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安倍自民総裁:1ドル=90円台乗せに期待感−テレビ番組で (ブルームバーグ) 
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/772.html
投稿者 赤かぶ 日時 2012 年 12 月 23 日 11:43:00: igsppGRN/E9PQ
 

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MFGJVE6JTSE801.html
2012/12/23 10:19  ブルームバーグ


  12月23日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁は、1ドル=90円台まで円安が進むことへの期待感を示した。23日朝にフジテレビの番組「新報道2001」に出演して語った。安倍氏は26日召集の特別国会で、首相に指名されることが確実になっている。

安倍氏は「世界中が自国の通貨をたくさん刷って経済を支え輸出競争力を強くしている。日本も対抗しなければだめだ」と指摘。その上で「全然違いますからね、80円台なのか90円台なのか。今まで税金を払っていなかった法人も85円を超えていけば、税金を払ってもらえるようになる」と語った。

円ドル相場については自民党の石破茂幹事長も22日放映(収録は21日)のBS朝日の番組で、同80円から90円の水準が望ましいとの見方を示していた。

安倍氏はまた、来年4月に任期を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任人事について「われわれの考え方に賛成してもらえる人にやってほしい」と強調。自民、公明で過半数を確保できていない参院での同人事案の対応については「みんなの党を含め、われわれと同じ金融政策を持っている党もいるので協力を仰ぎたい。日本維新の会も基本的に同じ考え方だと思う」と述べた。

日銀が次回の金融政策決定会合で自民党が求めている2%のインフレ目標を設定しなかった場合の対応としては「日銀法を改正してインフレターゲットをアコードを結んでそれを設ける。あるいは雇用についても責任をもってもらう」と述べた。

一方、国会同意の手続きが終わっていない原子力規制委員会の人事については「国会承認に向けてもう一度、検討していきたい。基本的には今の人事でいくことになると思う」と述べ、野田佳彦政権が任命した現在のメンバーを国会に提案する可能性を示した。


 

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コメント
 
01. 2012年12月23日 11:52:46 : xGekQmjTpI
インフレターゲットなら、消費税率を毎年2パーセントあげればよいだけで、財政も健全化する。これこそが正当なインフレ政策だ。よけいなことをしない方が本質がはっきりする。インフレにかさ上げされる消費税よりましなだけだ。

02. 2012年12月24日 00:01:10 : cO9FQOqt6Y
円高ドル安は米国の政策。国内雇用を重視する民主党オバマ大統領の意向だった。

それが少しばかり円安になることを許してもらえた理由は、あまりイジメると日本企業が弱くなりすぎ、韓国企業や中国企業に負けそうだから。

石破茂幹事長の談話からすると、とりあえず90円までは円安にしても良いというニュアンスをアメリカさんからもらったようだ。


03. 2012年12月24日 07:49:53 : sUpHQ8Q75g
>>02
> とりあえず90円までは円安にしても良いというニュアンスをアメリカさんからもらったようだ。

火達磨寸前の彼の国が一方的に譲歩するはずがない
50年代のように良い人を演じてる余裕なぞないのだ
日本にそれ以上の譲歩を求めてくるのは必定だ

まず誰でも思い付くのはTPPだが果たしてどうなるか


04. 2012年12月25日 02:16:38 : IOzibbQO0w

【第305回】 2012年12月25日 遠藤典子 [「週刊ダイヤモンド」副編集長]
アベノミクスの即効性が示されなければ夏の参院選で民主党に再チャンスが訪れる
――ジェラルド・L・カーチス コロンビア大学教授インタビュー
日本政治の碩学ジェラルド・L・カーチス教授は、今回の総選挙の結果をどう見ているのか。自民党大勝の要因から、民主党政権の評価、政治の右傾化傾向、なぜ選挙ごとに結果が大きくスイングするのかまで、縦横に語ってもらった。(聞き手/コラムニスト 遠藤典子)


ジェラルド・L・カーチス
米コロンビア大学政治学部教授。政治学博士(コロンビア大学・1968年)。専門は日本の政治外交、比較政治学、日米関係、米国のアジア政策。近著に『政治と秋刀魚?日本と暮らして四五年』(日経BP、2008年)。
――衆議員選挙の結果をどう見るか。

 有権者が民主党に対して厳しい審判を下した、という一言に尽きる。3年4ヵ月間政権を握り、3人の首相を輩出したが、マニフェストに書いたことを実現せず、書かなかったことを実現した。この政党の理念はどこにあるか、政権運営能力などないのではないか、という思いが有権者の気分を支配していたのであろう。

 民主党に入れたくない有権者の票の受け皿になるのは、政権担当能力のある自民党しかなかった。自民党の獲得票数は過去の選挙のそれを下回り、自民党支持が広がったわけではないが、小選挙区においては、前回の選挙に破れ、次のために選挙区を丹念に回っていた自民党候補者が強かった。比例で自民党に行かなかった票は、日本維新の会へ流れた。

民主党政権下の日米関係は
決して悪くはなかった

――民主党への逆風をどう捉えるか。

 有権者の民主党批判は、行き過ぎのように思う。東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故において、菅直人首相の対応が非難されたが、ほかの誰が総理であったなら、もっとうまく対処できたというのだろうか。ハリケーン、カトリーナやサンディに対する米政府の対応に比べても、決してまずくなかった。

 安倍晋三新首相は、日米関係が悪化しており再構築しなければならないと発言しているが、現在の日米関係は決して悪くはない。もちろん、「東アジア共同体」を掲げ、米軍基地について「最低でも県外」との発言をした鳩山政権時代は非常に悪く、オバマ政権も「反米親中」だと過剰な反応をしたことがあった。

 しかし、菅政権下では、震災後に速やかに「トモダチ作戦」が実施され、安全保障上、密接な関係を構築できたし、野田政権下でも決して悪くはなかった。ただ、それを理解している日本人はあまり多くはなかった。民主党の説明が不足していたと言わざるを得ない。

 マニフェストについては、この言葉に対する幻想を、日本人は早く捨てたほうがいい。選挙の際にはどの国のどの政党も作るが、政権を取った後、その実現性を問われるわけではない。マニフェストを重視することは、政治を否定することである。政治の進歩だというが、後退だ。マニフェストに書いたことをそのまま実行すればいいだけなら、官僚に渡してやらせばいいのであって、それは官僚主義である。

 最大の公約違反は、消費増税であったが、私は菅、野田両首相がその必然性を理解し、腹を決めたことは評価している。とりわけ野田首相に対しては、財界も米国も高く評価していた。ただし、国民への説明が不十分だったし、語られた言葉は国民の心に響かなかった。もっと正直に直裁に「社会保障を諦めるか、税金を上げるか」という選択肢を示し、訴えかける必要があった。こうした点において、小泉純一郎首相は優れていた。

ウォールストリートは安倍新首相を
「ゲームチェンジャー」と見ている

――米国は安倍新政権誕生をどう評価しているか。

 久しぶりに衆議院で3分の2議席を占める安定政権ができたことに安堵している。これだけ大勝したのだから、健康問題が悪化しなければ3、4年は首相を続けるだろうと歓迎ムードだ。これまでのように毎年首相が変われば、突っ込んだ政策対話などできないからだ。

 とりわけウォールストリートでは、今までと違った金融政策、財政刺激策が打ち出されることへの期待が高まっている。物価目標の導入、そして公共事業投資の拡大という右寄りの政権とは思えないケインジアンの政策を指向し、あれほど巨大な財政赤字を抱えながら、さらに財政支出を拡大しよういう安倍新首相を「ゲームチェンジャー」と見ている。実際に、外国人投資家は円を売りドルを買い、日本株を買っているが、実現不可能と分かれば、資金が逆転する可能性を含んでいる。

――安倍新首相に何を期待するか。

 安倍新政権への国民の期待は小さく、発足直後の支持率としては歴史的に低いものとなるだろう。それは、自民党にとっても、安倍政権にとってもチャンスである。悲願の憲法改正よりも経済対策に焦点を絞り、結果を出せるならば、支持率は上がるだろう。逆に憲法改正を急いだり、旧態依然とした公共事業へのバラマキを行ったりすれば、厳しい批判を受けるはずだ。

 5年前の安倍首相と明らかに違うのは、「美しい国」や、「戦後レジームからの脱却」を新政権の主なテーマにせず、選挙においても、むしろ経済対策を中心に話したことだ。そのレシピの善し悪しは別として、国民にとって、デフレや低成長が続くこの経済状況を、何とかしなければならないという強い意志の現れに映った。この点は賢明だった。参院選で単独過半数を取ることができれば、憲法改正や集団的自衛権行使の解釈変更に焦点を移すだろう。

