスを支持している。では、原子力はどうか? どちらも熱心ではない。英国は来年、原子力ルネサンスを見送ると思った方がいいだろう。

(Jonathan Ford)

■ユリヤ・ティモシェンコ氏は釈放され、ウクライナは西側を向くか?

 どちらも答えはノーだ。ビクトル・ヤヌコビッチ大統領率いる現政権は、ティモシェンコ氏に対する有罪判決は正当で、政治的ではないと断固主張し、立場をはっきり固めすぎた。今になって折れれば、完全に面子を失う。

 一方で、欧州連合(EU)は繰り返し、野党党首のティモシェンコ氏が投獄されている限り、ウクライナ政府との政治的「協定」や自由貿易協定に署名しない姿勢を示してきた。

 このため、一連の協定は、文書は完全に同意済みだが、署名されないままとなるだろう。だが、ウクライナがロシアに近づくこともないだろう。ヤヌコビッチ氏とロシアの指導部はそりが合わない。ロシアが提唱するベラルーシやカザフスタンなどとの「ユーラシア同盟」に参加すると、あまりに大きな主権を失う。

 ウクライナは国際通貨基金(IMF)と新たな融資協定を結んで財政難を乗り切ろうとするだろう。だが、その他の点では概ね、ウクライナは過去20年間いた場所にとどまることになる。つまり、東側と西側の間で宙ぶらりんの状態が続くのだ。

(Neil Buckley)

■シリアに対する西側諸国の軍事介入はあるか?

 イエス。西側の大国がシリアに介入する可能性が高い理由はいくつかある。まず、4万人以上の死者が出た後、人道的な犠牲に対する不快感が高まっている。次に、バシャル・アル・アサド大統領の現体制の後を継ぐのは、アルカイダと関係のあるグループも含めたイスラム原理主義組織だとの不安が高まっている。


2013年は西側諸国がついにシリアに軍事介入する可能性が高い〔AFPBB News〕

 西側諸国は、当初、選ばれた穏健派の反体制グループに武器を供給するために介入することで、その事態を回避しようとするだろう。

 欧米の軍によるさらなる介入は、その後に起きる出来事に左右されるかもしれない。米国は既に、アサド大統領が化学兵器を利用する準備を進めるのであれば、介入すると明言している。

 内戦が著しくエスカレートすれば、西側の空軍力を使い、飛行禁止区域が設定される可能性は十分ある。アサド大統領が倒されれば、その余波は混乱を極め、流血の事態になるかもしれない。

 シリアへの平和安定化部隊の派遣を求める大きなプレッシャーが生じるだろう。いずれにせよ、2013年は、シリアへの軍事介入を避けてきた西側のタブーが破られる可能性が高い。

(Gideon Rachman)

■2013年に日中間の武力衝突は起きるか?

 ノーだ。しかし、トラブルは確実に予想しておいた方がいい。日本の支配下にある尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権を巡って対立する主張の恨みは極めて根深い。この1年というもの、既に海上で小競り合いが起き、中国各地で暴力的な反日デモが発生した。

 日本の首相に安倍晋三氏が選ばれたことで事態が落ち着くこともない。安倍氏は国家主義者で、日本の平和憲法を破棄し、国防費を増額したいと考えている。

 中国の新たな指導者である習近平氏も恐らく、国家主義者としての自身の資質に磨きをかけたいと思うだろう。それでも発砲を許すことは、リスクが高い。問題の島が攻撃された場合、米国には日本を助ける義務がある。血が流れれば、事態は即座に国際的な危機に発展しかねない。だが両国とも、完全に手に負えない事態に発展しないよう最善を尽くすだろう。

(David Pilling)

■医療分野での2013年の最大のブレークスルーは何か?

 C型肝炎を患う2億人の患者に朗報がもたらされるだろう。血液を介して感染するC型肝炎ウイルスは、肝臓感染症や肝硬変、がんを引き起こす可能性がある。製薬会社各社は、臨床試験でウイルスの排除に成功した、経口錠剤のみに基づく治療に向けてレースを繰り広げている。新たな治療法は、インターフェロンの注射による治療と比べて大きな進歩となる。

 それでもなお、感染率(静脈注射による薬物使用から感染するケースが多い)を下げる多大な努力が必要になる。また、C型肝炎は明白な症状が出ないまま長らく潜伏することがあるため、診断の改善も求められる。

(Andrew Jack)

■2020年のオリンピックは誰が主催するか?

