01. 2012年12月30日 00:07:22
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2012年 12月 29日 12:51 JST 欧米は自国通貨安を放置したが日本は通貨安政策取っていない=麻生財務相 【東京】麻生太郎財務相が、円高に対する言葉による攻撃をさらにエスカレートさせている。ここ数年米国や欧州が自国通貨の大幅安を放置したことに苦言を呈し、また、米国に対してはドルを上昇させることを要望する発言をしている。画像を拡大する Reuters 麻生太郎財務相 安倍晋三首相率いる政権の通貨政策を握る麻生財務相によるこの批判は、現在は通貨引き下げ競争になっていると同政権が解釈している世界各国の潮流に対決姿勢を強めていることを改めて示すものだ。 今月中旬の総選挙では安倍氏が、円高が度を超しているとして、その是正を自民党の選挙戦キャンペーンの目玉政策の1つに掲げて大勝利を収めた。安倍氏とその周辺からの円水準に対する明確で強固な主張は、日本が世界通貨戦争をあおりかねないとの懸念を引き起こしている。 しかし、麻生氏の発言もここ数年の円高による日本産業の世界との競争力減退に対する国内に渦巻く深い苛立ちを示すものだ。 28日に行った財務相就任後の最初の報道各社向けインタビューでは、米国はドルを強くするという本来の仕事をするべきだし、その点はユーロもどうなのか、と語った。 さらに麻生氏は、各国が通貨の引き下げ競争は行わないと誓った3年前の20カ国・地域(G20)の会合以来、円はドルとユーロに対し大幅に高くなったと述べた。 その上で、G20メンバーのいくつの国がこの約束を履行していだろうかと疑問を投げかけ、日本は約束に則って適切な行動をとってきたと強調、「諸外国に言われる筋合いはない」、と述べた。 また、同日夜に麻生氏は、ガイトナー米財務長官と30分間の電話会談を持ったことを明らかにした。この会談では、長官に対しここ最近の行き過ぎた円高は修正されつつあるのは間違いないが、これがまたいつ変わるか分からず今後も円の動向を注視していくことを伝えたと述べた。 一方、米財務省のナタリー・W・アーネスト広報官も電話会談があり、ガイトナー長官と麻生財務相は日米経済関係と世界の経済金融動向について話し合ったと述べた。 近年では円の水準について懸念を示したのは麻生財務相だけではなかった。企業経営者やほかの政治家も円高に不満を漏らし、競争力喪失や減益、倒産や生産基地の海外移転の元凶と批難していた。 2000年代後半の世界金融危機以来、ドルは円に対して30%下落して現在は1ドル=86円前後で推移している。この結果、日本製品の輸出価格が上昇して競争力が失われ輸出業者に大きな負担となっている。このドル安円高は麻生氏が2009年9月までの約1年間の首相在任時代に加速しており、当時の厳しい景気後退の一因といわれた。 一方、安倍首相を始め閣僚らからの一連の発言が、通貨切り下げ競争を誘発するのではとの懸念について麻生財務相は、その心配はないと一蹴した。円を急激に下落させるようなことはしていないし、実際の政策として何かをしたわけでもないと語った。 実際、民主党の前政権時代には円売りドル買いの為替介入を実施して米国政府から厳しい非難を浴びたが、麻生氏が首相時代には為替介入は実施しなかった。 一方、麻生氏は、円安は輸出業者にはプラスだが、輸入業者には痛手となりると指摘、全産業が円安を求めているのではないと強調した。 2012年 12月 28日 10:03 JST 日本の円安誘導発言、他国が模倣も―相場操縦の批判招く恐れも By TAKASHI NAKAMICHI AND TATSUO ITO
【東京】日本の新しい指導者は、円相場水準に関する希望を珍しくはっきり口にしている。これを受けて市場は、彼らが日本の輸出復活のための円安誘導に本気だと確信している。 画像を拡大する Reuters しかし一部には、こうした動きは米国など主要貿易相手国との関係を複雑にしかねないと警告する向きもいる。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)が超緩和的な金融政策を採用し、その結果米欧通貨が低く抑えられたのを受けて、アジアや中南米などめ多くの中銀は、自国通貨が余りに強くなりすぎないように努力してきた。 