右傾化した政治に 
世論が引っ張られるかどうか

――諸外国に、日本の右傾化を懸念する声がある。

 日本の国民が右傾化しているとは思わない。しかし、日本の政治が右傾化しているのは間違いない。反対する組織勢力が弱まっているからだ。問題は、日本の世論が右傾化している政治に引っ張られるかどうか、である。

 その可能性が生まれるのは、中国が尖閣諸島問題をエスカレートさせて、中国国内で再び日本製品をボイコットしたり、日本企業に対して暴動を起こしたりすることがあれば、日本人のナショナリズムに火がつくこともあるだろう。それを最も歓迎するのは日本維新の会の石原慎太郎代表だろうし、安倍首相も防衛予算を拡大するなどして、国内外に強い態度を示す可能性もある。また、日本人が日米安全保障体制に疑問を持つようなことが起きた場合、再軍備の方向に向かって行くかもしれない。

 しかし、米国政府は、日本は安全保障上極めて重要なパートナーであるという立場を取り続けるだろう。中国政府も反日思想は根深いものの現実主義である。日本ひいては米国とも軍事的な衝突を招くことは自国の利益につながらないと判断し、沈静化させる方向に動いてほしい。

 日本の右傾化は、1950年代以降、定期的に言われてきたことだ。たとえば東條内閣の商工大臣で、真珠湾攻撃にサインした岸信介首相、防衛費拡大路線を貫いた中曽根康広首相、靖国神社に何度も参拝した小泉首相時代にも問題視されたことはあった。実際、タカ派的な国になるべきだという主張は常に自民党のなかにあるが、自民党はプラグマティック(実利的)な党である。右寄りのイデオロギーはあるが、中国や韓国を敵に回し、米国を困らせることが国益にかなわないと判断し、国益を優先するだろう。

――しかし、自民党から中道的な政治家が引退、落選によって減りつつある。

 たしかに、派閥で言えば、宏池会を中心とするハト派的な考え方を持っている議員の力が自民党内で弱くなった。現在の民主党が、宏池会を代替しているからかもしれない。

 憲法改正を実現するための、参議院の3分の2議席にはほど遠い、と安倍総裁は会見で語った。もちろん、安倍首相が最初に手をつけるのは、集団的自衛権の解釈の変更だろうが、果たして公明党は黙ってそれに賛同するだろうか。山口那津男代表は、すでに反対を表明している。もし、自民党が日本維新の会と組んで強行するようなことになれば、公明党は民主党と連携して対抗するはずだ。

 公明党にとって、政権にとどまることは重要であるに違いないが、理念や信条がないわけではない。安倍新政権があまりにも右寄りの政策を打ち出すならば、公明党は放置しないだろう。しかも、財界が悲鳴を上げ、マスコミが騒ぐ。日本のチェックアンドバランスは、しっかり機能するはずだ。

日銀総裁人事が
参院選の勝敗を占うカギ

――夏には参議院選挙が控えている。勝敗のカギは。

 この数ヵ月の自民党の政権運営、なかでも安倍首相の唱える経済政策が国民の支持を得られるか、また具体的な成果を示すことができるかによって決まる。財政刺激策については、イノベーションに繋がるような新しいかたちでの公共投資でなければ、国民に受け入れられないだろう。

 金融政策においては、日本銀行は安倍政権の意をくんで、新たな緩和策などを打ち出すだろうが、次の総裁に誰を選ぶかが焦点である。民主党が反対すると思われ、エコノミストとして財務省からも外国の中央銀行からも評価されず、ただ安倍首相の言いなりになるような人物を任命すれば、参議院の賛同を得られず、安倍首相自身が損をすることになる。

――民主党の復活はあるか。

 57議席しか獲得できず大敗したが、民主党の将来は決して暗くない。選挙で勝ち残った議員たちは、細野豪志氏、玄葉光一郎氏、安住淳氏といった四十歳代で政権運営を経験した新しいタイプの政治家だ。彼らが先頭に立って、党の立て直しに邁進すれば、勝機は大いにある。中道路線が明確になり、党内の意見の整合性も取りやすくなったはずだ。

 55年体制以降、与党として政策運営に携わった野党は、自民党以外に誕生したことがなかった。自民党に変わりうる政権運営能力のある政党として、何にでも反対を決め込まず、代替案を持って議案に望めば、参議院選挙で再びチャンスが巡ってくるかもしれない。

政治はカリスマより組織
橋下維新は時期尚早

――日本維新の会をどう評価しているか。

 石原慎太郎代表との間に政策の違いがありながら連携したのは、橋下徹代表代行の失策だと考える。若い世代の票の受け皿として十分機能しなかった。

 政治に必要なのは、リーダーシップやカリスマ性だけではなく、組織である。全国組織を作るには、資金と時間がかかる。今回の衆院選を見送り、いい候補者を集めて出ていたならば、非常にうまくいったかもしれない。

 参院選前に分裂をするのか、参院選で躍進するのか、まだ読みきれない。

――前回の衆院選では民主党が大勝した。選挙結果が大きく振れるのは、選挙制度に問題があるからか。

 日本の小選挙区制のもっとも悪いところが現れたかたちだ。米国も小選挙区制を採用しているが、70%の票は人種、宗教、貧富の格差を背景にした党の支持があって動かない。残りの30%が浮動票だ。しかし、日本では自民党も民主党も、選挙で同じ有権者を取りに行くから、選挙結果がスイングしやすい。

 選挙制度改革で、比例への配分を減らそうとしているが、それではもっと極端な結果が出てしまい、公明党以下の中、小規模政党が消滅しかねない。白が黒ではなく、グレーのなかで濃い薄いを競うほうが日本に適している。緩やかな多党制のもと、政策協定を結び連立を形成する、そういうシステムを考えるべきだ。

 中選挙区制にも問題があるが、相対的にはまだましだ。小選挙区制を維持するなら、ドイツのように比例配分の割合を増やしていく仕組みを取り入れるべきだ。現在の小選挙区制が一番よくない。


05. 2012年12月26日 21:53:41 : WaxXbB3YAI
円高是正へ短期金利の押し下げ論が浮上、内外金利差の拡大狙う
2012年 12月 26日 21:22 JST

トップニュース
大規模補正でデフレ・円高脱却=甘利経済再生担当相
麻生財務相兼金融相・甘利経済再生相など「危機突破内閣」発足へ
第2次安倍内閣が発足へ:識者はこうみる

トヨタの13年世界生産計画、2年連続で過去最高水準に
[東京 26日 ロイター] デフレからの早期脱却に向け、日銀により大胆な金融政策を求める声が強まる中、日銀内では円高を是正するため為替相場に影響を与える方策が議論されている。具体策の1つとして、内外金利差の拡大を狙った短期金利のさらなる押し下げが浮上している。

日銀は12月19、20日の金融政策決定会合で資産買入基金の10兆円増額による追加金融緩和と現行の物価目標の見直しを表明した。物価目標見直しは新政権を担う安倍晋三首相の意向も踏まえて現在の1%から、2%への実質的な引き上げを視野に議論が行われる見通しで、目標達成に向けてより大胆な金融政策運営に舵を切る可能性が高まっている。

具体的には、デフレからの早期脱却に向けた為替相場への働きかけがカギを握る。日銀が26日に公表した11月19、20日の金融政策決定会合の議事要旨によると、何人かの政策委員が金融政策運営について、為替相場への働きかけを強める観点から、「一段の工夫が必要」と指摘。その中で1人の委員は、日銀当座預金の超過準備に対する付利(現行0.1%)の撤廃により、「短期国債の利回りを一段と引き下げることができれば、退避通貨としての円の魅力を減ずることになる」と具体策に言及した。12月会合で付利撤廃を提案した石田浩二審議委員とみられる。同氏の提案は反対多数で否決されたものの、11月会合では別の委員も「短期国債利回りの低下を図る手法として、現状の超過準備への付利を維持したまま、短期国債買い入れを増額することも考えられる」と述べている。積極的な金融緩和で主要国の短期金利がほぼゼロ%で並ぶ中、為替相場に影響を与えるとみられている短期ゾーンの内外金利差拡大を通じて円高是正を狙う発想だ。

もっとも、超過準備に対する付利の撤廃やさらなる短期国債金利の引き下げは、市場機能の低下、金融機関の収益減少に加え、現在の金融緩和強化の主要なツールである資産買入基金の残高積み上げを困難にする可能性がある。特に現在0.1%の固定金利で期間3カ月と6カ月の資金を供給している共通担保オペレーションへの需要が減退するとみられる。日銀では、同オペも対象になっている資産買入基金の残高積み上げを通じて金融緩和の強化を間断なく進めていると説明しており、オペ需要の低下は日銀の方針と矛盾する。

