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10年をピークとしたデジタルテレビの大幅な販売増をもたらした最大要因は、11年7月のアナログ放送打ち切りであり、それを後ろから支えたのがエコポイント制度である。
転載する記事によると、「シャープの奥田隆司社長は労働組合に「エコポイントなどでテレビが売れたため、市場が回復したと判断を誤った」と釈明した」そうだが、経営者としての無能をさらした言動でしかない。
国策であるアナログ放送の打ち切りとエコポイント制度が相俟って空前の需要増加が生じたのであり、その終焉を見越し、利益を活用して外部需要を開拓するか、早めに生産調整を行うのがまっとうな経営者である。
政府債務を積み上げてまでの国策で得られた好条件をさらなる事業拡大に利用できずに恨みを語るのは、経営者として恥ずべきことである。
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[真相深層]エコポイント、実は失策?
需要先食い痛み増幅 テレビ国内出荷は7割減
国内のテレビ販売は年末商戦も決め手を欠き、2012年の出荷台数は前年比7割減の600万台強になりそうだ。主因は家電エコポイント制度の終了による反動減。電機大手や家電量販店からは「需要の先食いを誘発しただけで、制度そのものが失敗」という恨み節も聞こえてくる。
省エネ性能の高いテレビやエアコンを買うとポイントが付き、指定商品と交換できる家電エコポイント制度は、自民党の麻生太郎政権時代の09年5月、リーマン・ショック後で冷え込んでいた消費を喚起する狙いで始まった。
民主党への政権交代後も条件を厳しくしながら、11年3月末まで2年近く続いた。この間、地上波のデジタル化に伴う買い替えも加わり、10年の薄型テレビ国内出荷は前年比85%増の2519万台に跳ね上がった。
空前の需要増を受けシャープやパナソニックは大増産に踏み切ったが、作っても作っても足りない状態が続いた。
しかし制度終了と同時に販売は急降下。11年は21%減の1982万台、12年は600万強と10年の4分の1以下に落ち込む見通しだ。メーカーの倉庫には在庫が山積みされ、大赤字の原因になった。8月下旬、2000人の希望退職を募ることを決めたシャープの奥田隆司社長は労働組合に「エコポイントなどでテレビが売れたため、市場が回復したと判断を誤った」と釈明した。
価格下落に拍車
家電エコポイント制度に最初から反対していたのが家電量販最大手ヤマダ電機の山田昇会長だ。「太陽光パネルや発光ダイオード(LED)照明のような、いままでにない商品が対象なら、新市場の創出につながるが、すでに市場があるテレビのような商材を対象にしたら、需要の先食いが起きる」と警鐘を鳴らしてきた。
結局「最盛期には1カ月で1年分を売り、3年分は需要を先食いした」(山田会長)と見る。しかも需要が盛り上がった時期には各社がシェアを競い、価格下落にも拍車がかかった。
家電に続き自動車でも補助金の反動減が起きている。政府は今年9月にエコカー補助金を打ち切った。反日暴動で中国向け輸出が減ったこともあり、10月の国内生産は12%減った。
エコカー補助金は国内新車販売の十数%に当たる60万台程度の需要先食いを生んだとの試算もあり、日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ自動車社長)は20日の記者会見で「(13年の新車販売は)1月以降、当面は前年比マイナスが続く」と予想した。
米車市場は回復
海外に目を向けると、リーマン危機後の09年に米国も補助金で古い車から新車に買い替えを促すスクラップ・インセンティブ制度を導入。欧州各国も同様の制度を導入したが、いずれも1年で打ち切っている。
その後、米国の自動車市場は毎年100万台ずつ回復し、健全さを取り戻した。日本はエコカー補助金を断続的に3年間続けた。その分だけ今後は反動減に苦しめられる懸念がある。
前欧州委員会副委員長のギュンター・フェアホイゲン氏は「欧州にもエコポイントに似た制度があるが、補助金は出していない」と説明する。欧州版エコポイントは欧州委が毎年、各社の家電製品の省エネ性能を調べ、星を付ける。相対評価なので今年三つ星でも他社製品の性能が上がれば来年も三つ星とは限らない。
「政府がお墨付きを与えることで、メーカーに環境性能が高い製品を開発する動機づけをしている」(フェアホイゲン氏)。日本のエコポイントはメーカーを救う保護政策の色合いが強かったが、欧州版は競争政策である。
家電エコポイント制度の事業予算は約3000億円。薄型テレビやエアコンが飛ぶように売れた当時は政府も「3000億円の予算で数兆円の市場を作った」と自画自賛したが、今となっては痛みを先送りして増幅させた感もある。
(編集委員 大西康之)
[日経新聞12月28日朝刊P.]
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