安倍晋三首相を筆頭に日本の政府関係者は、一層の金融緩和とその他の大胆な措置を通じてドルの対円相場を1ドル=85円以上に維持する決意を示唆している。 ドルは26日に85円に達した後、27日にはアジア市場終了後に86円を突破し、86円16銭と2年4カ月ぶりの高値を付けた。円はその後やや反発した。米国のハリー・リード上院民主党院内総務(民主、ネバダ州)が米国は「財政の崖」から転落する恐れがあると警告し、セーフヘイブン通貨としての円の地位が見直されたためだ。財政の崖に突き当たると、自動的な支出削減と増税が発動され、米国経済はリセッション(景気後退)に陥る可能性が出てくる。 ドルは27日のピーク時で今四半期の期初と比べ約11%上昇した。 安倍氏は先の衆院選を前に、大胆な政策を選挙公約の柱とした。アナリストや投資家は、安倍氏が市場の相場形成で非常に成功したため、同様の結果を期待するコピーキャット(模倣者)がその他の国に現れる可能性もあると述べている。 例えば今年ウォン急騰に対応してきた韓国では、中央銀行が27日、毎月公式金利を見直す際に経済回復を最優先する方針だと極めて率直に述べた。 ウエストパック・バンキングのシニア通貨ストラテジスト、リチャード・フラヌロビッチ氏(在ニューヨーク)は「安倍氏は急進的なアプローチを講じたし、人々はその教訓を学びつつある」と述べ、「これは、世界的な通貨戦争とも呼べる状況の中でのもう1つのサルボ(爆弾投下)だ」と語った。 しかし日本国内では、ドル・円相場の急激な変動に、日本の製造業者から称賛の声が上がっている。円安になれば、彼らの製品は国際市場での競争力が増すからだ。 例えば日本商工会議所の岡村正会頭は「各企業は80円弱で利益計画を打ち出しているので、かなりのインパクトが与えられる。企業にとっては朗報だ」と指摘した。 安倍氏は先週末、ドルが85円を上回ると、「円安が利益を押し上げる」から「これまで税金を払っていなかった企業が払えるようになる」と語った。自民党の石破茂幹事長も21日、われわれはどうやって(1ドル=)85円から90円ぐらいに収めるのか考えなければいけないと述べていた。 さらに甘利明経済再生・一体改革担当相は27日、円は「円高は今日85円を付けてかなり適正水準に向かいつつある。かなり良い方向にきている。こういう方向が定着するようにしなければならない」と語った。 しかし、円安になれば、海外の製品は割高になるから、日本の輸入代金が膨らむ可能性がある。ただし、第一生命経済研究所の主席エコノミスト、永濱利廣氏は、ドルが100円を突破するまでは円下落の全体的な経済効果はプラスだろうと指摘している。 安倍氏の円高修正の姿勢は、円高に長年いらだっていた一部の政府政策当局者の間で共感を呼んでいる。しかしそうした安倍氏の姿勢がグローバルな通貨市場で緊張を生むとの懸念が海外では出ている。 ある日本政府当局者は、国内企業の利益になるように日本が円水準を操作しようとしていると「外国から誤解を受ける可能性がある」と述べた。 人為的に為替相場に影響をもたらすことに対する国際的な支持取り付けは、過去よりも一層困難になってきた。多くの諸国が輸出拡大を通じて世界的な景気鈍化を乗り切ろうとしているためだ。 2011年に為替市場に単独で介入した際、日本政府は介入を正当化しようとしたが、米財務省から厳しい叱責を招いた。 当時の介入を監督した安住淳前財務相の元側近によれば、安住氏は、米政府当局者がこの介入について「さまざまな機会」に不満を伝えてきたと部下に打ち明けていたという。 日本総合研究所の湯元健治副理事長は、新たに就任した麻生太郎財務相が同様に、望ましいと考える円安水準に言及すれば、「(為替レートの具体的なレベルやレンジについて)財務大臣としてまさか言わないと思うが、言ったら最後、アメリカやヨーロッパからものすごいブーイングやクレイムがくるだろう」と警告している。 望ましい為替レート水準への言及はまた、日本の当局がいつ市場に介入するかの憶測の引き金になる。こうした憶測は相場の乱高下を惹起することがしばしばだ。 前出の政府当局者は「人々は『ドルが90円に達したら政府は介入するだろうか。ドルが85円を割り込んだら介入するだろうか』と考え始めるだろう」と述べた。 しかし、麻生財務相は、通貨変動発言の功罪を財務省当局者から十分に言い含められており、一線を越えることはしないだろう、と政府関係者たちは言う。他の閣僚たちも恐らく、就任後は円相場水準を議論しないとみられている。 |