市場では、短期国債金利がすでに0.1%を割り込んでいる中で、将来的なマイナス金利などが展望できない限り、効果は限定的との見方もある。11月会合では、1人の委員が、為替への影響を含めて金融緩和を「オープン・エンド」(無制限)とすることを検討課題にあげた。為替相場への働きかけを強める方策は、基金の資産構成の大幅な変更などを含め、現行緩和策の見直しに発展する可能性がある。

(ロイターニュース 伊藤純夫:編集 石田仁志)


コラム:安倍政権の幸運を呼ぶ世界経済の脱「どん詰まり」=田中泰輔氏
2012年 12月 26日 18:50 JST
田中泰輔 ドイツ証券 チーフ為替ストラテジスト(2012年12月26日)

2013年は世界に薄明かりが広がると日本の明るさが際立つ、そんな期待の1年である。少なくともリーマンショックから4年が経過し、初めて地道に前向きな回復見通しを抱ける段階に来たと筆者は考えている。

この間、経済も市場も閉塞感を強め、特に11―12年は「どん詰まり」状態を極めた。投資マネーは行き場を見出せず、市場に残された僅かなスプレッド、些細なテーマに殺到した。リスク投資機運が減退するほど、債権国通貨の円は上昇しがちであり、円高は日本株をアンダーパフォームさせた。

しかし、米国と新興国に景気回復の兆候がじわり出始めた。そうなると、円高と日本株安の巻き戻しで、円安とそれに伴う日本株のアウトパフォームが生じる。世界情勢の割を食った円高下の日本の暗さが、パッと明るく輝いて見える場面だ。その背後では、日本株をことさらに過小評価してアンダーウェイト保有だった外国人が、必死になって日本株の見直し買いに殺到している。

<安倍政権の幸運な巡り合わせ>

そうした中、「安倍相場」が花開いた。12年9月に自民党総裁に選出された安倍晋三氏が、「これまでの次元を超えた金融緩和」を公約に掲げ、衆院選で大勝し、政権に復帰した。デフレを克服すべく、日銀法を改正してでも、白川方明日銀総裁をハト派総裁に交代させてでも、2%インフレ目標を採用させ、金融緩和を拡充し、建設国債を(市中から)買い入れ続けるというスタンスである。

日本市場では、政権トップとして金融政策の独立性に対して一線を越えた発言に「おいおい」と思う人が多いだろう。しかし、行き場を見失っていた海外マネーがまず円売り、日本株買いに殺到した。円安、株高になると、日本でもホッとする人が多い。結果として、日銀の信認を問題視するよりも、政権の行き過ぎを危惧するよりも、日本が閉塞状況を打破できるかもしれないという期待感が優ってきたようだ。

安倍氏率いる自民党は、衆院選前の世論調査によると25%前後の支持率で、選挙では6割以上の議席を得た。参院では自民・公明を併せても過半数に至らない。安倍新首相が政権基盤を固めるには、来年7月の参院選で勝利して、16年までの無選挙期間を通じた長期政権の樹立を図りたい。国民が政権に求める関心事項の筆頭は「景気と雇用」。安倍政権は今後半年、国論が割れる神経質な問題には踏み込まず、マクロ経済対策の取り組みを集中的に訴えるだろう。海外マネーに対する「安倍相場」の燃料補給は当面続くと見る。

「安倍相場」にとってのリスクは米経済の回復力が芳しくない事態であろう。万一、3―6ヶ月後に米経済成長見通しが1%だったら、ドル円相場は80円割れ、株価も反落を免れない。安倍氏の評価は、威勢の良い公約も結局効かない、補正予算で財政見通しを悪化させた、日銀の独立性を台無しにしたなど、暗転することは必定である。過去4年の政権と同様に景況・市況悪化の下では支持率も低下する。

ただし来年のメインシナリオでは、世界に薄明かりが広がり、円安地合いがサポートされ、安倍政権は幸運な追い風を受けられる。その場合、安倍政権の積極的な姿勢が日本の流れを変えたとの心証が強化されよう。

<円ベースの為替投資に妙味>

世界に目を向ければ、米国では住宅指標が改善し、消費と雇用は底固さを保っている。今そこにあるリスクの「財政の崖」をみすみす見過ごして転落することは想定しがたい。崖を越えると、市場全般の米経済見通しは上方修正される可能性が高く、企業センチメントが上向き、雇用、賃金、消費の底固さも増すだろう。

米国の回復は緩慢ながらも、同様に緩慢と見込まれる新興国景気の回復サイクルを補強する。ユーロ圏では、債務問題の圧迫が向こう何年も続くだろう。しかし、システミックリスクによる経済・市場の底割れ回避という喫緊の課題は、欧州中央銀行(ECB)が南欧国債の無制限買入れを表明したことでおよそクリアされつつある。

13―14年は、米国と新興国・資源国の経済が歩調を合わせて改善に向かう可能性が高い。ドルは中長期的に信認回復の軌道に乗り、円は対ドルで安くなると想定される。13年後半にドル円は85―90円に軸足を移し、その後、米連邦準備理事会(FRB)が超金融緩和からの出口戦略をとる時点で80円台前半に反落しても、15年に100円付近まで進む道筋をざっくりイメージしている。

新興国の高金利通貨は、景気回復と米金融緩和の継続が相まって進む期間に、ドルキャリーで上伸するものが増えるだろう。当然、対ドルで安くなる円からリスク通貨への投資にも妙味が広がる。特に11―12年に景気・通貨の循環的調整が十分になされ、回復の基礎ができた国の通貨ほど反発余地が大きい。

この観点で見ると、この時期に自国金利が低下しても、資源価格が低下しても、為替市場での調整がほとんどなかった豪ドルは、対ドルでの上値余地が限られる可能性がある。ただし、その豪ドルも世界経済の回復、資源価格の堅調によるサポート感を得られるため、円から見れば堅調だろう。

ユーロは、趨勢的には米金利堅調と欧州金利抑制の狭間の金利相場として、昨今の1.3ドル水準から13年末1.2ドル、14年には1.1ドル台へ軸足を下げると想定される一方、数カ月ごとに政策対応を危惧したユーロ売りと政策発動後の巻き戻しという上下動を繰り返すと見られる。対ドルでの趨勢的な円安とユーロ安を対比すると、ユーロ円の中心軸は105円前後でやや円が劣勢かという見立てである。

ただし、米金利上昇過程で度々強まるはずの円安動意と、ユーロの数カ月毎の上下動は必ずしも一致しない。このためユーロ円のクロスは95円割れから115円の幅広のレンジで振れることが想定される。95円や110円越えは長続きしないものと心得て対応することを推奨する。

世界経済と市場が11―12年にどん詰まった先で、13年に下振れることは、かなり深刻な事態と考えられる。リーマンショック以降の金融危機に対して、歴史的に積み上げてきた人類の英知は結局勝てなかった、ということになりかねない。しかし幸いなことに、どん詰まりの先には明るい兆候が増えつつある。その延長線では、円安と株高に伴う日本の再評価が進む可能性が期待される。薄明かりがさらに広がる13年を期待したい。

*田中泰輔氏は、ドイツ証券のグローバルマクロリサーチオフィサーでチーフ為替ストラテジスト。日本長期信用銀行、クレディ・スイス、野村証券などを経て、2011年11月より現職。


コラム:不透明な財政改革意思、アベノミクスが歩む危険な尾根道
2012年 12月 26日 17:45 JST

コラム:日米株価比較は安倍新政権の「通信簿」=上野泰也氏
コラム:進む円高是正、適正水準は霧の中=山下えつ子氏
コラム:「アベノミクス」の2つの長所と2つの課題=熊谷亮丸氏

田巻 一彦

[東京 26日 ロイター] 安倍晋三氏が26日、衆参両院で首相に指名された。体調不良で内閣総辞職してから5年3カ月、「安倍再チャレンジ内閣」は日本経済の再浮揚を最大の課題としてスタートする。政権推進のエンジンはアベノミクスと呼ばれる財政拡張・公共投資増強と金融緩和の強化を組み合わせたマクロ政策の実行だが、弱点は長期金利の上昇だ。

この現象を引き起こさないために不可欠な財政改革の目標明示について、安倍首相の方針は明確でない。景気拡大と財政再建を両立させるという細い道を安倍新首相は目指してほしい。財政再建への強い意思が見えなければ、安倍政権は細い尾根道から滑落することになるだろう。

