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物価目標、政府と連携 日銀総裁インタビュー
2%議論へ 「緩和・成長策で」
日銀の白川方明総裁は日本経済新聞のインタビューに応じ、来年1月に導入を議論する物価目標について「達成には金融緩和と成長力強化の両方が必要だ」と述べ、政府との連携を強める考えを示した。導入には「金融政策の柔軟性確保が重要」とも語り、達成時期・目標値などに一定の幅を持たせたり、金融政策を弾力的に運営したりする考えを示唆した。(関連記事経済面、インタビューの詳細を電子版に)
日銀は今月20日の金融政策決定会合で物価目標の検討開始を決め、来年1月の会合で詳細を固めることにしている。これまでは「物価安定のめど」として、物価上昇率が1%を見通せるようになるまで金融緩和を続ける方針を示してきた。
白川総裁は物価目標について「金融政策の柔軟性が確保できれば『めど』か『目標』かという議論に意味はない」と述べ、安倍晋三首相が求める物価目標の導入に前向きに応じる姿勢を示した。首相が求める2%への目標値の引き上げについては「1月の次回会合でしっかり議論する」と述べるにとどめた。
デフレ脱却には「中央銀行と政府が力を合わせることが必要だ」と指摘。そのうえで「まず景気がよくなって物価が上がるという実体経済活動の高まりが必要」とした。物価だけが先行して上がれば長期金利の上昇などを招き、逆に景気を悪化させるリスクになるとの懸念も示した。
今後の金融政策運営は「資産買い入れ基金を通じて国債などを今後1年余りで36兆円購入し、新設した貸出支援基金でも15兆円超を資金供給する見込みだ」と述べた。2013年の資金供給規模は今年の約2倍にあたる50兆円強となり「欧米に比べて緩和規模が小さいという批判はあたらない」と強調した。
ただ「上場企業の4割が実質的に無借金経営となっている」とも指摘。金利を下げたり金融機関に資金を供給したりしても、企業の資金需要が乏しいため緩和効果が十分に行き渡らないとの懸念を示した。
そのため、脱デフレには「民間投資を促す日本経済の成長力の強化が不可欠」とし、新政権に成長戦略の着実な実行を求めた。具体的には「思い切った規制緩和で企業が挑戦しやすい環境をつくる必要がある」としたほか、高齢者や女性の就業率を高めて就業者の減少に歯止めをかける必要があるとも指摘した。
物価目標の導入にあたっては、資産価格などにも目配りして一定の柔軟性を持たせることが「主要国の共通理解」と強調した。金融政策の自由な裁量を確保しておくことの重要性に言及した。
消費者物価だけを目標にすれば、硬直的な金融政策になるとの懸念がある。
例えば、資源価格の高騰による原燃料高や食料高で物価が上がった場合、機械的に金融引き締めに転じなくてはならなくなる。逆に物価が目標に達していない段階で、株や不動産などの資産価格が急上昇すれば、引き締めが遅れてバブルを増幅する懸念もある。
[日経新聞12月29日朝刊P.1 ]
脱デフレ、処方箋を再点検
白川総裁インタビュー 「日銀不信」払拭へ 原因など本質的議論を
「大胆な金融緩和」を求める政治的な圧力が強まるなかで、日銀の白川方明総裁が強調したのは「デフレ脱却には中央銀行と政府の連携強化が不可欠」ということだ。デフレの本質的な原因の議論を深め、処方箋を再点検。日銀の金融緩和と政府の成長戦略の実行という政策総動員であたる必要性を訴えた。(1面参照)
「デフレ脱却の意味を正確に共有する必要がある」
安倍晋三首相が「日銀には2%の物価上昇率目標をとり入れてもらう」と連呼したことで、衆院選期間中に金融政策や物価目標は大きな関心を呼んだ。ただ、その国民論議は十分に消化されていないと白川総裁はみる。
