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超円高是正で民間主導型へ 安倍提案の真の意義(編集委員・田村秀男)(産経新聞)
2012.11.25 10:43
自民党の安倍晋三総裁による日銀政策転換論が衆院選の争点になってきた。安倍提案は日本を再生させる決め手になるだろうか。
日本衰退を顕著に示すのは経済規模を表す名目の国内総生産(GDP)である。1997年度は521兆円で戦後最大だったのに対し、2011年度は470兆円弱と51兆円以上も減った。
GDP萎縮はなぜ
GDP萎縮はなぜ起きたか、なぜまだ止まらないのか。最大の手がかりはGDPそのものにあるはずで、97年度と11年度を比較したのがこのグラフである。
(http://sankei.jp.msn.com/economy/photos/121125/fnc12112510430001-p1.htm)
97年度か、その翌年度から果てのない慢性デフレに陥った。
主要項目別にみると、民間企業設備投資、民間住宅投資と民間投資が大幅に落ち込んだうえに、公共投資、純輸出(輸出と輸入の差額)、家計最終消費支出ともマイナスだらけである。増えたのは「政府最終消費支出」のみである。
この14年間のうち、民間設備投資は06、07年度に少し復調したが、当時の円安に後を押されて輸出企業が国内投資を増やしたからである。しかし、その規模は97年度にも及ばず、力強さに欠けた。一方、円高放置の民主党政権は輸出を激減させた。
自公政権でも民主党政権でも民間部門は消費、投資とも低落基調から脱することができなかった。「民のものは民に」という構造改革を掲げた小泉純一郎政権(01〜06年)も、「官僚主導から政治主導」への政策転換を唱え、「事業仕分け」に精を出した民主党政権下でも民間需要は低迷したままだ。
政権を問わず一貫しているのは政府最終消費支出の増加基調と公共投資の削減である。自公、民主の政策とも、公共投資削減を通じて「小さな政府」を目指す一方で、政府消費支出を通じて「大きな政府」を志向し、矛盾に満ちている。民間主導をいずれも唱えながら、逆に疲弊させている。
大半は医療、介護
政府最終消費支出の大半を占めるのは政府による医療、介護機関へ支払い(統計では「現物給付」と呼ぶ)である。
社会保障支出総額は家計に直接給付される分を含め、10年度104兆円超に達し、97年度比で35兆円増えた。そのうち、21兆円以上が家計への直接給付増加額である。GDP全体は11年度までに1割減ったのに、家計消費が1・6%減にとどまっているのは、年金などの給付で全体の家計所得が下支えされたからだ。政権は自公、民主を問わず社会保障バラマキ路線で一貫している。
税収は減り続けるのに、社会保障支出を増やす。財政赤字は増える。
野田佳彦政権は財務官僚に言われるままに、消費増税を推進した。社会保障支出依存の経済政策では一致する自公民の3党合意で消費増税法案が成立した。このまま、3党主導で消費税増税が実行されるようだと、これまでの政策の失敗は何も省みられず、民間部門が衰退し、経済の再生どころではなくなる恐れが十分ある。
今、優先すべきは、民間の活力を回復させる路線の確立である。特に設備投資と輸出の増強が急がれる。物価や可処分所得が減り続けるデフレの重圧から消費者や企業を解放することだ。
即効性を持つのは超円高の是正であり、それを可能にする手段はとりあえずは金融の量的緩和しかない。中央銀行がお札を継続的に大量供給する量的緩和政策は米欧でとられ、デフレ防止や金融市場安定の効果を上げている。安倍氏提案の「無制限の金融量的緩和」「ゼロかマイナスの政策金利」「2〜3%のインフレ目標」はまさに、正論である。
見せかけの金融緩和
日銀は金融緩和していると見せかけながら、実際には金融を引き締めている。
日銀の資金供給残高は08年9月のリーマン・ショック前に比べて40兆円増えたが、市中銀行はその87%、35兆円を日銀での当座預金口座に留め置いたままである。
日銀が当座預金の約8割に対し、ご丁寧にも0・1%のプラス金利を約束しているからだ。これでは実体経済にカネが流れず、デフレから脱するはずがない。民主党政権はそんな欺瞞(ぎまん)に満ちた日銀政策を放置してきた。
もちろん、金融政策がすべてではない。企業の国内回帰、特に「メード・イン・ジャパン」の再興のためには、法人税減税も不可欠だ。医療、高い効率の太陽エネルギー利用、微細な半導体加工を含め世界最先端の技術拠点の拡大に向け、政府資金を投入する。機械的な公共投資の削減を見直し、新エネルギーなどの分野に集中投資するプログラムも必要だ。
衆院選は、増税により社会保障支出を増やすだけで思考停止した自公民型に代わる、経済モデルの確立の機会にすべきなのだ。その点、安倍氏は大きな一石を投じた。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121125/fnc12112510430001-n1.htm
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