<来年7月の参院選意識、組閣で重鎮やベテラン重用>

第2次安倍内閣の顔ぶれをみると、自民党の重鎮やベテラン、各部会のエキスパートを選び、来年7月の参院選までは絶対に失点しない、という安倍新首相の強い決意がうかがわれる。前回の「お友達内閣」批判を受けた経験が生かされているようだ。

経済政策との関連では、副総理兼財務・金融担当相に就任する麻生太郎・元首相と経済財政諮問会議も所管する経済再生・一体改革担当相の甘利明・前自民党政調会長が内閣におけるキーマンになるだろう。いずれ経済政策の方向性をめぐり、2人の間に亀裂が入るリスクがある。それを表面化させない方向で、安倍新首相の懐刀である菅義偉・新官房長官が調整力を発揮するのだろう。

<経済再浮揚で危機突破の構え、ツールは積極財政/日銀緩和政策>

安倍新首相は「危機突破内閣」を標榜し、デフレ状態に陥ったままの日本経済を再浮上させることを目指している。当面は、目に見える景気拡大の実現が、新政権の最優先課題となるのではないか。景気浮揚が実現する方向で動き出せば、来年7月の参院選での自公両党の勝利も見えてくるという戦術が浮かび上がってくる。

すでに10兆円の財政支出を前提にした2012年度補正予算案の編成方針が固まっており、2013年度予算案も国土強靭化計画の初年度として大幅な公共事業の上積みが模索されているようにみえる。同時に安倍新首相は来年1月の金融政策決定会合で、日銀に2%の物価目標設定を要望するとともに、政府と日銀の政策協定(アコード)を締結し、日銀との間で積極的な金融緩和を実施する方向で合意しようとしている。

この積極財政・公共投資の大幅上積みと日銀の大幅な金融緩和を同時並行的に推し進め、景気の押し上げを図るというのがアベノミクスの骨格ではないかとみている。確かに公共事業は即効性があり、短期的に国内総生産(GDP)を押し上げる。日銀の積極的な緩和政策は、市場に広がる円安観測の背中を押し、円安が一段と進展する素地を形成する可能性がある。それが輸出企業の株高を演出し、日本経済への期待感を高め、投資マインドを再活性化させる──というシナリオがあるのだろう。

<アベノミクスに長期金利上昇の死角>

しかし、アベノミクスには長期金利の上昇という死角がある。市場が気にしているのは、安倍新首相が衆院選後、積極的な金融緩和の必要性を強調するのと対照的に、財政規律の重要性について、ほとんど言及していないことだ。2013年度予算案で新規国債発行額を12年度と同水準の44兆円台に収め、国債費を除いた一般会計歳出を71兆円以下に抑制する方針が放棄された場合、別の数値目標が入った財政再建の目安が設定されなければ、市場は安倍政権の放漫財政方針を攻撃するリスクが出てくる。

官房副長官に内定した加藤勝信総裁特別補佐は21日、ロイターのインタビューで、「現行の目標(基礎的財政収支の15年度赤字半減と20年度の黒字化)を堅持しながら、(中期財政フレームについて)検証していくことが必要になっていく」と述べ、当面は中長期の財政赤字削減目標を維持していく方針を示している。ただ、単年度の44兆円や71兆円のシーリングが突破された場合、中長期の目標と整合性が取れなくなる危険性については言及していない。

<早急に表明すべき財政健全化の数値目標>

安倍新首相や麻生新副総理兼財務・金融担当相は、財政健全化目標について明確な方針を一刻も早く表明するべきだ。そして、積極財政路線と財政健全化の方針がどのようにリンクしていくのか、マーケットの疑問を一掃するような明快な回答が求められている。仮に財政健全化を先送りし、積極財政路線を鮮明にするなら、0.7%台で推移している長期金利が、新しい均衡点を求めて上昇を始めることになるだろう。

その意味で日本経済の再浮揚と、財政健全化の方針を両立させる道は、強風が吹きつける標高3000メートルの細い尾根道のようだ。少しでもバランスを崩せば、谷底に滑落するリスクをはらんでいる。財政健全化の目標設定を避け、赤字削減の努力を先送りする方針を示せば、マーケットの圧力で尾根から滑り落ちることになるだろう。安倍新首相が「財政の発散リスク」を強く意識し、今回の組閣と同様に堅実な運営に力を傾けることを強く希望する。

http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE8BP02S20121226?sp=true


コラム:日米株価比較は安倍新政権の「通信簿」=上野泰也氏
2012年 12月 26日 17:04 JST 記事を印刷する | ブックマーク | 1ページに表示 [-] 文字サイズ [+]


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大規模補正でデフレ・円高脱却=甘利経済再生担当相
麻生財務相兼金融相・甘利経済再生相など「危機突破内閣」発足へ
第2次安倍内閣が発足へ:識者はこうみる
トヨタの13年世界生産計画、2年連続で過去最高水準に
上野泰也 みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト(2012年12月26日)

米国株に対する日本株の相対的な割安感が、ほんの僅かだが、薄らぎ始めた。東証株価指数(TOPIX)を米S&P500種株価指数で割って算出したTS倍率は、米国株の上昇が限られる一方で日本株の上昇ペースが速いことを受けて、徐々に切り上がっている。

TOPIXは衆院選直前の12月14日に800の大台を回復し、自公圧勝という選挙結果が明らかになった17日以降も上昇基調にある。一方、S&P500はもっぱら「財政の崖」問題をにらんでの展開で、上昇基調にあるものの1400台前半で「足止め」状態。TS倍率は、12月19日からは0.58倍を超えて推移している。

ちなみに、10月11日にはTOPIXの終値が713.95、S&P500が1432.84で、TS倍率が0.498倍となり、0.5倍を下回るという動きがあった。ただ、0.5倍割れはこの1日だけだった。

TS倍率は、実は1990年代終わりから2000年代半ばにかけては、1倍前後での上下動を繰り返していた。TOPIXとS&P500の数字の大きさはほぼ同じだったということである。日米の株価指数先物による裁定取引を行いやすい状況だったとも言える。

上記のボックス圏推移は、05年の「郵政解散」で小泉純一郎首相(当時)率いる自民党が大勝したことによって終了。世界の投資家の間に広がった日本の改革期待からユーフォリア的に日本株が買い上げられる動きとなり、TS倍率は一時1.3倍を上回った。だが、時間の経過とともに過剰な改革期待は減退を余儀なくされて、08―09年には1倍前後に戻った。しかしその後、09年9月頃から12年10月にかけて、TS倍率は低下余地を模索する流れになった。これには、4つの原因が考えられる。

第一に、為替の円高ドル安基調だ(収益面で日本企業が不利、米国企業が有利)。第二に、09年の政権交代で誕生した民主党主導の政策運営について徐々に広がった失望感。第三に、日本の輸出関連2本柱の1つである電気機械の大手が大幅赤字を相次ぎ計上したこと。そして最後に、尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題で日中関係が悪化したことから予想される日本経済への追加的悪影響だ。

10月下旬時点では、日中関係の早いタイミングでの正常化が期待できそうにないこともあって日本株の上値は引き続き重く、TS倍率にはさらなる低下余地があるのではないかと見ていた。しかしその後、安倍自民党総裁の度重なる日銀への追加緩和要望発言と自民党の政権奪還見通しを主たる原動力にして、海外投資家の間で円売りムードが異例の強まりとなっており、それが日本株の見直し買いに結びつくという、一種の「うねり」のようなものを感じる状況が現出している。

そして、日本株の上昇にそうした「うねり」を筆者が感じたのは、過去2回。99―2000年のITバブル期と、すでに述べた「郵政解散」後の日本株上昇局面である。このうち、TS倍率の上昇を伴っていたのは、後者だ。その局面では、月末ベースでTS倍率がピークをつけたのは06年1月(1.336倍)。05年9月11日に行われた衆院選から4か月以上にわたって「日本買い」的な株高局面が続いたと言える。

ちなみに、衆院選投票日直前と直後の東京市場における株式と債券相場のベクトルを76年以降について比べてみると、「株高・債券安」の組み合わせになったのは、今回のほかには05年の「郵政解散」だけである。

<最大の評価ポイントは対中韓関係>

では、TS倍率が低下基調をたどってきた上記の理由4つについて、現時点の状況をチェックしてみよう。

まず為替については、 円安基調に転換した可能性を市場は強く意識している。二点目の政治要因については、 衆院選で自公が政権を奪還した。三点目に関しては、スマートフォン関連で生産・輸出が上向いている。一方、日中関係については新政権がどう動かすかは未知数だ。

