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若者の失業長期化 「1年以上」20年で7倍、年金制度維持に影
http://www.asyura2.com/12/hasan78/msg/686.html
投稿者 あっしら 日時 2012 年 11 月 29 日 16:29:01: Mo7ApAlflbQ6s
 


若者の失業長期化
「1年以上」20年で7倍、年金制度維持に影

 失業期間が1年以上に及ぶ長期失業者の低年齢化が進んでいる。25〜34歳の長期失業者数は2011年時点で28万人となり、20年前の7倍、01年と比べても3割増えた。学卒時に就職氷河期を迎えた人が定職に就けない傾向が目立つ。失業率の一時的な持ち直しも、働く意欲を失った若者の広がりが一因だ。若者の失業の定着は年金制度の維持などに影を落とす。

 若者の雇用拡大や年金の不信解消は12月の衆院選で重要な争点となる。まずは生活に必要な資金を手当てしながら職業訓練をする制度の充実が求められる見通しだ。本格的な仕事に就く前に、軽作業の場を設ける「中間的就労」で経験を積む仕組みを促す声もある。

 総務省がまとめた7〜9月の労働力調査(詳細集計)で25〜34歳の長期失業者は28万人となり、11年と同じ水準だった。今年4〜6月にいったん23万人まで減ったものの増加基調に転じた。7〜9月の長期失業者全体に占める割合は27%強で過去最高水準となった。

 正規・非正規を問わず1年以上、職業に就いていない長期失業者は10年に100万人を超え、11年には117万人に増えた。かつて多かった55〜64歳の長期失業の割合は1991年の27%から11年に21%まで低下。代わって25〜34歳の割合が最大となった。35〜54歳の長期失業者も加えると全体の6割を占める。

 バブル崩壊後の90年代前半から00年代半ばに企業は採用を絞り、08年の金融危機(リーマン・ショック)が就職難に拍車をかけた。この間は現在の25〜34歳が就職活動をしていた時期と重なる。若者の自立を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「育て上げ」ネット理事長の工藤啓氏は「若者は就職で失敗を続けると動かなくなる。日本の若者の失業期間は長い」と分析する。

 最近1カ月に求職活動をしなかった人の割合は失業者全体の平均23%に対して、長期失業者は38%に高まるという10年のデータもある。首都大学東京の村田啓子教授は「若いうちに失業期間が長くなると、再就職がしにくくなる」と指摘する。

 長期の失業は生活保護につながりやすい。保護を受ける世帯数は増加傾向にあるが、中でも若者が分類される「その他世帯」は01年度の6万2千世帯から今年8月に28万5千世帯まで増えた。

 若者の就職難が長引くと、月々の給料から保険料を納められず、将来の低年金や無年金の恐れが強まる。90年代前半に15%程度だった国民年金保険料の未納率は、11年度に41%と過去最高だった。中高年層が経済的に自立できなければ、生活保護費の膨張で国民負担が増す循環も予想される。

 慶応義塾大学の太田聰一教授は「年金も医療も現在のシステムは、若い人がきちんと働いて保険料を納めることで成り立っている。そこが弱体化すると、社会保障財政の面からみても望ましくない」と語る。

[日経新聞11月26日夕刊P.1]
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「非正規」の低年金、深刻に

高山憲之 年金シニアプラン総合研究機構 白石浩介 三菱総合研究所

国は正規転職、支援を 職業訓練は雇用の現場で

<ポイント>
○初職が非正規の女性の多くは正規異動なし
○公的機関の職業訓練は正規雇用に寄与せず
○年金制度での非正規の老後保障対応に限界

 初職が非正規雇用だった人は、その後の職業遍歴や収入なども総じて劣後する結果、年金受給見込み額も低い傾向がある。これは「バッドスタート・バッドフィニッシュ(Bad Start, Bad Finish)問題」と呼ばれ、近年イタリアをはじめ欧州各国で関心が高まりつつある。

 その実態を解明するには通常、同一の個人について、就業状況や給与額などを長期間調査し続けるパネルデータが必要となるが、従来日本にはほとんどなかった。ただ、行政データとしては個人別の就業状況や賃金月額などを継続的に記録したものが日本にも例外的にある。旧社会保険庁(現日本年金機構)が個人単位で年金制度への加入実績を記録したもので、年金受給資格を確認したり年金給付額を加入者ごとに算定したりするために収集・管理していた。