 イスタンブールだろう。国際オリンピック委員会(IOC)は9月に、イスタンブール、東京、マドリードの中から開催地を選ぶ。スペインの首都マドリードの美しさは魅力的だが、IOCは同国の経済問題に目をつぶるわけにはいかない。東京は安全な賭けであり、IOCが欧州以外の都市を望むのなら、有利かもしれない。

 だが、イスタンブールの方が進歩的な選択だ。イスラム教徒が圧倒的に多いトルコは、オリンピックを新たな観客に紹介するというIOCの目的にかなう。シリアとの緊張関係は多少の懸念材料かもしれないが、それを言えば、日本の対中関係も同じだ。

 IOCのメンバーは、イスタンブールには大規模な建設作業が必要になることも心配するかもしれない。だが、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相はオリンピック誘致を支援し、彼がイスタンブールの誘致のチャンスのカギを握ることになるだろう。結びに当たって、皆さん、Mutlu Yıllar!*1

(Roger Blitz)

*1=トルコ語で新年おめでとうの意


04. 2013年1月02日 21:34:34 : 165cMeGxYw
2013年、変化の波に乗り遅れるなニッポン
三流国、四流国とならないために
2013年01月01日(Tue) 川嶋 諭
 新年あけましておめでとうございます。今年も日本ビジネスプレス(JBpress)をどうぞよろしくお願いいたします。日本ビジネスプレスは2008年の4月に会社を設立、2008年11月11日にオンライン・デイリー・マガジン、JBpressのサービスを始めました。

世界のリーダーが世代交代した2012年

今週のランキング
順位 タイトル
1 中国から見た安倍政権、意外な秋波
2 元ミス日本、ガンとの壮絶すぎる闘い
3 マスコミが伝えない中国の対日攻撃ミサイル
4 誤解だらけの北朝鮮・衛星打ち上げニュース、7つの疑問に答える
5 良品はあるか? スモールカー7モデルを「味見」した
6 2013年の逆張り投資、日本株が一番人気
7 韓国も注目、TPPも怖くない強い農業を実現した町
8 サプライズなしのiPhone 5でも売れる理由
9 日本の総選挙:奇跡の復活を遂げた安倍氏
10 ゆとり教育失敗の理由と、二の舞になる大学改革
11 本当に勝った政党はなかった
12 安倍新政権誕生で日中関係は好転?
13 中国の核ミサイルの恐怖が世界を覆う
14 アジアの新指導者が呼び覚ます先祖代々の敵対心
15 被曝を巡る論戦と訴訟の結末
16 右傾化ではない、日本は「真ん中」に戻っていくだけ
17 なぜ「憲法が日本を亡ぼす」のか
18 朝の光を浴びて朝食をとるのが正しい
19 朴候補が制した韓国大統領選、勝因と課題は?
20 先進国経済:いつまでも与え続ける贈り物
 おかげさまで会社としてもメディアとしても順調に成長を続けてまいりました。創立5周年を迎える今年は、さらなる飛躍の年にすべく、今まで以上に力を入れていくつもりです。一層のご愛顧をいただければ幸いです。

 2012年は世界各国のリーダーが一気に入れ替わりました。ロシアではドミトリー・メドベージェフ氏からウラジーミル・プーチン氏へ、フランスではニコラ・サルコジ氏からフランソワ・オランド氏へ。

 米国では、バラク・オバマ大統領と共和党のミット・ロムニー氏が激しい選挙戦を繰り広げた結果、オバマ氏が再選を果たし、米国のリーダーは代わりませんでした。

 しかし、大統領の右腕とも言える国務長官はヒラリー・クリントン氏からジョン・ケリー氏へと交代することが決まりました。

 約半月前に脳しんとうを起こしたクリントン氏は日本時間の大晦日、血栓が見つかったため緊急入院しました。

 世界中を飛び回らなければならない国務長官の激務が少なからず影響しているのでしょう。そういえば、かつて森英恵さんにインタビューしたとき、ソニーの盛田昭夫・元会長に何度もプライベートジェットに乗せてもらったと言っていました。

 そして、自前のジェット機で世界を飛び回ることが盛田さんの命を削ったのではないかと振り返っていました。飛行機の中でも休めない仕事は本当に大変だと思います。

 中国では2012年、10年ぶりに国家のリーダーたちが総入れ替えとなりました。中国共産党大会で新しい総書記に習近平氏が選ばれました。

 新しく選出された党中央委員225人はどのような人物なのか。JBpressでの連載がすでに195回に達している宮家邦彦さんが「中国株式会社の研究」で、その分析を始めています。日本の外交を考えるうえで極めて貴重な試みだと思います。ぜひお読みいただければ幸いです。