前回のコラム(here)でも述べたが、日銀の追加緩和が超過準備付利撤廃といった金利面でアグレッシブなものにならずとも、13年半ば以降は超低金利の「時間軸」が時間の経過とともに自然に短縮していく中での米2年債利回り上昇と、それに伴う日米2年債利回りの格差拡大が見込まれる。このため、円安ドル高基調は13年も動かないだろう。また、12年は「リスクオフ」に歯止めがかかった年だという点にも留意したい。「リスクオフ」の巻き戻しは、「逃避通貨」である円からの資金流出に直結してくる話である。

電気機械大手の大幅な赤字計上については、日本企業の製品の競争力や経営戦略といったミクロの問題が中核にあると考えられる。為替相場の水準感(円高是正による収益上振れ期待)を別にすれば、新政権の政策運営によって短期間に大きく変化するものではあるまい。

したがって、安倍自民党総裁が率いる新政権のパフォーマンス評価で問題になるのは、政策運営と日中関係である。特に最後については、中国のほかに韓国も指導者交代の時期にあたっているだけに、両国との関係改善の足場をしっかり作っていくことが望まれる。

このように、TS倍率の今後の推移は、新政権による外交面も含む政策運営全般に対する市場の評価を示す、一種の「通信簿」になり得るのではないかと、筆者はとらえている。

*上野泰也氏は、みずほ証券のチーフマーケットエコノミスト。会計検査院を経て、1988年富士銀行に入行。為替ディーラーとして勤務した後、為替、資金、債券各セクションにてマーケットエコノミストを歴任。2000年から現職。

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第2次安倍内閣が発足へ:識者はこうみる
2012年 12月 26日 18:02

大規模補正でデフレ・円高脱却=甘利経済再生担当相
麻生財務相兼金融相・甘利経済再生相など「危機突破内閣」発足へ
トヨタの13年世界生産計画、2年連続で過去最高水準に
コラム:日米株価比較は安倍新政権の「通信簿」=上野泰也氏

[東京 26日 ロイター] 衆議院は午後の本会議で、首相指名選挙を行い、自民党の安倍晋三総裁を新首相に指名した。参議院でも決選投票の結果、安倍氏が首相に指名され、衆参両院で安倍氏が首相に選出された。これを受けて、26日中に第2次安倍内閣が発足する。

安倍内閣発足に関する識者の見方は以下の通り。

●参院選まで財政規律封印の陣容、その後TPP参加示唆

<JPモルガン証券 チーフエコノミスト 菅野雅明氏>

成長重視型の布陣と言えるだろう。安倍首相にとって参院選までは短期集中的に成長を図ることが最重要課題だ。麻生氏が副総理・財務相で入閣する以上、財政規律は参院選まで封印ということだろう。しかも、大型補正予算が組まれることになっても、さほど債券市場が反応していないので、政権としては大型補正でよし、ということになるのだろう。このため、財政規律が問題視されるまでに政権は思い切って時間を買えることになった。日銀も1月以降はさらに大量に国債を買うことになるし、国債発行を大胆に増やすことになるだろう。

一方の財政規律や構造改革は、参院選挙後に取り組む課題という位置づけだろう。それらに先にメスを入れると、既得権益者の票を失いかねず、とにかく安定多数を確保してからということになるはずだ。時間を買う間にそうした準備をしておくというメッセージもそれなりに入っている陣容だ。林芳正氏の農林水産相起用であれば、環太平洋連携協定(TPP)への前向きな姿勢に明確なシグナルとなっている。

●重厚な布陣、問われる政策の実効性

<みずほインベスターズ証券・チーフマーケットエコノミスト 落合昂二氏>

副総理兼財務相・金融担当相に麻生太郎元首相を起用した。麻生氏は積極財政派で、安倍首相の掲げる政策と一致。新内閣は、党内実力派の起用で安定感を重視した重厚な布陣を印象付けた。

市場の注目は政策の実効性だ。年明けにも補正予算編成が本格化するが、規模として5兆円、10兆円と数値が独り歩きする中で、その財源手当てで具体的な議論がなされていない。「新規国債発行44兆円枠」と「歳出の大枠71兆円」の中期財政フレームの取り扱い次第では、財政規律が緩むとの印象を市場に与えかねない。少なくとも2013年度本予算編成にあたっては、何らかの財政戦略を示す必要がある。

また、自民党は物価目標2%に設定しているが、目標を達成するまでの方法論が語られていないのは気掛かりだ。期待先行で円安・株高が進行しているが、時間の経過とともにその期待がはがれる可能性も否定できない。

●「大きな政府」型人事、甘利氏の手腕が成長戦略を左右

<伊藤忠経済研究所 主任研究員 丸山義正氏>

人事から見た新政権は、大きな政府になっていくという印象を受ける。拡大志向である甘利明氏、麻生太郎氏の起用からも、大きな政府型の内閣が成立するとみられる。

特に甘利氏は鍵を握る人物だ。経済諮問会議と日本経済再生本部の両所管を統括する中で、政策をどう振り分けするか重要になる。金融政策面においても、同氏の日銀総裁とのやり取りが着眼点となろう。

成長戦略において鍵を握るのも甘利氏だ。民間や各省からの意見をまとめられるか、両所管の舵取りを管理し、統一性を持った政策を提言できるかが、成長戦略実現を左右する。

一方で、新政権は財政再建に関してあまり重要視していない。だが金利上昇が懸念材料として浮上する中で、プライマリーバランスの健全化に向け、甘利氏と麻生氏がどのような計画を練るかが注目点だ。

そうした懸念がある中で、大型補正予算は公共投資拡大に対し昔の自民党政治復活や財政再建へのスタンスに疑いの目が向けられる可能性はある。しかし、これは目下の厳しい危機に対して手を打つため必要。即効性が求められる景気対策は、中長期的に経済、産業成長を実現していく成長戦略とは区別して考えることが大切だ。

●甘利氏の影響大、市場寄りの政策を期待

<岡三証券 日本株式戦略グループ長 石黒英之氏>

ポイントは経済再生担当相となった甘利氏だ。諮問会議の復活とともに経済関係を一手に引き受けるため、マーケットへの影響も大きい。甘利氏は「民主党のアンチビジネスを変えていく」と発言しており、株式市場に親和性の高い政策を採っていくことが期待される。また首相経験者である麻生氏を財務相兼金融相という重要ポストに就かせることで、安倍新首相も機動的に動くことができ、新政権に対する安心感につながるとみている。

新政権による政策期待を背景とした株高トレンドは来年3月にかけて続くだろう。日経平均が1万1000円を超える場面もあるのではないか。その後は政策出尽くしや日銀総裁人事などを経て、短期調整局面を迎える可能性はあるが、安倍首相に対する支持率が高いまま維持できれば、参院選での自民党勝利に対する期待感から株式市場は出直り色を強めるとみている。

●円売り要因、「悪い円安」に注意も

<IGマーケッツ証券 為替担当アナリスト 石川順一氏>

安倍内閣は今後も円安要因と受け止められる可能性が高いが、目先については投機筋主導で上がっただけに、いったん材料出尽くしとなり、ポジション調整で円の買い戻しが強まる可能性もある。ただ、基調としては円安が続くだろう。

経済政策の要となる経済再生担当相に、甘利明前政調会長が就任する。同氏は、政権公約のたたき台となった「日本経済再生プラン」の策定で中心的役割を担った人物だ。また、積極財政派で知られる麻生太郎元首相は財務相・金融担当相に就任することが決まった。両氏がともに日銀に「大胆な金融緩和」を強く求めていくことは必至だろう。政権発足直後からそうした発言が飛び出せば、海外メディアがこぞって反応し、海外勢がさらに円売り圧力を強める可能性がある。

いまは海外要因のリスクが後退しており、リスクオンによる円売りが発生しやすい。もちろん米「財政の崖」懸念も残っているが、米国のファンダメンタルズ自体は底堅いほか、欧州債務危機も小康状態にある。さらに中国リスクが後退していることを踏まえれば、ベースとしてはリスクオンによる円売りに傾きやすい。ここに、安倍内閣の要因が加われば、さらに円安のサポート要因になるだろう。

ただ、今後は「良い円安」と「悪い円安」の2つの可能性があることに注意する必要がある。「良い円安」とは、リスクオンを背景にした円安だ。これを達成するには金融政策だけでなく、GDPギャップの縮小、潜在成長率をいかに高めるかがポイントになってくる。

一方、「悪い円安」とは、いわゆる「日本売り」だ。政治リスクが意識されたり、潜在成長率を高めることなく、従来のばらまきに終始すれば、海外勢を中心に円売りが強まる可能性がある。

