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デフレ下の公共投資の惨状
これだけ自民党が勝つと、次なる政党に 政策を託すより、自民党の政策を変換させる方向に舵を取る方がいいと思う。
それ故、ふたたび同じことを何度も書くことになるがお付き合いいただきたい。自民党が性懲りもなく同じことを繰り返すため、同じことを何度も書かねばならないだけだ。
デフレ下の公共投資は、不毛に経済活動を拡大させ、借金と不良在庫を増やすばかりで、国富や民間の付加価値を減少させる。これがデフレ下の公共投資の結論です。もう何度も言ってきたことだが。
このことは理論的にも、実際にも実証されています。
特にその実証は、日本が行ったこの20年にも及ぶ公共投資の政策が証明しています。
バブル崩壊後20年経ち、日本の名目GDPは1990年より以下に下がりました。国富が少なくなったのです。お金が無くなり貧乏になりました。国に膨大な借金をこしらえました。この事実をしっかりと認識してください。
この間政府は何をしていたでしょうか。
大規模な予算を計上し、上げ潮戦略や、成長戦略などよい響きのタイトルを付け、どんどん資金を投下していた。
その結果が今の惨状なのです。
これには、低金利、過剰金融緩和、補助金による生産刺激策、大規模な公共投資など主に3つの主要な政策により、貧乏な大借金国になったのです。
その主要なひとつである大規模な公共投資はなぜ景気を回復させず、借金ばかり積み上げるのだろうか。
一言で言えば、デフレ市場が縮小再生産の循環にあるからです。このような時、公共投資をして経済を拡大させても、経済循環がマイナスになっているため、経済の拡大がより大きな借金を形成する事になるのです。
デフレ市場が縮小循環になるのは限界借金率が存在しているからです。限界貯蓄がないのです。正常な経済であれば本来あるはずの限界貯蓄が、デフレ下では存在せず、逆の限界借金が存在しています。反乗数といえるかも知れません。
それは、デフレ下である一定の経済活動が行われると、それに対してある比率の借金が形成されるというものです。この借金が不良在庫であったり、付加価値の減少分です。
正常な経済では、
限界生産量すなわち生産量がわずかに増えた時、限界貯蓄すなわちわずかな貯蓄が増えることになります。これが拡大再生産の正体です。
それ故、生産量が数倍伸びた場合、その貯蓄率に応じて貯蓄すなわち付加価値が生じることになります。それがケインズ経済学で言うところの乗数効果です。
ところがケインズ経済学は、デフレやインフレなどの資金の量が著しく減少したり、増えたりした市場を扱っていません。それがケインズ経済学が全くデフレに通用しない原因なのです。
デフレの場合は、乗数がなく、限界借金率があるため、生産量が数倍伸びると、その借金率に応じて借金が数倍になります。
公共投資による経済の活性化、拡大化が、借金の増大をより活発にする結果に終わるのです。
大規模な予算を公共投資に投下するほど借金が大きくなるのです。
実質GDPの成長がなんら付加価値の増大に貢献せず、不毛な単なる骨折り損になるのです。デフレの進捗度が激しくなると、実質GDPの成長率の伸びに反して、名目GDPの成長率が鈍化し、その差が大きくなる傾向がある。
その差の大きさがデフレの深刻度を表している。生産量の増大に対してどれだけの割合で借金が増えるかを示すものである。
公共投資は、貯蓄が存在し、乗数効果のある場合にだけ、付加価値を増やしその公共投資に費やした借金分を返すことができるが、
乗数効果がほとんど無い場合は、付加価値が増えず公共投資分の借金を返すことができない。
このことは、ケインズ経済学を普通に勉強しその理論を使っている者に取ってわかりきったことだろう。乗数効果のない公共投資など、借金増大策に過ぎないのだ。
ケインズは赤字であっても公共投資をした方が良いと言ったが、それは、乗数効果が見込まれる場合だけだ。ない時は借金だけが残る。
公共投資を推奨する者は、1990年より前の時代と現在の経済の基礎的条件の違いをはっきりと認識すべきであろう。
また逆に借金の方が多いマイナスの乗数が存在する場合は、マイナスの付加価値という借金を作り、公共投資分の借金と合わせて2重の借金を形成することになる。
これがデフレ下の公共投資の理論的帰結である。
そこで200兆円の日本強靭化戦略は、言葉の響きとは逆に全く不毛の成長戦略であることが分かるであろう。今まで自民党がやって来た、上げ潮政策などと同様失敗するのが目に見える政策である。
200兆円の公共投資の借金をして、さらに民間に200兆円の借金をこしらえ、計400兆円の借金をこれから作ろうとするのである。日本の現在の名目GDPは500兆円を切っている。
まさに日本狂人化戦略といえよう。日本を根本から破壊しようとしているのである。
経済政策は正しいものでなくてはならない。一般大衆受けするものではいけない。しっかりとした整合性のある物でなければならない。
デフレ下では、低金利や金融緩和によるインフレ政策は、無意味であり、公共投資も借金倍増戦略に過ぎない。笑い話である。自民党の政治家や、財務省の役人はもう少し経済的素養を身につけるべきだろう。しかしもう遅すぎるかもしれない。
理論を信ずる者は、消費者側に公共投資をするだろう。なぜなら、限界借金率が存在するデフレ下では、消費を直接増やす方が反乗数効果が顕著に表れるからである。
私が何度も何度も、ガソリン税の減税や、高速道路の3割負担、雇用保険料の満額負担、年金のスライド制の撤廃などいうのは、すべてこの逆乗数効果を見込んでいるからである。これによりデフレは簡単に直るのである。
自民党政権が、再び日本をぬか喜びさせるだけの政策を取ることは、2千5年にデフレインフレの一般理論を書いてからこの7年間の活動が無意味であったことがわかる。
この7年間は、主に阿修羅に投稿して来たが、あまり効果がなかった。
しかし来年2つの講演依頼が来ている。初めての講演だが一つの成果かもしれない。これからは講演も一つの武器にして、なんとか日本をデフレ解消に導きたいと思う。
一言主
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siwaseninarou/
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