 韓国では、初めて女性の大統領が誕生しました。儒教文化の影響を強く受けてきた韓国だけに、大きな変化と言えるでしょう。その韓国については、ソウルに駐在している玉置直司さんが迫真のリポートを送り続けてきてくれています。こちらもぜひご愛読をお願いします。

期待が高まる安倍新政権

 そして、日本。3年半前の政権交代から再び政治が大きく動きました。民主党の大敗を受けて第2次安倍晋三内閣が年末に発足しました。その安倍政権へ、市場関係者は大きな期待を寄せています。

 それは、2008年のリーマン・ショック以来となる株高と、円安という形になって早速表れました。世界のリーダーが交代した2012年。今年、2013年はそれを受けて、世界が大きく変わり始めることが予想されます。

 日本もその流れに無縁ではいられません。それどころか、その変化を前向きにとらえ、「変化の波に乗る」ことが求められるのではないでしょうか。

 凍りついた日中関係と日韓関係を修復するよいチャンスの到来です。親日家であるロシアのプーチン大統領は、極東地区の経済発展を促すために日本との関係強化を模索しています。このチャンスを逃す手はありません。

 なお、JBpressではロシアの執筆者チームを作って記事をお送りしてきました。リーダー役である大坪祐介さんは、2013年もさらに記事のパワーアップを図ると言ってくれています。「ロシアについてだったらJBpress」と言われるように頑張りたいと思います。

 日本とロシアの関係が強化されれば、中国や韓国との関係にも大きな影響を与えることは必至です。2013年は日本の外交にとって、ロシアが極めて重要になると思われます。それはエネルギーについても言えます。

 安倍政権は民主党政権が掲げた原発ゼロの戦略を見直すとしています。しかし、あれだけの事故を起こし、さらには活断層の問題が急浮上しているなかで、簡単には再稼働は難しいでしょう。豊富な天然ガスを持つロシアとの関係強化は焦眉の急とも言えます。

 さらに、新政権は対米関係の強化と平和ボケした国防体制からの脱却を目指しています。軍事技術は世界最先端でなければなりません。世代の古い軍備では新しい軍備を持つところに絶対に勝てないからです。

 日本が求めたわけではありませんが、中国による軍事圧力は平和ボケした日本にとってよい刺激になったとも言えます。軍事技術に磨きをかけ、その一部を民間に利用できるようにする体制づくりも必要でしょう。それは日本経済にとってもプラスだからです。

 世界の主要国でリーダーが代わり、変化が始まろうとしているのが2013年です。この変化をチャンスととらえて行動に出なければ、日本は本当に日の沈みゆく国になってしまいます。

 少子高齢化における最大の問題は、年金や健康保険ではありません。いつの間にか私たちの中に巣食っている変化を嫌う姿勢です。それは、日本を再び浮上できない二流どころか三流、四流国へと陥れる危険性があります。

 深沢七郎の小説『楢山節考』ではありませんが、歳を取った人たちが、若い人たちのことを最優先するくらいの心意気も大切なのではないでしょうか。


05. 2013年1月02日 23:51:38 : NRvAM7Ti0k
通貨としての価値でなく貴金属としての価値
中国人はいまだに通貨として見ているのかも知れないが世界標準ではない

06. 乃依 2013年1月03日 14:12:30 : YTmYN2QYOSlOI : x6ljR2c5ZO
人々が、戦争に駆り立てられたのもハイパーインフレの影響が大きい。
大衆の資産は通貨を基軸にしていたからだ。
ハイパーインフレで大衆は資産を失い、発言力も失ったのだ。

07. 2013年1月03日 23:12:43 : PrEUUmsBKg
06. 乃依
戦後の日本もハイパーインフレだけど?
マイルドなインフレなら問題ないでしょう。