デフレ脱却とは「景気が良くなって賃金が上昇し、雇用も確保され企業収益が増えて、物価も上がっていく状況」と白川総裁は言う。総裁就任直後の2008年夏、消費者物価指数(CPI)の上昇率は2.4%もあった。その主因は資源価格の高騰。ガソリンや食料品の値上がりでむしろ景気は悪化局面をたどった。単にCPIや資産価格が上がれば済む話ではないというのが、白川総裁の持論だ。
白川総裁は物価目標の導入にあたって「柔軟性の確保」を訴えた。物価が一定水準に達することだけを目標にした金融政策は硬直的になり、失敗すると懸念するからだ。
「物価上昇を達成する『魔法のつえ』はない」
白川総裁がインタビューで大きな論点としたのは、デフレ脱却の政策手段だ。中銀が景気を最も刺激できる手段は利下げだ。ただ、就任半年後に起きたリーマン危機で政策金利は瞬く間に事実上ゼロになった。国債などの資産買い入れを通じて金融緩和を進めてきたが、CPIはマイナス圏から脱する兆しはない。
「金融環境は極めて緩和的」と日銀は主張している。企業の借入金利は平均1%弱とリーマン危機後の4年で半分近く下がり、住宅ローン金利も歴史的な低水準にある。それにもかかわらず民間金融機関の貸し出しは増えず、企業の投資や家計の消費は高まらない。金融政策だけではデフレ脱却は難しいとみている。
「マクロ経済政策、規制緩和、財政規律の3つの点で政府の役割は重要だ」
白川総裁は大胆な金融緩和へ政治的な圧力が強まるなかで、「変化は必ずチャンスを生み出す。思い切った規制緩和が必要だ」と踏み込んだ。あえて脱デフレに向けて政府の役割を強調した。
民間投資を促すには、医療や介護など生活者の需要が大きい分野の規制緩和を進め、企業の新市場への参入を活発にする必要がある。
貿易の自由化もさらに進め、アジアなど新興国で日本企業が売り上げを伸ばせるようにするのも重要だ。
任期が残り4カ月を切った白川総裁の大きな課題は、政治の日銀不信の払拭といえる。日銀には06年の量的緩和解除が「早すぎる引き締め」となって慢性デフレを招いたとの批判がある。08年秋のリーマン危機直後の世界の中銀による協調利下げにも日銀は加わらず、その後の急激な円高を招いたとの指摘もある。
10年越しのデフレの大きな責任は日銀にあるが、解決策は政府と日銀が密に連携して政策を総動員するしかない。
(経済部 河浪武史)
[日経新聞12月29日朝刊P.5]
首相「緩和手段は日銀に任せる」 独立性に配慮
2012/12/30 20:14
安倍晋三首相は30日、TBS番組のインタビューで、内閣の最優先課題に掲げるデフレ脱却に関して「大胆な量的緩和をしなければ脱却できない。手段は日銀にお任せしたい」と述べた。政府と日銀が結ぶ政策協定(アコード)を念頭に「2%の物価上昇率目標を設定したい」とも語った。
金融緩和の手段に言及しなかったのは、日銀の独立性に配慮したためとみられる。就任前には建設国債の「買いオペ」や外債購入などを提唱していた。首相は2006年発足の第1次安倍内閣でデフレ脱却を実現できなかった理由について「06年に日銀が量的緩和をやめてしまった」と、日銀への不信感も示した。
一方で「金融政策だけではインフレ期待がすぐには起こらない」とも指摘。政府の取り組みとして、インフラ整備など積極的な財政支出を講じる方針を示した。
日ロ外交を巡っては、北方領土問題の進展と平和条約の締結に意欲を示し、来年中にロシアを訪れプーチン大統領との首脳会談に臨みたい意向を表明。2月に首相の親書を携えた事実上の政府特使として訪ロする森喜朗元首相による地ならしに期待を示した。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3002H_Q2A231C1PE8000/?dg=1
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