 2007年、5千万件に及ぶ宙に浮いた年金記録の存在が明らかとなった。その結果、政府は旧社会保険庁が管理していた個人単位の年金記録を厚生年金保険・国民年金の全加入者・全受給者に通知し、オンライン記録が正しいか確認してもらうことになった。09年度送付の「ねんきん定期便」の第1回通知には、15歳以降直近に至るまでの賃金履歴や加入年金制度、勤め先会社などがすべて記載された。

 筆者の一人(高山)が主宰する世代間問題研究プロジェクトでは、この第1回ねんきん定期便に着目した。記載内容を転記してもらうとともに、過去や現在の生活状況および将来の計画・見通しを尋ねる「くらしと仕事に関する調査」を昨年11月に実施した。この調査により、長期間にわたる膨大なパネルデータを一挙に蓄積することができた。

 本稿では、調査時点で30〜49歳だった男女(約4千人)のデータを利用し、(1)初職の違い(正規か非正規か)が、その後の就業状況にどのような差異をもたらしたのか(2)初職の違いを決定した主な要因は何か(3)初職が非正規だった人が正規雇用に変わった主な要因は何か(4)初職の違いにより年金受給見込み額はどの程度異なるのか――などを分析した主要な結果を紹介する。

 第一に、日本で初職が正規雇用であった人の割合は近年、世代が若くなるにつれて低下している。その割合は、調査時点で40歳代後半に位置していた世代では男性74%、女性64%だったのに対し、30歳代前半層では男性52%、女性54%にとどまった。代わりに初職で割合が増えたのは非正規雇用で、30歳代前半層では男性32%、女性40%だった。初職非正規の割合は女性の方が男性より高い。

 若年世代ほど初職正規の割合が低いという世代効果は、学歴に示される個人の資質、親の愛情あるいは両親の夫婦仲といった家庭環境を加味してもほとんど変わらない。このほか、中学時代に他人と付き合いたくなかったという人は、初職非正規の割合が高かった。また、母親が専業主婦の場合には、男性では初職非正規の割合が低くなったのに対し、女性では逆にその割合が高くなった。

 第二に、加齢に伴う就業状況の変化は、男女間で大きな差がある。男性からみてみよう。初職が正規であった男性は、その後も正規として就業し続ける比率が極めて高い。非正規への異動と転職者の合計の割合は40歳代後半に至っても15%程度にとどまる。
 これに対し、初職が非正規であった男性の場合、30歳ぐらいまでは加齢とともに正規への転職者割合が総じて漸増する(図参照)。ただし30歳以上になると、その伸びは小さくなり、35歳前後から正規転職派は一転して減少し始める。また、直近で40歳代後半の世代は正規転職を果たした人の割合が約80%に上るが、30歳代前半の世代は正規雇用に転じるまでの年数が長くなり、正規転職者割合もせいぜい50%程度に低下している。

 次に、女性のケースをみる。初職が正規雇用であった女性の場合、加齢とともに正規残存者が減る。専業主婦への転身者が増え、30歳過ぎまでに正規残存者と逆転する。非正規への転職者も加齢とともに増え、その数は40歳までには正規残存者数を上回る。
 一方、初職が非正規雇用であった女性の場合、年をとっても非正規のまま残存するケースが多い。正規雇用への転職は通常、23歳までに生じるが、転職率はせいぜい40%前後にとどまり、30歳代前半の世代では30%にすぎない(図参照)。その後、正規転職者割合は30歳前から加齢とともに低下し、30歳を超えると専業主婦への転身者割合が高くなる。

 第三に、初職非正規のグループだけを抜き出し、正規雇用への転職経験(男性35歳まで、女性23歳まで)の有無を分析したところ、男女とも、初職に雇用期限の定めがなかった場合、あるいは勤続2年以上の勤務経験が1回以上あった場合、正規転職比率がそれぞれ高くなった。一方、公的機関で職業訓練を受けた場合、その後、正規雇用に結びつく比率は逆に低くなるという驚きの結果も得られた。