08. 2013年1月05日 01:05:19 : niHRV7OXL2

ユーロ圏:12月総合景気指数改定47.2、下方修正−低迷長期化も 
  1月4日(ブルームバーグ):ユーロ圏のサービス業と製造業を合わせた昨年12月の経済活動は、当初見積もり以上に縮小した。域内のリセッション(景気後退)が今年に入っても継続する兆候が強まった。
英マークイット・エコノミクスが4日発表した12月のユーロ圏総合景気指数 (改定値)は47.2と、先月14日公表の速報値(47.3)から下方修正された。前月は46.5だった。同指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目。
債務危機対策で政府は歳出削減を進め、消費者は買い控えており、ユーロ圏はここ4年で2回目のリセッションから脱却するのに苦戦している。エコノミストらは昨年10−12月(第4四半期)も域内総生産(GDP)が縮小したとみているほか、欧州中央銀行(ECB)は13年の域内成長率をマイナス0.3%と予想している。
マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は発表資料で、景気指数は前月比で「12月に改善したものの、ユーロ圏経済が第4四半期に急激に落ち込むのを防ぐことにはならなかったもようだ」と指摘。「激しい景気格差はしばらく続くだろう」と語った。
総合景気指数を構成するサービス業景気指数は47.8と、前月の46.7を上回った。2日発表された製造業景気指数 改定値は46.1と、速報値から下方修正された。
原題:Euro-Area Manufacturing, Services Shrink More ThanEstimated (1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Scott Hamilton shamilton8@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Craig Stirling cstirling1@bloomberg.net
更新日時: 2013/01/04 19:13 JST

12月ユーロ圏総合PMI改定値は前月から上昇、最悪期脱した可能性
2013年 01月 4日 23:50 
[ロンドン/ベルリン/パリ/ローマ/マドリード/ダブリン 4日 ロイター] マークイットが4日発表した12月のユーロ圏購買担当者景気指数(PMI)改定値は、総合・サービス部門ともに11月から上昇し、ユーロ圏経済が最悪期を脱した兆候が示された。

一方、英国のPMIは低下し、同国経済が昨年第4・四半期に再びマイナス成長に陥った可能性があることを示した。

ユーロ圏PMI改定値は総合が47.2、サービス部門が47.8。11月は総合が46.5、サービス部門46.7だった。

PMIは50が景気の拡大・縮小の節目となる。

総合PMIは11カ月連続で50を下回ったものの、昨年3月以来の高水準となった。

マークイットは10月と11月の数字がさえなかったことを理由に、12月のデータは第4・四半期にユーロ圏のリセッション(景気後退)を食い止めるにはおそらく不十分と警告した。

マークイットのチーフエコノミスト、クリス・ウィリアムソン氏は「今回の調査は少なくとも、最悪期が終わり、2013年にユーロ圏がプラス成長に回復するとの見方をある程度裏付けるだろう」と指摘。

また「PMIはユーロ圏主要4カ国すべてで数カ月ぶりの高水準となり、フランス、イタリア、スペインで悪化ペースが減速し、ドイツの経済状況が安定したことが示された」と語った。

ソシエテ・ジェネラルの首席欧州エコノミスト、ジェームス・ニクソン氏は「ユーロ圏PMIは(経済)活動の底入れを明確に示している。PMIの水準は国内総生産(GDP)の縮小と整合がとれているが、少なくともこれまで以上に速いペースで状況が悪化しているということはない」との見方を示した。

英国PMIは総合指数が49.9、サービス部門が48.9となり、ともに11月の 50.1、50.2から低下した。サービス部門PMIが50を下回るのは2年ぶりとなる。

ベレンバーグ銀行の首席英国エコノミスト、ロブ・ウッド氏は「PMIは、経済が緩やかに縮小していることを示している」と指摘。「全体的に、ここしばらく景気は底辺付近で推移している。向こう2四半期もこういった状態が続く公算が大きい」と話した。

マークイットは、英経済は昨年第4・四半期に0.2%のマイナス成長になった可能性があるとしている。

特別リポート:マニラ湾に消えた巨額資金、ユニバーサル会長の賭け
2013年 01月 4日 17:48 JST

トップニュース
来週の日本株は堅調地合い、政策期待や外部環境改善で先高感根強い
序盤の欧州株式市場は下落、米雇用統計に注目
ユーロが対ドルで3週間ぶり安値に下落=EBS
日経平均5日続伸、全面高で東日本大震災前の水準回復

[東京 4日 ロイター] マニラにカジノリゾートを建設中のユニバーサルエンターテインメント(6425.OS: 株価, ニュース, レポート)から、フィリピンに流れ出た不透明な巨額資金。ロイターの取材によると、2010年初めから前半にかけ、少なくとも4000万ドル(約34億円)が支払われ、うち1000万ドルはユニバーサルに還流した。