ドル/円の目先の上値については、テクニカル的には86円が一つの目安になるが、さらにその上となると、2009年4月6日につけた101.45円と昨年10月31日の75.31円の半値戻しとなる88.38円レベルまでいってもいおかしくない。とりわけ悪い円安になったときは、その到達が早まる可能性がある。

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http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BP02N20121226?sp=true

大規模補正でデフレ・円高脱却=甘利経済再生担当相
2012年 12月 26日 18:28 JST
[東京 26日 ロイター] 安倍晋三内閣で経済再生担当相に任命された甘利明氏は26日午後、首相官邸で記者団に対し、新政権下で大規模な補正予算を編成してデフレや円高から脱却する方針を掲げた。同時に成長戦略の工程表を策定する考えも示した。

甘利氏は記者団に対し「まず目先の障害物を取り除く。これはデフレ円高からの脱却。補正を大規模に、効果的なものにして、この障害物を取り除いていきたい」と表明。さらに「成長戦略を具体的なロードマップにして、政府がきちっとコミットする。民間がそこに投資をしていいと自信を持てる、その目標を見定めることができるような環境整備をしていく」と述べた。

甘利氏は安倍政権が「予算を使い、規制改革を行い、環境整備をしていく」方針だと説明。「そこに向かって、民間経済主体があらん限りの力を投じて道を開いていく。そういう道筋をしっかり示すことが大事だ」との考えを示した。

補正予算については「緊急経済対策を年明け早々にもまとめ、それを裏打ちする予算を作らねばと思っている。予算以外の規制緩和等々も合わせてやっていければと思っている」とした。

甘利氏は経済再生と社会保障・税一体改革、経済財政政策を兼任。「とにかく喫緊の課題は経済の再生。なかなか難しいから、ここまで再生がうまくいかなかったのだと思う。経験や英知のすべてを投入し、官僚機構をフル稼働し、全員が国家に対する使命感を持つような体制を作り、課題解決にまい進したい」と抱負を語った。

(ロイターニュース 基太村真司;編集 宮崎亜巳)

アングル:逆らえば飲み込まれるドル/円上昇の流れ
2012年 12月 26日 15:47 JST
[東京 26日 ロイター] きょう発足予定の安倍政権が掲げる、いわゆる「アベノミクス」への期待感を背景に円安基調が続いている。大胆な金融緩和期待から円売りが継続し、ドル/円は約1年8カ月ぶりに85円台に乗せるなど、流れに逆らえば飲み込まれる展開となっている。

ただ11月半ばから、ドルは既に6円上昇しており過熱感も台頭、対円限定で一本調子に進むドル高の調整を警戒する声も出ている。

<ドルコールの強い買い意欲>

円売りの原動力は日銀の金融緩和期待だ。26日の為替市場では、日銀議事要旨で日銀が今後も緩和姿勢を維持することが確認されたタイミングをとらえ、ドルが85円台に乗せた。一人の委員が超過準備への付利廃止により円の魅力を減ずることで為替に働きかける可能性を指摘したほか、複数の委員がコミットメントの文言変更を提起したことなどが、円売りのきっかけを与えた。この日は仲値公示にかけて本邦実需のドル不足が指摘されていたこともあり、「ドル買い安心感があったようだ」(外銀)だという。

オプション市場ではドル高/円売りの潮流がしばらく続くとの見方が台頭。「アベノミクス」を頼みにドル高/円安をけん引してきた海外ファンド勢の間では、85―90円のドルコールを買う動きが活発で、一部のファンドは100円で中期のドルコールを買っている。目先は85.50円にまとまった規模でオプション関連の売りがあるとされ、85.50円の壁を上抜けできれば上昇に弾みがつく可能性が大きい。米国「財政の崖」の協議の進展次第ではあるものの、来年1月下旬に予定される日銀政策決定会合まで、「アベノミクス」に対する期待感が持ちこたえるとの見方も出ている。

11月半ばから続くドル高/円安の中で、「レベル感から(ドルを)売ったトレーダーは全員踏み上げられてきている」(邦銀)とされ、これまでは流れに逆らうと飲み込まれる相場展開になっている。「ファンド勢のドルコールの買い意欲からみて、今回のドル高/円安はまだまだ続きそうだ」(別の外銀)という。

<年明けに様相一変との警戒も>

ただ短期的な過熱感も強くなっており、調整入りを警戒する声も出ている。「安倍政権への期待と『アベノミクス』の実現・実行のスピードとの間にギャップが生じれば、調整モードに入る可能性がある」と三井住友信託銀行、マーケット・ストラテジストの瀬良礼子氏は言う。

民主党の新代表に選出された海江田万里氏は25日夕の記者会見で、「アベノミクス」には2つの柱があると指摘。1つの柱である公共事業の大盤振る舞いは古い考え方だと批判。2つめの柱となる金融政策については、「日銀の独立性を損なうかたちが外に表われれば、中銀や円の信任にかかわる」と指摘したうえで、そうしたことは避けなければいけないと語った。

市場でも歓迎ムード一色というわけではなく、「安倍政権は為替相場を自由にコントロールできると思っているようだが、そのうち必ずしっぺ返しがくるだろう」(前出の運用会社)と警戒する声も少なくない。

またリスクオンの状況が続く中、ドルは全般的に下落しており、対円限定のドル上昇のいびつさも目立つ。

米国の「財政の崖」に関しては、楽観視していた市場の見方に反し協議は難航。オバマ大統領は、年明けに減税失効と自動的な歳出削減が重なる「財政の崖」をめぐる与野党協議がこう着したまま、クリスマス休暇のため前週末ワシントンを発ったが、議会との交渉のため早ければ26日夜にもワシントンに戻る可能性があるという。

「崖を緩やかにするか、低くするか、最終的に年内決着に持ち込めるかが焦点だが、決着が先延ばしされれば、海外市場はリスクオフに傾き、リスクオンのまま年末を迎えそうな東京市場との間に乖離が生じることになる」と三井住友信託銀行の瀬良氏は話す。

ドル/円は節目の85円乗せで、市場では「新規材料が乏しい中で、短期的にはドル買い/円売りの達成感が広がりそうだ」(ブラウン・ブラザーズ・ハリマン、シニア通貨ストラテジスト村田雅志氏)との見方も出てきた。「調整もないままに、これほど(ドルが)上昇すれば、それなりの調整が入るのが相場の常識だ。2005年のように年末まではドル高一辺倒で、年が明けたら突然調整に入るケースがあるかもしれない」(運用会社マネージャー)と警戒する声も聞かれている。

(ロイターニュース 森佳子 編集:伊賀大記)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE8BP02B20121226?rpc=188


高野やすのり
米「財政の崖」問題のチキンレースはいつまで
2012/12/26 (水) 18:12


アメリカの「財政の崖」問題のタイムリミットである年末までいよいよ1週間を切ってしまいました。

大方の見方では、年内にある程度のところで妥協して時限的な減税の延長策などでまとまると見られていましたが、タイムリミットが迫る中でも進展が見られていません。

一番の争点である富裕層向けの増税(減税措置の後退)では、オバマ大統領(民主党)は当初年収25万ドル以上の層への増税を主張していましたが、今は年収40万ドル以上と歩み寄っています。

一方共和党は、いまだに当初からの主張である全て層への減税策の継続を訴えています。

先週、共和党のベイナー下院議長は、年収100万ドル以上の超富裕層への増税を受け入れる「プランB」を提案し、共和党が多数を握る下院で民主党の反対を押し切って強行採決する方針を示しました。しかしこの「プランB」に対して、ベイナー議長は共和党内部の支持を得ることができず、採決を見送ることになりました。

このように民主、共和両党の立場は依然として大きな隔たりがあります。オバマ大統領としては、かなり譲歩したとの思いがあると思いますが、共和党には「いかなる減税措置の見直しも不可能」と考えている議員らがいると考えられ、こういった議員が態度を軟化させなければ、米経済が本当に「財政の崖」から転げ落ちる可能性が高まってしまいます。

米経済を崖から転落させる事は、民主共和両党のいずれにとっても利益になりません。それを考えれば何らかの妥協があるはずなのですが、お互いに相手が折れるの待ついわゆる「チキンレース(チキンゲーム)」となってしまっていることが心配です。

2012年の10大経済ニュース
2012/12/26 (水) 10:56


 本日は、私が選んだ今年の10大経済ニュースを発表します。

 ジャーン!