 第四に、初職が非正規であり、調査時点で30歳代前半層だった人に着目し、60歳になるまでの厚生年金加入年数を推計した。加入年数が25年未満となって低年金になる比率を求めたところ、男性は50%、女性は90%程度になった。ちなみに、厚生年金加入25年未満の場合、老齢年金月額は平均で男性が9万円強、女性が8万円強にとどまったのに対し、25年以上の年金月額は平均で男性が18万円、女性が14万円であった(いずれも個人ベース)。日本でもバッドスタートはバッドフィニッシュとなる公算がかなり大きい。

 では、日本のバッドスタート・バッドフィニッシュ問題にどう対応すればよいのだろうか。非正規の低年金問題には年金制度の見直しで対応すればよいとの意見もあるが、それにはおのずと限界がある。拠出に応じた給付という年金原則を崩すわけにはいかないからだ。むしろ、雇用への入り口戦略を抜本的に強化することが求められる。

 分析結果からもわかるように、公立機関の職業訓練は融通が利かず、時代の変化に対応できていないので、大幅に縮小してはどうだろうか。
 代わりに職業訓練は原則、雇用の現場で実施する。特に30歳までの正規転職促進が急務だ。転職希望の若者を正規雇用し、有用な職務能力を身につけさせる企業には、手厚い訓練助成金を出すべきである。さらに、若者を中途採用者として2年以上雇用する場合、例えば事業主負担の社会保険料に相当する雇用助成金を支給し、若者支援企業として表彰するのも一案だ。

 初職非正規であっても、比較的長い勤続経験があれば、正規転職の可能性が高まることも明らかになった。そこで政策面では、正規雇用への昇格・転職機会を拡大するため、非正規から正規への昇格規定を設ける事業所を増やし、職場内訓練・能力開発への補助金を拡大する必要がある。
 当然、個人資質の向上が不可欠であり、奨学金などを拡充し、IT(情報技術)リテラシーやコミュニケーション能力を高める必要がある。加えて、学業から職場への円滑な移行を支援するためには、教育大改革も避けられない。キャリア教育・職業教育を徹底し、在学中に職業意識を育成することが大切だ。ジョブサポーターを常駐させ、相談機能を強化する必要もある。
 若者の働く場を確保し、働きながら成長する機会を与えることは大人の責務である。

 たかやま・のりゆき 年金シニアプラン総合研究機構研究主幹。46年生まれ。東京大経済学博士
 しらいし・こうすけ 三菱総合研究所主席研究員。65年生まれ。ロンドン大経済学修士

[日経新聞10月26日朝刊P.27]


 

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コメント
 
01. 2012年11月30日 00:45:46 : 26RIRFBFXc
今こそ、1次産業などの復興を謀るべきである。
農学部出身の嘉田党首に辣腕をふるって貰おう。

02. 2012年11月30日 19:16:54 : Pj82T22SRI

生産性が高くなれば、いくら失業率が高くても問題はない

極端な話として、技術革新でロボットが1億人の食糧生産、住居、医療介護・・ができれば

誰も働かなくても問題はない

そうして、老後や生活の心配がなくなれば、労働需要が減るから、さらに少子化が進行し、地球環境も良くなる

日本が、そのモデルになるのが望ましい


03. 2012年12月01日 03:21:07 : GhzHsq7RSc
2さん
夢のような悪夢ですね。

04. 2012年12月31日 08:45:20 : 4A98PbX1WQ

JBpress>海外>The Economist [The Economist]

長寿と年金:金持ちは違う
2012年12月31日(Mon) The Economist
(英エコノミスト誌 2012年12月22・29日合併号)

長寿と年金受給資格年齢

 長生きして、長く働く――。先進国世界が人口高齢化のコストに苦しむようになると、公的年金の受給開始年齢を引き上げるというのがこれまで常套手段だった。今後10年か20年で、65歳ではなく67歳で退職することが標準になるだろう。

 だが、果たしてそのような変化は公平なのだろうか? 先進諸国では、社会階級が高い裕福な人の方が貧しい人より長生きする傾向がある。近年、この差は縮まるどころか広がっている。その結果、貧しい人は裕福な人より、給付金を楽しむ期間がずっと短くなっている。