同社は08年にカジノ事業の暫定ライセンスを取得しており、一見すると10年当時は便宜を求める理由が見当たらない。しかし、すでに3億ドル(約250億円)を投じていた計画はこのころ暗礁に乗り上げ、事態の打開を急がなければならない状況に直面していた。日比両国にまたがる関係者への取材と内部資料から、フィリピン政官界を巻き込んだ資金流出の実態を追った。

<2009年11月、ラスベガス>

2009年11月14日、高級ホテルが立ち並ぶラスベガスでもひときわ華やかなカジノホテル、ウィン・ラスベガスのVIP専用特別玄関から黒塗りのリムジンが次々と出発した。向かった先は3キロ離れた高級ホテルMGMグランド。ボクシングのWBO世界ウェルター級タイトルマッチが行われようとしていた。米西部の砂漠に浮かぶ娯楽の都はすでに日が落ち、ネオンが瞬き始めていた。

リムジンに乗り込んだフィリピンのアロヨ大統領(当時)の夫、ホセ・ミゲル・アロヨ氏は興奮していた。なにしろ挑戦者はフィリピンのスーパースター、マニー・パッキャオ、勝てばアジアのボクサーとして初の5回級制覇の偉業を達成する世紀の1戦だった。同行したのはアロヨ氏の取り巻きと、同国カジノ業界を監督するフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)の幹部、それにフィリピン政界に深いネットワークを持つロビイスト、通称ボイシーことロドルフォ・ソリアーノ氏。

日本のパチスロ機メーカー、ユニバーサルエンターテイメントの会長として君臨する岡田和生氏の姿もそこにあった。

ウィン・ラスベガスを経営する米カジノ大手ウィン・リゾーツ(WYNN.O: 株価, 企業情報, レポート)と、ユニバーサル自身が公表した資料によると、アロヨ氏らの滞在費は総額1万4412ドル(約120万円)。ユニバーサルがすべて負担した。岡田会長の意向を受け、フィリピン要人らの接待役を務めたのが、ソリアーノ氏だった。アロヨ氏らの滞在時の観光手配も、すべて取り仕切った。ソリアーノ氏はPAGCORの総帥ヘニュイーノ会長(当時)の側近としても知られ、同時に、岡田会長が同国でのカジノ事業を進めるに当たって「コンサルタント」として起用した人物でもある。まさに、ユニバーサルとフィリピン政官界を繋ぐ重要な「架け橋」だった。

世界が注目した1戦はアロヨ氏らの期待通り、パッキャオが王者ミゲル・コット(プエルトリコ)を12回にテクニカルノックアウトで下した。タイトル戦のファイトマネーは両者合わせて約3400万ドル(約29億円)。奇しくも、その後にユニバーサルからフィリピンに流れた不透明な資金とほぼ同額だった。

<世界のカジノ王へ>

岡田会長は1999年に高額納税者番付でトップ、日本で有数の富豪として知られるが、謎の多い経営者でもある。今は香港に居を移し、日本では滅多にメディアの前に姿を見せない。1960年代に米国製中古ジュークボックスの輸入・販売を手掛け、パチスロ機の製造・販売に転じた。原価の安いパチスロ製造業はもともと利益率が高いが、中でもユニバーサルは急成長を遂げた。あるパチンコ運営会社の幹部は「パチスロ機には射幸心をあおり過ぎないような規制があるが、ユニバーサルは規制ぎりぎりの商品開発がうまかった」と、躍進の原動力を語り、岡田会長を「稀代の勝負師」と評する。

しかし娯楽の多様化と人口の減少で、日本のパチンコ・パチスロ市場は縮小している。警察庁の調べによると、97年に1万7773店あったパチンコ店は2010年に1万2479店まで3割減少した。そのため業界各社は事業の多角に取り組み、サミーはゲームメーカーのセガを買収し総合娯楽企業への転換を進めている。その中で岡田会長が次の成長の源泉として着目したのがカジノ事業だったと、同社の元役員は説明する。

岡田会長にチャンスが訪れたのは00年。ラスベガスのカジノホテル経営でらつ腕を発揮しながらも、内紛で役員を追われた実業家、スティーブ・ウィン氏に出会った。二人は意気投合し、岡田会長はウィン氏の会社に合計3億8000万ドルを出資、最大株主となる。その資金を元手にウィン氏は高級カジノホテルを展開し、破竹の勢いで成長を遂げると、岡田会長は株主に留まることに飽き足らず、自らも直接経営に乗り出す意欲を見せるようになった、と前出の元役員は明かす。