 第1位:日本の貿易収支が赤字に転落

 第2位:世界の中央銀行による国債買入れが進む

 第3位:ユーロ危機が続く

 第4位:為替の乱高下が起きる

 第5位:AIJ投資顧問事件の発覚

 第6位:シャープの経営危機

 第7位:増税法案成立

 第8位:LIBOR操作事件

 第9位:日韓通貨スワップの縮小

 第10位:マイナス金利の発生


 昨年は、確か解説はなしだったのですが、今年は簡単に解説したいと思います。

 先ず、第1位ですが、貿易収支の赤字転落。これは今年為替が乱高下したこと、就中、円安が起きたこととも関係します。今年の1月になって2011年の貿易収支が赤字に転落したことが判明し、そして、その後も貿易収支の赤字が続いていることを第一位に挙げました。

 このニュースを第1に挙げた理由は、これが日本経済の変遷を如実に表していると思うからなのです。もちろん、こうして貿易収支が赤字に転落した最大の原因は、ご承知のとおり、原発事故の影響で火力発電にシフトし、そのため天然ガスの輸入量を増大させていることにあるので、「貿易収支の赤字転落=日本の輸出力の低下」と考える必要もないのですが‥それにしても衝撃的な出来事なのです。

         輸出      輸入      貿易収支
2001年   48.9兆円   42.4兆円     6.5兆円
2002年   52.1兆円   42.2兆円     9.8兆円
2003年   54.5兆円   44.3兆円     10.1兆円
2004年   61.1兆円   49.2兆円     11.9兆円
2005年   65.6兆円   56.9兆円     8.7兆円
2006年   75.2兆円   67.3兆円     7.9兆円
2007年   83.9兆円   73.1兆円     10.7兆円
2008年   81.0兆円   78.9兆円     2.0兆円
2009年   54.1兆円   51.4兆円     2.6兆円
2010年   67.3兆円   60.7兆円     6.6兆円
2011年   65.5兆円   68.0兆円     -2.4兆円
(資料:貿易統計)

 では、今年に入ってから、貿易収支はどのように推移しているのか?


2012年1月  4兆5104億円 5兆9919億円  ‐1兆4814億円
2012年2月  5兆4384億円 5兆4130億円     254億円
2012年3月  6兆2037億円 6兆2908億円     -870億円
2012年4月  5兆5659億円 6兆0898億円    -5239億円
2012年5月  5兆2331億円 6兆1503億円    -9172億円
2012年6月  5兆6430億円 5兆5838億円     591億円
2012年7月  5兆3130億円 5兆8356億円    -5225億円
2012年8月  5兆0453億円 5兆8091億円    -7638億円
2012年9月  5兆3583億円 5兆9232億円    -5648億円
2012年10月 5兆1491億円 5兆7002億円    -5510億円
2012年11月 4兆9839億円 5兆9373億円    -9534億円


 11月の時点で、既に赤字は6兆円を超えています。ガーン!

 これでは円安に振れるのも当然ではないのでしょうか?

 但し、経常収支は、平均して毎月5千億円ほどの黒字を計上していますが‥

 なお、この貿易収支は、財務省の発表によるものであり、日銀が発表している国際収支のうちの貿易収支とは、集計方法が違うために数字が一致しないことに注意して下さい。


 第2位は、米連銀、日銀、そしてECBのいずれもが今年、長期国債の買入れ姿勢を強めたことです。

 もちろん、それら3つの中央銀行の長期国債購入の狙いは違う訳ですが、こうして3つがそのような行動に出たことは大変珍しい出来事だと思うのです。

 念のために、それぞれの目的を挙げて置きます。

米連銀:
 雇用の回復がなかなか進まないなかで、金融を一層緩和する必要があるから。具体的に言えば、そうすることによって長期金利を引き下げる効果があるから。これが表向きの理由ですが、実際にはドル安を期待する意味もあると思うのです。何故ならば、オバマ大統領は輸出振興によって雇用を回復させる考えでいるからです。

ECB:
 ECBは、本来であれば最もこのような政策には反対する筈なのですが、スペインやイタリアの国債の利回りが急騰するなかで、そうした措置によって、利回りの急騰を抑えることを期待した訳なのです。

日本銀行:
 一言で言えば、一層金融を緩和するため。さらに言えば、そうすることによって、インフレ率を引き上げるため。


 第3位は、ユーロ危機が続いたことです。特に7月頃、危機感が強まりました。私としては、夏の休みの間に何かが起きるのではないかと懸念していましたが、その予想は外れました。

 第4位は、ユーロ危機と関係がありますが、為替が乱高下したことです。特にユーロは対円で、この1年大変な安値を記録したかと思えば、こうして年末近くになってみれば、相当に価値を回復してきています。為替の予想はやはり難しいです。

為替の推移

      円/ドル相場   円/ユーロ相場
2012/1 76.30円     100.49円
2012/2   80.49円     108.65円
2012/3   82.17円     109.80円
2012/4   80.74円     107.24円
2012/5   78.81円      97.62円
2012/6   79.61円      98.74円
2012/7   78.28円      95.87円
2012/8   78.46円      98.34円
2012/9   77.58円     100.24円
2012/10  79.73円     103.29円
2012/11  82.63円     106.55円

(月末時点の数値、資料:日銀)

2012/12/25 84.8円      111.8円
 第5位は、AIJ投資顧問事件です。今はもう報道されることがありませんが、被害にあった年金基金は今どうしているのでしょう?

 第6位は、シャープの経営危機です。かつて薄型テレビであれほど勢いがあったのに、というのが素直な感想です。

 第7位は、増税法案の成立。

 何故増税法案が成立したのか? それは、3党が将来の借金の重荷を心配したからで、ここらで何か手を打っておかないと、と考えたからなのです。つまり、過去公共事業をやるために多額の借金をしたことなどが、こうして増税をする原因となっているのに、またこうやって政権が交代すると、公共事業を復活させようとしているのです。

 だとすれば、将来もっともっと増税が必要になることでしょう。或いは最後まで増税に反対すれば、何時かは酷いインフレになることでしょう。

 第8位は、LIBOR操作事件。これも衝撃的でしたね。そのようなものが偽装されることがあるだなんて。でも、仕組みについてよく考えて行くと、さもありなん、と。

 まあ、そうした事件が起きた結果、バンクオブインフランドの総裁も公募で選ばれることになったのです。しかも、その総裁の要件に、誠実である人だなんて挙げられる始末。

 第9位は、日韓通貨スワップの縮小。竹島と尖閣の問題が今年大変注目をされました。まあ、そうしたことがあったので、何故韓国に援助などするのか、と。

 第10位は、マイナス金利の発生です。でも、これは海外で起きた現象です。具体的には二つあり、一つはデンマークの中銀が自国通貨の価値をユーロに固定するために実施をし、そして、今1つは、スイスの民間銀行が決済性預金に関して金利をマイナスにする措置を取りました。一部特定の預金だけを対象にしたものとはいえ、預金金利をマイナスにしたことはサプライズでした。