金持ちの方が長生きする理由

 これは容易に解決できる問題ではない。裕福な人は昔から長く生きる傾向にあるため、一律に設定された年金支給開始年齢という概念そのものに不公平が植えつけられている。それに、所得水準は寿命を決定する唯一の要因ではない。

 男女の性差もあり、女性の方が男性より長生きすることが多い。それなのに、バランスを是正するために女性の退職年齢を引き上げるという話にはなっていない。

 歴史的に、労働者階級の男性の平均寿命が短い原因の1つに、彼らが従事する仕事の性質があった。炭鉱での労働や波止場の木箱の荷下ろし作業は男性の肉体を疲弊させる。時間とともに、製造業主体の経済からサービスに基づく経済へと移行していく中で、そうした要素の重要性は低下するはずだ。

 それ以外に、金持ちと貧しい人の寿命の差を説明できるのもがあるだろうか? 1つ考えられるのは、医療を受ける機会だ。裕福な人の方が医療の進化から大きな恩恵を受けられるかもしれない。一部の研究は、1980年代前半以降、英国の富者と貧者の寿命の差がおよそ1年分拡大したと指摘している。米国では1970年代以降、その差が5年近く広がった可能性がある。

 英国では、国民医療制度(NHS)のおかげで、所得水準による心臓疾患の治療率や脳卒中予防薬の利用率の差はほとんどない。だが米国では、保険未加入者が受けられる医療にはばらつきがある。一部の研究は、米国の北東部に住む低所得者の方が、南西部に住む低所得者よりも医療を受ける機会に恵まれており、死亡統計の数字も良好であることを示している。

 恐らく、それ以上に重要なのが生活スタイルだ。過去30年間で65〜74歳の死亡率が下がった最大の要因の1つは、循環障害が減ったことと関係している。より良い治療法が見つかったこともその一因だが、喫煙率の低下も大きく影響している。米国の各郡の分析では、成人の喫煙者の割合が5.9%上昇すると、若年死亡率が7%近く増加することが明らかになった。


喫煙や飲酒などの生活スタイルは寿命に影響する〔AFPBB News〕

 ここ数十年間で男女の平均寿命の差が狭まった理由として考えられるのは、男性の喫煙率の方が大きく低下したことだ。その一方で、富裕層と貧困層の生活スタイルは隔たりが大きくなった。

 英国人で学歴のない人は、学歴のある人よりも、喫煙と過剰飲酒、粗食かつ運動不足の生活を送る可能性が5倍高いという。

 国によってパターンは異なる。フランスでは、富裕層と貧困者の喫煙習慣に大きな違いが見られない。それでも、欧州全域で40〜65歳を対象に行った研究では、低所得者が裕福な人と同程度にリスクの少ない生活を送れば、死亡率が男性で23%、女性で16%下がる可能性があることが分かった。

 こうした生活スタイルの違いが、どうしてなくならないかに関しては、一致した見解はない。貧しさから生じるストレスが、彼らを喫煙や不健全な食生活に向かわせると主張する向きもある。

 だが、文化的な要素も色濃く影響しているようだ。米国では、所得水準が等しいヒスパニック系と黒人の健康状態に顕著な違いが見られる。裕福な人たちの喫煙率が低下したことにも、文化的な要因が関係しているかもしれない。喫煙の習慣はもはや、上流階級の間で社会的に容認されないからだ。

最大の原因が生活スタイルなら・・・

 もし、寿命に差が生じる最大の原因が生活スタイルにあるのなら、年金の受給開始年齢の変更を先送りするよりも、直ちに健康問題に取り組んだ方が賢明だろう。

 一部の国の職業年金制度(例えば消防士や軍隊など)は、就労者の早期退職が認められている。こうした職業には危険が伴うからだ。だが、喫煙者や肥満者に、ほかの人より早く退職することを認めようと思う人はいないだろう。

 しかし、米国のように、すべての国民に定率の年金を支給するのではない国民年金制度には重要な意味がある。裕福な人たちは長生きするだけでなく、その過程でより多くの所得を得るからだ。

 現在、米国で給付されている国民年金のうち、課税対象になるのはわずか85%で、富裕層に最大の恩恵を与える優遇税制になっている。寿命の格差と赤字の規模を考えれば、これは埋められて然るべき抜け穴だ。


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