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2012/12/21 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
独立性もヘチマもない
日銀が安倍“政権”に早くも完全白旗だ。ロコツなインフレ政策を迫る安倍に対し、きのう(20日)の金融政策決定会合で、10兆円の追加金融緩和を全員一致で決めたうえ、安倍が掲げる2%の物価についても事実上、導入を決めたのだ。つまり、“アベノミクス”の丸のみ。中央銀行の独立性とか何とか言っていたが、かつての御殿女中に逆戻りだ。
◆追加金融緩和もインフレ目標も丸のみ
日銀は当面の物価安定の「めど」として1%の上昇率を目指してきた。これに対して安倍は「めどはあいまい」と批判。2%の物価上昇を「目標にさせる」と公言してきた。ロコツな政治介入に、日銀の白川総裁も最初は抵抗。先月の決定会合後には「中央銀行の独立性を尊重してほしい」と言っていたものだ。2%のインフレ目標についても「国民が望むのは単に物価が上昇する状態ではない」と反論した。ところが、自民党が大勝すると、自ら安倍のところにアイサツに出向き、きのうの決定会合ではあっさり屈したわけである。独立性もへったくれもない。
「衆院選前までは、〈安倍ごときに好き勝手言わせて何事だ〉とカンカンの日銀OBもいて、だから白川総裁も抵抗を続けていました。ところが、自公で3分の2を取ってしまった。政府の関与を強める日銀法改正も現実になった。それで一気に日銀内では〈もうゼロ回答は許されない〉という空気が流れたのです。法改正で総裁以下の人事にまで口を挟まれることを恐れ、とりあえず恭順の意を示すことにした。いかにも官僚的な組織防衛です」(日銀事情通)
この裏には、来年4月の総裁人事も絡む。日銀総裁は国会同意人事で、衆参それぞれの承認が必要だ。参院の自公は102議席で過半数には16議席足りないが、甘かった。参院を見回せば、金融緩和で足並みをそろえる政党がズラリだ。日銀はこれにビビったらしい。
◆次期総裁は岩田一政氏で決まり?
「日銀法改正に前向きなみんなの党(11議席)、日本維新の会(3議席)と国民新党(3議席)を合わせれば過半数に達するのです。白川総裁がいくら抵抗したところで、安倍さんの思惑通り、積極緩和論者が新総裁になるのでしょう。日本経済研究センター理事長の岩田一政氏が最有力候補とみられていて、白川総裁も諦めた。せめて、副総裁はこっちで決めさせてくれ、ということでしょう」(霞が関関係者)
完全に外堀を埋められた白川総裁は、きのうの会見で「柔軟に金融政策を運営する枠組みであるという理解が深まれば、めどか目標か、という議論は意味がなくなる」とゴニョゴニョ言い訳していた。
インフレ目標については「来年1月の次回会合で結論を出す」とゴマカしたが、時間稼ぎに過ぎない。
「まったく情けないですね。そもそも安倍政権はまだ発足していない。“非公式な打診”だけで右往左往する日銀は、自ら独立性を放棄しているとしか言いようがない。国民のために金融政策を立てる中央銀行の責務を果たしているとは、とても思えません。あまりにも事なかれ主義、国民をバカにしています」(同志社大教授・浜矩子氏=国際経済学)
庶民はハイパーインフレを覚悟して、生活防衛を始めた方がいい。
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