「日本のパチスロ王」から「世界のカジノ王」へ──。その舞台として岡田会長が目を付けたのが、フィリピン政府が2000年代後半に大々的に打ち上げた国家プロジェクト「エンターテインメント・シティ・マニラ」だった。マニラ湾沿岸の埋立地120万平方メートルにカジノや高級ホテル、コンベンションセンターなどを集め、世界最大級のカジノ複合リゾート施設に仕立て上げる計画だ。総工費は150億ドル(約1兆3000億円)、中国やシンガポール、東南アジアから観光客を呼び込もうとする一大プロジェクトである。

07年にマニラ・プロジェクトの推進母体となるPAGCORのヘニュイーノ会長が投資企業を求めて来日すると、岡田会長率いるユニバーサルはいち早く参加を表明した。08年にカジノ用地30ヘクタールを約3億ドルで取得すると同時に、プロジェクトの母体となるPAGCORが選定した4つの事業体の1つになり、カジノ運営の暫定ライセンスも得た。

だがその後、岡田会長の前に問題が浮上し、カジノ計画は思うように進まなかった。ラスベガスでの接待は、まさに問題解決に向けてユニバーサルが画策していた最中の出来事だった。

<2009年6月、東京>

タイトルマッチの5カ月前。フィリピンのグロリア・アロヨ大統領が夫のミゲル氏を伴い、6月17日から2泊3日の日程で来日した。天皇陛下との会見や麻生太郎首相との会談の合間に、アロヨ大統領を都内のホテルに表敬訪問した一人が岡田会長だ。

「比国大統領面談における要点」と記されたユニバーサルの内部資料には、同社のカジノ計画に横たわっていた諸問題の解決を、アロヨ大統領に依頼する内容が盛り込まれている。作成の日付はアロヨ大統領が日本に到着した6月17日、作成者は「OH開設準備室」。OHは、オカダ・ホテルの略、つまりマニラで同社が計画していたカジノホテルのことを指す。

同社は当時、現地に設立した土地保有会社が買ったカジノ用地で生じていた所有権問題に頭を悩ませていた。買収してから10ヘクタール分の土地を取得し損ねていたことが明らかになり、この土地を巡り、PAGCORや地元自治体、土地の所有者などと協議に入っていた。内部文書によるとユニバーサルは法人税の免除が受けられるPEZA(経済特区)の認定を狙っていたが、この土地問題がネックとなっていた。

大統領との面談の要点を記した先の文書は、同社が買収したカジノ用地に所有権の問題が生じていることを記したうえで、「当問題は、PEZA認定の阻害要因ともなっている」と指摘。「事態の早急な解決を図るよう、PAGCOR会長に強く要請する」という文言が続く。さらに「今回の面談においては、上記要請を行うとともに、いつまでに問題を解決するのか、期限をその場で明確にしてもらい、確約を取る」と書かれており、大統領への直接の働きかけを示唆している。

だが土地問題を解決し、法人税の免除が認められても、ユニバーサルには外資規制の適用除外というもう1つクリアすべき課題があった。フィリピンの規制では、カジノ事業は現地企業との合弁でないとできない。100%外資企業での事業展開には、大統領府の特別認可が必要となる。

「税の減免によりプロジェクトの利益率が格段に上がることに加え、100%持分で事業化できれば利益を総取りすることができる」。岡田会長の狙いをある関係者は、こう解説する。内部資料によると、同社はこのカジノ事業を香港で上場させることを狙っていた。

これらの問題を解決するために岡田会長が重用した人物が、前述したフィリピン政官界のロビイスト、ソリアーノ氏だった。関係者によると、マニラ市内の高級ゴルフクラブを拠点に、政治家、役人、実業家にネットワークを広げていた。同氏と仕事上の取引をしたことがある日本人の一人は「言葉巧みで、すぐに人を虜にする才能は天才的」と評する。

ソリアーノ氏自身もスロットマシーンの販売代理店を経営、ユニバーサルの機器も扱っていた。それが縁で00年代半ばに岡田会長の知己を得たという。岡田会長との面談のために東京のユニバーサル本社をしばしば訪ね、岡田会長がフィリピンを訪問する際には、ホスト役を引き受けていた。一方で、ソリアーノ氏は、カジノ業界を取り仕切るPAGCORのヘニュイーノ前会長とも親しく、ユニバーサルの社内資料には「ヘニュイーノ会長の私設秘書」として登場する。

