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日本では12月16日に衆院選挙、韓国では19日に大統領選挙の投票が行われる。そんな日韓の政治の季節が一段落すれば、今度は両国の通貨攻防が焦点になってくる。安倍晋三自民党総裁が日銀の大胆な政策転換により、超円高是正の必要性を強調し、市場は早くも反応して実際に円安方向に振れている。「安倍政権」が誕生すれば、このまま円高是正の地合いが定着しそうな情勢だ。李明博(イ・ミョンバク)政権は通貨ウォン安で企業の輸出競争力を高め、ライバルの日本を窮地に追い込んできた。韓国の新政権は円安に対抗して再びウォン安のアクセルを踏みたくなるだろうが、今度はどうやら容易ではなさそうだ。
■通貨危機で財閥が破綻
通貨というのは、ときにはその国の経済の追い風となるが、一歩間違えると逆風どころか暴風となって経済を根こそぎ破壊してしまう。韓国の要人たちにとっていまだに悪夢となって脳裏にこびりついているのは、1997〜98年のアジア通貨危機である。95年4月には一時的に1ドル=79円台まで上昇した円相場は夏には反転し、一挙に円安局面に入った。当時、韓国には外資が盛んに流入し、ウォン高になってきた。ところが、円安で競争力を回復してきた日本企業との競争で韓国側は劣勢に立ち、財閥系企業の収益力低下に伴って株価が下落を続け、外国の投資家には迷いが生じていた。
そんなところ、97年夏のタイを皮切りに東南アジアで通貨危機が勃発した。自国通貨をドルに対して固定して外資の流入を促すビジネス・モデルで成果を挙げていたが、安くなった円とのバランスが崩れ、通貨相場水準が高過ぎる状態だった。そこでヘッジファンドは各国通貨の投機売りを仕掛け、暴落に追い込んだ。韓国もウォンが過大評価されていた点でタイなどと共通する。通貨危機はまもなく韓国に波及し、投機筋によって売り浴びせられたウォンは暴落、外資は一挙に逃げ出した。サムスンなど一部を除いて大手の韓国財閥は経営破綻した。韓国政府は国際通貨基金(IMF)の勧告を受け入れて厳しい緊縮策を強いられた。
■ウォン相場に不安要因
ここでグラフを見よう。円に対するウォン相場と、韓国の対外債務の国内総生産(GDP)比率の推移を追っている。比率は韓国経済の対外依存度を表し、最近では35%以上の水準で、100%を超えるユーロ圏の問題国に比べると極めて健全のようだ。
だが、現在の局面をアジア通貨危機当時と比べてみると、韓国の対外債務水準は通貨危機前に匹敵する。違うのは債務のうち、逃げ足の速い短期債務の比率が下がり、国債を中心とする中長期債務が増えている点である。財政収支の安定が海外の投資家に評価されているのだろう。
不安要因はウォン相場にある。まず韓国の輸出はGDPの5割以上を占める輸出偏重型(日本はGDP比15%)である。株価はウォンの対円安で上がり、対円高で下がる。つまり、ウォンが高くなればサムスンなど韓国の主要企業の競争力や収益力は弱まり、株価は低迷する。円安・ウォン高が定着すると、外国の投資家は韓国から資本を引き揚げる恐れがある。
昨年秋には、ユーロ危機のあおりで韓国から短期資金が大量に流出した。そこで韓国は日本に要請して、通貨交換(スワップ)枠をそれまでの130億ドルから700億ドルへの枠拡大で合意した。韓国にとって通貨スワップとは、国際金融市場で交換性に乏しいウォンを刷るだけで国際通貨である円やドルと交換できる「おいしい」話である。この規模は韓国の短期債務の半額以上に相当するので、アジア通貨危機時のような巨額の資本流出が起きてもウォンを防衛できる。
■日韓差縮めるチャンス
ところが、この夏には李明博大統領が島根県竹島に上陸し、日韓関係が一挙に険悪化した。野田佳彦政権は当初、スワップ拡大枠をことし10月の期限後も延長するつもりだったが、国内の強い反発を受けてとりやめた。
そして、安倍晋三氏の発言をきっかけに超円高の流れが止まった。韓国のほうは、米国を中心とする世界的な金融緩和を背景に、大量の余剰資金が入るようになり、ドルに対するウォン高が徐々に進み、この半年間で約9%高くなった。円は「安倍相場」で少し安くなったが、この程度では日本の対韓競争力向上にはつながらない。円に対するウォン相場は依然としてリーマン前に比べて5割も安くなったままだ。
韓国は下手にウォン安政策を再開するわけにはいかない。為替市場への介入によるウォン売りには米欧も批判的で限度がある。残るは政策金利の引き下げだが、短期資本の流出を促す恐れがある。その点、日韓スワップ拡大の打ち切りは痛いはずだ。
日本としては図らずも、日韓の差を縮めるチャンスが到来したが、堂々と国内経済再生のための脱デフレ・超円高是正と取り組めばよい。 (田村秀男)
◆安倍総裁ブレーン・浜田氏:日銀新総裁は数カ月以内のデフレ脱却可能 http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MEJ7MB6JTSFI01.html
12月5日(ブルームバーグ):自民党の安倍晋三総裁のブレーンの1人である米エール大学名誉教授の浜田宏一氏(76)は4日、ブルームバーグ・ニュースの電話インタビューで、来年4月に任期満了を迎える日本銀行の白川方明総裁の後任が今以上の金融緩和を行えば、数カ月以内でデフレ脱却を実現できるとの見方を示した。
浜田氏は日銀が2、3%のインフレ目標を設定すべきだとし、目標達成まで金融緩和の手綱を緩めるべきではないと主張。さらに、16日の衆院選で自民党が勝利し、より金融緩和に積極的な人物が日銀総裁に選ばれた場合、同目標の達成は困難ではないと述べた。浜田氏は白川総裁の実績について、デフレ脱却を実現できなかったとして「A〜C」の評価で最低の「C」とした。
白川総裁は来年4月8日に、山口広秀、西村清彦両副総裁は3月19日にそれぞれ任期満了に伴い退任する。
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