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http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ME9FTW6JTSF401.html
12月3日(ブルームバーグ):ジェフリー・ガンドラック氏は10月半ばロサンゼルスのシティークラブで、約200人のファイナンシャルアドバイザーや投資家を前に熱弁を振るった。テーマは地平線の彼方に見え隠れする金融大惨事の次の1幕だ。
米ダブルライン・キャピタルの共同創業者で最高経営責任者(CEO)の同氏によれば、惨事の第1幕は企業と家計、国家の債務が膨らみ続けた27年間だった。これは2008年まで続いた。その時点で、無制限な貸し付けが遂に銀行をつぶし、世界経済をリセッション(景気後退)に陥れ、各国政府と中央銀行は景気刺激のために何兆ドルをも費やさなければならなかった。これが第2幕だ。ブルームバーグ・マーケッツ誌1月号が報じた。
恐ろしい第3幕として、ガンドラック氏はまた危機がやってくると予想する。巨額債務を抱えた国や企業が2013年以降のある時点でデフォルト(債務不履行)に陥るというのだ。同氏は具体的な国名や企業名は挙げなかった。中銀はこれを防ごうと、さらに流動性を経済に供給せざるを得なくなり、その後のインフレ高進のリスクが生じるという。
★第3幕がいつ始まるかはガンドラック氏(53)にも分からない。しかし同氏は、それに向けて徐々に備えていく必要があると聴衆に説いた。ダブルラインの投資責任者でもあるガンドラック氏は「あらかじめ危険信号が出されるとは思われない。行動を開始するのは今だ」と警告した。
同氏が勧めるのはまず、実物資産の購入だ。宝石や美術品、商業用不動産などが望ましい上位を占める。また、ダブルラインは中国 企業と米国の天然ガス会社 、産金会社 の株を買っているという。これらは割安だからだと同氏は説明した。
■ビル・グロース氏を上回る成績
サブプライム住宅ローン危機を正しく予想したガンドラック氏の予言者としての力は折り紙付き。運用成績もこれを証明してくれる。ブルームバーグのデータによれば、同氏が以前に在籍したTCWグループで運用していたトータル・リターン債券ファンド の09年11月まで10年間の成績は年平均プラス7.9%だった。ダブルラインの旗艦ファンド、ダブルライン・トータル・リターン債券ファンド は2010年4月の運用開始から今年11月28日までの間、年平均プラス13.2%の成績を挙げ、著名運用者のビル・グロース氏を上回った。
高インフレ時代到来の予想が当たれば、ガンドラック氏のファンドも他の債券投資と同様に打撃を受ける。同氏は第3幕が上がるのを確信しているので、2013年初めに株式ファンドとロング・ショート戦略のヘッジファンドを始めようと計画している。顧客にインフレから身を守る追加の手段を提供する考えだ。割安な資産しか買わない主義の同氏は投げ売りされた証券を買うために現金も手元に置いている。トータル・リターン・ファンドの資産の17%は現金だ。78%は米政府の保証付き・保証なし両方の住宅ローン担保証券(MBS)に投資している。
■「大爆発を待っている」
同氏に言わせれば、今もうけられる金額は危機第3幕でもうけられる額に比べればスズメの涙だ。「何かがドーンと大爆発するのを待っている」と同氏はロサンゼルスでの講演の1週間前に自社オフィスで語った。
★「第3幕が開くのが2年後だとしても、待つだけの価値がある。今の市場には大した収益機会がない」と話した。
★ ガンドラック氏は大胆な発言でも知られる。今年4月にはニューヨークでの会議でブルームバーグ・ニュースのリポーターに、自分なら99年の歴史を持つ連邦準備制度を廃止すると発言。
三菱東京UFJ銀行のチーフ金融エコノミスト、クリス・ラプキー氏はこれについて、「ずいぶんと極端な見方だ」と首をかしげ、「1900年代の初めから進化してきた制度を全部変えて、一から始めようというのはばかげている」と一蹴した。
ガンドラック氏にはキャリアが脅かされても自分の考えを貫く傾向がある。エール大学の理論数学の博士課程では博士論文のテーマ
★(無限大が存在しないことを証明する)が学部の主流から外れるという理由で却下されたために、中退した。その後ロサンゼルスに移り2つのロックバンドにドラマーとして所属。そして1985年にTCWのクオンツアナリストという職にたどり着いた。
■けんか好きな性格
同氏はすぐにMBSファンドの花形運用者となったが、09年にはTCWの主導権をめぐる内部抗争に敗れ、解雇された。・・(略)ガンドラック氏とTCWは和解したが、同氏の好戦的な性格は変わらない。
・・(略) 07年にモーニングスター主催の会議で投資家に、サブプライム市場は「完璧に純然たる破滅」の状態にあると警告。その約1年後には、ディストレスト債となり大半の投資家から忌避されていたMBSを大量に買い始めた。これが奏功しTCWのトータル・リターン債券ファンドは09年の年初から同氏が解雇された12月4日までの間にプラス21.7%の好成績を挙げた。
■警告先は日本
今、世界的な金融大混乱と銀行救済、欧州の債務危機、中国の減速、米国の回復足踏みを経て、次の一連の悪いニュースがやってくるとガンドラック氏は予想。同氏は第3幕と称するこの事態に備えている。同氏は13年にどこかの国がデフォルトに陥るとは考えていないものの、政府がどんどん積極的な資産購入へと追い込まれ自国通貨が下落しかねない国として、日本を例に挙げる。
日本経済は7−9月期に3.5%(前期比年率)のマイナス成長となった。4−9月の貿易収支は3兆2200億円と半期として過去最大の赤字。日本銀行は10月30日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ等基金における資産購入を「66兆円」に拡大することを決定した。ガンドラック氏は「日本は政策手段が尽きようとしている」と言う。
欧州中央銀行(ECB)が2010年から3554億ドル相当を経済に注入している欧州について、ガンドラック氏は市場を揺るがす幾つかのイベントが起こり得るとみている。フィンランドのユーロ圏離脱やスペインでまた銀行がデフォルト寸前まで行く事件などがそれに含まれる。
■流動性頼み
ダブルラインで新興市場債ファンドを運用するルツ・パディラ氏は「資産価格が上がっている唯一の理由はシステムに溢れる流動性だ」と指摘する。
大統領選挙を終え財政の崖が目前に迫る今の米国で、ガンドラック氏が見るのは消費者ローンと政府の刺激策、連邦準備制度の力だけに頼った弱々しい成長だ。同氏は米金融当局が国債購入を拡大させればインフレ率が2ポイント跳ね上がるとみている。バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で当局は、08年以来2回の量的緩和(QE)で2兆3000億ドル相当の証券を購入している。
ブルームバーグのエコノミスト調査によれば、当局は第3弾のQE3を2013年末まで延長し、購入総額は1兆ドルを突破する可能性がある。
「圧力鍋の中で圧力はどんどん高められていく。そして爆発する時、鍋のふたは空高く吹き飛ばされるだろう。それが第3幕の幕開けだ」と同氏は述べた。
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