土地問題が足かせとなり、経済特区の認定と外資規制の適用除外の獲得が遅々として進まない──。複数の内部資料には、ユニバーサルの置かれたこうした状況が記載されている。ある関係者は、「こうした事態を受けて、岡田会長は徐々にソリアーノ氏に頼るようになった」と語る。ソリアーノ氏を介して、PAGCORのヘニュイーノ会長と深い関係を築き上げ、事態打開の道を探ろうとする動きが浮かび上がってくる。

岡田会長とヘニュイーノ会長との親密さを示すエピソードは事欠かない。2010年1月、マニラ湾に面するフランス系高級ホテルで開かれたヘニュイーノ会長の長男アントニー氏の結婚披露宴に、岡田氏はユニバーサル幹部を伴って出席している。同じテーブルにはかつて独裁者として君臨した故マルコス元大統領の妻、イメルダ夫人が一緒だったという。

関係者によると、当初、アロヨ大統領は岡田会長の表敬訪問を認めようとはしなかった。その橋渡しをしたのが、ヘニュイーノ会長だったという。最終的に実現にこぎ着けたアロヨ大統領と岡田会長との面談の内容は明らかではない。

<2010年1月、香港>

大統領との面談から5カ月、11月のボクシング接待から3日後、暗礁に乗り上げていた土地問題は解決に向けて動き出した。ユニバーサルと地元自治体、土地所有者との間で土地問題を解決するための合意文書が締結された。

そして12月、複数の関係者によると、ソリアーノ氏から資金を求める連絡が入った。金額は2500万ドル。ここで利用されたのが、ユニバーサルが香港に設立した「フューチャーフォーチューン」だ。社内資料や関係者によると、岡田会長自らが社長を務めるアルゼUSA(米国ラスベガス)名義のドイツ銀行の口座から、12月9日付でフューチャーフォーチューンの香港のHSBCの口座に2500万ドルの送金処理が行われた。この資金は、翌年1月14日に1000万ドル、3月3日に1500万ドルに分割され、ソリアーノ氏が経営する「スービック・レジャー」に振り込まれた。

10年2月5日、ユニバーサル社に吉報が届く。フィリピン大統領府が「大統領令第858号」を発布したのである。経済特区においてカジノ監督官庁のPAGCORと投資契約を持つカジノ事業者は外資規制から外れるという内容だ。これで、現地企業との合弁を組まなくても事業展開が可能になる。利益丸取りを計画していた岡田会長の思惑通りの結果だった。

さらに3月25日、ユニバーサルのフィリピン現地子会社に対して経済特区の認可が下りた。ユニバーサルは4月、「フィリピンにおけるフィリピン経済特区庁(PEZA)登録認可及び外資100%企業によるカジノ事業認可に関するお知らせ」というニュースリリースを発表している。

話はこれで終わらない。複数の関係者によると、ユニバーサルは10年春、ウィン・リゾーツからの投資収益で潤っている子会社アルゼUSAから、同じ資金ルートに乗せて1000万ドルをユニバーサルに還流させている。

ユニバーサルが起こした民事訴訟などの資料によると、10年4月28日、アルゼUSA名義の三菱東京UFJ銀行の口座から香港のフューチャーフォーチューンのHSBCの口座に1000万ドルを送金。5月3日にはフューチャー社からソリアーノ氏のスービック・レジャーの口座に資金は送られた。

関係者によると、ソリアーノ氏が小切手で1000万ドル全額を引き出し、ユニバーサルの関係者に手渡し、そのまま東京に持ち運ばれた。その資金を流用して、ユニバーサルは関係会社向けの不良債権約10億円を穴埋めしたという。12年11月28日に開かれたフィリピン国会の公聴会で、ユニバーサルの現地責任者は資金の還流そのものは認めた。

また、この1000万ドルを含め、スービック社に流した計3500万ドルの資金を、どのように処理したら会計監査を通すことができるかという問題も解決する必要があった。

複数の関係者によると、3500万ドルのうち、2800万ドルを問題があった土地の「取得費」として計上し、残りの700万ドルをソリアーノ氏へのコンサルタント費として計上した。