 以上が、私が選んだ今年の10大経済ニュースです。


【コラム】「死刑宣告」に値するUBSは米国から出ていけ

  12月26日(ブルームバーグ):遠慮した言い方をしても始まらない。銀行業という職業に泥を塗る行為を何年も続けてきたスイスのグローバル銀行UBSは、廃業すべきだ。
UBSに米国での営業を認めてきた監督当局である連邦準備制度理事会(FRB)と証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)、通貨監督庁(OCC)は、同行が先週、譲れない一線を越えたことを認識する必要がある。
UBSは19日、東京のUBS証券を舞台にトレーダーやマネジャーがロンドン銀行間取引金利(LIBOR)を6年間にわたって不正操作したことを認め、米、英、スイスの関係当局に15億ドル(約1275億円)を支払う行政処分に同意したと発表した。このうち、CFTCへの7億ドルの支払いはCFTC史上、過去最高額だ。
LIBORは、数兆ドルもの融資の金利決定に日常的に用いられる指標金利だ。LIBORの不正操作で制裁金の支払いに同意したのは、これまでのところ英銀バークレイズとUBSの2行だけだが、他のグローバルバンクも処分対象になることが予想される。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によれば、政府支援機関(GSE)であるファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社) も不正操作の結果、合計30億ドル余りの損失を被った可能性が指摘されている。
UBSの元トレーダー、トム・ヘイズ、ロジャー・ダリン両被告は19日、LIBOR操作の「共謀罪」で米司法省から訴追請求された。ホルダー司法長官は「彼らは銀行の取引相手から数百万ドルをだまし取った。利益を拡大し、ボーナスを増やすことが主な目的だった」と指摘した。
思い切りもうけたな
米検察当局の文書で示されている通り、UBSの行員がどこまで身を落としていたかを知るには、通信記録を見れば済む。あるブローカーは、UBSのデリバティブ(金融派生商品)トレーダーに対し、「このLIBORゲームで思い切りもうけたな、相棒」とささやいていた。
UBSは金融危機で約500億ドルの評価損を計上したことについて、「当時の経営幹部の指導の下で誤った方向に大きくかじを切った。その結果、計り知れない信頼の喪失を招いた」と76ページに及ぶ報告書で総括していた。
しかし、UBSと不品行という2つの言葉は、今や再びほぼ同義語となっている。UBSは2009年2月、米国人顧客による脱税をほう助したことを認め、顧客情報を提供し、7億8000万ドルを支払うことで米司法当局と和解。元トレーダーがポジションのリスクを隠し、23億ドル余りのトレーディング損失発生に関与したアドボリ事件では、英金融サービス機構(FSA)から約4700万ドルの制裁金を科され、ロンドンのトレーダーを信頼し過ぎる監督の甘さを指摘された。UBSは内部の統制が少なからず失われているように見える。
好きなだけ払う
米司法当局に訴追請求されたヘイズ被告は08年9月18日、円建てLIBOR6カ月物の数字をその日変えないでくれとあるブローカーに電話で頼み、「5万ドル、いや10万ドル、好きなだけ払う。私は約束を守る男だ」と述べたという。
ヘイズ被告をめぐっては、ブルームバーグ・ターミナルのチャットで、申告する円建てLIBORの金利を知らせるようダリン被告に迫ったことも分かっている。ヘイズ被告は、円建てLIBOR3カ月物を低めに申告してほしいという要請を繰り返し、ダリン被告は「公正な」0.69%という数字よりも2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低めの数字を最終的に申告したという。
CFTC法規執行局のデービッド・マイスター局長は「大手銀行がずうずうしくも世界で最も重要な金融指標の一部を操作するのであれば、CFTCは全力で対処する」と強調した。世界的なLIBOR不正操作スキャンダルの根絶に動くCFTCは称賛されるだろう。
しかし米国の賢明な監督当局は、UBSにもっと断固としたメッセージを送るべきだ。UBSにはこう言うのがふさわしい。この銀行の米国での営業は終わりだ。われわれはコネティカット州スタムフォードとマンハッタンのオフィスに鍵を掛ける。荷物をまとめて今すぐ出ていけ。(ウィリアム・コーハン氏)
(「Money and Power : How Goldman Sachs Came to Rule the World:仮題=カネと権力:ゴールドマンはいかにして世界の支配者になったか」の著者であるウィリアム・コーハン氏は、ブルームバーグ・ビューのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です)
原題:UBS Libor Manipulation Merits a Death Penalty: William D.Cohan(抜粋)
記事に関するコラムニストへの問い合わせ先:William D. Cohan at wdcohan@yahoo.com.
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Toby Harshaw tharshaw@bloomberg.net
更新日時: 2012/12/26 15:17 JST


06. 2012年12月27日 18:53:00 : WaxXbB3YAI
インタビュー:日銀は無制限緩和を、物価目標2─3%が適切=浜田宏一教授
2012年 12月 27日 17:0

政局の行方
補正予算は早期に国会提出、来年度予算は1月中に原案取りまとめ=財務相
安倍首相が年明け早々の緊急経済対策策定を指示、国債増発も明言
真紀子氏「老婆の休日」楽しみに
大阪府議会、法定協設置案を可決
[東京 27日 ロイター] 安倍新政権で内閣官房参与に就任した米エール大の浜田宏一名誉教授は27日、ロイターとのインタビューに応じ、日銀の金融政策運営について、買い入れる資産の総額をあらかじめ設定せず無制限にすべきだと指摘、物価上昇率目標の達成に向け、より残存期間の長い国債や株式などリスク性資産の購入拡大が必要との認識を示した。外債購入も一案に挙げた。

目指す物価上昇率は諸外国並みの2─3%が適切と述べ、政府による目標設定や、それに伴う説明責任を明確化するため、日銀法の改正は「当然だ」と語った。

インタビューは電話で実施した。概要は以下の通り。

──日銀は12月の金融政策決定会合で10兆円の追加緩和を決定し、「物価安定の目途」も見直す方向だ。

「努力はしているが、Too Little Too Lateというペースは変わってない」

「(物価安定の目途で示している)1%のインフレ率は、他の国が2%という中で、1%ずつ円高が進む政策。景気振興策としても非常に弱い。デフレだったから目指す物価上昇率が低くていい、という考えはまったく逆で、現在のようにデフレ予想が定着している中では、むしろショックを与えないといけない。(物価目標は)2%ないし3%がふさわしい」

──2%の物価目標を達成するために有効と思われる緩和策は。

「国債を買う場合は、なるべく長期のものを買うべきだ。国債だけではなく、CP(コマーシャルペーパー)や株式、REIT(不動産投資信託)などを拡大していけば、国民経済に影響を与える。外国の通貨や債券を買うのもその一部だと思う」

──安倍首相は先の衆院選において無制限緩和も主張していた。

「(金融緩和に)制限はつけない方がいい。円や物価が反応している限り、どんどん買い進めるべきだ。どれだけ必ず買うなどというのは固定的な政策だ」

「通貨で言えば(ドル/円で)95円、100円に近くなれば金融政策が効果的ということになる。ただ、固定相場制のように為替レートを目標にするのはよくない」

──自民党は日銀法の改正も視野に入れている。

「中央銀行の独立性とは、政策手段を自由に選べるという意味。物価上昇率という国民経済全体に影響を与えるような政策目標まで決めることを意味しているわけではない。その意味で日銀法を改正するのは当然だ。目標を政府が決め、達成できない場合の説明責任を設けるべきだと思う」

──高い物価目標の設定と大胆な金融緩和によって長期金利が上昇する懸念はないか。

「金融を拡張すれば名目金利は上がるが、インフレ率あるいは期待も上がり、実質金利は下がる。投資や消費に響くことを考えれば、金融拡張が金利を通じて景気に悪影響を及ぼすことは理論的にほぼあり得ない。株価も上昇するので信用も改善する」

──物価が上昇しても、雇用・所得環境が改善しなければ、景気には悪影響ではないか。

「今のデフレ状況の中では、デフレ率が変わらなくても過剰設備・失業率が増えていくという関係がある。過剰設備が少なくなり、完全雇用に近づいた時に初めて物価(上昇)の(経済に与える)心配が出てくる。何もやってないのに、金融を拡大すると困ったことになるぞと言うのは、ゴルフ場でグリーンに向かってボールを打つのはいいが、グリーンの向こうには崖があると言って、ありもしない崖をしきりに叫ぶ日銀の常とう手段。それは間違いだ」

「米国のインフレ率は2%程度だが、今も大胆な金融緩和を続けている。これに対して共和党は、さらに金融を緩和しても雇用には効かず、物価に響くと心配しているが、これは2%という物価上昇率の中での議論。日本はどこよりも低い物価上昇率なので、(大胆な金融緩和は)経済にプラスの影響だけで、インフレによるマイナスの影響を心配する必要はない」

──安倍政権は大型の2012年度補正予算の編成も打ち出している。

「金融緩和をするので財政も、というのは違う。日本の財政は危機的ではないが、深刻な状態だ。金融緩和で増えた税収は、財政再建に使うべき。税収が上がるので大盤振る舞いすると、せっかくの金融緩和の財政への好影響がなくなってしまう。財政再建のために消費税を増税すれば、パイがしぼむ。景気が回復してから、税率を最小限度だけ上げるのが望ましい」

「防災・減災や震災復興など本当に必要なことを遅れずにやっていくことは極めて重要。ただ、国土をすべて強靭(きょうじん)化することはできない。財政による景気振興政策はむしろ考えない方が、日本経済の健全な発展に重要だと思う」

(ロイターニュース 伊藤純夫 金子かおり:編集 石田仁志)

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07. 2012年12月27日 19:47:20 : WaxXbB3YAI
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[東京 27日 ロイター] みんなの党は27日、日銀法改正案を国会に提出した。同法案は、金融政策の目的(通貨および金融調節の理念)に「雇用の安定を図りつつ」という文言を入れるほか、政府が物価目標を定め、その目標に向け日銀が果たすべき機能・責務を定める協定を政府と日銀で締結するとしている。目標が達成できない場合、日銀総裁や副総裁を解任することが可能となるが、衆参両院の同意が必要となる。

また当分の間、国債、社債、外債その他の資産買い入れを行う基金を設けるとしている。

渡辺喜美代表は26日の会見で「デフレ脱却のための大胆な金融緩和には首相官邸と日銀が目標を共有することが大事だ。たとえば2年以内に2%以上の物価上昇率を目指すといった目標が達成できないなら、(日銀が)きちんと責任を取ることが大事であり、法改正は避けて通れない」と発言している。


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