無事に経済特区の認定を受け、外資規制の適用除外を手に入れたユニバーサルだったが、カジノ運営の正式ライセンスはまだ取得できていなかった。その後も取得に向けて、ヘニュイーノ会長との交渉を続けていたことが、内部資料で分かっている。5月15日、来日したソリアーノ氏は岡田会長らと東京・丸の内の高級中華料理店で面談した際、ヘニュイーノ会長の意向として500万ドルが必要だと切り出した。「私を信じて預けてほしい」と語ったという。そして3日後、三菱東京UFJの口座からフューチャーフォーチューンを経由し、今度はソリアーノ氏が香港に登記した「ピープルズ・テクノロジー」の口座に振り込まれた。

この資金を合わせ、ユニバーサルから流れ出たのは4000万ドル。還流した1000万ドルを除くと、ソリアーノ氏には総額3000万ドルを支払ったことになる。そこから先、誰にいくら流れたのかは分かっていない。

ロイターはソリアーノ氏、ヘニュイーノ氏、アロヨ元大統領のいずれからもコメントを得られていない。

<断ち切られた人脈>

10年5月、大統領選でアロヨ大統領が惨敗。「大統領の指定金融機関」(在マニラ日本人ビジネスマン)と揶揄されたPAGCORで権勢を振るったヘニュイーノ会長は、大統領の交代とともに辞任に追い込まれ、その側近として振る舞っていたソリアーノ氏も、PAGCORとの取引を打ち切られた。

フィリピン政官界に築き上げた人脈を突然断ち切られた岡田氏。2010年8月に入り、PAGCORの新しい会長に就任したクリスティノ・ナギアット氏との面談がかない、新政権との関係構築に乗り出した。しかし、社内の会議で「政権交代によって起こり得る問題はあらかじめ想定し、必要な手を打っておくべきだった」と語ったと、社内資料に残されている。

一連の不透明な資金の流れについて、米国のカジノ事業を監督するネバダ州カジノ規制委員会(NGB)は8月以降、本格的な調査を始めていることが、ロイターの取材で明らかになっている。複数の関係者によると、岡田会長を参考人として呼び、事情聴取をする可能性もある。フィリピン当局も調査に乗り出している。調査の行方次第では、ユニバーサルが米国で持つカジノライセンスや、フィリピンの事業そのものに影響するかもしれない。

ユニバーサルはロイターの取材に対し、フィリピンの事業は「法令を順守する体制で遂行している」と代理人弁護士の荒井裕樹氏を通じてコメント。それ以上の事実関係についてはコメントを控えた。さらに昨年12月4日、同社は一連の報道を受け、ロイターを提訴したと発表した。また、同社は総額1500万ドルを許可なく海外送金したとして、元社員らを東京地裁に訴えている。

マニラ湾のカジノ計画は今も進んでいる。ユニバーサルによる土地の取得は外資規制に違反するとしてフィリピンで問題視されていたが、昨年12月12日、同社は開発用地を保有する子会社の株式の過半を現地企業に譲渡すると発表。建設現場では杭打ち作業が行われている。

岡田会長が賭けるアジアの一大リゾートは、予定より4年遅れ、14年に開業する。

(ロイターニュース 布施太郎、ネイサン・レイン、ケビン・クロリッキ;編集 久保信博、橋本浩)

関連ニュース

ウィン・リゾーツ2月22日に株主総会、岡田氏の取締役解任案採決で 2013年1月4日
東南アジア株式=総じて上昇、マニラ市場は終値で過去最高値 2012年12月11日
ユニバーサル、フィリピンの資金疑惑報道は「事実誤認」と反論 2012年12月4日
米当局がユニバーサル会長を聴取へ、フィリピン資金疑惑めぐり 2012年11月30日


09. 2013年1月08日 13:25:12 : lqOPOFnyLE
通貨が不安になれば、金が上がりそうなわけだが、昨年は欧州ユーロの心配にも関わらずさほど金は上がらなかった。現在円安単独でも金のドル価格は当然上がっていない。果たして、国際的な通貨の信頼性低下が、即金価格の上昇に繋がっていくか、疑問なしとはいえない。グローバル化した経済のもとでは、常に新しい状況が展開されるわけで、過去の具体的な事例はなんの参考にもならないだろう。

  拍手はせず、拍手一覧を見る

この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
  削除対象コメントを見つけたら「管理人に報告する?」をクリックお願いします。24時間程度で確認し違反が確認できたものは全て削除します。 最新投稿・コメント全文リスト
フォローアップ:

 

 次へ  前へ

▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民78掲示板

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。

     ▲このページのTOPへ      ★阿修羅♪ > 経世済民78掲示板

 
▲上へ       
★阿修羅♪  
この板投稿一覧